欧州委員会がタケダのADZYNMA®を先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)治療薬として承認

欧州委員会(EC)による先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)治療における初めてかつ唯一の遺伝子組換えADAMTS13酵素補充療法としてのADZYNMA ®(遺伝子組換え ADAMTS13)の承認について


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2024年8月8日
  • cTTPは、治療選択肢が限られており、死に至る可能性がある超希少な血液凝固障害であり、未治療のまま経過すると急性TTPイベントの死亡率は90%を超える1,2
  • cTTPを対象とした最初の無作為化、比較対照、非盲検、クロスオーバー臨床第3相試験の結果を含む、包括的なエビデンスに基づいた承認

    当社は、このたび欧州委員会(EC)が、先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)の小児および成人患者さんのADAMTS13欠乏症の治療薬として、ADZYNMA ®(遺伝子組換えADAMTS13)を承認しましたのでお知らせします3 。ADZYNMAは、cTTPの治療を適応とした、欧州連合(EU)で初めてかつ唯一の酵素補充療法となります3, 4 。本承認は、希少疾病用医薬品指定の確認を含むものであり、2024年5月31日に当社が発表したCommittee for Medicinal Products for Human Use(CHMP)の肯定的見解に基づきます。

cTTPは、ADAMTS13酵素の欠乏によって生じる超希少かつ慢性の血液凝固障害です1。急性イベントや消耗性の慢性症状からなるTTP症状を伴い、これらには血小板減少症、微小血管症性溶血性貧血、腎症状、脳卒中、腹痛などが含まれます1,2,5。未治療のまま経過すると、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の急性イベントの死亡率は90%を超えます1,2

当社の欧州・カナダビジネスユニットのプレジデントであるリカルド・マレックは、「cTTPの科学的発見から一世紀が経過しても、生命を脅かす急性イベントおよび消耗性の慢性症状に直面し続け、治療選択肢が限られているcTTP患者さんには、依然として重大なアンメットニーズが存在しています。このたびの承認は、ADAMTS13欠乏という疾患の根本原因に対処することを効能効果とした初めての治療薬となります。希少血液疾患における70年にわたるイノベーションの歴史を基盤に、EUでcTTP患者さんにADZYNMAを提供できることを誇りに思い、アンメットニーズの高い希少疾患患者さんに革新的な医薬品をお届けすることに引き続き取り組んでいきます」と述べています。

このたびのECの承認は、cTTPを対象とした初の無作為化、比較対照、非盲検、クロスオーバー第3相試験から得られた有効性、薬物動態、安全性および忍容性データの中間解析を含む包括的エビデンスおよび継続試験の安全性および有効性データに基づくものです。本試験(NCT03393975Go to https://clinicaltrials.gov/study/NCT03393975)のデータは、2024年5月にThe New England Journal of Medicine誌に掲載Go to https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2314793されました。

第3相試験では、登録時のレジメンに基づき、登録後Month 1からMonth 6(第1期)までADZYNMA 40 IU/kg の静脈内投与または血漿製剤投与を隔週または週1回行い、Month 7からMonth 12(第2期)まで治療薬を切り替えて、Month 13からMonth 18(第3期)まではすべての患者さんにADZYNMAを投与しました3

ADZYNMAの定期補充療法中に急性TTPイベントを発現した患者さんはいませんでしたが(n=45)、血漿製剤投与患者さんに急性TTPイベントが1例認められました(n=46)3。対照比較第1期および第2期では、ADZYNMA投与患者さんで亜急性TTPイベントが1例報告されたのに対し、血漿製剤投与患者さん6例で亜急性TTPイベントが7件報告されました3。継続期間(第3期)における有効性の結果(急性および亜急性TTPイベントの発現率)は、第1期および第2期の結果と一致していました3

ADZYNMAは、血漿製剤と比較して良好な安全性プロファイルを示しました。主な有害事象(発現率10%超)は、頭痛、下痢、浮動性めまい、上気道感染、悪心及び片頭痛でした3

当社は、遺伝子組換えADAMTS13に関して現在進行中の第2b相試験(NCT05714969Go to https://clinicaltrials.gov/study/NCT05714969?cond=iTTP&rank=4)で、後天性TTPである免疫介在性血栓性血小板減少性紫斑病(iTTP)の成人患者さんを対象として研究を行っています。

本承認による当社の2025年3月期(2024年度)通期の連結業績予想に変更はありません。

ADZYNMAについて

ADZYNMA(遺伝子組換えADAMTS13)は、先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)の小児および成人患者さんのADAMTS13欠乏症の治療薬として承認された最初で唯一の遺伝子組換えADAMTS13(A disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin motifs 13)酵素補充療法薬です。ADZYNMAは、cTTPの患者さんの定期的投与および急性増悪時投与の治療薬として米国食品医薬品局(FDA)および日本の厚生労働省(MHLW)からも承認されています。

ADZYNMAは米国FDAにより後天性、特発性および続発性を含むTTPの治療と予防に対して、希少疾病用医薬品指定(ODD)ならびにファスト・トラック指定および希少小児疾患指定を受けています。また、FDAはADZYNMAの承認に対して希少小児疾患優先審査権を付与しました。ADZYNMAはこれまでに欧州医薬品局(EMA)および厚生労働省よりTTPの治療薬としてODDも受けています。

ADZYNMAの副作用および制限事項の詳細な一覧については、Product InformationGo to https://ec.europa.eu/health/documents/community-register/2024/20240801162985/anx_162985_en.pdfを参照ください。

cTTPについて

cTTPは致死的な急性症状や消耗性の慢性症状を伴う慢性血液凝固異常症です6,7。cTTPの正確な有病率は不明ですが、百万人あたり0.5~2例と推定されています8。cTTPはフォン・ヴィレブランド因子(VWF)切断酵素であるADAMTS13の遺伝子異常によりADAMTS13活性が著減する疾患で、血液中に超高分子量VWF重合体が残存します6。超高分子量VWF重合体が存在すると、血小板の凝集および粘着が制御できなくなります5,7。これは全身の微小血管に異常な血小板血栓を生じさせる可能性があり、微小血管障害性溶血性貧血と血小板減少症と関連します5

cTTPは急性症状と慢性症状の両方を有し(脳卒中と腎臓および心血管疾患を含む)、未治療のまま経過すると、急性TTPイベントの死亡率は90%を超えます1,2,5。また、cTTPはADAMTS13の欠乏状態に起因して進行する広範な臓器障害やその他の併存疾患を伴う可能性があります2,7,9,10

武田薬品について

武田薬品工業株式会社(TSE: 4502/NYSE: TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。 詳細についてはhttps://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

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本注意事項において、「ニュースリリース」とは、本ニュースリリースに関して武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)によって説明又は配布された本書類並びに一切の口頭のプレゼンテーション、質疑応答及び書面又は口頭の資料を意味します。本ニュースリリース(それに関する口頭の説明及び質疑応答を含みます)は、いかなる法域においても、いかなる有価証券の購入、取得、申込み、交換、売却その他の処分の提案、案内若しくは勧誘又はいかなる投票若しくは承認の勧誘のいずれの一部を構成、表明又は形成するものではなく、またこれを行うことを意図しておりません。本ニュースリリースにより株式又は有価証券の募集を公に行うものではありません。米国 1933 年証券法の登録又は登録免除の要件に基づいて行うものを除き、米国において有価証券の募集は行われません。本ニュースリリースは、(投資、取得、処分その他の取引の検討のためではなく)情報提供のみを目的として受領者により使用されるという条件の下で(受領者に対して提供される追加情報と共に)提供されております。当該制限を遵守しなかった場合には、適用のある証券法違反となる可能性があります。 武田薬品が直接的に、又は間接的に投資している会社は別々の会社になります。本ニュースリリースにおいて、「武田薬品」という用語は、武田薬品及びその子会社全般を参照するものとして便宜上使われていることがあり得ます。同様に、「当社(we、us及びour)」という用語は、子会社全般又はそこで勤務する者を参照していることもあり得ます。これらの用語は、特定の会社を明らかにすることが有益な目的を与えない場合に用いられることもあり得ます。 本ニュースリリースに記載されている製品名は、武田薬品又は各所有者の商標又は登録商標です。

将来に関する見通し情報

本ニュースリリース及び本ニュースリリースに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標及び計画を含む武田薬品の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「確実にする(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」、「かもしれない(could)」、「予想される(anticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」、「予測する(forecasts)」、「見通し(outlook)」などの用語若しくは同様の表現又はそれらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではありません。これら将来見通し情報は、多くの重要な要因に関する前提に基づいており、実際の結果は、将来見通し情報において明示又は暗示された将来の結果とは大きく異なる可能性があります。その重要な要因には、日本及び米国の一般的な経済条件を含む武田薬品のグローバルな事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、関連法規の変更、臨床的成功及び規制当局による判断とその時期の不確実性を含む新製品開発に内在する困難、新製品及び既存製品の商業的成功の不確実性、製造における困難又は遅延、金利及び為替の変動、市場で販売された製品又は候補製品の安全性又は有効性に関するクレーム又は懸念、新規コロナウイルス・パンデミックのような健康危機、温室効果ガス排出量の削減又はその他環境目標の達成を可能にする武田薬品の環境・サステナビリティに対する取り組みの成功、人工知能(AI)を含むデジタル技術の統合をはじめとする、業務効率化、生産性向上又はコスト削減に向けた武田薬品の取り組みや、その他の事業再編に向けた取り組みが、期待されるベネフィットに寄与する程度、武田薬品のウェブサイト(https://www.takeda.com/jp/investors/sec-filings-and-security-reports/)又はwww.sec.govGo to https://www.sec.gov/において閲覧可能な米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書並びに武田薬品の他の報告書において特定されたその他の要因が含まれます。武田薬品は、法律や証券取引所の規則により要請される場合を除き、本ニュースリリースに含まれる、又は武田薬品が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本ニュースリリースにおける武田薬品の経営結果及び情報は武田薬品の将来の経営結果を示すものではなく、また、その予測、予想、保証又は見積もりではありません。

医療情報

本プレスリリースには、製品に関する情報が含まれておりますが、それらの製品は、すべての国で発売されているものではなく、また国によって異なる商標、効能、用量等で販売されている場合もあります。ここに記載されている情報は、開発品を含むいかなる医療用医薬品を勧誘、宣伝又は広告するものではありません。

References:

  1. Van Dorland H et al. Haematologica. 2019;104:2107-16.
  2. Joly BS et al. Blood. 2017;129(21):2836–2846.
  3. ADZYNMA (recombinant ADAMTS13) Summary of Product Characteristics; 2024.
  4. Scully M et al. Blood. 2017; 130:2055-63.
  5. Chiasakul T and Cuker A. Am Soc Hematol. 2018;2018(1):530–538.
  6. Alwan F et al. Blood. 2019;133:1644-51.
  7. Kremer Hovinga JA et al. Nat Rev Dis Primers. 2017;3:17020.
  8. Kremer Hovinga JA and George JN. Hereditary Thrombotic Thrombocytopenic Purpura. N Engl J Med. 2019;381(17):1653-1662.
  9. Zheng XL et al. J Thromb Haemost. 2020;18(10):2486-95.
  10. Sukumar S et al. J Clin Med. 2021;10:536.