ザンビア初の家庭医トレーニングプログラムを支援 | 武田薬品
ザンビア初の家庭医トレーニングプログラムを支援
「最初は参加者が2人しかおらず、この先どうなるのか分かりませんでした」
地域に根付いた医療を提供する家庭医に対して、高度専門的なトレーニングを行うザンビア初のプログラムが始まった当初、参加者の一人だった医師のムパンドゥ・マカサさんは、先が見通せなかったと振り返ります。このプログラムは、ザンビアの医療専門家不足を解消する取り組みの一環として、2019年に発足したものです。
人口2,000万人超のザンビアでは、マラリアや結核、HIVといった感染症が大きな負担となっています。さらに、循環器疾患やがん、糖尿病といった非感染症疾患が増え続けるなど、医療分野でさまざまな課題を抱えていると、マカサさんは話します1,2。
2018年の世界銀行のレポートによると、ザンビアの医師数は1,000人当たり0.2人であり、世界保健機関(WHO)が十分な医療態勢の指標として見積もっている1,000人当たり1人を大きく下回っています。
2018年5月、タケダの従業員は、グローバルCSRプログラムを通じて医療専門家不足の課題解決支援を投票で決定しました。そして、サハラ以南のアフリカで5,000人の医療専門家をトレーニングすることを目指すSeed Global Healthの5カ年プログラムを支援してきました。Seed Global Healthの共同創業者であり、CEOを務める医師のヴァネッサ・ケリーさんによると、このプログラムでは、医師、看護師、助産師が質の高い医療サービスを提供できるようにトレーニングを行っています。活動対象の国々の医療専門家の能力を継続的に拡大させることや将来の医療専門家の増加を目指しています。
「医療の問題の解決策は、現地の状況を踏まえて現地のリーダーが提案した場合の方が、より高い成果につながります。そのため私たちは、現地のリーダーシップの力を高めたいと考えています」と、ヴァネッサ・ケリーさんは述べています。「授業やトレーニングは、教室と医療現場の両方で実施することにしています」
このアプローチの成果はすでに表れつつあります。
「現在では31人の医師がトレーニングを受けています」と、マカサさんは言います。その誇らしそうな笑顔からは、この成果の大きさがよく分かります。「プログラムが発足して5年しかたっていないことを考えると、すばらしい数字です」
「現在では31人の医師がトレーニングを受けています。プログラムが発足して5年しかたっていないことを考えると、すばらしい数字です」
ムパンドゥ・マカサ医師
この家庭医プログラムは、ザンビア大学とのパートナーシップの一環としてSeed Global Healthが実施しているもので、パートナーシップによる顕著な成功例の一つになっています。また、その成功にはマカサさんが大きく貢献しています。マカサさんは2022年5月に、プログラムで初めての卒業生となり、ザンビア初の国内でトレーニングを受けた家庭医となりました。このコースを修了し、家庭医療の修士号を取得して以来、マカサさんはリーダー的役割を担い、医師のトレーニングや、ザンビアでの家庭医療の啓蒙活動に取り組んでいます。
「私たちはこのプログラムへの協力を続けなければなりません」と、マカサさんは言います。「このプログラムを真に確立させるには、そしてザンビアの医療体制を意味のある形で変えていけるよう多くの人をトレーニングしていくには、やるべきことがまだたくさんあるからです」
トレーニングを受ける医師とインストラクター
タケダによる5年間の支援期間は終了しましたが、今年初め、私たちは投票を通じてSeed Global Healthとのパートナーシップをさらに5年間続けることを決定しました。この新しいパートナーシップにより、さらに6,000人の医療専門家がトレーニングを受けることになり、アフリカにいる7,600万人の健康に貢献するでしょう。
グローバルCSR & パートナーシップストラテジーの安藤 寿絵ヘッドは、この選択には240年以上前の創業当時からタケダの中心にある私たちの価値観が反映されていると考えています。「医療の課題に対処するには、長期的な視点を持ちつつイノベーションに注力する必要があります。Seed Global Healthとのパートナーシップを延長したことで、私たちの協力関係は10年にわたることになります。つまり、継続的な変化につながる確かな足場を固められるということです」
世界銀行による最新の推計(2021年)では、ザンビアの医師数は2018年より増加しているものの、1,000人当たり0.3人にとどまっています。やるべきことは多く残されていますが、マカサさんはこれまでの進歩に勇気づけられています。
「私たちは前向きです。ここまでの道のりは長いものでしたが、私たちはこの国のためにもっと多くのことができると確信しています」
- https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/africa/zambia.html
- Country Disease Outlook Zambia. WHO August 2023 https://www.afro.who.int/sites/default/files/2023-08/Zambia.pdf