活動性の乾癬性関節炎の治療薬としての、選択性の高いTYK2阻害薬であるTAK-279を評価する臨床第2b相試験データの米国リウマチ学会年次総会での発表について

活動性の乾癬性関節炎の治療薬として開発中の、1日1回投与の経口TYK2阻害薬であるTAK-279を評価する臨床第2b相試験データの米国リウマチ学会年次総会での発表について


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2023年11月8日
  • 本試験は主要評価項目を達成し、12週時点でACR20を達成した患者さんの割合は、プラセボ群では29.2%であったのに対し、TAK-279群では53.3%と54.2%(それぞれ15 mgと30 mg)1

  • TAK-279は重要な副次評価項目でも改善を示し、安全性プロファイルは尋常性乾癬を対象とした臨床第2b相試験と一致1

  • 2023年度に尋常性乾癬、2024年度に乾癬性関節炎を対象とした第3相試験を開始する一方で、全身性エリテマトーデスや炎症性腸疾患などを対象としてTAK-279を評価し、さらなる適応症を探索する予定

当社は、2023年11月7日(米国時間)、活動性の乾癬性関節炎患者さんを対象として開発中の、次世代の選択性を有する経口アロステリックチロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬であるTAK-279を評価する無作為化、二重盲検、プラセボ対照、臨床第2b相試験の良好な結果を発表しますのでお知らせします。これらのデータ(アブストラクト番号L12)は、カリフォルニア州サンディエゴで開催される米国リウマチ学会(ACR)Convergence 2023において、11月14日火曜日、太平洋時間午前9:00~11:00のlate-breaking poster sessionの一部として発表されます。

本試験では、12週時点で米国リウマチ学会が定めた基準による20%以上の改善(ACR 20)を示した患者さんの割合がTAK-279では53.3%(15 mg)および54.2%(30 mg)であり、プラセボ群の29.2%と比較して統計学的に有意に高い(p = 0.002)という主要評価項目を達成しました1。本試験におけるTAK-279の安全性および忍容性プロファイルは、尋常性乾癬を対象とした臨床第2b相試験と一致していました1。 TAK-279 5 mg群(35.2%)においては、プラセボ群(29.2%)と比較してACR 20の統計学的有意差は認められませんでした1

本試験の治験責任医師であるAlan Kivitz, M.D., MACRは、「疾患の徴候および症状を改善するだけでなく、忍容性が良好で利便性を有する乾癬性関節炎の治療選択肢に対する重要なアンメットニーズは依然として存在します。乾癬性関節炎は多様な炎症と皮膚病変を呈する疾患であり、ベースラインのC反応性蛋白の平均値が低いこの臨床第2b相試験患者さんにおいて12週のみの治療で認められた改善は特に有望です。この結果は、乾癬性関節炎の多様な症状における次世代の選択性を有する1日1回投与の経口TYK2阻害薬であるTAK-279の継続的な評価を支持しています」と述べています。

本試験では、以下の重要な副次評価項目の改善も示されました。

  • ACR 50を達成した患者さんの割合は、プラセボ群では9.7%であったのに対し、TAK-279 15 mg群および30 mg群では26.7%(p=0.005)と26.4%(p=0.009)でした1

  • TAK-279 15 mg群(14.7%)および30 mg群(13.9%)では、プラセボ群(5.6%)と比較して数値的に高い割合の患者さんがACR 70を達成しました1

  • ベースラインの体表面積(BSA)が3%以上の患者さんにおいて、TAK-279群ではPsoriasis Area and Severity Index(PASI)75を達成した患者さんの割合が高くなりました(プラセボ群で15.4%に対し、TAK-279 30 mg群で45.7%、 TAK-279 15 mg群で28.3%、 TAK-279 5 mg群 で25.6%、それぞれプラセボに対してp =0.002、p =0.101、 p =0.186)1

  • ベースラインで Physician Global Assessment of Psoriasis(PGA-PsO)が2以上であった患者さんにおいて、TAK-279 30mg群では、プラセボ群と比較し、PGA-PsOスコア0(clear)もしくは1(almost clear) を達成し、ベースラインから少なくとも2ポイントの改善を達成した患者さんの割合が高くなりました(プラセボ群で15.8%に対し、TAK-279 30mg群で32.8%、TAK-279 15mg群で20.6%、TAK-279 5mg群で20.4%、30mg群で p = 0.034)2

  • ベースラインからの圧痛関節数および腫脹関節数の減少は全群で認められ、プラセボ群およびTAK-279 5 mg群と比較して、15 mgおよび30 mg群ではより高い減少が認められました1

  • 最小疾患活動性(MDA)奏効率は、TAK-279 15mg群およびTAK-279 30mg群では、プラセボ群よりも高くなりました(プラセボ群で12.5%に対し、TAK-279 15mg群で28.0%、TAK-279 30mg群で29.2%、それぞれ p = 0.017、0.014)2

TAK-279 5 mg、15 mg、30 mg群において、プラセボ群と比較して最も一般的な試験治療下で発現した有害事象(TEAE)は、鼻咽頭炎(8.5%、9.3%、9.7%、4.2%)、上気道感染症(11.3%、4%、9.7%、2.8%)、頭痛(2.8%、8.0%、5.6%、4.2%)、発疹(4.2%、8%、5.6%、0%)でした1。プラセボと比較して、日和見感染症、主要な心血管系有害事象、注目すべき臨床検査値の平均値に差は認められませんでした。TAK-279の各投与群において、有害事象発生率に臨床的に意義のある差は認められませんでした。重篤なグレード3以上のTEAEの頻度は低く、TAK-279群とプラセボ群で同程度の頻度で発現しました1

当社のリサーチ&デベロップメントのプレジデントであるアンディ・プランプは「12週時点で達成されたこれらの有効性および安全性の有望な結果に基づき、乾癬性関節炎を対象としたTAK-279の臨床第3相試験を開始するとともに、尋常性乾癬を対象とした臨床第3相試験を開始する予定です。TAK-279については、クローン病、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデスを対象にした開発も進めるとともに、さらなる適応症を探索する予定です。乾癬および乾癬性関節炎プログラムと並行して、これらの機会を開拓してまいります」と述べています。

TAK-279について

TAK-279は後期開発段階の高度に選択的な経口アロステリックチロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬で3、JAK1と比較して、TYK2に対して約130万倍の選択性を示します4。TAK-279は、複数の免疫介在性炎症性疾患における重要な治療選択肢となる可能性を有します。TAK-279は、臨床第1相試験において、良好な忍容性プロファイル、探索的な評価における用量依存的傾向、固形製剤での1日1回の経口投与が可能な薬物動態プロファイルを示しました5。中等度から重度の乾癬患者さんを対象とした臨床第2b相試験では、12週時点でPsoriasis Area and Severity Index(PASI) 75、90、100を達成した患者さんの割合が、プラセボ投与群と比較して、TAK-279の5 mg、15 mg、30 mgの各投与群で統計学的に有意に高い結果となりました3。TAK-279は現在開発中の化合物であり、まだどの規制当局からも承認されていません。

乾癬性関節炎を対象としたTAK-279臨床第2b相試験について

本臨床第2b相試験(NCT05153148Go to https://classic.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05153148)は、活動性の乾癬性関節炎の患者さんを対象としてTAK-279の有効性、安全性および忍容性を評価するために設計された無作為化、多施設共同、二重盲検、プラセボ対照、反復投与試験です6。適格となる患者さんは、年齢が18歳以上で、スクリーニング前6か月間以上にわたり乾癬性関節炎の症状を有し、乾癬性関節炎の分類基準(CASPAR)を満たし、NSAID、DMARDまたは生物製剤治療歴があるにもかかわらず、登録時に3箇所以上の圧痛関節および3箇所以上の腫脹関節(TJC/SJC)を有する人でした6。計290名の患者さんを3用量のうちのいずれかのTAK-279の1日1回投与またはプラセボに無作為に割付け(1:1:1:1の割合)、12週間の投与と4週間の安全性追跡調査を行いました。245名が12週間の投与を完了しました1,6。ベースラインの特性は、各群で概ね同等でした(30 mgでは平均TJCが低かったことを除く)。58.6%がBSA 3%以上を有し(平均PASIスコアは6.2)、32.1%に生物製剤の使用歴がありました(TNFis 20.7%)1。平均ベースライン高感度C反応性蛋白(hsCRP)は7.0 mg/Lであり、45.9%がhsCRP 3 mg/L以上でした1。主要評価項目は、12週時点で少なくともACR20を達成した患者さんの割合でした6

ACR20、ACR50、ACR75は、圧痛関節数および腫脹関節数ならびに5項目(疾患活動性の患者さんによる評価、疾患活動性の医師評価、患者さんによる疼痛評価、患者さんによる運動機能評価、急性期反応物質)のうち3項目における20%、50%、75%以上の改善として定義される複合指標です6

Psoriasis Area and Severity Index(PASI)は、乾癬におけるベースラインおよび治療効果を評価するスコアリングシステムです。PASI 75は、ベースラインからのPASIの75%以上の改善を示す2値アウトカムです7

乾癬性関節炎について

乾癬性関節炎は、関節の疼痛、こわばりおよび腫脹を生じさせる炎症を特徴とする慢性免疫介在性炎症性疾患であり 、乾癬の皮膚症状を伴います8。乾癬性関節炎には全世界で約1千万人が罹患しています9。 乾癬性関節炎は多様な疾患であり、人によって異なる影響を及ぼします10。症状は軽度の場合もあれば重度の場合もあり、少数の関節が罹患することもあれば多くの関節が罹患することもあり、症状には波があります10。乾癬性関節炎で認められる慢性炎症は、適切に治療されない場合、非可逆的な関節破壊に至る可能性があり8、疾患の進行は重度の身体障害11および不安やうつ病などの重大なメンタルヘルス障害とも関連します12

チロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬について

チロシンキナーゼ2(TYK2)は細胞内酵素であり、ヤヌスキナーゼファミリーに属するチロシンキナーゼです13。TYK2はヤヌスキナーゼシグナル伝達兼転写活性因子(JAK-STAT)シグナル伝達経路の構成要素であり、重要な免疫サイトカイン受容体のシグナル伝達の下流を介在します13。炎症性サイトカインのシグナル伝達は、乾癬、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデスおよび炎症性腸疾患を含む、複数の免疫介在性炎症性疾患と関連します14。TYK2の選択的なアロステリック阻害は、JAKと関連する毒性の危険を軽減しつつ免疫介在性炎症を標的とする有望な治療法となる可能性があります15

武田薬品について

武田薬品工業株式会社(TSE: 4502/NYSE: TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。

詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

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医療情報

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以上
  1. TAK-279 PsA Ph2b ACR abstract (TKPO011). Efficacy and safety outcomes of TAK-279, a selective oral tyrosine kinase 2 (TYK2) inhibitor, from a randomized, double-blind, placebo-controlled phase 2b trial in patients with active psoriatic arthritis. Presented at American College of Rheumatology (ACR) 2023 Convergence, November 10–15, 2023 San Diego, CA, USA.

  2. Takeda Pharmaceuticals. Data on File.

  3. Armstrong A, Lynde C, Forman S, et al. Efficacy and safety results from the randomized double-blind, placebo-controlled phase 2b trial of TYK2 inhibitor NDI-034858 in moderate-to-severe psoriasis. Presented March 17-21, 2023, New Orleans, Louisiana at the 2023 American Academy of Dermatology Annual Meeting.

  4. Leit S, J, Greenwood Carriero S, et al. Discovery of a potent and selective tyrosine kinase two inhibitor: TAK-279. J Medicinal Chemistry.2023;66(15):10473-10496. doi.org/10.1021/acs.jmedchem.3c00600.

  5. Gangolli EA, Carreiro S, Leit S, et al. Characterization of pharmacokinetics, pharmacodynamics, tolerability and clinical activity in Phase 1 studies of the novel allosteric tyrosine kinase 2 (TYK2) inhibitor NDI-034858. Presented May 18-21, 2022, Portland, OR at the 2022 Society for Investigative Dermatology Annual Meeting.

  6. ClinicalTrials.gov. A Study to Evaluate the Efficacy, Safety, and Tolerability of NDI-034858 in Subjects With Active Psoriatic Arthritis. Available at: https://classic.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05153148Go to https://classic.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05153148. Last accessed: November 2023

  7. Rodgers M, Epstein D, Bojke L, et al. Etanercept, Infliximab and Adalimumab for the Treatment of Psoriatic Arthritis: A Systematic Review and Economic Evaluation. Southampton (UK): NIHR Journals Library; 2011 Feb. (Health Technology Assessment, No. 15.10.) Appendix 18, Estimation of Psoriasis Area and Severity Index score for treatment responders in the decision model. Available at: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK109508/Go to https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK109508/. Last accessed: November 2023.

  8. American College of Rheumatology. Psoriatic Arthritis. Available at: https://rheumatology.org/patients/psoriatic-arthritisGo to https://rheumatology.org/patients/psoriatic-arthritis. Last accessed: November 2023.

  9. Scotti L, Franchi M, Marchesoni A, Corrao G. Prevalence and incidence of psoriatic arthritis: A systematic review and meta-analysis. Semin Arthritis Rheum. 2018 Aug;48(1):28-34. doi:10.1016/j.semarthrit.2018.01.003.

  10. Arthritis Foundation. Psoriatic Arthritis. Available at: https://www.arthritis.org/diseases/psoriatic-arthritisGo to https://www.arthritis.org/diseases/psoriatic-arthritis. Last accessed: November 2023.

  11. Mease P, Strand V, Gladman D. Functional impairment measurement in psoriatic arthritis: Importance and challenges. InSeminars in arthritis and rheumatism 2018 Dec 1 (Vol. 48, No. 3, pp. 436-448). WB Saunders.

  12. Zhao SS, Miller N, Harrison N, Duffield SJ, Dey M, Goodson NJ. Systematic review of mental health comorbidities in psoriatic arthritis. Clinical Rheumatology. 2020 Jan;39:217-25.

  13. Muromoto R, Oritani K, Matsuda T. Current understanding of the role of tyrosine kinase 2 signaling in immune responses. World J Biol Chem. 2022;13(1):1–14. doi:10.4331/wjbc.v13.i1.1.

  14. Bunte K et al. Th17 Cells and the IL-23/IL-17 Axis in the Pathogenesis of Periodontitis and Immune Mediated Inflammatory Diseases. 2019 Intl J Molecular Sci.

  15. Krueger JG, McInnes IB, Blauvelt A. Tyrosine kinase 2 and Janus kinase‒signal transducer and activator of transcription signaling and inhibition in plaque psoriasis. J Am Acad Dermatol. 2022;86(1):148-157. doi:10.1016/j.jaad.2021.06.869.