米国食品医薬品局(FDA)による成人の慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)患者さんを対象とした維持療法としてのHYQVIA®の承認について

米国食品医薬品局(FDA)による成人の慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)患者さんを対象とした維持療法としてのHYQVIA®の承認について


Calendar
2024年1月17日
  • HYQVIA[遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ含有皮下注用人免疫グロブリン製剤10%]はCIDP治療のため最長で1か月に1回(2、3もしくは4週ごと)の間隔で投与できる唯一の皮下注用免疫グロブリン(SCIG)製剤であり、医療従事者による投与または適切なトレーニングを受けた後の自己注射が可能
  • 6か月時点でのプラセボとの再発率の比較でHYQVIAを支持する統計学的有意差が示された臨床第3相ADVANCE-CIDP 1試験に基づく承認
  • CIDPは進行性、再発性の末梢神経系の病態であり、四肢における左右対称性の脱力や感覚消失などの衰弱症状を引き起こすことのある、希少な神経筋疾患

当社は、2024年1月16日(米国時間)、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の成人患者さんにおける神経筋障害および機能障害の再発予防の維持療法として、HYQVIA®[遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ含有皮下注用人免疫グロブリン製剤10%]が、米国食品医薬品局(FDA)により承認されましたのでお知らせします。HYQVIAは2014年に成人の原発性免疫不全症(PID)患者さんの治療薬として米国で初めて承認を取得し、その後、2~16歳の小児患者さんにも適応が拡大されました1

HYQVIAはFDAが承認した唯一の免疫グロブリン(IG)とヒアルロニダーゼの組合せ製剤であり、皮下注用免疫グロブリン製剤(SCIG)です。ヒアルロニダーゼ成分により、皮膚と筋肉の間の皮下組織における大量のIGの拡散と吸収が促進されるため、CIDPの成人患者さんでは、HYQVIAを最長で1か月に1回(2、3または4週ごと)の間隔で投与できます。HYQVIAは皮下投与のため、医療従事者が医療機関または患者さんの自宅で投与することができます。また、適切なトレーニングを受けた後、患者さんや介護者が自己注射することもできます1

当社のプラズマ デライブド セラピーズ ビジネスユニットのプレジデントであるジャイルズ・プラットフォード(Giles Platford)は「希少な神経免疫疾患および神経筋疾患に関する当社の専門知識を基盤とする、CIDPに対するHYQVIAのFDA承認により、当社は当該疾患に罹患する成人患者さんに対して、個別化された維持療法の選択肢を提供できるようになりました。研究および臨床経験から、IG療法はCIDPの成人患者さんの維持療法として有効であることが示されています。当社は、複雑な神経免疫疾患に罹患する多くの患者さんに、当社の幅広く多様なIGポートフォリオをお届けするために努力しており、今後もHYQVIAの承認が世界中で広まることを願っています」と述べています。

本承認は、成人のCIDP患者さんにおける維持療法としてのHYQVIAの有効性と安全性を評価した無作為化プラセボ対照二重盲検試験(ADVANCE-CIDP 1)および単群非盲検継続試験(ADVANCE-CIDP 3)の結果に基づいています。有効性評価は、ADVANCE-CIDP 1試験でCIDPの確定診断を受け、スクリーニング前の少なくとも3か月間、静注用人免疫グロブリン製剤(IVIG)療法の用法・用量に変更がなかった成人の患者さん122名を対象としています。主要評価項目の解析では、HYQVIA群(N=57、14.0%)の再発率はプラセボ群(N=65、32.3%)と比較して統計学的に有意な差が示されました(p=0.0314)。治療差が-18.3%(両側95%信頼区間:-32.1%、-3.1%)であったことから、HYQVIAはCIDPの再発予防においてプラセボより優れていることが示されました1

成人のCIDP患者さんにおけるHYQVIAの安全性は、ADVANCE-CIDP 1試験(N=62)およびADVANCE-CIDP 3試験(N=79)で評価されました。CIDPを対象としたHYQVIAの臨床試験において、被験者の5%以上にもっともよくみられた副作用は、局所反応、頭痛、発熱、悪心、疲労、紅斑、そう痒症、リパーゼ増加、腹痛、背部痛、四肢痛でした1

CIDPは、末梢神経系に影響を及ぼす希少で後天的な免疫介在性の神経筋疾患です2,3。四肢の遠位および近位における脱力、ピリピリ感または感覚消失、反射消失、歩行困難など、進行性の左右対称性の症状を典型的な特徴とします3。CIDPの症状は他の希少な神経筋病態と重複することがあるため、しばしば誤診されます4。成人患者さんのCIDP治療におけるIGの作用機序は完全には解明されていませんが、免疫調節作用が関与していると考えられています1。 CIDPにおける維持療法としてのIG療法の役割は確立されており、この複雑で多様な疾患に対するガイドラインに基づく標準治療です5。しかし、IVIG治療は、高用量のIGを投与することから投与時間が長くなること、静脈確保の難しさや、投与環境の制限などから、患者さんにとって困難となりうる側面もあります5

GBS-CIDP Foundation Internationalのエグゼクティブ ディレクターであるLisa Butlerは「IVIG投与は成人のCIDP患者さんの維持療法における標準治療ですが、一部の患者さんや介護者ではIVIG投与が困難となる場合があります。私たちは、皮下注射という別の選択肢を提供することで、一部の成人のCIDP患者さんに対して、これらの課題のいくつかに対処し、治療の個別化に役立つことを期待しています」と述べています。

HYQVIAは成人のCIDP患者さんの維持療法として米国で使用可能となります。2023年12月、当社は、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)が、CIDP患者さんを対象とし、IVIGによる療法で安定した後の維持療法としてのHYQVIAの承認を推奨したことを 発表 しました。欧州委員会(EC)は、欧州連合全体でのCIDPに対するHYQVIAの製造販売承認を判断する際に、CHMPの肯定的意見を考慮します6

HYQVIAについて

HYQVIA®[遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ含有皮下注用人免疫グロブリン製剤10%]は、遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼと免疫グロブリン製剤(IG)を含有する液剤であり、米国では成人および2歳以上の小児の原発性免疫不全症(PID)患者さんの治療薬ならびに成人のCIDP患者さんの神経筋障害および機能障害の再発予防の維持療法薬として承認されています。また、欧州では、重度または再発性感染症、抗菌薬療法が無効、特異的抗体不全(PSAF)が認められているか血清IgG濃度が4 g/L未満のPIDおよび続発性免疫不全症(SID)の成人、小児および青年の患者さんに対する補充療法として欧州医薬品庁(EMA)に承認されています。HYQVIAは、皮下組織に注射されます。HYQVIAはヒト血漿から収集したIGを含んでおり、IGは、身体の免疫系を維持する抗体です。HYQVIAのヒアルロニダーゼ部分は、皮膚と筋肉の間の皮下組織におけるIGの拡散と吸収を促進します。HYQVIAは最長で月1回(CIDPに対しては2、3もしくは4週ごと、PIDに対しては3または4週ごと)投与されます。

ADVANCE-CIDP 1試験と ADVANCE-CIDP 3試験について

ADVANCE-CIDP 1試験は、多施設共同プラセボ対照二重盲検臨床第3相試験であり、HYQVIAの安全性、有効性、忍容性を評価しました。ADVANCE-CIDP 1臨床試験の主要評価項目は、7日以内の間隔で測定した連続する2回の調整INCATスコアにおいて、皮下投与前のベースラインと比較して、1ポイント以上の増加と定義した再発を経験した患者さんの割合でした。患者さんを無作為に割り付けし、HYQVIAまたはプラセボのいずれかを治験前のIVIG投与と同じ投与量および投与頻度(2、3または4週ごと)で6か月間、中止または再発まで投与しました。再発が認められない患者さんは、ADVANCE-CIDP 1試験を終了したCIDPの患者さんを対象としてHYQVIAによる長期安全性、忍容性、免疫原性を評価することを目的とする非盲検エクステンション試験であるADVANCE-CIDP 3の一部として、HYQVIA治療を継続しました。

ADVANCE-CIDP 1試験と ADVANCE-CIDP 3試験に関する詳細な情報は、ClinicalTrials.govの研究識別番号NCT02549170Go to https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02549170およびNCT02955355Go to https://clinicaltrials.gov/study/NCT02955355をご覧ください。

武田薬品について

武田薬品工業株式会社(TSE: 4502/NYSE: TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。 詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

重要な注意事項

本注意事項において、「ニュースリリース」とは、本ニュースリリースに関して武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)によって説明又は配布された本書類並びに一切の口頭のプレゼンテーション、質疑応答及び書面又は口頭の資料を意味します。本ニュースリリース(それに関する口頭の説明及び質疑応答を含みます)は、いかなる法域においても、いかなる有価証券の購入、取得、申込み、交換、売却その他の処分の提案、案内若しくは勧誘又はいかなる投票若しくは承認の勧誘のいずれの一部を構成、表明又は形成するものではなく、またこれを行うことを意図しておりません。本ニュースリリースにより株式又は有価証券の募集を公に行うものではありません。米国 1933 年証券法の登録又は登録免除の要件に基づいて行うものを除き、米国において有価証券の募集は行われません。本ニュースリリースは、(投資、取得、処分その他の取引の検討のためではなく)情報提供のみを目的として受領者により使用されるという条件の下で(受領者に対して提供される追加情報と共に)提供されております。当該制限を遵守しなかった場合には、適用のある証券法違反となる可能性があります。 武田薬品が直接的に、又は間接的に投資している会社は別々の会社になります。本ニュースリリースにおいて、「武田薬品」という用語は、武田薬品及びその子会社全般を参照するものとして便宜上使われていることがあり得ます。同様に、「当社(we、us及びour)」という用語は、子会社全般又はそこで勤務する者を参照していることもあり得ます。これらの用語は、特定の会社を明らかにすることが有益な目的を与えない場合に用いられることもあり得ます。

将来に関する見通し情報

本ニュースリリース及び本ニュースリリースに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標及び計画を含む武田薬品の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「確実にする(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」、「かもしれない(could)」、「予想される(anticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」などの用語若しくは同様の表現又はそれらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではありません。これら将来見通し情報は、多くの重要な要因に関する前提に基づいており、実際の結果は、将来見通し情報において明示又は暗示された将来の結果とは大きく異なる可能性があります。その重要な要因には、日本及び米国の一般的な経済条件を含む武田薬品のグローバルな事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、世界的な医療制度改革を含む関連法規の変更、臨床的成功及び規制当局による判断とその時期の不確実性を含む新製品開発に内在する困難、新製品及び既存製品の商業的成功の不確実性、製造における困難又は遅延、金利及び為替の変動、市場で販売された製品又は候補製品の安全性又は有効性に関するクレーム又は懸念、新規コロナウイルス・パンデミックのような健康危機が、武田薬品が事業を行う国の政府を含む武田薬品とその顧客及び供給業者又は武田薬品の事業の他の側面に及ぼす影響、買収対象企業とのPMI(買収後の統合活動)の時期及び影響、武田薬品の事業にとっての非中核資産を売却する能力及びかかる資産売却のタイミング、当社による省エネルギーへの取り組み及び将来の再生可能エネルギー又は低炭素エネルギー技術の発展による当社の温室効果ガス排出量の削減の程度、武田薬品のウェブサイト(https://www.takeda.com/jp/investors/sec-filings/)又はwww.sec.govGo to https://www.sec.govにおいて閲覧可能な米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書並びに武田薬品の他の報告書において特定されたその他の要因が含まれます。武田薬品は、法律や証券取引所の規則により要請される場合を除き、本ニュースリリースに含まれる、又は武田薬品が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本ニュースリリースにおける武田薬品の経営結果及び情報は武田薬品の将来の経営結果を示すものではなく、また、その予測、予想、保証又は見積もりではありません。

医療情報

本ニュースリリースには、製品に関する情報が含まれておりますが、それらの製品は、すべての国で発売されているものではなく、また国によって異なる商標、効能、用量等で販売されている場合もあります。ここに記載されている情報は、開発品を含むいかなる医療用医薬品を勧誘、宣伝又は広告するものではありません。

References

  1. HYQVIA® [Immune Globulin Infusion 10% (Human) with Recombinant Human Hyaluronidase] U.S. Prescribing Information.
  2. GBS CIDP Foundation International. Voice of the Patient Report. August 26, 2022. www.gbs-cidp.orgGo to https://www.gbs-cidp.org. Accessed August 2022.
  3. Dalakas MC. Nat Rev Neurol. 2011;7(9):507–17.
  4. Broers MC, Bunschoten C, Nieboer D, Lingsma HF, Jacobs BC. Eur J Neurol. 2021;28(6):2065–2073.
  5. Van den Bergh P, Van Doorn PA, Hadden RD, et al. Eur J Neurol. 2021;28(11):3556–3583.
  6. European Medicines Agency. HyQvia 100 mg/mL solution for infusion for subcutaneous use Summary of Product Characteristics. Available at https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/hyqvia-epar-product-information_en.pdfGo to https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/hyqvia-epar-product-information_en.pdf.