米国食品医薬品局(FDA)による中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎の維持療法に関するエンタイビオ®(一般名:ベドリズマブ)の皮下注射製剤の承認について

米国食品医薬品局(FDA)による中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎の維持療法に関するエンタイビオ®(一般名:ベドリズマブ)の皮下注射製剤の承認について


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2023年9月28日
  • エンタイビオは、潰瘍性大腸炎の維持療法として点滴静注製剤または皮下注射製剤が選択できる、FDAにより承認された唯一の生物学的製剤

当社は、2023年9月27日(米国時間)、エンタイビオ®点滴静注製剤による導入療法後の成人の中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎に対する維持療法として、エンタイビオ(一般名:ベドリズマブ)皮下注射製剤が、米国食品医薬品局(FDA)によって承認されましたのでお知らせします。エンタイビオは、米国において、単回投与用プレフィルドペン製剤(ENTYVIO Pen)として10月末までに販売開始が見込まれています。さらに、中等症から重症の活動期クローン病の成人患者さんの治療薬として、エンタイビオ皮下注射製剤の生物学的製剤承認申請(BLA)も、FDAにより審査中です。

当社U.S.メディカルのシニアヴァイスプレジデントであり、米国消化器系疾患のヘッドであるBrandon Monkは、「エンタイビオ皮下注射製剤のFDAによる承認により、患者さんや医師の皆さんは、成人の中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎に対する維持療法において2つの投与選択肢を手にしました。生涯にわたる治療体験における様々なメディカルニーズ、状況および治療の好みに対応するため、当社は潰瘍性大腸炎に苦しむ患者さんのために全力で取り組んでいます。エンタイビオは、潰瘍性大腸炎の維持療法として点滴静注製剤と皮下注射製剤のいずれかの選択肢を提供する、FDAが承認した唯一の生物学的製剤です」と述べています。

エンタイビオのこの新たな投与経路は、VISIBLE1試験(SC UC試験)に基づいて承認されました。VISIBLE1試験は、治療開始時点(0週)および2週時点に非盲検下にて導入療法としてベドリズマブの点滴静注製剤を2回投与後、6週時点で臨床的改善* が得られた中等症から重症の潰瘍性大腸炎の成人患者さんを対象に、エンタイビオ皮下投与製剤の維持療法としての安全性および有効性を評価した、臨床第3相無作為化二重盲検プラセボ対照試験です。6週時点で合計162名の患者さんが、2週間ごと投与のエンタイビオ皮下注射製剤108 mg群およびプラセボ群に二重盲検法で無作為に割り付けられました(2:1)。対象患者さんは、アザチオプリンまたは6-メルカプトプリンの12週間投与レジメン、腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬による導入療法、またはコルチコステロイドのうち、少なくとも1剤において、効果不十分、効果減弱または不耐である患者さんでした。主要評価項目は、52週時点における臨床的寛解(完全Mayoスコアが2ポイント以下、かつ全てのサブスコアが1ポイント以下と定義)でした。

マウントサイナイアイカーン医科大学のDr. Henry D. Janowitz Division of GastroenterologyのChiefであるBruce Sands博士は、「VISIBLE1試験では、エンタイビオの皮下注射製剤により、中等症から重症の潰瘍性大腸炎患者さんにおいて寛解が得られる新たな投与選択肢を医師に提供できることが示されました。2014年の承認以降、エンタイビオは継続して強固な安全性および有効性プロファイルを構築してきました。今回の承認で、エンタイビオ点滴静注製剤の臨床プロファイルと一致した皮下注射製剤の選択肢を得ることができ、私や対象の潰瘍性大腸炎患者さんに維持療法における新たな投与法の選択肢が与えられたことに感謝しています」と述べています。Sands博士は武田ファーマシューティカルズUSA Inc.の有償コンサルタントです。Sands博士にはメディア対応に対する報酬は支払われていません。

52週時点における臨床的寛解** 率において、エンタイビオ皮下注射製剤108 mgを維持療法として2週間ごとに投与した群では、プラセボ投与群と比較して統計学的に有意に高い結果(エンタイビオ皮下注射群:46%、プラセボ投与群:14%、p<0.001)を示しました。臨床試験において、エンタイビオ皮下注射製剤の安全性プロファイルは、点滴静注製剤の既知の安全性プロファイルと概ね一致していましたが、皮下注射製剤の副作用として注射部位反応(注射部位の紅斑、発疹、腫脹、挫傷、血腫など)が追加されました。エンタイビオ点滴静注製剤で最も多く報告された副作用は(発現率が3%以上で、プラセボ群より1%以上高い事象)、上咽頭炎、頭痛、関節痛、悪心、発熱、上気道感染、疲労、咳嗽、気管支炎、インフルエンザ、背部痛、発疹、そう痒症、副鼻腔炎、口腔咽頭痛および四肢痛でした。

*臨床的改善は血便サブスコアがベースライン(0週)から1ポイント以上の減少、または血便サブスコアが1以下であり、完全Mayoスコアがベースラインから3ポイント以上減少かつ30%以上減少と定義
**臨床的寛解は、52週時点の完全Mayoスコアが2ポイント以下、かつ全てのサブスコアが1ポイント以下と定義

本承認による当社の2024年3月期(2023年度)の通期の連結業績予想に対する影響は、重要性があるものを見込んでおりません。

エンタイビオ®(ベドリズマブ)について

ベドリズマブは生物学的製剤であり、点滴静注製剤および皮下注射製剤として承認されています(承認は市場によって異なります)1,2。ベドリズマブ皮下注射製剤は米国、欧州連合(EU)と50か国以上で製造販売承認を取得しています(米国ではベドリズマブ皮下注射製剤はクローン病の治療薬としては承認されていません)。ベドリズマブ点滴静注製剤は米国とEUを含む70を超える国で製造販売承認を取得しており、点滴静注製剤と皮下注射製剤をあわせてこれまでの累計使用患者さんの数は世界で100万人・年を超えています。ベドリズマブはα4β7インテグリンと特異的に拮抗し、α4β7インテグリンの腸粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)への結合を阻害しますが、血管細胞接着分子1(VCAM-1)への結合は阻害しないようデザインされた、ヒト化モノクローナル抗体です。MAdCAM-1は消化管の血管およびリンパ節に選択的に発現しています。一方、α4β7インテグリンは循環血液中の白血球サブセットに発現しています。これらの細胞は、潰瘍性大腸炎とクローン病における炎症過程において重要な役割を果たしていることが明らかになっています4,6,7。α4β7インテグリンを阻害することによって、ベドリズマブはある種の白血球細胞の消化管組織への浸潤を抑制する可能性があります

潰瘍性大腸炎およびクローン病について

潰瘍性大腸炎およびクローン病は、最も代表的な炎症性腸疾患です。潰瘍性大腸炎とクローン病はいずれも、再燃と寛解を繰り返す慢性の炎症が消化管に生じる疾患です9,10。潰瘍性大腸炎は大腸のみに発症するのに対して、クローン病は口から肛門に至るまで、消化管のあらゆる部位に発症します11,12。また、クローン病は腸壁全層にも発症する可能性がありますが、潰瘍性大腸炎は大腸の最も内側の粘膜のみに発症します11,12。潰瘍性大腸炎でみられる症状は、腹部不快感および出血を含む軟便です11,13。一方、クローン病でみられる症状は、腹痛、下痢および体重減少などです12。潰瘍性大腸炎やクローン病の正確な原因については明らかになっていませんが、研究では、環境的要因、遺伝的特徴および腸内細菌叢の相互作用が潰瘍性大腸炎またはクローン病の発現の一因である可能性が示唆されています11,14,9

武田薬品の消化器系疾患領域における取り組みについて

この最新のマイルストーンにより、当社は消化器系疾患に苦しむ患者さんの本質的なニーズに応えるための取り組みを今後も継続してまいります。消化器系疾患や肝疾患は時として、患者さんの日常生活を困難にさせる場合があると考えています。患者さんの生活の改善のためには、 効果的な治療選択肢への根本的なニーズだけでなく、患者さんのニーズが正しく認識されていることも重要であることを当社は理解しています。約30年にわたる消化器系疾患領域での経験により、武田薬品は炎症性腸疾患、酸関連疾患、短腸症候群、消化管運動障害などの疾患領域の治療における患者さんのアンメット・メディカル・ニーズへの対応において大きな進歩を実現してきました。武田薬品の消化器系疾患領域の研究開発チームは、アンメット・メディカル・ニーズのある新しい領域でのギャップの解消に向けても取り組んでいます。武田薬品は、これからも研究者や患者さんの団体とともに、消化器系疾患領域における科学的研究と臨床医学の発展に取り組んでまいります。

武田薬品について

武田薬品工業株式会社(TSE: 4502/NYSE: TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。 詳細についてはhttps://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

重要な注意事項

本注意事項において、「ニュースリリース」とは、本ニュースリリースに関して武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)によって説明又は配布された本書類並びに一切の口頭のプレゼンテーション、質疑応答及び書面又は口頭の資料を意味します。本ニュースリリース(それに関する口頭の説明及び質疑応答を含みます)は、いかなる法域においても、いかなる有価証券の購入、取得、申込み、交換、売却その他の処分の提案、案内若しくは勧誘又はいかなる投票若しくは承認の勧誘のいずれの一部を構成、表明又は形成するものではなく、またこれを行うことを意図しておりません。本ニュースリリースにより株式又は有価証券の募集を公に行うものではありません。米国 1933 年証券法の登録又は登録免除の要件に基づいて行うものを除き、米国において有価証券の募集は行われません。本ニュースリリースは、(投資、取得、処分その他の取引の検討のためではなく)情報提供のみを目的として受領者により使用されるという条件の下で(受領者に対して提供される追加情報と共に)提供されております。当該制限を遵守しなかった場合には、適用のある証券法違反となる可能性があります。 武田薬品が直接的に、又は間接的に投資している会社は別々の会社になります。本ニュースリリースにおいて、「武田薬品」という用語は、武田薬品及びその子会社全般を参照するものとして便宜上使われていることがあり得ます。同様に、「当社(we、us及びour)」という用語は、子会社全般又はそこで勤務する者を参照していることもあり得ます。これらの用語は、特定の会社を明らかにすることが有益な目的を与えない場合に用いられることもあり得ます。 本ニュースリリースに記載されている製品名は、武田薬品又は各所有者の商標又は登録商標です。

将来に関する見通し情報

本ニュースリリース及び本ニュースリリースに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標及び計画を含む武田薬品の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「確実にする(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」、「かもしれない(could)」、「予想される(anticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」などの用語若しくは同様の表現又はそれらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではありません。これら将来見通し情報は、多くの重要な要因に関する前提に基づいており、実際の結果は、将来見通し情報において明示又は暗示された将来の結果とは大きく異なる可能性があります。その重要な要因には、日本及び米国の一般的な経済条件を含む武田薬品のグローバルな事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、世界的な医療制度改革を含む関連法規の変更、臨床的成功及び規制当局による判断とその時期の不確実性を含む新製品開発に内在する困難、新製品及び既存製品の商業的成功の不確実性、製造における困難又は遅延、金利及び為替の変動、市場で販売された製品又は候補製品の安全性又は有効性に関するクレーム又は懸念、新規コロナウイルス・パンデミックのような健康危機が、武田薬品が事業を行う国の政府を含む武田薬品とその顧客及び供給業者又は武田薬品の事業の他の側面に及ぼす影響、買収対象企業とのPMI(買収後の統合活動)の時期及び影響、武田薬品の事業にとっての非中核資産を売却する能力及びかかる資産売却のタイミング、当社による省エネルギーへの取り組み及び将来の再生可能エネルギー又は低炭素エネルギー技術の発展による当社の温室効果ガス排出量の削減の程度、武田薬品のウェブサイト(https://www.takeda.com/jp/investors/sec-filings/)又はwww.sec.govGo to www.sec.govにおいて閲覧可能な米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書並びに武田薬品の他の報告書において特定されたその他の要因が含まれます。武田薬品は、法律や証券取引所の規則により要請される場合を除き、本ニュースリリースに含まれる、又は武田薬品が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本ニュースリリースにおける武田薬品の経営結果及び情報は武田薬品の将来の経営結果を示すものではなく、また、その予測、予想、保証又は見積もりではありません。

医療情報

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以上

出典

  1. ENTYVIO (vedolizumab) Prescribing Information. Takeda Pharmaceuticals U.S.A., Inc.

  2. ENTYVIO Summary of Product Characteristics (SmPC). Available at: https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/entyvio-epar-product-information_en.pdfGo to https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/entyvio-epar-product-information_en.pdf. Last updated: April 2023. Last accessed: August 2023.

  3. Data on file. Takeda Pharmaceuticals.

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  7. Wyant T, Fedyk E, Abhyankar B. J Crohns Colitis. 2016;10(12):1437-1444. doi:10.1093/ecco-jcc/jjw092.

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