一次性免疫性血小板減少症を対象としたベスト・イン・クラス候補の抗CD38モノクローナル抗体mezagitamab(TAK-079)の臨床第2相試験で得られた良好なトップライン結果について
一次性免疫性血小板減少症を対象としたベスト・イン・クラス候補の抗CD38モノクローナル抗体mezagitamab(TAK-079)の臨床第2相試験で得られた良好なトップライン結果について
治験実施計画書で規定した中間解析で安全性および有効性に関する良好な結果が示される。mezagitamabの安全性および忍容性は概ね良好
一次性免疫性血小板減少症の患者さんを対象とした国際共同臨床第3相試験は2024年度に開始予定
後期開発パイプラインはさらに充実し、2024年度には新たに5つの候補物質が臨床第3相試験を開始予定
当社は、2024年3月13日(米国時間)、持続性もしくは慢性の一次性免疫性血小板減少症(特発性血小板減少性紫斑病;ITP)の患者さんを対象とした mezagitamab(TAK-079)の安全性、忍容性および有効性を評価する臨床第2相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験の良好なトップライン結果が得られましたのでお知らせいたします。mezagitamabは、CD38発現細胞(形質芽細胞、形質細胞、ナチュラルキラー細胞を含む)に高い親和性を有する完全ヒト免疫グロブリンIgG1モノクローナル抗体(mAb)であり、CD38発現細胞を減少させます。
TAK-079-1004試験(NCT04278924)は臨床第2相試験であり、慢性(発症後1年以上)もしくは持続性(発症後3~12カ月) の一次性ITPの患者さんに対し、mezagitamabの3つの用量を週1回、8週間にわたり皮下投与し、プラセボと比較しました。現在も継続中の臨床第2相試験の中間解析では、安全性および有効性で良好な結果が示されました。mezagitamabの安全性および忍容性は、3つの用量すべてにおいて概ね良好でした。mezagitamabで検討したすべての用量において血小板反応が認められた人数の割合はプラセボよりも高い結果となりました。血小板数の増加は用量依存的であり、検討した最高用量で最大の血小板反応が認められました。mezagitamabの投与を受けた患者さんは、本剤投与後、速やかに血小板反応が認められ、投与期間終了後も持続しました。
これらの良好な結果を踏まえ、世界各地の医薬品規制当局と協議した後に、当社はITPを対象としたmezagitamab の国際共同臨床第3相試験を2024年度に開始する予定です。mezagitamabがITPを対象とした臨床第3相試験を開始した場合、当社が2024年度に臨床第3相試験を開始する候補物質は、乾癬および乾癬性関節炎の治療薬のTAK-279、ナルコレプシータイプ1の治療薬のTAK-861、レノックス・ガストー症候群およびドラベ症候群の治療薬のsoticlestat、α1アンチトリプシン欠乏症による肝疾患の治療薬のfazirsiranとあわせて5つとなります。
ITPは、IgGが介在する希少な自己免疫疾患で、出血防止や止血を担う血液細胞である血小板(および/または巨核球)に対する自己抗体の発現によって引き起こされる疾患です。ITPは、血小板の加速的な破壊(血小板産生障害の有無にかかわらず)を特徴とし、その結果、血小板数が減少し、出血のリスクが高まり、衰弱(疲労や生活の質(QOL)の低下など)をきたし、重症の患者さんでは生命が脅かされる場合もあります。ITPを適応とした新薬の承認を取得するには、持続的に血小板数を50,000/μL以上に維持する必要があります。ITP患者さんの約20%は、第一選択薬および第二選択薬による治療を受けても血小板数が50,000/μL以上に達しないため、患者さんへの負担が大きいことから、忍容性の高い治療薬に対するアンメットニーズが残っています1,2 。
当社の消化器系・炎症性領域ユニットヘッドのChinwe Ukomaduは、「今回得られた臨床第2相試験の結果は、mezagitamabが疾患を修飾する作用機序を有し、ITP患者さんに寛解をもたらす可能性を示しています。ITPの患者さんによっては、従来の治療薬が無効であったり、十分な効果が得られなかったりなど、大きなアンメットニーズが残っています。また、従来の治療薬で効果が得られても、副作用に苦しんだり、治療中に症状が再燃したりする患者さんもいます。今後、臨床第3相試験を開始し、臨床第2相試験のデータは医学学会で発表する予定です」と述べています。
mezagitamabによる治療は、速やかに且つ持続的な血小板反応を発現し、血小板数を正常な機能が得られるレベルまで速やかに回復させることが期待できます。mezagitamabは、米国食品医薬品局(FDA)よりオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定を取得し、本プログラムはファストトラック(優先審査)の対象とされています。
今回得られた臨床第2相試験の結果は、2024年3月期(2023年度)通期の連結業績予想に影響を及ぼすものではありません。
武田薬品について
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。
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医療情報
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参考文献
Provan D, Donald A, et al. Blood Advances. 2019;26;3(22):3780-3817.
Rodeghiero F. International Journal of Hematology. 2023;117:316–33.