ウェアラブル技術活用で睡眠障害の負担減らす試み | 武田薬品

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ウェアラブル技術活用で睡眠障害の負担減らす試み

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2024年11月27日

Photo provided by Beacon Biosignals

本記事は、実際の患者さんの体験談を紹介しています。特定の患者さんの体験を紹介したものであり、典型的な患者さんの体験を紹介するものではありません。気になる症状や医学的な懸念がある場合、また、適切な診断と治療を受けるためには適切な医療機関を受診ください。


Sleep Consortium共同創設者のクレア・ワイルズ・ライトさん

Sleep Consortium共同創設者のクレア・ワイルズ・ライトさん

クレア・ワイルズ・ライトさんは、睡眠障害の知見を広め、ナルコレプシーなどの睡眠障害とともに生きる人の一助になりたいという強い思いがあります。症状だけでなく、正確な診断という難しい課題に対しても取り組んでいます。

クレアさんは、「ナルコレプシーは、さまざまな形で生活に影響を与え、日常生活の維持が難しくなることもあります」と指摘します。彼女は、ナルコレプシータイプ1とともに生きる娘を持つ母親でもあり、Sleep Consortium* の共同創設者でもあります。Sleep Consortiumは、米国で非営利組織として中枢性過眠症(CDoH)に関する研究促進に取り組んでいます。

クレアさんは次のように述べています。「ナルコレプシーによって、日常生活の小さな用事をこなすことさえ難しくなる場合があります。周囲の人が症状を理解していないために、差別や偏見を受けることもあります。それだけでなく、心の健康にも影響を及ぼします。周囲から怠けていると見られているのではないか、誤解されているのではないかと、患者さんが考えてしまうこともあります。しかし、早期に適切な診断を受けることができれば、こうした負担を早い段階で緩和できる可能性があります」

  • ナルコレプシータイプ1の症状には、日中の過度の眠気、カタプレキシー(情動脱力発作)、夜間の睡眠分断、幻覚、睡眠麻痺、認知機能障害などがあります。
  • 患者さんが正確なナルコレプシーの診断を受けるまでには平均で15年かかります。1

クレアさんは、治療のおかげで娘の症状はよくなったものの、教育や社会生活、幸福度という面ではまだ影響を受けていると言います。そして、この臨床的な知見を広めるさらなるソリューションが必要と訴えます。そのソリューションには、診断を妨げる患者負担への対応も含まれます。

診断の課題への取り組み


ナルコレプシーを含む睡眠障害では、診断が遅れたり、間違った診断が下されたりすることが少なくありません2。これらの症状は他の問題と混同されやすく、単なる睡眠不足と判断される3こともあるからです。睡眠クリニックで何日か寝泊りして検査する場合もあります。しかし、介護をしている人や仕事が休めない人にとっては、これは簡単ではありません。検査を受けたくても、クリニックが近くになかったり、ベッドに空きがなかったり、すぐに利用できない場合もあります。一晩のみの睡眠データでは、患者さんの実際の状況を正しく反映しないこともあります。

Beacon BiosignalsのCEOおよび共同創業者のジェイコブ・ドノヒューさん

Beacon BiosignalsのCEOおよび共同創業者のジェイコブ・ドノヒューさん

私たちは現在、さまざまなパートナーと協働することで、睡眠障害とともに生きる患者さんのニーズを深く理解しようとしています。得られた知見を基に、患者さんの正確な情報を集めてナルコレプシーのような睡眠障害の診断に生かせる簡便な方法がないか、さまざまな検討を重ねています。Beacon Biosignalsと手を組み、ウェアラブルデバイスを活用するという選択肢もその一つです。

Beacon BiosignalsのCEOおよび共同創業者で医師でもあるジェイコブ・ドノヒュー博士は次のように述べています。「ウェアラブルデバイスなら、患者さんが日常生活を送る環境下でデータを取得します。長期的なデータが得られることで、最終的に、複雑な病態を解明する手掛かりが得られるかもしれないと、私たちは考えています」

タケダ デジタルプロダクトエクセレンスのヘッドを務めるジュリア・ジャクソン

タケダ デジタルプロダクトエクセレンスのヘッドを務めるジュリア・ジャクソン

タケダのデジタルプロダクトエクセレンスのヘッドを務めるジュリア・ジャクソンは、Beacon Biosignalsと手を組みウェアラブルデバイスを活用することで、負担の少ない方法でのデータ収集を模索していると指摘します。「患者さんがナルコレプシーの正確な診断を受けるまでに、通常は10年以上かかります1。患者さんの暮らしを豊かにしようとするこうした取り組みは、タケダが長年にわたり受け継いできた価値観そのものです」

患者さんの負担を減らし、臨床的知見を高める


Sleep Consortiumの共同創業者であるリンゼイ・ジェステッドさんは、この先に広がる機会に胸を躍らせています。「デジタルヘルス革命により、私たちはまったく新しい方法で、睡眠障害をモニタリングし、理解できるようになっています4。すでに、ウェアラブルデバイスやモバイルヘルスアプリなど、睡眠パターンを継続的に追跡できるツールがあります。各指標を追跡することで、貴重な情報となるのです」

クレアさんも次のように述べています。「自宅で使用できるデバイスは、患者さんの負担を軽減する大きなステップとなります。デバイスを快適に身に付けられ上、患者さんが自らの手で、より正確なデータを取得できる可能性もあるので、多くの点で価値があると言えます」

  • Sleep Consortiumは米国で課税の優遇を受ける非営利組織(501c3)で、タケダは同組織のcorporate sponsorです。

  1. Thorpy MJ, Krieger AC. Delayed diagnosis of narcolepsy: characterization and impact. Sleep Med. 2014 May;15(5):502-7. doi: 10.1016/j.sleep.2014.01.015. Epub 2014 Feb 15. PMID: 24780133.
  2. Telt sch DY, et al. Poster (P296) presented at: The 38th Annual Meeting of the Associated Professional Sleep Societies; June 1-5, 2024; Houston, TX, USA;
  3. Ohayon MM, et al. Sleep Med. 2021;84:405-414. doi: 10.1016/j.sleep.2021.06.008;
  4. Thorpy MJ, Krieger AC. Delayed diagnosis of narcolepsy: characterization and impact. Sleep Med. 2014 May;15(5):502-7. doi: 10.1016/j.sleep.2014.01.015. Epub 2014 Feb 15. PMID: 24780133.