ドラベ症候群およびレノックス・ガストー症候群の患者さんを対象としたソチクレスタット(soticlestat, TAK-935) の臨床第3相試験のトップライン結果について
ドラベ症候群およびレノックス・ガストー症候群の患者さんを対象としたソチクレスタット(soticlestat, TAK-935) の臨床第3相試験のトップライン結果について
- ドラベ症候群を対象としたSKYLINE試験では、主要評価項目であるけいれん発作頻度の減少はわずかに達成できなかったが、複数の重要な有効性副次評価項目で臨床的に意義があり、名目上有意な効果を示した
- レノックス・ガストー症候群を対象としたSKYWAY試験では、主要評価項目である major motor drop発作の減少は達成できなかった
- ソチクレスタットは、両試験において一貫した良好な安全性および忍容性プロファイルを示した
- データ全体について規制当局と協議する予定
当社は、このたび、SKYLINE試験およびSKYWAY試験のトップラインデータを発表しましたのでお知らせします。SKYLINE(TAK-935-3001)試験は、難治性のドラベ症候群(DS)患者さんを対象としてソチクレスタット(TAK-935)+標準治療とプラセボ+標準治療を比較評価した第3相多施設共同、無作為化、二重盲検試験です。ソチクレスタットは、プラセボと比較して、けいれん発作の発現頻度のベースラインからの減少という主要評価項目をわずかに達成しませんでした(p値=0.06)1。6つの重要な副次評価項目のうち、ソチクレスタットは、16週間の投与期間にわたり、レスポンダーの割合、介護者および医師による全般的印象尺度-改善の指標、並びに発作強度および持続時間のスケールにおいて、臨床的に意義があり、名目上有意な結果を示しました(すべてp値≤0.008)。
SKYWAY(TAK-935-3002)試験は、難治性のレノックス・ガストー症候群(LGS)の患者さんを対象としてソチクレスタット+標準治療とプラセボ+標準治療を比較評価した第3相多施設共同、無作為化、二重盲検試験です2。ソチクレスタットは、プラセボと比較して、 major motor drop (MMD)発作の発現頻度のベースラインからの減少という新たな主要評価項目を達成しませんでした。
SKYLINE試験およびSKYWAY試験では、事前に特定したサブグループの患者さんにおいて、ソチクレスタットは16週間の投与期間にわたり、主要評価項目および副次評価項目である介護者および医師の全般的印象尺度-改善、並びに発作強度および持続時間スケールで臨床的に意義があり、名目上有意な治療効果が示されました。更なる分析を実施しています。
SKYLINE試験およびSKYWAY試験のいずれにおいても、ソチクレスタットの忍容性は概ね良好であり、過去の試験の所見と一致する安全性プロファイルが示されました。
当社のNeuroscience Therapeutic Area UnitのHeadでありGlobal DevelopmentのHeadであるSarah Sheikh, M. Sc., B.M., B.Ch., MRCPは、「このような重要な試験に参加いただいた患者さんとそのご家族、治験責任医師、臨床スタッフの皆様に感謝申し上げます。現在利用可能な治療法があっても、DSおよびLGSのような発達性てんかん性脳症の多くの患者さんには、発作の負担や治療の忍容性など、様々な側面において依然として持続的なアンメットニーズがあることがわかっています。主要評価項目において、より明確な結果が得られたら良かったのですが、全体的な試験データから得られた良好な結果に勇気付けられています。規制当局と協力して今後の最善策を決定したいと思います」と述べています。
第2相試験のELEKTRA試験では、ソチクレスタットはDSとLGSを統合した試験集団の全治療期間においてプラセボと比較してけいれん発作頻度のベースラインからの統計学的に有意な減少を示しました(p値=0.002)3。DSコホートにおいても、プラセボと比較して、けいれん発作頻度のベースラインから統計学的に有意に減少しました(p値=0.0007)3。SKYLINE試験と第2相ELEKTRA試験のDSコホートの統合解析では、ソチクレスタットはプラセボと比較して、けいれん発作頻度のベースラインから減少させました(p値=0.001)。
今後の方針を決定するため、これらの試験で得られたデータ全体について規制当局と協議をする予定です。また、当社は両第3相試験の結果を今後の学会で発表する予定です。
当社は、無形資産の減損損失を含め、本試験結果に伴う2024年度第1四半期における業績影響について引き続き精査し、必要に応じて適切な時期にお知らせします。
ソチクレスタット(TAK-935)について
ソチクレスタット(TAK-935)は、ファースト・イン・クラスで開発中の、強力で選択的なコレステロール24ヒドロキシラーゼ(CH24H)阻害剤です。コレステロール24ヒドロキシラーゼ(CH24H)は主に脳で発現し、コレステロールを24-Sヒドロキシコレステロール(24HC)に異化する酵素であり、ソチクレスタットはCH24Hを阻害することで結果的にグルタミン酸作動性神経の過剰興奮を抑制します4,5。
ドラベ症候群とレノックス・ガストー症候群について
ドラベ症候群とレノックス・ガストー症候群は、まれなてんかん症候群のグループである発達性てんかん性脳症(DEE)の一種で、典型的な場合、乳児期または幼児期に発症し、多くの抗てんかん発作薬に高い治療抵抗性を示す難治性の疾患です6,7。ドラベ症候群とレノックス・ガストー症候群の患者さんは注意力、コミュニケーションおよび行動の問題などてんかん発作以外に広く認められている症状にも悩まされています7,8。
ドラベ症候群はSCN1A遺伝子の遺伝子変異が原因で起こることが最も多く、米国では15,000人から21,000人に1人の割合で発症します7,9。ドラベ症候群は、けいれん性強直間代発作に進展しうる遷延性焦点発作を特徴とします7。ドラベ症候群を有する小児患者さんは、発作が増加するにつれて発達面の障害を発症します7。そのほかによくみられる症状には、食欲の変化、バランス感覚の悪化、かがみ歩行などがあります7。
レノックス・ガストー症候群は、米国では1,000人に1人より少ない確率で罹患すると推定されています10。レノックス・ガストー症候群は不均一な病態であり、いくつかの異なる発作型、最も一般的には脱力(転倒)、強直性および非定型欠神発作を特徴とします6。レノックス・ガストー症候群を有する小児患者さんでは、認知機能障害、発達のマイルストン達成の遅れや行動上の問題が引き起こされることもあります6,8。レノックス・ガストー症候群は、さまざまな基礎疾患によって引き起こされることがありますが、原因を特定できないこともあります8。
SKYLINE試験について
第3相SKYLINE試験は、ドラベ症候群の小児および若年成人患者さんを対象に併用療法としてのソチクレスタットの有効性、安全性および忍容性を評価する国際多施設共同、1:1無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間試験です。主要評価項目は、全投与期間におけるプラセボと比較したソチクレスタット投与被験者の28日間あたりのけいれん発作頻度のベースラインからの変化率としました。主な副次評価項目は、治療反応、Care-GI-I(Caregiver Global Impression of Improvement)、CGI-I、CGI-I非発作症状、QI-Disability、CGI-I発作の強度および持続時間に対する効果の評価などでした1。
2–21歳の被験者計144例を本試験に登録しました。ドラベ症候群の診断は、Epilepsy Study Consortiumが独立して判定しました。治験薬投与期間は、漸増期間4週間、維持期間12週間の計16週間でした。患者さんをソチクレスタットまたは対応するプラセボを1日2回(BID)投与する群に1:1の割合で無作為に割り付け、服薬中の抗てんかん発作薬に併用して、経口または経管栄養チューブで投与しました。ソチクレスタットを100 mg BIDまたは体重換算用量で7日間投与することから開始し、忍容性に基づき300 mg BID又は体重換算用量まで1週間の間隔をあけて漸増しました。本試験の完了後、同意した被験者は実施中の非盲検継続試験(ENDYMION 2)に参加することができました1,11,12 。
SKYWAY試験について
第3相SKYWAY試験は、レノックス・ガストー症候群の小児および成人患者さんを対象に併用療法としてのソチクレスタットの有効性、安全性および忍容性を評価する国際多施設共同、1:1無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間試験です。主要評価項目は、投与期間全体におけるプラセボと比較した28日間あたりのmajor motor drop (MMD)発作頻度のベースラインからの変化率としました。主な副次評価項目は、治療反応、Care-GI-I、CGI-I、CGI-I非発作症状、QI-Disability、CGI-I発作の強度および持続時間に対する効果の評価でした2 。
2–55歳の被験者計270例を本試験に登録しました。レノックス・ガストー症候群の診断は、Epilepsy Study Consortiumが独立して判定しました。治験薬投与期間は、漸増期間4週間、維持期間12週間の計16週間でした。患者さんを、ソチクレスタットまたは対応するプラセボを1日2回(BID)投与する群に1:1の割合で無作為に割り付け、服用中の抗てんかん発作薬に併用して、経口または経管栄養チューブで投与しました。ソチクレスタットを100 mg BIDまたは体重換算用量で7日間投与することから開始し、忍容性に基づき300 mg BID又は体重換算用量まで1週間の間隔をあけて漸増しました。本試験の完了後、同意した被験者は非盲検継続投与試験(ENDYMION 2)に参加することができました2,11,12 。
武田薬品について
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。
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将来に関する見通し情報
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References
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- Ovid Therapeutics Announces Positive Initial Data from Ongoing ENDYMION Open-Label Extension Trial. Published September 23, 2019. Accessed June 14, 2024. https://investors.ovidrx.com/news/news-details/2019/Ovid-Therapeutics-Announces-Positive-Initial-Data-from-Ongoing-ENDYMION-Open-Label-Extension-Trial-of-Soticlestat-in-People-with-Rare-Epilepsies-09-23-2019/default.aspx