アジア少数民族の母子を対象にした保健医療の支援 | 武田薬品
アジア少数民族の母子を対象にした保健医療の支援
タケダは、企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)の一環として取り組むグローバルCSRプログラムを通じて、途上国や新興国における疾病予防、ヘルスワーカーの育成、サプライチェーンの強化、質の高い医療へのアクセス改善に向けた活動を支援しています。本プログラムでは、毎年、世界の従業員による投票で新たなパートナーを選出します。
2016年に、最初のグローバルCSRプログラムの1つとして、当社の従業員は「少数民族の妊産婦および新生児の健康支援プロジェクト」を選出しました。これは、セーブ・ザ・チルドレンとのパートナーシップによる活動で、十分な医療サービスを受けられないコミュニティに保健医療に関する重要な教育、訓練、サービスを提供することを目的としていました。2017年より支援を開始した本プロジェクトは、2021年4月に完了し、大きな成果をあげることができました。
プログラム概要
プログラム概要
パートナー: セーブ・ザ・チルドレン
対象国: ベトナム、ミャンマー、ラオス
期間:2017年3月~2021年4月
主な活動:
保健センターの建設・改善
ヘルスワーカーへの訓練
地域保健ボランティアの訓練
保健教育
地域母子保健サービス提供の強化
本プロジェクの成果
21,099人
60,187人
20,384人
313人
75人
4つ
114の地域
妊産婦および新生児に対するケアの理解と実践を改善
セーブ・ザ・チルドレンのプロジェクトチームは、支援の開始時および終了時の調査で成果を測定しました。この調査は、妊娠期以降の各段階で見られる3つ以上の異常徴候に関する母親の知識について調べ、その変化を測るものでした。本プロジェクトでは、母親に行動変容を促すことで母子健康の持続可能性を高めることを目的としていたので、健康習慣の導入に関連する質問もありました。調査の結果、本プロジェクトが妊産婦および新生児のケアの理解と実践に大きな影響を与えたことが示されました。
指標 | ベトナム | ミャンマー | ラオス | ||||
プロジェクト開始 | プロジェクト終了 | プロジェクト開始 | プロジェクト終了 | プロジェクト開始 | プロジェクト終了 | ||
異常徴候を3つ以上知っている女性の割合 | 妊娠中 | 15.7% | 90.8% | 7.2% | 62.2% | 24.2% | 48.7% |
分娩中 | 8.9% | 83.3% | 4.7% | 39.8% | 18.6% | 33.2% | |
産後の期間中 | 14.2% | 85.3% | 3.8% | 35.4% | 24.0% | 42.4% | |
新生児期 | 26.3% | 91.1% | 8.5% | 63.4% | 30.0% | 58.6% | |
完全母乳哺育率 | 27.2% | 41.5% | 56.6% | 65.9% | 75.2% | 77.3% | |
施設分娩率 | 80.1% | 95.6% | 43.8% | 55.0% | 77.2% | 80.0% |
*ラオスの数値は当社が拠出したプロジェクトに限定されません。
調査対象:
ベトナム:プロジェクト対象地区において無作為に選択した母親と6か月未満の子ども
ミャンマー:プロジェクト対象村において無作為に選択した母親と6か月未満の子ども
ラオス:プロジェクト対象地区において無作為に選択した母親と5歳未満の子ども
受益者たちの声*
私の親戚や隣人が妊娠することがあれば、地元の保健センターか病院に行って妊婦健診を受けるよう助言し、絶対に自宅出産を行わないように勧めます 。
エバ(ベトナム)
エバは、第1子と第2子を自宅で出産しました。ベトナムの農村部では、現在でもそれは特別なことではなく、むしろ日常と言えます。第3子を妊娠した際、彼女は本プログラムの地域ボランティアの訪問を受け、施設で出産する利点と母子が受けられるサポートを知ることができました。エバは定期妊婦健診に通い、地区の病院で健康な女児を出産しました。現在は、安全な出産の実践を提唱しています。
第1子を妊娠した際は、分娩に対する知識がなく、緊急出産となりました。第2子で、状況はすっかり変わりました。地域の助産師からの定期的なケアと村保健委員会からの経済的支援を受け、無事に出産できました。
マリア(ミャンマー)
第1子の出産で起きた問題を教訓に、マリアは第2子を妊娠した際に妊婦健診を受け、教育セッションに参加しました。そこで妊娠中と出産後の良好な健康・栄養状態について学びました。
以前は、手洗いなど子どもたちの衛生面に対する重要性について、多くの人々が理解していませんでした。今では改善しています。
サラ(ラオス)
サラは、ラオスの地域保健ボランティアです。本プロジェクトを通じて、人々に栄養と衛生に関するアドバイスをするスキルを学びました。安全で健康的な習慣を村の人々にわかりやすく示すことにより、皆の意識と行動が大きく改善されたと言います。
新生児ケアに関する講習会で専門知識と技能が向上し、新生児室における業務への自信が深まりました。また、地区の病院で、これまで行われなかったことが実践できるようになったことを誇りに思います。
ハリソン医師(ベトナム)
ベトナム・クロンボン県の地区病院では、以前から設備不足やスタッフの訓練不足という課題があったため、病気の新生児の治療ができず、大きな病院を紹介していました。しかし、こうした病院は村から遠く離れているため、多くの新生児は到着前に亡くなりました。ハリソン医師たちは、本プログラムを通じて訓練を受けたことにより、68人の病気の新生児を地区病院で治療しました。
本プロジェクトは終了しましたが、セーブ・ザ・チルドレンとタケダのパートナーシップにより、対象国の各地域で暮らす母子たちの人生に、今後も良い影響をもたらす礎を築くことができました。グローバルCSRプログラムの詳細はこちらをご覧ください。
*個人のプライバシーの保護のため、氏名を変更しています。