米国食品医薬品局(FDA)による好酸球性食道炎(EoE)に対する初めてかつ唯一の経口治療薬EOHILIA(一般名:ブデソニド経口懸濁液)の承認について
米国食品医薬品局(FDA)による好酸球性食道炎(EoE)に対する初めてかつ唯一の経口治療薬EOHILIA(一般名:ブデソニド経口懸濁液)の承認について
EOHILIAによる12週間の治療は11歳以上の患者さんの重大なアンメットニーズに対処する可能性
EoEは患者さんに重大な影響を及ぼす可能性がある慢性疾患であり、食道の炎症の他、つかえ感や嚥下困難、嚥下痛の間欠的症状を伴う
当社は、2024年2月12日(米国時間)、11歳以上の好酸球性食道炎(EoE)患者さんを対象とした初めてかつ唯一の経口治療薬EOHILIA(一般名:ブデソニド経口懸濁液)について、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得しましたのでお知らせします1。EOHILIAは2月末に2 mg/10 mLの利便性の高い単回投与スティック包装で提供予定です。
EOHILIAは11歳以上のEoE患者さんへの12週間の投与を適応とするコルチコステロイド薬です1。EOHILIAはEoEに特化して開発された新規のブデソニド製剤で、振ることで流動性が高まり、飲み込むと粘度の高い状態に戻るという揺変性を有します1,2。
ノースウエスタン大学フェインバーグ医学部消化器・肝臓内科のケネス・C・グリフィン食道疾患センターの内科教授であり、ディレクターであるIkuo Hirano, MDは、「これまで、EoEに対してさまざまなコルチコステロイド製剤が使用されてきましたが、いずれも適応外で、複数の投与選択肢を用いて行われていました。EOHILIAにより、一貫した用量を食道粘膜に届けるために特別に製剤化され、食道の炎症やEoEの嚥下障害の症状に有効であることが実証されたFDA承認の治療薬が得られたのは大変喜ばしいことです。EoEの患者さんの治療ニーズや目標は多様であり、EOHILIAが経口薬としてもたらす柔軟性を歓迎します」と述べています。
今回のFDAによるEOHILIAの 2 mg 1日2回投与の承認は、EoE患者さん(それぞれ11~56歳および11~42歳)を対象にした2つの多施設共同、無作為化、二重盲検、並行群間、プラセボ対照12週試験(試験1と試験2)の有効性および安全性データに基づいています1。両試験とも、患者さんに、EOHILIA 2 mgまたはプラセボの1日2回経口投与を少なくとも1回行いました。有効性評価項目は、12週後の組織学的寛解(評価可能なすべての食道部位において強拡大視野あたりのピーク好酸球数が6個以下)および患者さんの報告による嚥下障害症状質問票(DSQ)の総スコアのベースラインからの変化量としました。DSQによりEoE患者さんによって直接報告された、嚥下障害の頻度とその後に使用する行動適応を評価しました3。
試験1では、EOHILIA群はプラセボ群と比較して有意に多くの患者さんが組織学的寛解を達成しました (53.1% vs. 1%)1。試験2では、EOHILIA群の38%が組織学的寛解を達成したのに対し、プラセボ群では2.4%でした。ベースラインからのDSQ総スコアの変化量は、試験1ではEOHILIA群 vs. プラセボ群で-10.2(1.5)vs. -6.5(1.8)、試験2では-14.5(1.8)vs. -5.9(2.1)でした。各試験の最後の2週間において、EOHILIA群ではプラセボ群と比較してDSQによる評価で嚥下障害を経験しなかったか、「良くなった/自然に治った」嚥下障害しか経験しなかった患者さんが多くみられました。 EoEの治療において、EOHILIAの12週間を超える投与の安全性および有効性は確認されていません。試験1で最も多くみられた副作用(EOHILIA群の患者さんの2%以上で発現し、プラセボ群よりも発現率が高かった副作用)は、気道感染(13%)、消化管粘膜カンジダ症(8%)、頭痛(5%)、胃腸炎(3%)、咽喉刺激感(3%)、副腎抑制(2%)、びらん性食道炎(2%)などでした。試験2におけるEOHILIAの安全性プロファイルは、試験1と概ね同程度でした1。
当社シニアヴァイスプレジデントであり、米国消化器系疾患ビジネスユニットのヘッドであるBrandon Monkは、「大多数の人にとって、食べることは単純な経験です。しかし、好酸球性食道炎の患者さんにとって、座って食事を取ることはつらいことであり、嚥下障害、胸痛、つかえ感などを伴うことがあります。EOHILIAにより、2つの12週の臨床試験において食道の炎症を低減し、嚥下能力を改善することが示された、FDAが承認したEoEに対する初めてかつ唯一の経口治療選択肢を、患者さんとその担当医は手にすることができます」と述べています。
好酸球性食道炎(EoE)は、食道に局在する免疫が関連する慢性の炎症性疾患です4。好酸球性食道炎の正確な原因は明らかにはなっていないものの、特定の食物や環境アレルゲンを含む様々な刺激によって引き起こされると考えられています5,6。好酸球性食道炎の慢性炎症は、個人差や年齢によって異なりますが、嚥下障害や嘔吐、疼痛など様々な症状につながることがあります7。EoEの特定は複雑になることがあり、診断の遅延もよくみられます。未治療のまま経過した場合、好酸球性食道炎の炎症が悪化し、食道が狭窄して食物の嵌頓(食物が食道で詰まった場合)を引き起こす可能性があります8,9。実際に、EoEは食物の嵌頓による救急外来受診の主な原因です10。
当社は、無形資産の減損損失の戻入れを含め、本承認による2024年3月期(2023年度)の業績影響について精査していますが、重要性ある影響は見込んでおりません。
武田薬品について
武田薬品工業株式会社(TSE: 4502/NYSE: TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。 詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。
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