無又は低ガンマグロブリン血症治療剤「キュービトル® 20% 皮下注」の日本における製造販売承認取得について
無又は低ガンマグロブリン血症治療剤「キュービトル® 20% 皮下注」の日本における製造販売承認取得について
日本、欧州および北米で実施された「キュービトル® 20% 皮下注(20%皮下注用人免疫グロブリン製剤)」の臨床試験において確認された有効性および安全性に基づき承認
「キュービトル 20%® 皮下注」は当社初の皮下投与免疫グロブリン製剤であり、世界中のニーズのある患者さんに革新的な製品を届けるタケダのコミットメントを示すもの
当社は、本日、「キュービトル® 20% 皮下注」(20%皮下注用人免疫グロブリン製剤、以下「キュービトル」)について、「無又は低ガンマグロブリン血症」を効能又は効果として、厚生労働省から製造販売承認を取得しましたのでお知らせします1。「無又は低ガンマグロブリン血症」は、原発性免疫不全症(以下「PID」)又は続発性免疫不全症(以下「SID」)による抗体が無い又は低い状態で、重篤な感染症の再発リスクが増加することを特徴とする疾患です2。皮下投与の免疫グロブリン製剤の承認取得は、当社として初めてです。
このたびの承認は、有効性、安全性、忍容性および薬物動態を評価するための、PIDの日本人患者さんを対象とした臨床第3相試験(NCT04346108)、ならびにPID患者さんを対象とした北米と欧州の臨床第2/3相試験(NCT01218438・NCT01412385)に基づくものです。日本の患者さん17例を対象とした試験において、有効性および安全性が確認されました。キュービトル投与期間中に、重篤又は重度の有害事象は報告されておらず、主な有害事象は、頭痛および注射部位腫脹各4例(23.5%)、注射部位紅斑3例(17.6%)でした。これまでに当社が海外で実施した2つの臨床第2/3相試験においても有効性および安全性が確認されています。
当社のPDTビジネスユニット R&D Japan リージョナルヘッドである廣田直美は、「世界30カ国以上で承認されているキュービトルが、無又は低ガンマグロブリン血症に対する当社初の皮下投与の治療剤として日本で承認されたことをうれしく思います。免疫不全症患者さんは、肺炎、敗血症およびその他の再発性感染症を含む重篤な感染症に罹患することが多く、免疫グロブリン補充療法はこれらの患者さんに対する標準治療です。血漿分画製剤を必要とされている患者さんに新しい治療選択肢を提供できることを誇りに思っています」と述べています。
日本においてはPIDの早期診断が課題であり、免疫グロブリンによる治療の実施は、世界の他の地域よりはるかに低い状況となっています34。日本において血漿分画製剤(以下「PDT」)を必要とされる患者さんは、今後数年で大幅に増加することが予想され、当社は日本における標準治療を向上させ、当社のPDTポートフォリオをより多く日本に導入するために当局と協議を進めています。
「当社は、患者さんのアンメットニーズに対処するために、日本でのPDTへの投資を継続し、製品を拡大することで、歴史があり豊富な日本における取り組みを強化できることを誇りに思っています。PDTの新製造施設への投資とともに、キュービトルの承認は、当社の幅広い差別化されたグローバルPDTポートフォリオを日本にもたらす今後10年間にわたる取り組みの最初の1歩となります」と当社のPDTビジネスユニット R&DヘッドであるKristina Allikmetsは述べています。
無又は低ガンマグロブリン血症について
無ガンマグロブリン血症は、Bリンパ球と呼ばれる免疫細胞の正常で成熟した増殖を阻害する遺伝子の異常によって抗体が産生されず引き起こされる遺伝性疾患です5。低ガンマグロブリン血症は、遺伝子異常によって遺伝することが多いですが、化学療法、特定の併存疾患、免疫抑制剤の使用などの二次的影響によって抗体が欠乏し発症する場合もあります2。どのような種類の抗体欠乏症であっても、感染症を繰り返すことが多く、 免疫グロブリン補充療法により体内の抗体レベルを上昇させることができます。「無又は低ガンマグロブリン血症」はPID又はSID2により引き起こされます。
原発性免疫不全症・続発性免疫不全症について
原発性免疫不全症(PID)は、免疫系の一部が欠損している、又は適切に機能していない480種類を超える希少遺伝性疾患の不均一なグループを指します6。続発性免疫不全症(SID)は、免疫系の外因性条件又は要因に起因する免疫応答の障害と定義することができます。SIDは栄養不良、代謝障害、免疫抑制薬の使用、慢性感染、悪性腫瘍、および重度の外傷の結果として生じます7。PIDおよびSIDの患者さんは免疫系が障害されているため、感染症にかかりやすく、回復に時間がかかることがあります。抗体欠損があり、易感染性が亢進していたり、持続性感染症の患者さんでは、機能的抗体による代替(免疫グロブリン補充療法)が免疫系の機能を支える標準治療です6。
キュービトル ®20% 皮下注について
キュービトルは、成人および小児のPID、SID患者さんにおける感染予防をサポートすることを目的として開発されたヒト免疫グロブリンを20%含有する皮下注用人免疫グロブリン製剤で、2022年5月現在30カ国以上で承認されています。日本において、キュービトルは、2歳以上の患者さんを対象とした無又は低ガンマグロブリン血症の治療剤として承認されています。
キュービトル製品概要(日本)
販売名 | キュービトル20% 皮下注 2 g/10 mL, 4 g/20 mL, 8 g/40 mL |
一般名 | pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射) |
効能又は効果 | 無又は低ガンマグロブリン血症 |
用法及び用量 | 通常、人免疫グロブリンGとして50~200mg(0.25~1mL)/kg体重を週1回皮下投与する。2週間に1回投与する場合には、1週あたりの用量の2倍量〔100~400mg(0.5~2mL)/kg体重〕を皮下投与する。なお、患者の状態に応じて、1週又は2週あたりの投与量及び投与回数は適宜増減する。 |
武田薬品について
武田薬品工業株式会社(TSE: 4502/NYSE: TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。 詳細についてはhttps://www.takeda.com/jp/をご覧ください。
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医療情報
本ニュースリリースには、製品に関する情報が含まれておりますが、それらの製品は、すべての国で発売されているものではなく、また国によって異なる商標、効能、用量等で販売されている場合もあります。ここに記載されている情報は、開発品を含むいかなる医療用医薬品を勧誘、宣伝又は広告するものではありません。
<div style="text-align: right">以上</div>
出典
「キュービトル 20% 皮下注」添付文書
Pimenta et al., Hypogammaglobulinemia: a diagnosis that must not be overlooked. BJMBR, 2019;52(10): e8926, http://dx.doi.org/10.1590/1414-431X20198926
The Marketing Research Bureau (MRB). Plasma-Derived Medicinal Products (PDMPs) and Plasma Supply into the Future. January 2020.
Kohsuke et al., Physician awareness and understanding of primary immunodeficiency disorders: a web-based study in Japan, Immunological Medicine, 2023; 46:1, 45-57, doi: 10.1080/25785826.2022.2137966.
National Organization for Rare Disorders https://rarediseases.org/rare-diseases/agammaglobulinemia/
Tangye et al., Human inborn errors of immunity: 2022 update on the classification from the international union of immunological societies expert committee. J Clin Immunol. 2022 Oct;42(7):1473-1507. doi: 10.1007/s10875-022-01289-3. Epub 2022 Jun 24. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35748970
Karen S. Tuano,y; Neha Seth, Javier Chinen. Secondary immunodeficiencies. Ann Allergy Asthma Immunol 127 (2021) 617-626