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ドラベ症候群およびレノックス・ガストー症候群の患者さんを対象としたソチクレスタット(soticlestat, TAK-935) の臨床第3相試験のトップライン結果について

ドラベ症候群およびレノックス・ガストー症候群の患者さんを対象としたソチクレスタット(soticlestat, TAK-935) の臨床第3相試験のトップライン結果について


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June 17, 2024
  • ドラベ症候群を対象としたSKYLINE試験では、主要評価項目であるけいれん発作頻度の減少はわずかに達成できなかったが、複数の重要な有効性副次評価項目で臨床的に意義があり、名目上有意な効果を示した
  • レノックス・ガストー症候群を対象としたSKYWAY試験では、主要評価項目である major motor drop発作の減少は達成できなかった
  • ソチクレスタットは、両試験において一貫した良好な安全性および忍容性プロファイルを示した
  • データ全体について規制当局と協議する予定

当社は、このたび、SKYLINE試験およびSKYWAY試験のトップラインデータを発表しましたのでお知らせします。SKYLINE(TAK-935-3001)試験は、難治性のドラベ症候群(DS)患者さんを対象としてソチクレスタット(TAK-935)+標準治療とプラセボ+標準治療を比較評価した第3相多施設共同、無作為化、二重盲検試験です。ソチクレスタットは、プラセボと比較して、けいれん発作の発現頻度のベースラインからの減少という主要評価項目をわずかに達成しませんでした(p値=0.06)1。6つの重要な副次評価項目のうち、ソチクレスタットは、16週間の投与期間にわたり、レスポンダーの割合、介護者および医師による全般的印象尺度-改善の指標、並びに発作強度および持続時間のスケールにおいて、臨床的に意義があり、名目上有意な結果を示しました(すべてp値≤0.008)。

SKYWAY(TAK-935-3002)試験は、難治性のレノックス・ガストー症候群(LGS)の患者さんを対象としてソチクレスタット+標準治療とプラセボ+標準治療を比較評価した第3相多施設共同、無作為化、二重盲検試験です2。ソチクレスタットは、プラセボと比較して、 major motor drop (MMD)発作の発現頻度のベースラインからの減少という新たな主要評価項目を達成しませんでした。

SKYLINE試験およびSKYWAY試験では、事前に特定したサブグループの患者さんにおいて、ソチクレスタットは16週間の投与期間にわたり、主要評価項目および副次評価項目である介護者および医師の全般的印象尺度-改善、並びに発作強度および持続時間スケールで臨床的に意義があり、名目上有意な治療効果が示されました。更なる分析を実施しています。

SKYLINE試験およびSKYWAY試験のいずれにおいても、ソチクレスタットの忍容性は概ね良好であり、過去の試験の所見と一致する安全性プロファイルが示されました。

当社のNeuroscience Therapeutic Area UnitのHeadでありGlobal DevelopmentのHeadであるSarah Sheikh, M. Sc., B.M., B.Ch., MRCPは、「このような重要な試験に参加いただいた患者さんとそのご家族、治験責任医師、臨床スタッフの皆様に感謝申し上げます。現在利用可能な治療法があっても、DSおよびLGSのような発達性てんかん性脳症の多くの患者さんには、発作の負担や治療の忍容性など、様々な側面において依然として持続的なアンメットニーズがあることがわかっています。主要評価項目において、より明確な結果が得られたら良かったのですが、全体的な試験データから得られた良好な結果に勇気付けられています。規制当局と協力して今後の最善策を決定したいと思います」と述べています。

第2相試験のELEKTRA試験では、ソチクレスタットはDSとLGSを統合した試験集団の全治療期間においてプラセボと比較してけいれん発作頻度のベースラインからの統計学的に有意な減少を示しました(p値=0.002)3。DSコホートにおいても、プラセボと比較して、けいれん発作頻度のベースラインから統計学的に有意に減少しました(p値=0.0007)3。SKYLINE試験と第2相ELEKTRA試験のDSコホートの統合解析では、ソチクレスタットはプラセボと比較して、けいれん発作頻度のベースラインから減少させました(p値=0.001)。

今後の方針を決定するため、これらの試験で得られたデータ全体について規制当局と協議をする予定です。また、当社は両第3相試験の結果を今後の学会で発表する予定です。

当社は、無形資産の減損損失を含め、本試験結果に伴う2024年度第1四半期における業績影響について引き続き精査し、必要に応じて適切な時期にお知らせします。

ソチクレスタット(TAK-935)について

ソチクレスタット(TAK-935)は、ファースト・イン・クラスで開発中の、強力で選択的なコレステロール24ヒドロキシラーゼ(CH24H)阻害剤です。コレステロール24ヒドロキシラーゼ(CH24H)は主に脳で発現し、コレステロールを24-Sヒドロキシコレステロール(24HC)に異化する酵素であり、ソチクレスタットはCH24Hを阻害することで結果的にグルタミン酸作動性神経の過剰興奮を抑制します4,5

ドラベ症候群とレノックス・ガストー症候群について

ドラベ症候群とレノックス・ガストー症候群は、まれなてんかん症候群のグループである発達性てんかん性脳症(DEE)の一種で、典型的な場合、乳児期または幼児期に発症し、多くの抗てんかん発作薬に高い治療抵抗性を示す難治性の疾患です6,7。ドラベ症候群とレノックス・ガストー症候群の患者さんは注意力、コミュニケーションおよび行動の問題などてんかん発作以外に広く認められている症状にも悩まされています7,8

ドラベ症候群はSCN1A遺伝子の遺伝子変異が原因で起こることが最も多く、米国では15,000人から21,000人に1人の割合で発症します7,9。ドラベ症候群は、けいれん性強直間代発作に進展しうる遷延性焦点発作を特徴とします7。ドラベ症候群を有する小児患者さんは、発作が増加するにつれて発達面の障害を発症します7。そのほかによくみられる症状には、食欲の変化、バランス感覚の悪化、かがみ歩行などがあります7

レノックス・ガストー症候群は、米国では1,000人に1人より少ない確率で罹患すると推定されています10。レノックス・ガストー症候群は不均一な病態であり、いくつかの異なる発作型、最も一般的には脱力(転倒)、強直性および非定型欠神発作を特徴とします6。レノックス・ガストー症候群を有する小児患者さんでは、認知機能障害、発達のマイルストン達成の遅れや行動上の問題が引き起こされることもあります6,8。レノックス・ガストー症候群は、さまざまな基礎疾患によって引き起こされることがありますが、原因を特定できないこともあります8

SKYLINE試験について

第3相SKYLINE試験は、ドラベ症候群の小児および若年成人患者さんを対象に併用療法としてのソチクレスタットの有効性、安全性および忍容性を評価する国際多施設共同、1:1無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間試験です。主要評価項目は、全投与期間におけるプラセボと比較したソチクレスタット投与被験者の28日間あたりのけいれん発作頻度のベースラインからの変化率としました。主な副次評価項目は、治療反応、Care-GI-I(Caregiver Global Impression of Improvement)、CGI-I、CGI-I非発作症状、QI-Disability、CGI-I発作の強度および持続時間に対する効果の評価などでした1

2–21歳の被験者計144例を本試験に登録しました。ドラベ症候群の診断は、Epilepsy Study Consortiumが独立して判定しました。治験薬投与期間は、漸増期間4週間、維持期間12週間の計16週間でした。患者さんをソチクレスタットまたは対応するプラセボを1日2回(BID)投与する群に1:1の割合で無作為に割り付け、服薬中の抗てんかん発作薬に併用して、経口または経管栄養チューブで投与しました。ソチクレスタットを100 mg BIDまたは体重換算用量で7日間投与することから開始し、忍容性に基づき300 mg BID又は体重換算用量まで1週間の間隔をあけて漸増しました。本試験の完了後、同意した被験者は実施中の非盲検継続試験(ENDYMION 2)に参加することができました1,11,12

SKYWAY試験について

第3相SKYWAY試験は、レノックス・ガストー症候群の小児および成人患者さんを対象に併用療法としてのソチクレスタットの有効性、安全性および忍容性を評価する国際多施設共同、1:1無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間試験です。主要評価項目は、投与期間全体におけるプラセボと比較した28日間あたりのmajor motor drop (MMD)発作頻度のベースラインからの変化率としました。主な副次評価項目は、治療反応、Care-GI-I、CGI-I、CGI-I非発作症状、QI-Disability、CGI-I発作の強度および持続時間に対する効果の評価でした2

2–55歳の被験者計270例を本試験に登録しました。レノックス・ガストー症候群の診断は、Epilepsy Study Consortiumが独立して判定しました。治験薬投与期間は、漸増期間4週間、維持期間12週間の計16週間でした。患者さんを、ソチクレスタットまたは対応するプラセボを1日2回(BID)投与する群に1:1の割合で無作為に割り付け、服用中の抗てんかん発作薬に併用して、経口または経管栄養チューブで投与しました。ソチクレスタットを100 mg BIDまたは体重換算用量で7日間投与することから開始し、忍容性に基づき300 mg BID又は体重換算用量まで1週間の間隔をあけて漸増しました。本試験の完了後、同意した被験者は非盲検継続投与試験(ENDYMION 2)に参加することができました2,11,12

武田薬品について

武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

重要な注意事項

本注意事項において、「ニュースリリース」とは、本ニュースリリースに関して武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)によって説明又は配布された本書類並びに一切の口頭のプレゼンテーション、質疑応答及び書面又は口頭の資料を意味します。本ニュースリリース(それに関する口頭の説明及び質疑応答を含みます)は、いかなる法域においても、いかなる有価証券の購入、取得、申込み、交換、売却その他の処分の提案、案内若しくは勧誘又はいかなる投票若しくは承認の勧誘のいずれの一部を構成、表明又は形成するものではなく、またこれを行うことを意図しておりません。本ニュースリリースにより株式又は有価証券の募集を公に行うものではありません。米国 1933 年証券法の登録又は登録免除の要件に基づいて行うものを除き、米国において有価証券の募集は行われません。本ニュースリリースは、(投資、取得、処分その他の取引の検討のためではなく)情報提供のみを目的として受領者により使用されるという条件の下で(受領者に対して提供される追加情報と共に)提供されております。当該制限を遵守しなかった場合には、適用のある証券法違反となる可能性があります。

武田薬品が直接的に、又は間接的に投資している会社は別々の会社になります。本ニュースリリースにおいて、「武田薬品」という用語は、武田薬品及びその子会社全般を参照するものとして便宜上使われていることがあり得ます。同様に、「当社(we、us及びour)」という用語は、子会社全般又はそこで勤務する者を参照していることもあり得ます。これらの用語は、特定の会社を明らかにすることが有益な目的を与えない場合に用いられることもあり得ます。

将来に関する見通し情報

本ニュースリリース及び本ニュースリリースに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標及び計画を含む武田薬品の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「確実にする(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」、「かもしれない(could)」、「予想される(anticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」、「予測する(forecasts)」、「見通し(outlook)」などの用語若しくは同様の表現又はそれらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではありません。これら将来見通し情報は、多くの重要な要因に関する前提に基づいており、実際の結果は、将来見通し情報において明示又は暗示された将来の結果とは大きく異なる可能性があります。その重要な要因には、日本及び米国の一般的な経済条件を含む武田薬品のグローバルな事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、関連法規の変更、臨床的成功及び規制当局による判断とその時期の不確実性を含む新製品開発に内在する困難、新製品及び既存製品の商業的成功の不確実性、製造における困難又は遅延、金利及び為替の変動、市場で販売された製品又は候補製品の安全性又は有効性に関するクレーム又は懸念、新規コロナウイルス・パンデミックのような健康危機、温室効果ガス排出量の削減又はその他環境目標の達成を可能にする武田薬品の環境・サステナビリティに対する取り組みの成功、人工知能(AI)を含むデジタル技術の統合をはじめとする、業務効率化、生産性向上又はコスト削減に向けた武田薬品の取り組みや、その他の事業再編に向けた取り組みが、期待されるベネフィットに寄与する程度、武田薬品のウェブサイト(https://www.takeda.com/jp/investors/sec-filings/)又はwww.sec.govGo to www.sec.govにおいて閲覧可能な米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書並びに武田薬品の他の報告書において特定されたその他の要因が含まれます。武田薬品は、法律や証券取引所の規則により要請される場合を除き、本ニュースリリースに含まれる、又は武田薬品が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本ニュースリリースにおける武田薬品の経営結果及び情報は武田薬品の将来の経営結果を示すものではなく、また、その予測、予想、保証又は見積もりではありません。

References

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  2. A Study of Soticlestat as an Add-on Therapy in Children, Teenagers, and Adults With Lennox-Gastaut Syndrome. Published June 24, 2021. Last accessed June 14, 2024. https://clinicaltrials.gov/study/NCT04938427?term=TAK-935-3002&rank=1 Go to https://clinicaltrials.gov/study/NCT04938427?term=TAK-935-3002&rank=1
  3. Hahn CD, Jiang Y, Villanueva V, et al. A phase 2, randomized, double‐blind, placebo‐controlled study to evaluate the efficacy and safety of SOTICLESTAT as adjunctive therapy in pediatric patients with Dravet Syndrome or Lennox–Gastaut syndrome (elektra). Epilepsia. 2022;63(10):2671-2683. doi:10.1111/epi.17367
  4. Nishi T, Kondo S, Miyamoto M, et al. Soticlestat, a novel cholesterol 24-hydroxylase inhibitor shows a therapeutic potential for neural hyperexcitation in mice. Scientific Reports. 2020;10(1). doi:10.1038/s41598-020-74036-6
  5. Lund EG, Xie C, Kotti T, Turley SD, Dietschy JM, Russell DW. Knockout of the cholesterol 24-hydroxylase gene in mice reveals a brain-specific mechanism of cholesterol turnover. Journal of Biological Chemistry. 2003;278(25):22980-22988. doi:10.1074/jbc.m303415200
  6. Arzimanoglou A, French J, Blume WT, et al. Lennox-Gastaut syndrome: a consensus approach on diagnosis, assessment, management, and trial methodology. The Lancet Neurology. 2009;8(1):82-93. doi:10.1016/s1474-4422(08)70292-8
  7. Anwar A, Saleem S, Patel UK, Arumaithurai K, Malik P. Dravet Syndrome: An Overview. Cureus. 2019;11(6). doi:10.7759/cureus.5006
  8. Jahngir MU, Ahmad MQ, Jahangir M. Lennox-Gastaut Syndrome: In a Nutshell. Cureus. 2018;10(8). doi:10.7759/cureus.3134
  9. Wu YW, Sullivan J, McDaniel SS, et al. Incidence of Dravet Syndrome in a US Population. Pediatrics. 2015;136(5):e1310-e1315. doi:10.1542/peds.2015-1807
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  11. A Study of Soticlestat in Adults and Children With Rare Epilepsies (Endymion 1). Published August 18, 2017. Last accessed June 14, 2024. https://clinicaltrials.gov/study/NCT03635073Go to https://clinicaltrials.gov/study/NCT03635073
  12. Ovid Therapeutics Announces Positive Initial Data from Ongoing ENDYMION Open-Label Extension Trial. Published September 23, 2019. Accessed June 14, 2024. https://investors.ovidrx.com/news/news-details/2019/Ovid-Therapeutics-Announces-Positive-Initial-Data-from-Ongoing-ENDYMION-Open-Label-Extension-Trial-of-Soticlestat-in-People-with-Rare-Epilepsies-09-23-2019/default.aspxGo to https://investors.ovidrx.com/news/news-details/2019/Ovid-Therapeutics-Announces-Positive-Initial-Data-from-Ongoing-ENDYMION-Open-Label-Extension-Trial-of-Soticlestat-in-People-with-Rare-Epilepsies-09-23-2019/default.aspx