遺伝子組換えADAMTS13(rADAMTS13)がcTTP治療薬としてCHMPの肯定的見解を受領

先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)に対する遺伝子組換えADAMTS13(rADAMTS13)のCHMPによる肯定的見解の受領について


Calendar
2024年6月3日
  • cTTPは、治療選択肢が限られている超希少な死に至る可能性がある血液凝固障害であり、未治療のまま経過すると急性TTPイベントの死亡率は90%を超える1, 2

  • EUで承認された場合、rADAMTS13はcTTPに対して遺伝子組換えADAMTS13を補充する初めてかつ唯一の治療剤となる

  • cTTPを対象とした最初の無作為化、比較対照、非盲検、クロスオーバー臨床第3相試験の結果を含む、包括的なエビデンスに基づく肯定的見解

当社は、2024年5月31日(米国時間)、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)が、cTTPの小児および成人患者さんのADAMTS13欠乏症の治療薬として、遺伝子組換えADAMTS13(rADAMTS13)の承認を例外的な状況下において推奨しましたのでお知らせします。欧州委員会(EC)は、EU全体でのrADAMTS13の製造販売承認を判断する際に、CHMPの肯定的見解を考慮します。承認された場合、rADAMTS13はcTTP治療薬として、EUにおいて最初で唯一の酵素補充療法薬となります3

当社のヴァイス プレジデントであり、フランチャイズ グローバル プログラム リーダーであるObi Umeh, M.D., M.Sc.は、「cTTPの患者さんは深刻で死に至る可能性のある健康面の課題を抱えており、欧州連合では治療選択肢が限られています。遺伝子組換えADAMTS13に対する今回の肯定的見解により、当社はcTTPに特異的に適用される最初の治療薬をEUの患者さんにお届けできる可能性に一歩近づきました。当社は世界中のより多くの患者さんのためにcTTPに対する標準治療に革新をもたらすことを目指しており、欧州委員会の決定を楽しみにしています」と述べています。

cTTPは、ADAMTS13酵素の欠乏によって生じる超希少かつ慢性の血液凝固障害です1。血小板減少症、微小血管症性溶血性貧血、腎症状、脳卒中、腹痛を含む急性症状、消耗性の慢性症状を伴います1,2,4。未治療のまま経過すると急性 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)イベントの死亡率は90%を超えます1,2

このたびの欧州委員会の肯定的見解は、cTTPを対象とした初の無作為化、比較対照、非盲検、クロスオーバー第3相試験から得られた有効性、薬物動態、安全性および忍容性データの中間解析を含む包括的エビデンスによって支持されました。本試験(NCT03393975Go to https://clinicaltrials.gov/study/NCT03393975)のデータは、2024年5月にThe New England Journal of Medicine誌に掲載Go to https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2314793されました。rADAMTS13は現在進行中の第2b相試験(NCT05714969Go to https://clinicaltrials.gov/study/NCT05714969?cond=iTTP&rank=4)で、後天性TTPである免疫介在性血栓性血小板減少性紫斑病(iTTP)の成人患者さんも対象として研究されています。

遺伝子組換えADAMTS13(rADAMTS13)について

rADAMTS13は、cTTPの治療薬として開発された最初で唯一の遺伝子組換えADAMTS13(A disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin motifs 13)酵素補充療法薬です。rADAMTS13は、米国および日本で ADZYNMA /アジンマ®として販売されています。rADAMTS13は、cTTPの患者さんの定期的投与および急性増悪時投与の治療薬として米国食品医薬品局(FDA)および日本の厚生労働省(MHLW)から承認されています。

rADAMTS13は米国FDAにより後天性、特発性および続発性を含むTTPの治療と予防に対して、希少疾病用医薬品指定(ODD)ならびにファスト・トラック指定および希少小児疾患指定を受けています。また、FDAはrADAMTS13の承認に対して希少小児疾患優先審査権を付与しました。rADAMTS13はこれまでに欧州医薬品局(EMA)および厚生労働省よりTTPの治療薬としてODDも受けています。

先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)について

cTTPは致死的な急性症状や消耗性の慢性症状を伴う慢性血液凝固異常症で5,6、診断された有病率が100万人あたり2~6症例と推定されており、超希少疾患です。cTTPは先天性の血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)で、TTP患者さんの中で5%を占めます6,7,8。cTTPはフォン・ヴィレブランド因子(VWF)切断酵素であるADAMTS13の遺伝子異常によりADAMTS13活性が著減する疾患で、血液中に超高分子量VWF重合体が残存します5。超高分子量VWF重合体が存在すると、血小板の凝集および粘着が制御できなくなります4,6。これは全身の微小血管に異常な血小板血栓を生じさせる可能性があり、微小血管障害性溶血性貧血と血小板減少症と関連します4

cTTPは急性症状と慢性症状の両方を有し(脳卒中と腎臓および心血管疾患を含む)、未治療のまま経過すると、急性TTPイベントの死亡率は90%を超えます。また、cTTPはADAMTS13の欠乏状態に起因して進行する広範な臓器障害やその他の併存疾患を伴う可能性があります2,6,9,10

武田薬品について

武田薬品工業株式会社(TSE: 4502/NYSE: TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。 詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

重要な注意事項

本注意事項において、「ニュースリリース」とは、本ニュースリリースに関して武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)によって説明又は配布された本書類並びに一切の口頭のプレゼンテーション、質疑応答及び書面又は口頭の資料を意味します。本ニュースリリース(それに関する口頭の説明及び質疑応答を含みます)は、いかなる法域においても、いかなる有価証券の購入、取得、申込み、交換、売却その他の処分の提案、案内若しくは勧誘又はいかなる投票若しくは承認の勧誘のいずれの一部を構成、表明又は形成するものではなく、またこれを行うことを意図しておりません。本ニュースリリースにより株式又は有価証券の募集を公に行うものではありません。米国 1933 年証券法の登録又は登録免除の要件に基づいて行うものを除き、米国において有価証券の募集は行われません。本ニュースリリースは、(投資、取得、処分その他の取引の検討のためではなく)情報提供のみを目的として受領者により使用されるという条件の下で(受領者に対して提供される追加情報と共に)提供されております。当該制限を遵守しなかった場合には、適用のある証券法違反となる可能性があります。

武田薬品が直接的に、又は間接的に投資している会社は別々の会社になります。本ニュースリリースにおいて、「武田薬品」という用語は、武田薬品及びその子会社全般を参照するものとして便宜上使われていることがあり得ます。同様に、「当社(we、us及びour)」という用語は、子会社全般又はそこで勤務する者を参照していることもあり得ます。これらの用語は、特定の会社を明らかにすることが有益な目的を与えない場合に用いられることもあり得ます。

将来に関する見通し情報

本ニュースリリース及び本ニュースリリースに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標及び計画を含む武田薬品の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「確実にする(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」、「かもしれない(could)」、「予想される(anticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」、「予測する(forecasts)」、「見通し(outlook)」などの用語若しくは同様の表現又はそれらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではありません。これら将来見通し情報は、多くの重要な要因に関する前提に基づいており、実際の結果は、将来見通し情報において明示又は暗示された将来の結果とは大きく異なる可能性があります。その重要な要因には、日本及び米国の一般的な経済条件を含む武田薬品のグローバルな事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、関連法規の変更、臨床的成功及び規制当局による判断とその時期の不確実性を含む新製品開発に内在する困難、新製品及び既存製品の商業的成功の不確実性、製造における困難又は遅延、金利及び為替の変動、市場で販売された製品又は候補製品の安全性又は有効性に関するクレーム又は懸念、新規コロナウイルス・パンデミックのような健康危機、温室効果ガス排出量の削減又はその他環境目標の達成を可能にする武田薬品の環境・サステナビリティに対する取り組みの成功、人工知能(AI)を含むデジタル技術の統合をはじめとする、業務効率化、生産性向上又はコスト削減に向けた武田薬品の取り組みや、その他の事業再編に向けた取り組みが、期待されるベネフィットに寄与する程度、武田薬品のウェブサイトhttps://www.takeda.com/jp/investors/sec-filings/ 又は www.sec.govGo to www.sec.gov において閲覧可能な米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書並びに武田薬品の他の報告書において特定されたその他の要因が含まれます。武田薬品は、法律や証券取引所の規則により要請される場合を除き、本ニュースリリースに含まれる、又は武田薬品が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本ニュースリリースにおける武田薬品の経営結果及び情報は武田薬品の将来の経営結果を示すものではなく、また、その予測、予想、保証又は見積もりではありません。

医療情報

本ニュースリリースには、製品に関する情報が含まれておりますが、それらの製品は、すべての国で発売されているものではなく、また国によって異なる商標、効能、用量等で販売されている場合もあります。ここに記載されている情報は、開発品を含むいかなる医療用医薬品を勧誘、宣伝又は広告するものではありません。

References:

  1. Van Dorland H et al. Haematologica. 2019;104:2107-16

  2. Joly BS et al. Blood. 2017;129(21):2836–2846

  3. Scully M et al. Blood. 2017; 130:2055-63

  4. Chiasakul T and Cuker A. Am Soc Hematol. 2018;2018(1):530–538

  5. Alwan F et al. Blood. 2019;133:1644-51

  6. Kremer Hovinga JA et al. Nat Rev Dis Primers. 2017;3:17020

  7. Kremer Hovinga JA and George JN. Hereditary Thrombotic Thrombocytopenic Purpura. N Engl J Med. 2019;381(17):1653-1662

  8. Orpha.net. Congenital thrombotic thrombocytopenic purpura. https://www.orpha.net/en/disease/detail/93583Go to https://www.orpha.net/en/disease/detail/93583. Accessed May 2024

  9. Zheng XL et al. J Thromb Haemost. 2020;18(10):2486-95

  10. Sukumar S et al. J Clin Med. 2021;10:536