1500年以上続く葵祭を支える | 武田薬品
1500年以上続く葵祭を支える
2024年9月5日
「当園で培ってきた栽培技術を生かし、葵祭の伝統を守り、地域社会の役に立ちたいと思いました」
1933年に設立されたタケダの京都薬用植物園で、種の保存に関するプロジェクトを担当する太田己翔は、こう話します。私たちは、絶滅の危機にあったフタバアオイを育て、増やすことで平安時代から続く葵祭の伝統を後世に残すことに貢献しています。
藤木 保誠 柊野 貴船神社 宮司 (元 上賀茂神社 禰宜)
葵祭は、1500年以上の歴史があり、京都の三大祭のひとつに数えられています。平安時代の衣装と葵桂で飾った行列が有名です。葵祭の主要開催地の一つである上賀茂神社の禰宜(ねぎ)を務めた藤木保誠さん(現・柊野貴船神社宮司)は、「上賀茂神社では、社殿を飾ったり行列参加者が身に付けたりなどで 、7000~8000本のフタバアオイを使います」と説明します。「神様に会える草がフタバアオイなのです。ですから、『これから神様に会いに行くんだ』ということで、フタバアオイをつけて皆さんお祭りに参加します」
かつては、上賀茂神社付近でもフタバアオイは広く自生していましたが、温暖化や獣害などのさまざまな影響で、絶滅の危機に瀕していました。そこで、京都の地元住民がフタバアオイを育て、昔ながらの葵祭を継承する「葵プロジェクト」を発足しました。
野町 真之助 葵プロジェクト 事務局次長
葵プロジェクト事務局次長の野町真之助さんは、「フタバアオイはすごく敏感な植物なので、水やりや環境整備に常に気を配っています」と言います。また、葵プロジェクトには多くの子どもも参加しており「落ち葉を拾うなどの清掃作業中に、カブトムシの幼虫やサワガニを見つけてびっくりする子もいます。自然に触れる機会が少ない子どももいるので、こうした場を提供できるのも、地域社会にとって重要なことと思います」
太田 己翔 武田薬品工業 京都薬用植物園
タケダは、京都薬用植物園で株分けされたフタバアオイを育てるだけでなく、葵プロジェクトの一員として、地域住民とともに活動しています。「タケダはこれまでずっと、誠実であることを大切にしてきました。植物も誠実に向き合わないと、健全に生育しません。物事に誠実に向き合い、伝統を後世に残すというこの活動は、タケダが240年以上受け継いできた価値観と重なるところがあると感じています」と太田は語ります。