クローン病に伴う複雑痔瘻の治療に用いる「アロフィセル®注」を評価する臨床第3相ADMIRE-CD II試験のトップライン結果について

クローン病に伴う複雑痔瘻の治療に用いる「アロフィセル®注」を評価する臨床第3相ADMIRE-CD II試験のトップライン結果について


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2023年10月18日

当社は、このたび、臨床第3相ADMIRE-CD II試験において、クローン病に伴う複雑痔瘻の治療に用いる「アロフィセル®注」(一般名:ダルバドストロセル、以下「アロフィセル」)の有効性および安全性について評価したところ、主要評価項目である24週後の複合寛解率を達成しなかったことをお知らせします。アロフィセルの安全性プロファイルは過去の試験と一致し、安全性に関する新たな所見は認められませんでした。

当社の消化器系・炎症性疾患領域ユニットのヘッドであるChinwe Ukomaduは、「このたびの結果は残念ではありますが、クローン病に伴う複雑痔瘻のような治療困難な疾患に対する医学研究には依然として多くの課題があると認識しています。ADMIRE-CDⅡ試験からは貴重な科学的知見を得ることができ、この重要な研究を可能にしていただいた患者さんや研究者の方々に感謝しております」と述べています。

データ解析から得られた結果は、今後、医学学会または査読付き学術誌において発表する予定です。

アロフィセルは、既に完了したADMIRE-CD試験の良好なデータに基づき、欧州連合(EU)、イスラエル、スイス、セルビア、英国、日本で製造販売承認を取得しました1-6。日本での承認は、国内で実施されたDarvadstrocel-3002の良好なデータにも基づいています7。また、現在進行中のクローン病に伴う複雑痔瘻の患者さんを対象にした安全性および有効性の実臨床観察研究であるアロフィセルのINSPIRE試験には約800名が組み入れられています8

当社は、本剤の無形資産の減損損失を含め、本試験結果に伴う2023年度第2四半期における業績影響について引き続き精査してまいります。2024年3月期(2023年度)通期の連結業績予想を修正する場合は、2023年10月26日に予定している2023年度第2四半期の決算発表時に公表する予定です。

アロフィセルについて

アロフィセル®(一般名:ダルバドストロセル) は、健康成人の脂肪組織から抽出し、培養・増殖させた同種異系間葉系幹細胞(eASC)の懸濁液で、少なくとも1つの既存治療薬による治療を行っても効果が不十分な非活動期または軽症の活動期のクローン病成人患者さんにおける複雑痔瘻の治療製品です1。EUで初めて販売承認された同種異系幹細胞治療製品であり、日本で初めて承認された同種異系脂肪組織由来間葉系幹細胞治療製品です9,10

アロフィセルは、非活動期または軽症の活動期のクローン病成人患者さん212名における複雑痔瘻に対するアロフィセルの有効性と安全性を評価する無作為化、二重盲検、対照の臨床第3相試験であるADMIRE-CD試験によって以前に調査されていました11,12。この試験において、アロフィセル群は、対照群と比較し、主要評価項目である24週後の複合寛解率が統計学的に有意に優れており(アロフィセル群51.5%に対して対照群35.6%、15.8%ポイントの差異(97.5%信頼区間[0.5-31.2]、p=0.021))、52週時点においても維持されました(アロフィセル群56.3%に対して対照群38.6%、17.7%ポイントの差異(95%信頼区間[4.2-31.2]、p=0.01))11。アロフィセルの安全性プロファイルは対照群と同様であり、52週の忍容性は良好でした11

効能、効果又は性能

アロフィセルは、EU、イスラエル、スイス、セルビア、英国において、少なくとも1つの既存治療薬または生物学製剤による治療を行っても効果が不十分な非活動期または軽症の活動期のクローン病成人患者さんにおける複雑痔瘻の治療製品として承認されています1-5。アロフィセルの投与前には瘻孔の処置が必要です1

日本では、非活動期または軽症の活動期のクローン病患者さんにおける複雑痔瘻の治療に適応されています6。本製品は、少なくとも1つの既存治療薬による治療を行っても効果が不十分な患者さんへの治療に適用されています6

武田薬品の消化器系疾患領域における取り組みについて

消化器系疾患や肝疾患は、患者さんの日常生活を困難にさせるだけでなく、患者さんの生活の質(QOL)に影響を及ぼす場合があります13,14。患者さんの生活の改善のためには、効果的な治療選択肢への根本的なニーズだけでなく、患者さんのニーズが正しく認識されていることも重要であることを当社は理解しています13,14。約30年にわたる消化器系疾患領域での経験により、武田薬品は炎症性腸疾患、酸関連疾患、短腸症候群、消化管運動障害などの消化器系疾患領域の治療における患者さんのアンメット・メディカル・ニーズへの対応において大きな進歩を実現してきました。武田薬品の消化器系疾患領域の研究開発チームは、セリアック病、α-1アンチトリプシン関連肝疾患、クローン病など、アンメット・メディカル・ニーズのある新しい領域でのギャップの解消に向けても取り組んでいます。武田薬品は、これからも研究者や患者さんの団体などの皆さまとともに、消化器系疾患領域における科学的研究と臨床医学の発展に取り組んでまいります。

武田薬品について

武田薬品工業株式会社(TSE: 4502/NYSE: TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。

詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

重要な注意事項

本注意事項において、「ニュースリリース」とは、本ニュースリリースに関して武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)によって説明又は配布された本書類並びに一切の口頭のプレゼンテーション、質疑応答及び書面又は口頭の資料を意味します。本ニュースリリース(それに関する口頭の説明及び質疑応答を含みます)は、いかなる法域においても、いかなる有価証券の購入、取得、申込み、交換、売却その他の処分の提案、案内若しくは勧誘又はいかなる投票若しくは承認の勧誘のいずれの一部を構成、表明又は形成するものではなく、またこれを行うことを意図しておりません。本ニュースリリースにより株式又は有価証券の募集を公に行うものではありません。米国 1933 年証券法の登録又は登録免除の要件に基づいて行うものを除き、米国において有価証券の募集は行われません。本ニュースリリースは、(投資、取得、処分その他の取引の検討のためではなく)情報提供のみを目的として受領者により使用されるという条件の下で(受領者に対して提供される追加情報と共に)提供されております。当該制限を遵守しなかった場合には、適用のある証券法違反となる可能性があります。

武田薬品が直接的に、又は間接的に投資している会社は別々の会社になります。本ニュースリリースにおいて、「武田薬品」という用語は、武田薬品及びその子会社全般を参照するものとして便宜上使われていることがあり得ます。同様に、「当社(we、us及びour)」という用語は、子会社全般又はそこで勤務する者を参照していることもあり得ます。これらの用語は、特定の会社を明らかにすることが有益な目的を与えない場合に用いられることもあり得ます。

将来に関する見通し情報

本ニュースリリース及び本ニュースリリースに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標及び計画を含む武田薬品の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「確実にする(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」、「かもしれない(could)」、「予想される(anticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」などの用語若しくは同様の表現又はそれらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではありません。これら将来見通し情報は、多くの重要な要因に関する前提に基づいており、実際の結果は、将来見通し情報において明示又は暗示された将来の結果とは大きく異なる可能性があります。その重要な要因には、日本及び米国の一般的な経済条件を含む武田薬品のグローバルな事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、世界的な医療制度改革を含む関連法規の変更、臨床的成功及び規制当局による判断とその時期の不確実性を含む新製品開発に内在する困難、新製品及び既存製品の商業的成功の不確実性、製造における困難又は遅延、金利及び為替の変動、市場で販売された製品又は候補製品の安全性又は有効性に関するクレーム又は懸念、新規コロナウイルス・パンデミックのような健康危機が、武田薬品が事業を行う国の政府を含む武田薬品とその顧客及び供給業者又は武田薬品の事業の他の側面に及ぼす影響、買収対象企業とのPMI(買収後の統合活動)の時期及び影響、武田薬品の事業にとっての非中核資産を売却する能力及びかかる資産売却のタイミング、当社による省エネルギーへの取り組み及び将来の再生可能エネルギー又は低炭素エネルギー技術の発展による当社の温室効果ガス排出量の削減の程度、武田薬品のウェブサイト(https://www.takeda.com/jp/investors/sec-filings/)又はwww.sec.govGo to https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1395064/000139506419000005/0001395064-19-000005-index.htmにおいて閲覧可能な米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書並びに武田薬品の他の報告書において特定されたその他の要因が含まれます。武田薬品は、法律や証券取引所の規則により要請される場合を除き、本ニュースリリースに含まれる、又は武田薬品が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本ニュースリリースにおける武田薬品の経営結果及び情報は武田薬品の将来の経営結果を示すものではなく、また、その予測、予想、保証又は見積もりではありません。

医療情報

本ニュースリリースには、製品に関する情報が含まれておりますが、それらの製品は、すべての国で発売されているものではなく、また国によって異なる商標、効能、用量等で販売されている場合もあります。ここに記載されている情報は、開発品を含むいかなる医療用医薬品を勧誘、宣伝又は広告するものではありません。

以上
  1. Alofisel Summary of Product Characteristics. Available at: https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/alofisel-epar-product-information_en.pdfGo to https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/alofisel-epar-product-information_en.pdf. Last accessed October 2023.

  2. Alofisel Summary of Product Characteristics. Available at: https://medic.co.il/wp-content/uploads/2019/02/Alofisel-SPC-01-19.pdfGo to https://medic.co.il/wp-content/uploads/2019/02/Alofisel-SPC-01-19.pdf. Last accessed October 2023.

  3. Swissmedic. Alofisel®, Suspension zur Injektion (Darvadstrocelum). Available at: https://www.swissmedicinfo.ch/ViewMonographieGo to https://www.swissmedicinfo.ch/ViewMonographie . Last accessed October 2023.

  4. Details of drug: Alofisel. Available at: https://www.alims.gov.rs/english/medicinal-products/search-for-human-medicines/?id=452817Go to https://www.alims.gov.rs/english/medicinal-products/search-for-human-medicines/?id=452817. Last accessed October 2023.

  5. Orphan Register. Available at: https://www.gov.uk/government/publications/orphan-registered-medicinal-products/orphan-register#alofiselGo to https://www.gov.uk/government/publications/orphan-registered-medicinal-products/orphan-register#alofisel. Last accessed October 2023.

  6. Japan Pharmaceuticals and Medical Devices Agency. Products Approved in FY 2021: Regenerative Medical Products. Available at: https://www.pmda.go.jp/files/000247822.pdfGo to https://www.pmda.go.jp/files/000247822.pdf. Last accessed October 2023.

  7. Phase 3 Study of Cx601 in Subjects With Complex Perianal Fistulising Crohn's Disease. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03706456Go to https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03706456. Last accessed October 2023.

  8. An observational post-marketing registry on the effectiveness and safety of darvadstrocel in patients with Crohn's disease and complex perianal fistulas (INSPIRE). European Network of Centres for Pharmacoepidemiology and Pharmacovigilance (ENCEPP). Available at: https://www.encepp.eu/encepp/viewResource.htm?id=44173Go to https://www.encepp.eu/encepp/viewResource.htm?id=44173. Last accessed October 2023.

  9. Takeda Pharmaceutical Company Ltd. TiGenix and Takeda announce Alofisel® (darvadstrocel) receives approval to treat complex perianal fistulas in Crohn’s disease in Europe. Available at: https://www.takeda.com/newsroom/newsreleases/2018/tigenix-and-takeda-announce-alofisel-receives-approval-in-europe/. Last accessed October 2023.

  10. Takeda Pharmaceutical Company Ltd. Takeda Receives Approval to Manufacture and Market Alofisel®▼ (darvadstrocel) in Japan for Treatment of Complex Perianal Fistulas in Patients with Non-active or Mildly Active Luminal Crohn’s Disease. Available at: https://www.geneonline.com/takedas-allogeneic-stem-cell-therapy-becomes-first-of-its-kind-to-be-approved-in-japan/#:~:text=Alofisel%20(darvadstrocel)%2C%20developed,or%20mildly%20active%20Crohn's%20diseaseGo to https://www.geneonline.com/takedas-allogeneic-stem-cell-therapy-becomes-first-of-its-kind-to-be-approved-in-japan/#:~:text=Alofisel%20(darvadstrocel)%2C%20developed,or%20mildly%20active%20Crohn's%20disease. Last accessed October 2023.

  11. Panés J, García-Olmo D, Van Assche G et al. ADMIRE CD Study Group Collaborators. Long-term efficacy and safety of stem cell therapy (Cx601) for complex perianal fistulas in patients with Crohn's disease. Gastroenterology. 2018 Apr;154(5):1334-1342.e4.

  12. Panés J, García-Olmo D, Van Assche G, et al. ADMIRE CD Study Group Collaborators. Expanded allogeneic adipose-derived mesenchymal stem cells (Cx601) for complex perianal fistulas in Crohn's disease: a phase 3 randomised, double-blind controlled trial. Lancet. 2016;24;388(10051):1281-90.

  13. Center for Drug Evaluation and Research (CDER) & the FDA. The Voice of the patient/functional gastrointestinal disorder. 2016. Available at: https://www.fda.gov/media/95140/downloadGo to https://www.fda.gov/media/95140/download. Last accessed October 2023.

  14. Jones R, Hunt C, Stevens R, et al. Management of common gastrointestinal disorders: quality criteria based on patients’ views and practice guidelines. Br J Gen Pract. 2009;59:e199-208.