費用負担を減らしてベトナムのがん治療アクセスを拡大 | 武田薬品
費用負担を減らしてベトナムのがん治療アクセスを拡大
本記事は、情報提供のみを目的として一般公開されたものであり、この分野の専門家や医療従事者からの助言に代わるものではありません。また、適切な診断と治療を受けるためには医療機関を受診してください。
「がんが見つかりました」
この事実を患者さんに伝えるのに、ちゅうちょする医師もいるでしょう。患者さんは、この言葉を聞くと心が揺れ動き、「なぜ自分が?」「子どもたちにはどう伝えればいいんだろう?」「これから生まれる甥や姪に会うことはできないと、私の兄弟が聞いたらどう思うだろう?」といったさまざまな疑問があふれ出す場合もあります。
ベトナムで人事の仕事をしていたQuynh Hoangさんも、2015年にがんの診断を受けたとき、こうした疑問が頭の中を駆け巡りました。しかし、がん治療の経験がきっかけとなり、Quynhさんは製薬業界に転職し、ベトナムの医療体制をがん患者さんの支えになるものに改善したいと考えるようになりました。
「適切な診断と治療を受け、私はがんを克服できました。自分ががん患者だったことを忘れてしまうときもあるくらいです」と、Quynhさんは言います。「私は幸運だったと思います。適切に診断されなかったり、早期に診断を受けられなかったりした可能性もあったのですから。承認された治療法を早期に利用できることが重要と思います。」
ベトナムの医療体制はこれまでに大幅に進歩してきましたが、それでもまだ大きな障壁が存在しています。必要な医薬品やワクチンを簡単に利用できる状態とはいえません。
Quynhさんは2018年に、革新的な医薬品へのアクセスを改善するという目標のもと、ベトナムに新しく誕生したタケダのチームに加わりました。
「私たちは結成して間もないチームですが、複雑な疾患や希少疾患に対する患者さんへの啓蒙など、継続的な患者サポートで重要な成果をすでに挙げています」
具体的には、医薬品アクセスにおける差し迫った課題である「患者さんの費用負担の問題」に、このチームは取り組んでいます。ベトナムでは医療費の自己負担率が高いため²、特にがん患者さんをはじめとする多くの人にとって、必要な医薬品や治療方法が手の届きにくい状態にあります。
例えば、2016年のベトナムの世帯の10%では、医療費の自己負担額が世帯収入の約40%にも及び、大きな負担になっていることが複数の調査で判明しています³。しかも、がん患者さんがいる世帯では、この世帯収入に対する医療費の割合が65%に及びます³。このように、昔から負担の少ない価格で医療を受けることが難しいベトナムでは、治療を諦める患者さんの割合が高く、効果が期待できる医薬品があってもアクセスしづらい状況です⁴。
タケダは、ベトナムで長年にわたって事業を展開し、医療体制の強化と医療アクセスの持続的な拡大に取り組んできた経験から、費用負担という障壁に立ち向かうには、より的を絞った取り組みに総力を挙げるべきと考えました。
タケダには、2017年にグローバルレベルで立ち上げた患者支援プログラム(PAP)があります。このプログラムでは、対象となる患者さん、つまり必要な治療を受ける金銭的余裕がない患者さんに経済的支援を提供します。患者さん一人ひとりの経済状況を考慮し、地域のパートナーや保険会社、政府と協力して、個々の患者さんに合った柔軟な経済的支援を実施しています。
タケダは2022年に、より多くのがんや希少疾患患者さんが必要な治療方法をタイムリーに選択できることを目指して、地域のパートナーと協力を開始しました。また、病院や医師を含む幅広い関係者および地域のパートナーとも連携して、患者さんの費用負担に関する課題を軸にしたベトナム初の患者支援プログラム(PAP)を立ち上げました。
このプログラムは、多くの人々の参画によって導入できたものです。そうした参画者の一人である、National Institute of Hematology and Blood TransfusionのDr. Bach Quoc Khanhプレジデントは、「より多くの患者さんが新しい医薬品や、的を絞った効率的な治療方法を利用できるようにする上で、さらにはベトナムにおける治療の全体的な質も向上させていく上で、PAPは大きな役割を果たします。患者さんに最善の結果を提供できるよう、このプログラムに参画しているそれぞれの組織が今後も啓蒙活動に努め、迅速な治療で患者さんを支援していくことを願います」と話しています。
ベトナム初のPAPはタケダにとって大きな成果であり、多くのがん患者さんとその家族に具体的な選択肢を提供できるものです。しかしこれは、持続的で公平な医薬品アクセスをこの国で実現するための第一歩に過ぎません。
「私たちは、可能な限り多くの患者さんが革新的な医薬品や治療方法を利用できるようになるよう、日々努力を重ねています」というQuynhさんの言葉は、タケダの姿勢を表しています。
* タケダのPAPに関する詳細は、医薬品アクセスプログレスレポート 2022をご覧ください。