サプライヤーとともに気候関連目標の達成を進める | 武田薬品
サプライヤーとともに気候関連目標の達成を進める
「父はよく、『ブラジルは地球の肺と言われているんだよ。熱帯雨林があるからね』と子供だった私に言っていました。
このようにして、少年だったラムセス・シルベイラの心に、アマゾンが地球の生態系に大きな役割を果たしていることが刻み込まれました。当時はまだその重要性を完全に理解できなかったものの、父の言葉はその後もシルベイラの頭に残りました。サステナビリティについて、そして、ヒトの健康と地球の健康の深いつながりを理解する土台になったのです。
この目標の重要性は、科学的根拠に基づく目標イニシアチブにまとめられています。
SBTを設定することで、企業が温室効果ガスの排出量を削減する道筋が明確に定まります。気候変動による悪影響の回避だけでなく、未来に対応できる事業の成長も促進できるとされています。目標が科学的根拠に基づくかどうかは、最新の気候科学の観点から判断されます。つまり、パリ協定で規定された「気温の上昇幅を産業革命前のレベルからプラス1.5度以内に抑える」という目標達成に貢献できるかどうかです。
ラムセスは当初、こうした大きな目標に取引先を巻き込むのに苦労していました。目標を達成するには多くの場合、持続可能な素材の調達や、製造過程の環境負荷低減が必要だからです。しかし、目標を持つことによるメリットを根気強く伝えていくなかで、サステナビリティの重要性を効果的にアピールできるようになりました。
「環境に良い影響を与えられるという点だけでなく、こうした目標を持つことで企業イメージや競争力の強化につながるという点を強調するようにしました。私たちもそうですが、企業は、環境に配慮している取引先を選びたいものです」と、ラムセスは言います。「また、こうした目標を持つことは、今後の規制強化に備えることにもなります。規制がさらに厳しくなっていく可能性が高いのです」
この努力はすでに実を結びつつあります。さまざまな国の取引先が、この取り組みに参加してくれるようになりました。リサイクル可能な新しいブリスターパックの開発に着手した企業もあれば、CO2排出量を減らしてガラス瓶を製造する溶融技術に取り組んでいる企業もあります。
さらに、新しいパートナーシップも生まれました。
ラムセスは「最近ある取引先から興味深い提案を受けました」と教えてくれました。「その取引先は、革新的なアイディアを持っていて、その試験運用を実施するために、パートナーとなる製薬企業を探していました」
「科学的根拠に基づく目標を持つことは、いわばテクノロジーや科学を用いて目標に到達できるようにすることです」
ラムセス・シルベイラ
こうしたプログラムは、パートナーシップがいかに重要かを示しています。誰にとってもプラスとなる持続可能な方法を、製薬業界において考案し、導入していく必要があります。また、取引先からも、環境負荷を削減する画期的な方法を模索するパートナーとして、タケダが選ばれていることにも、ラムセスは喜びを感じています。
「彼らは、真っ先にタケダが頭に浮かんだと言っていました。私としては、それだけでもすでに成功と言えます」
トーマス・ウォスニフスキー グローバル マニュファクチャリング&サプライ オフィサーは、こうした状況からも、私たちの価値観が社内外で共感されているのが分かると語ります。
「サステナビリティに対するタケダのアプローチは、『将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させる』という国連によるサステナビリティの定義と大きく一致しています」と、彼は述べています。「私たちの場合は、革新的な製品を患者さんにお届けしつつ、ともに働く仲間といのちを育む地球のために正しいことに取り組むことによって、実践しています。これが私たちの成功の中核にあるものです」
私たちが、環境に関する大きな目標に向かって邁進していること、そして世界を変えようとする歩みに取引先を巻き込んでいく上で、購買チームが重要な役割を果たしていることを、ラムセスは心から喜んでいます。さらに、科学的根拠に基づく目標に沿って、私たちが正しい方向に進んでいると感じています。
「まるで、ヨットのようです」と、ラムセスは言います。「ヨットは風に合わせて帆を調整していく必要があります。そうしなければ、目的地に到着できなくなります。科学的根拠に基づく目標を持つことは、いわばテクノロジーや科学を用いて目標に到達できるようにすることです」