「アロフィセル®注」(一般名:ダルバドストロセル)のアップデートについて
「アロフィセル®注」(一般名:ダルバドストロセル)のアップデートについて
当社は、このたび、欧州連合(EU)におけるクローン病に伴う複雑痔瘻の治療製品である「アロフィセル®注」(一般名:ダルバドストロセル、以下「アロフィセル」)の販売承認の自主的な取り下げに向け、欧州医薬品庁(EMA)と協議を行っていることをお知らせします。
アロフィセルは、非活動期または軽症の活動期の成人のクローン病患者さんにおいて、既存治療薬または生物学的製剤のいずれかの治療を実施したにもかかわらず効果不十分な複雑痔瘻の治療製品としてEUにおいて承認された同種異系幹細胞治療製品です1 。アロフィセルの投与には瘻孔の前処置が必要です。
アロフィセルのEUでの承認は第3相プラセボ対照二重盲検比較試験であるADMIRE-CDの結果に基づいています1。当該試験では母集団が小さく(n=212)、観察された効果が顕著ではなかった(主要評価項目である24週時点での複合寛解率のmodified ITT集団におけるプラセボとの差は15.8%)ことから、当社は、進行中であったアロフィセルの有効性を確認するためのADMIRE-CD Ⅱ試験の結果をEMAへ提出することに同意しました1-3。
2023年10月、当社は568名のクローン病に伴う複雑痔瘻の患者さんを対象に行った、第3相プラセボ対照二重盲検比較試験であるADMIRE-CDⅡ試験において主要評価項目である24週後の複合寛解率を達成しなかったことを発表しました3-5 。2024年2月に開催された欧州クローン病・大腸炎会議(ECCO)で発表した追加の結果では、いずれの副次評価項目においても統計学的な有意差は示されませんでした5。アロフィセルの安全性プロファイルは過去の試験と一貫性ある結果であり 、安全性に関する新たな懸念は認められませんでした2,4,5。
当社グローバル ポートフォリオ ディビジョンのプレジデントであるラモナ・セケイラ(Ramona Sequeira)は、「私たちのバリュー(価値観)と治療の難しい状態にある患者さんのニーズに基づき、EMA、医療従事者、疾患に関わる人々と協議し、総合的なデータと本治療製品の役割を見直しました。このような価値ある議論から、アロフィセルのデータ間での相反する結果にかかわらず、アロフィセルの臨床的有用性は、EUにおいて本治療製品を継続して使用する根拠として十分ではないことが示されました。私たちはこの結果が患者さんにとって困難なものであることを認識しており、関係者と密に連携してまいります」と述べています。
当社は、EUに加えアロフィセルがすでに承認されている国において、今回の結果について、患者さんの利益を第一に、規制当局と協議していきます。
当社は、患者さんや医療業界全体の利益のため、臨床研究(観察研究)結果を公表しており、これらの分析がクローン病に伴う複雑痔瘻治療の科学的な前進に貢献することを期待しています。
アロフィセルに関する医療従事者からの医療関連のご質問は、当社メディカル部門もしくはくすり相談室までご連絡ください。ご質問がある患者さんは、主治医にご相談ください。
アロフィセルについて
アロフィセル®(一般名:ダルバドストロセル)は健康成人の脂肪組織から抽出し、培養・増殖させた同種異系間葉系幹細胞(培養・増殖させた脂肪組織由来幹細胞 eASC)の懸濁液で、少なくとも1つの既存治療薬による治療を行っても効果が不十分な非活動期または軽症の活動期のクローン病成人患者さんにおける複雑痔瘻の治療製品です。
効能、効果(欧州)
アロフィセルは、少なくとも1つの既存治療薬または生物学製剤による治療を行っても効果が不十分な非活動期または軽症の活動期のクローン病成人患者さんにおける複雑痔瘻の治療製品として適応されています。アロフィセルの投与前には瘻孔の処置が必要です。
武田薬品の消化器系疾患領域における取り組み
武田薬品は、消化器系疾患(GI)を抱える患者さんの切実なニーズに応えることに取り組んでいます。GIや肝疾患は、日々の生活に支障をきたす疾患です。そのため効果的な治療選択肢をお届けすることに加え、患者さんのニーズへの理解が、患者さんの生活の質を改善する上で不可欠だと考えています。武田薬品は35年以上にわたり、炎症性腸疾患、好酸球性食道炎、酸関連疾患、短腸症候群、消化管運動障害について、消化器系疾患の患者さんの待つ治療の開発に貢献してきました。有効な治療法が確立されていない新たな疾患への治療法をお届けすべく、さらなる取り組みを進めています。研究者や患者団体をはじめとするパートナーとともに、武田薬品はGIにおける科学的研究と治療薬の発展に取り組んでまいります。
武田薬品について
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。
重要な注意事項
本注意事項において、「ステートメント」とは、本ステートメントに関して武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)によって説明又は配布された本書類並びに一切の口頭のプレゼンテーション、質疑応答及び書面又は口頭の資料を意味します。本ステートメント(それに関する口頭の説明及び質疑応答を含みます)は、いかなる法域においても、いかなる有価証券の購入、取得、申込み、交換、売却その他の処分の提案、案内若しくは勧誘又はいかなる投票若しくは承認の勧誘のいずれの一部を構成、表明又は形成するものではなく、またこれを行うことを意図しておりません。本ステートメントにより株式又は有価証券の募集を公に行うものではありません。米国 1933 年証券法の登録又は登録免除の要件に基づいて行うものを除き、米国において有価証券の募集は行われません。本ステートメントは、(投資、取得、処分その他の取引の検討のためではなく)情報提供のみを目的として受領者により使用されるという条件の下で(受領者に対して提供される追加情報と共に)提供されております。当該制限を遵守しなかった場合には、適用のある証券法違反となる可能性があります。 武田薬品が直接的に、又は間接的に投資している会社は別々の会社になります。本ステートメントにおいて、「武田薬品」という用語は、武田薬品及びその子会社全般を参照するものとして便宜上使われていることがあり得ます。同様に、「当社(we、us及びour)」という用語は、子会社全般又はそこで勤務する者を参照していることもあり得ます。これらの用語は、特定の会社を明らかにすることが有益な目的を与えない場合に用いられることもあり得ます。 本ステートメントに記載されている製品名は、武田薬品又は各所有者の商標又は登録商標です。
将来に関する見通し情報
本ステートメント及び本ステートメントに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標及び計画を含む武田薬品の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「確実にする(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」、「かもしれない(could)」、「予想される(anticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」、「予測する(forecasts)」、「見通し(outlook)」などの用語若しくは同様の表現又はそれらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではありません。これら将来見通し情報は、多くの重要な要因に関する前提に基づいており、実際の結果は、将来見通し情報において明示又は暗示された将来の結果とは大きく異なる可能性があります。その重要な要因には、日本及び米国の一般的な経済条件を含む武田薬品のグローバルな事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、関連法規の変更、臨床的成功及び規制当局による判断とその時期の不確実性を含む新製品開発に内在する困難、新製品及び既存製品の商業的成功の不確実性、製造における困難又は遅延、金利及び為替の変動、市場で販売された製品又は候補製品の安全性又は有効性に関するクレーム又は懸念、新規コロナウイルス・パンデミックのような健康危機、温室効果ガス排出量の削減又はその他環境目標の達成を可能にする武田薬品の環境・サステナビリティに対する取り組みの成功、人工知能(AI)を含むデジタル技術の統合をはじめとする、業務効率化、生産性向上又はコスト削減に向けた武田薬品の取り組みや、その他の事業再編に向けた取り組みが、期待されるベネフィットに寄与する程度、武田薬品のウェブサイト(https://www.takeda.com/jp/investors/sec-filings/)又はwww.sec.govにおいて閲覧可能な米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書並びに武田薬品の他の報告書において特定されたその他の要因が含まれます。武田薬品は、法律や証券取引所の規則により要請される場合を除き、本ステートメントに含まれる、又は武田薬品が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本ステートメントにおける武田薬品の経営結果及び情報は武田薬品の将来の経営結果を示すものではなく、また、その予測、予想、保証又は見積もりではありません。
医療情報
本ステートメントには、製品に関する情報が含まれておりますが、それらの製品は、すべての国で発売されているものではなく、また国によって異なる商標、効能、用量等で販売されている場合もあります。ここに記載されている情報は、開発品を含むいかなる医療用医薬品を勧誘、宣伝又は広告するものではありません。
References
- Alofisel. Summary of Product Characteristics. Takeda; September 2023. Accessed October 18, 2024. https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/alofisel-epar-product-information_en.pdf
- Panés J, García-Olmo D, Van Assche G, et al. Long-term efficacy and safety of stem cell therapy (Cx601) for complex perianal fistulas in patients with Crohn's disease. Gastroenterology. 2018;154(5):1334-1342.e4. doi: 10.1053/j.gastro.2017.12.020.
- National Library of Medicine. Study to Assess Efficacy and Safety of Cx601, Adult Allogeneic Expanded Adipose-derived Stem Cells (eASC) for the Treatment of Complex Perianal Fistula(s) in Participants with Crohn's Disease (CD) (ADMIRE-CD-II). ClinicalTrials.gov website. Accessed October 22, 2024. https://www.clinicaltrials.gov/study/NCT03279081
- Takeda Pharmaceutical Company Ltd. Takeda Announces Topline Results of Phase 3 ADMIRE-CD II Trial of Alofisel® (darvadstrocel) in Complex Crohn’s Perianal Fistulas. Takeda Pharmaceuticals Website. Accessed October 22, 2024. https://www.takeda.com/newsroom/newsreleases/2023/takeda-announces-topline-results-of-phase-3-admire-cd-ii-trial-of-alofisel-darvadstrocel-in-complex-crohns-perianal-fistulas/
- Serclova Z, García-Olmo D, Chen ST, et al. OP18 Efficacy and safety of darvadstrocel treatment in patients with complex perianal fistulas and Crohn’s disease: results from the global ADMIRE-CD II phase 3 study. J Crohns Colitis. 2024;18(1):i34-i35. doi:10.1093/ecco-jcc/jjad212.0018.