環境に優しい包装で目標達成を2年前倒し | 武田薬品

環境に優しい包装

環境に優しい包装で目標達成を2年前倒し

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2025年1月30日

世界中の人々の健康と輝かしい未来を目指す上で、「紙の包装」が重要な役割を果たしていることを知っていますか? タケダが生産する年間5億個の医薬品は、紙箱に包まれて提供されています。その中には、製品情報を記載した紙のリーフレットが同梱されています。さらに、医薬品は大きな段ボール箱を使って世界中に発送されます。それらをすべて合わせると、私たちは年間で最大1万トンもの紙を使用していることになります。

私たちは、患者さんやともに働く仲間、いのちを育む地球のためにという約束を掲げ、240年以上事業を続けています。事業を継続する上で、紙の使用は不可欠です。しかし、今後もこの約束を果たし続けていくには、革新的な取り組みを通じて紙の使用量を削減し、使用する紙を環境に優しい資源から調達する必要があります。タケダでは、企業理念に基づく指標(Corporate Philosophy Metrics)を用いて長期的な価値創造の進捗を測定しています。

私たちは2025年までに、環境に優しい資源から調達された紙の包装を50%使用することを目標として掲げていました。しかし、2023年には2年前倒しでその目標を3%上回ることができました。そして引き続き、既存の製品と新製品の両方で環境に優しい包装を採用していくための取り組みを進めています。

ルシアナ・ペレグリーノ会長

世界包装機構のルシアナ・ペレグリーノ会長

これは、サプライチェーン全体に及ぶ、非常に複雑な取り組みです。世界包装機構(WPO)のルシアナ・ペレグリーノ会長は、タケダが積極的に投資を行い、複数の改善策を同時に追求していることを高く評価しています。

「さまざまな技術の進歩が同時に起きているのは、とても素晴らしいことです。原材料の調達から、印刷技術やデジタル化まで、包装と製品ライフサイクル全体で効率性と持続可能性を高められる、包括的なアプローチをとれます」

以下に、紙包装をより環境に優しいものにする私たちの取り組みをご紹介します。

1. 環境に優しい包装を実現するために取引先と協力


ヨルク・ミヒャエリス

タケダ ダイレクト プロキュアメントチームのヨルク・ミヒャエリス

紙の包装で環境に優しいと定義されるには、再生板紙を使用するか、あるいは森林管理協議会(FSC)のような組織に認証を受ける必要があります。タケダのダイレクト プロキュアメントチームでデザイン トゥー バリュー リードを務めるヨルク・ミヒャエリスによると、タケダは世界中の紙包装材の取引先50社に認証取得を依頼しています。このプロセスにはコストと時間がかかるため、必ずしも容易ではありません。しかし、ヨルクとそのチームは、この認証取得による恩恵を受けるのはタケダだけではないと強く訴えています。

「より環境に優しい調達ができれば地球に大きく貢献できる、と取引先にはお話ししています」と、ヨルクは言います。「認証は宣伝材料にも使えるので御社にも業界全体にも利益になります、ともお伝えしています」

ケルスティン・レフラーさん

Faller Packagingでバイス プレジデントを務めるケルスティン・レフラーさん

取引先の1社であるFaller Packagingでマーケティング、コミュニケーション、環境・社会・ガバナンス(ESG)のバイス プレジデントを務めるケルスティン・レフラーさんは、タケダが同社のバリューチェーンに関心を寄せていることに感銘を受けたと言います。2023年に同社のESGアプローチをタケダに説明した際に、そのことを肌で感じたそうです。

「タケダの皆さんは、当社のバリューチェーン全体を把握したいと言いました」と、レフラーさんは振り返ります。「当社は、タケダのスコープ3に該当します。つまり、私たちの製品と二酸化炭素排出量は、タケダの総排出量に影響します。したがって、私たちが持続可能性を高めるほど、タケダへのプラスの影響も大きくなります。私たちによりいっそうの持続可能性を求めるタケダの姿勢は、業界の中でも際立っています」

タケダでは、FSC認証紙を使用するだけでなく、紙の包装に再生紙を使用する取り組みも行っています。

「デジタル化されれば、テクノロジーを活用してより効率的に情報にアクセスできるようになります。もし、私たちが生産している年間5億個の製品に同梱している紙のリーフレットをなくすことができれば、大量の紙も天然資源も節約できます」

タケダ グローバル マニュファクチャリング&サプライ部門のマイケル・リッター

2. 製品情報を紙からデジタルへ


マイケル・リッター

タケダ グローバル マニュファクチャリング&サプライ部門のマイケル・リッター

タケダのグローバル マニュファクチャリング&サプライ部門のマイケル・リッターによると、保健当局は情報提供のデジタル化に関心を示しています。紙の使用量を大幅に削減できるだけでなく、ユーザーエクスペリエンスを高められると、マイケルは言います。

「デジタル化されれば、テクノロジーを活用してより効率的に情報にアクセスできるようになります。もし、私たちが生産している年間5億個の製品に同梱している紙のリーフレットをなくすことができれば、大量の紙も天然資源も節約できます」

しかし、製品情報リーフレットは厳しい規制対象下にあるため、ペーパーレス化をいち早く導入している国はまだほんの一部です。欧州やアジアの多くの国ではまだ試験段階にあります。

それでも、私たちはこのプロセスに全力で取り組んでいます。デジタル化できれば、製品情報を迅速かつ容易にアップデートできます。また、小さく読みにくい文字でも、拡大してスムーズに読むことができます。

3. エネルギー効率に優れた印刷への移行


CMYK

二次包装、つまり医薬品そのものが入ったブリスターパックやボトルを収納する箱は、適正使用を推進する情報提供という点で非常に有益なツールです。そのために、箱に画像や文字を直接印刷する場合があります。

こうした印刷の環境への影響を低減する方法として私たちは、使用するインクの色数を減らす取り組みを行っています。グラフィックデザインでよく使用されるPANTONEカラーを、CMYKに切り替えています。これにより、患者さんや医療従事者にこれまでと同じ視覚的情報を伝えつつ、使用するインク数を減らせます。

ジョン・フォード

タケダ グローバル アートワーク ガバナンスのジョン・フォード

タケダでグローバル アートワーク ガバナンスのヘッドを務めるジョン・フォードは、ブランド担当の仲間と協力し、印刷業者がタケダ製品のアートワークをデザインする際には、必ずCMYKを使用するよう要請しています。

「PANTONEでは、色を変更する際に印刷機を洗浄する必要があります」と、ジョンは指摘します。「しかしCMYKなら印刷機を変える必要がないので、環境面でメリットがあります。当然、コストの削減にもなります。時短で、無駄がなく、低コスト。そして、エネルギーも削減できます」

こうした取り組みを継続していけば、環境に優しい紙包装の割合を増やしていけると私たちは確信しています。さらに、プラスチックを可能な限り紙に置き換えるための革新的な方法も模索しています。例えば、プラスチック製の不正開封防止シールを繊維製のシールに置き換えれば、100%紙製のリサイクルしやすい包装を作れる可能性があります。

スリマン・バナジー

タケダ 診断、ソフトウェアデバイス&パッケージング開発のスリマン・バナジー

診断、ソフトウェアデバイス&パッケージング開発のエグゼクティブ ディレクター兼ヘッドを務めるスリマン・バナジーは、タケダはサステナビリティ・バイ・デザイン(環境配慮設計)とサーキュラー・エコノミー(循環型経済)の原則、すなわち廃棄物の削減を目指した生産モデルに従い、開発を進めていくと語っています。

「タケダは包装業界の複数のコンソーシアムやパートナーとグローバルパートナーシップを結び、持続可能な発展に向け、誰もが利用できるように知見を共有していこうとしています」と、スリマンは言います。