欧州委員会による慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)患者さんを対象とした維持療法としてのHYQVIA®の承認について

欧州委員会による慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)患者さんを対象とした維持療法としてのHYQVIA®の承認について


Calendar
2024年1月30日
  • HYQVIA(皮下注用人免疫グロブリン10%/遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ)は、最長で1か月に1回の間隔で投与できる治療選択肢を提供する唯一の促進型皮下注用人免疫グロブリン製剤

  • 自宅または医療機関で投与でき、CIDP患者さんに個別化された治療体験を提供

  • 神経免疫疾患に罹患する患者さんに対する当社の差別化された免疫グロブリン治療のポートフォリオを拡充する承認

当社は、2024年1月29日(米国時間)、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)のあらゆる年齢の患者さんにおける、静注用人免疫グロブリン製剤(IVIG)による療法で安定した後の維持療法として、HYQVIA®(皮下注用人免疫グロブリン10%/遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ)が、欧州委員会(EC)により承認されましたのでお知らせします。当社は、2023年12月15日(米国時間)に欧州医薬品評価委員会(CHMP)による肯定的見解を1、また、2024年1月16日(米国時間)にCIDPの成人患者さんにおける維持療法としての米国食品医薬品局(FDA)による承認を発表しました2

初めてかつ唯一のCIDPに対する促進型皮下注用人免疫グロブリン製剤(fSCIG)であるHYQVIAは、ヒアルロニダーゼ成分が皮膚と筋肉の間の皮下組織における大量の人免疫グロブリン(IG)の拡散と吸収を促進するため、最長で1か月に1回(2、3または4週ごと)の間隔で投与できる可能性を患者さんに提供します。HYQVIAは、医療従事者による投与、もしくは、適切なトレーニング後、患者さんの自宅の快適な環境で自己注射することもできます3

当社のシニア・ヴァイス・プレジデントでありプラズマ デライブド セラピーズ ビジネス ユニットのリサーチ&デベロップメントヘッドであるクリスティナ・アルキメッツ(Kristina Allikmets)は「2024年1月にFDAがHYQVIA のCIDP適応を承認したことに続き、ECによるCIDPに対するHYQVIAの承認は、EU域内でCIDPとともに生きる患者さんに、自宅もしくは医療機関にて最長で1か月に1回の間隔で投与できる有効性が証明された維持療法を提供するための重要な一歩です。このHYQVIAの適応拡大は、神経免疫疾患に罹患する患者さんに免疫グロブリン製剤の効果をお届けし、患者さんの生活を改善し、標準治療を向上させる可能性のある治療選択肢を提供する当社の取り組みを反映しています」と述べています。

CIDPは、末梢神経系に影響を及ぼす後天的な免疫介在性の病態であり、四肢の遠位および近位における進行性の左右対称性の脱力と感覚機能の障害を特徴とします4 。この希少な、衰弱性の、緩徐に進行または再発する疾患に対するIG療法の役割は十分に確立されており5、幅広い免疫調節作用と抗炎症作用により、欧州神経学会と末梢神経学会のガイドラインでは、この複雑で多様な疾患に対する標準治療とみなされています6

本承認は、CIDP患者さんの再発予防のための維持療法としてのHYQVIAの有効性と安全性を評価した多施設共同プラセボ対照二重盲検試験であるピボタル臨床第3相ADVANCE-CIDP 1試験のデータに基づいています。本グローバル試験は、CIDPの確定診断を受け、スクリーニング前の少なくとも3か月間、IVIG療法の用法・用量に変更がなかった成人患者さん132名を対象としています。試験の結果、CIDP再発率においてHYQVIA群がプラセボ群に対して臨床的に有意な減少を示し、HYQVIA群で15.5%(95%信頼区間:8.36、26.84)、プラセボ群で31.7%(95%信頼区間:21.96、43.39)でした。治療差は-16.2(95%信頼区間:-29.92、-1.27)で、プラセボと比較してHYQVIAの有効性が確認されました3

有害事象(AEs)はHYQVIA(79.0%)の方がプラセボ(57.1%)より頻度が高かったものの、程度が高度のAEs(1.6% 対 8.6%)および重篤なAEs(3.2% 対 7.1%)は少ない結果となりました。ほとんどの有害事象は軽度または中等度であり、局所的で、投与の中止あるいは中断を必要とせず、後遺症なく消失しました。最もよくみられた(患者さんの5%以上で報告された)因果関係のある有害事象は、頭痛、悪心、および注入部位の疼痛、紅斑、そう痒症、浮腫などの局所的有害事象でした7。全体として、ADVANCE-CIDP 1試験でみられた安全性プロファイルは、既存のEU製品概要(SmPC)と概ね一致していました3

CIDPに対するHYQVIAの中央審査による販売承認はすべてのEU加盟国ならびにアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーおよび北アイルランドで有効です。HYQVIAは、2013年に原発性免疫不全症(PID)の治療薬としてECから初めて承認され、2020年には続発性免疫不全症(SID)の治療薬として承認されました8

HYQVIA®について

HYQVIA®(皮下注用人免疫グロブリン10%/遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ)は、遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼと人免疫グロブリンの組み合わせ製剤であり、重度または再発性感染症、抗菌薬療法が無効、特異的抗体不全(PSAF)が認められているか血清IgG濃度が4 g/L未満の原発性免疫不全症(PID)および続発性免疫不全症(SID)の成人、小児および青年の患者さんに対する補充療法として、欧州医薬品庁(EMA)に承認されています。さらに、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の成人、小児および青年(0から18歳)の患者さんにおける、静注用人免疫グロブリン製剤(IVIG)による療法で安定した後の維持療法としてEMAに承認されました。米国では成人および2歳以上の小児のPID患者さんの治療薬ならびに成人のCIDP患者さんの維持療法薬として承認されています。HYQVIAは、皮下組織に注射されます。HYQVIAはヒト血漿から収集したIGを含んでおり、IGは、身体の免疫系を維持する抗体です。HYQVIAのヒアルロニダーゼ部分は、皮膚と筋肉の間の皮下組織におけるIGの拡散と吸収を促進します。HYQVIAは最長で月1回(CIDPに対しては2、3もしくは4週ごと、PIDに対しては3または4週ごと)投与されます。

ADVANCE臨床試験について

ADVANCE-CIDP 1試験は、多施設共同プラセボ対照二重盲検臨床第3相試験であり、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の再発予防の維持療法として、HYQVIA®(皮下注用人免疫グロブリン10%/遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ)の有効性、安全性、忍容性を評価しました。本グローバル試験は、CIDPの確定診断を受け、スクリーニング前の少なくとも3か月間、静注用人免疫グロブリン製剤(IVIG)療法の用法・用量に変更がなかった成人患者さん132名を対象としています。

本臨床試験の主要評価項目は、連続する2回の調整INCATスコアにおいて、皮下投与前のベースラインと比較して、1ポイント以上の増加と定義した機能的障害の悪化を経験した患者さんの割合でした。有効性の主解析では、欠測値を再発なしとして外挿し、5%の統計学的有意水準で実施した連続修正χ2検定(連続性の補正)を用いて再発率を比較しました。副次評価項目には、再発確率で定義される再発までの期間、日常生活動作(ADL)に対する効果、安全性、忍容性が含まれています。患者さんを無作為に割り付けし、HYQVIAまたはプラセボのいずれかを治験前のIVIG投与と同じ用量ならびに頻度(2、3または4週ごと)で6か月間または再発まで投与しました。再発した患者さんは、レスキュー治療としてIVIG治療を最大6か月間受けました。再発が認められない患者さんは、ADVANCE-CIDP 1試験を終了したCIDPの患者さんを対象としてHYQVIAによる長期安全性、忍容性、免疫原性を評価することを目的とする非盲検エクステンション試験であるADVANCE-CIDP 3の一部として、HYQVIA治療を継続しました。

ADVANCE-CIDP 1試験に関する詳細な情報は、ClinicalTrials.govの研究識別番号NCT02549170Go to https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02549170をご覧ください。

武田薬品について

武田薬品工業株式会社(TSE: 4502/NYSE: TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。 詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

重要な注意事項

本注意事項において、「ニュースリリース」とは、本ニュースリリースに関して武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)によって説明又は配布された本書類並びに一切の口頭のプレゼンテーション、質疑応答及び書面又は口頭の資料を意味します。本ニュースリリース(それに関する口頭の説明及び質疑応答を含みます)は、いかなる法域においても、いかなる有価証券の購入、取得、申込み、交換、売却その他の処分の提案、案内若しくは勧誘又はいかなる投票若しくは承認の勧誘のいずれの一部を構成、表明又は形成するものではなく、またこれを行うことを意図しておりません。本ニュースリリースにより株式又は有価証券の募集を公に行うものではありません。米国 1933 年証券法の登録又は登録免除の要件に基づいて行うものを除き、米国において有価証券の募集は行われません。本ニュースリリースは、(投資、取得、処分その他の取引の検討のためではなく)情報提供のみを目的として受領者により使用されるという条件の下で(受領者に対して提供される追加情報と共に)提供されております。当該制限を遵守しなかった場合には、適用のある証券法違反となる可能性があります。 武田薬品が直接的に、又は間接的に投資している会社は別々の会社になります。本ニュースリリースにおいて、「武田薬品」という用語は、武田薬品及びその子会社全般を参照するものとして便宜上使われていることがあり得ます。同様に、「当社(we、us及びour)」という用語は、子会社全般又はそこで勤務する者を参照していることもあり得ます。これらの用語は、特定の会社を明らかにすることが有益な目的を与えない場合に用いられることもあり得ます。

将来に関する見通し情報

本ニュースリリース及び本ニュースリリースに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標及び計画を含む武田薬品の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「確実にする(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」、「かもしれない(could)」、「予想される(anticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」などの用語若しくは同様の表現又はそれらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではありません。これら将来見通し情報は、多くの重要な要因に関する前提に基づいており、実際の結果は、将来見通し情報において明示又は暗示された将来の結果とは大きく異なる可能性があります。その重要な要因には、日本及び米国の一般的な経済条件を含む武田薬品のグローバルな事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、世界的な医療制度改革を含む関連法規の変更、臨床的成功及び規制当局による判断とその時期の不確実性を含む新製品開発に内在する困難、新製品及び既存製品の商業的成功の不確実性、製造における困難又は遅延、金利及び為替の変動、市場で販売された製品又は候補製品の安全性又は有効性に関するクレーム又は懸念、新規コロナウイルス・パンデミックのような健康危機が、武田薬品が事業を行う国の政府を含む武田薬品とその顧客及び供給業者又は武田薬品の事業の他の側面に及ぼす影響、買収対象企業とのPMI(買収後の統合活動)の時期及び影響、武田薬品の事業にとっての非中核資産を売却する能力及びかかる資産売却のタイミング、当社による省エネルギーへの取り組み及び将来の再生可能エネルギー又は低炭素エネルギー技術の発展による当社の温室効果ガス排出量の削減の程度、武田薬品のウェブサイト(https://www.takeda.com/jp/investors/sec-filings/)又はwww.sec.govGo to www.sec.govにおいて閲覧可能な米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書並びに武田薬品の他の報告書において特定されたその他の要因が含まれます。武田薬品は、法律や証券取引所の規則により要請される場合を除き、本ニュースリリースに含まれる、又は武田薬品が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本ニュースリリースにおける武田薬品の経営結果及び情報は武田薬品の将来の経営結果を示すものではなく、また、その予測、予想、保証又は見積もりではありません。

医療情報

本ニュースリリースには、製品に関する情報が含まれておりますが、それらの製品は、すべての国で発売されているものではなく、また国によって異なる商標、効能、用量等で販売されている場合もあります。ここに記載されている情報は、開発品を含むいかなる医療用医薬品を勧誘、宣伝又は広告するものではありません。

  1. Takeda Pharmaceuticals. (2023 December 15). Takeda Receives Positive CHMP Opinion for HYQVIA® as Maintenance Therapy in Patients with Chronic Inflammatory Demyelinating Polyneuropathy (CIDP) [Press Release]. Available here. Last accessed January 2024.

  2. Takeda Pharmaceuticals. (2024 January 16). U.S. FDA Approves Takeda’s HYQVIA® as Maintenance Therapy in Adults with Chronic Inflammatory Demyelinating Polyneuropathy (CIDP) [Press Release]. Available here. Last accessed January 2024.

  3. European Medicines Agency. HyQvia 100 mg/mL solution for infusion for subcutaneous use Summary of Product Characteristics. Available at https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/hyqvia-epar-product-information_en.pdfGo to https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/hyqvia-epar-product-information_en.pdf.

  4. Dalakas MC; Medscape. Advances in the diagnosis, pathogenesis and treatment of CIDP. Nat Rev Neurol. 2011;7(9):507-517.

  5. Eftimov F, et al. Intravenous immunoglobulin for chronic inflammatory demyelinating polyradiculoneuropathy. Cochrane Database Syst Rev. 2013;(12):CD001797.

  6. Van den Bergh PYK, et al. European Academy of Neurology/Peripheral Nerve Society guideline on diagnosis and treatment of chronic inflammatory demyelinating polyradiculoneuropathy: Report of a joint Task Force-Second revision [published correction appears in J Peripher Nerv Syst. 2022 Mar;27(1):94].

  7. Bril V, et al. Hyaluronidase-facilitated subcutaneous immunoglobulin 10% as maintenance therapy for chronic inflammatory demyelinating polyradiculoneuropathy: The ADVANCE-CIDP 1 randomized controlled trial. J Peripher Nerv Syst. 2023;28(3):436-449.

  8. European Medicines Agency. HyQvia product information. Available hereGo to https://www.ema.europa.eu/en/medicines/human/EPAR/hyqvia. Last Accessed January 2024