2歳以上の小児患者さんに対する遺伝性血管性浮腫(HAE)発作抑制薬としてのタクザイロ®(一般名:ラナデルマブ(遺伝子組換え))の米国FDAによる承認について
2歳以上の小児患者さんに対する遺伝性血管性浮腫(HAE)発作抑制薬としてのタクザイロ®(一般名:ラナデルマブ(遺伝子組換え))の米国FDAによる承認について
- タクザイロはHAEを有する2歳以上6歳未満の小児患者さんに対して米国において承認された初めてかつ唯一の発作抑制薬1-4
- 臨床第3相HELP試験の有効性データの外挿と2歳以上12歳未満の小児患者さんを対象とした臨床第3相SPRING試験の追加データに基づく承認1
- HAEは、幼少期の早期に発症する可能性がある、予測不可能で重篤な血管性浮腫発作を引き起こし、身体を衰弱させ、生命を脅かす恐れのある希少疾患5,6
当社は、このたび、タクザイロ®(一般名:ラナデルマブ(遺伝子組換え)、以下「タクザイロ」)について、米国食品医薬品局(FDA)より、2歳以上12歳未満の小児患者さんを対象とした遺伝性血管性浮腫(HAE)発作抑制治療薬としての対象年齢の引き下げに向けた生物製剤承認一部変更申請(sBLA)の承認を受けましたのでお知らせします。これまで6歳以上12歳未満の小児患者さんに対して承認された唯一の発作抑制治療選択肢は3~4日毎の投与を必要とし、2歳以上6歳未満の小児患者さんに対して承認されている発作抑制薬はありませんでした。タクザイロは本承認によりこの年齢集団にとって初の発作抑制薬となります1-5。推奨用量は、2歳以上6歳未満の患者さんでは単回投与プレフィルドシリンジ150 mg/1 mLを4週間隔、6歳以上12歳未満の患者さんでは2週間隔です1。
HAE発作は、腹部、顔面、足、性器、手、喉などに深刻かつ体を衰弱させる腫脹を引き起こすことがあります5,7。上気道血管性浮腫は、3歳の子どもでも致命的な症状を示すことが報告されています6。2017年の調査(N=445)では、平均的なHAEの診断には、症状の出現から平均で8.4年がかかりました8。HAE患者さんを対象としたこの研究では、50%が不安を感じ、34%は社会活動における困難を経験し、58%は症状が仕事の昇進に悪影響をおよぼしていると報告されています8。
米国遺伝性血管性浮腫協会(HAEA)のプレジデント兼CEOであるAnthony Castaldoは、「2歳という低年齢の小児患者さんを対象とする今回のタクザイロの対象年齢の引き下げの承認は待ち望まれたものであり、HAEの小児患者さんが使用できる重要な治療選択肢が追加されたことになります。」と述べています。
sBLA承認は、12歳以上18歳未満の患者さんを対象に含む臨床第3相試験であるHELP試験の有効性データの外挿と、成人と小児患者さんの類似した薬物曝露を示す追加の薬物動態分析および2歳以上12歳未満のHAE患者さん21名における非盲検臨床第3相試験であるSPRING試験の安全性と薬力学データにより支持されました1。SPRING試験の主要評価項目は、タクザイロの安全性および薬物動態でした9。この試験において最もよくみられた有害事象は、注射部位疼痛(29%)、注射部位紅斑(14%)、注射部位腫脹(5%)、投与部位疼痛(5%)および注射部位反応(5%)でした9。副次評価項目としてHAE発作抑制を評価しました9。タクザイロは小児患者さんにおけるHAEの発作発症率を投与開始時と比較して平均94.8%低下させ、52週間の投与期間における発作は1か月あたり1.84回から0.08回になりました(N=21)9。平均99.5%の日数で無発作であり、また、患者さんの大多数(76.2%、n=16)は投与期間中に無発作でした9。有効性の結果は非盲検非対照試験によるもので、この研究は統計的仮説検定のために設計されたものではありません。これらのデータから結論を導き出すためには、追加の検証的試験が必要です。
当社のU.S. ビジネスユニットのプレジデントおよびU.S.カントリーヘッドであるジュリー・キム(Julie Kim)は、「今回のタクザイロの対象年齢の引き下げの承認はHAEコミュニティにとって重要な一歩であり、この疾患の最も若い一部の患者さんが長期発作抑制薬を使用することを支援します。当社は希少疾患領域において献身的なリーダーであり、今回の承認は、当社のタクザイロへの確信と、継続的な研究、臨床プログラムおよびリアルワールドデータ収集を通じてHAE患者さんのニーズに取り組む当社の貢献を象徴しています」と述べています。
タクザイロは、2018年に米国で成人および12歳以上の小児のHAE患者さんの発作を抑制するための薬として、初めて承認を取得しました1。現在では、世界中の60を超える国で使用可能であり、HAE患者さんを対象とした実薬治療期間が最も長く最大規模の発作抑制研究を含む、堅固な臨床開発プログラムによってサポートされています10,11。
<タクザイロ®(ラナデルマブ(遺伝子組換え))について>
タクザイロは血漿カリクレインに特異的に結合し、その濃度を引き下げる完全ヒトモノクローナル抗体であり、米国において2歳以上の患者さんでのHAE発作予防を適応とします。タクザイロは、12歳以上の患者さん自身または介護者による、単回投与プレフィルドシリンジもしくは単回投与バイアル皮下注射剤での自己投与を可能としています。患者さんまたは介護者は医療専門家によるトレーニングを受ける必要があります。2歳以上12歳未満の患者さんの場合、タクザイロは医療従事者または介護者が単回投与プレフィルドシリンジ皮下注射剤で投与する必要があります。タクザイロの2歳未満の小児患者さんへの安全性および有効性は確認されていません1。
<遺伝性血管性浮腫について>
遺伝性血管性浮腫(HAE)は、腹部、顔面、足、性器、手、喉など、身体のさまざまな部分で繰り返し起こる浮腫発作を引き起こす希少な遺伝性疾患です。腫脹は身体を衰弱させ痛みを伴うことがあります5,7。気道を遮断する発作は窒息を引き起こすことがあり、生命を脅かす可能性があります7。HAEは、世界中で5万人にひとりが罹患していると推定されています12。この疾患は多くの場合、認識されず、診断や治療が不十分なことがあります12。
<武田薬品について>
武田薬品工業株式会社(TSE: 4502/NYSE: TAK)は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。研究開発において、オンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(治療手段)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80の国と地域で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるように活動しています。詳細についてはhttps://www.takeda.com/jp/をご覧ください。
<重要な注意事項>
本注意事項において、「ニュースリリース」とは、本ニュースリリースに関して武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)によって説明又は配布された本書類並びに一切の口頭のプレゼンテーション、質疑応答及び書面又は口頭の資料を意味します。本ニュースリリース(それに関する口頭の説明及び質疑応答を含みます)は、いかなる法域においても、いかなる有価証券の購入、取得、申込み、交換、売却その他の処分の提案、案内若しくは勧誘又はいかなる投票若しくは承認の勧誘のいずれの一部を構成、表明又は形成するものではなく、またこれを行うことを意図しておりません。本ニュースリリースにより株式又は有価証券の募集を公に行うものではありません。米国 1933 年証券法の登録又は登録免除の要件に基づいて行うものを除き、米国において有価証券の募集は行われません。本ニュースリリースは、(投資、取得、処分その他の取引の検討のためではなく)情報提供のみを目的として受領者により使用されるという条件の下で(受領者に対して提供される追加情報と共に)提供されております。当該制限を遵守しなかった場合には、適用のある証券法違反となる可能性があります。
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<医療情報>
本ニュースリリースには、製品に関する情報が含まれておりますが、それらの製品は、すべての国で発売されているものではなく、また国によって異なる商標、効能、用量等で販売されている場合もあります。ここに記載されている情報は、開発品を含むいかなる医療用医薬品を勧誘、宣伝又は広告するものではありません。
References
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- HAEGARDA® (C1 Esterase Inhibitor Subcutaneous [Human]). U.S. Prescribing Information.
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- Busse PJ, Christiansen SC, Riedl MA, et al. US HAEA Medical Advisory Board 2020 guidelines for the management of hereditary angioedema. J Allergy Clin Immunol Pract. 2021 Jan;9(1):132-150.e3. doi: 10.1016/j.jaip.2020.08.046.
- Bork K, Hardt J, Schicketanz KH, Ressel N. Clinical studies of sudden upper airway obstruction in patients with hereditary angioedema due to C1 esterase inhibitor deficiency. Arch Intern Med. 2003 May;163(10):1229–35. doi:10.1001/archinte.163.10.1229.
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- Banerji A, Davis KH, Brown TM, et al. Patient-reported burden of hereditary angioedema: findings from a patient survey in the United States. Ann Allergy Asthma Immunol. 2020 Jun;124(6):600-607. doi:10.1016/j.anai.2020.02.018.
- Maurer M, Lumry WR, Li HH, et al. Efficacy and safety of lanadelumab in pediatric patients aged 2 to <12 years with hereditary angioedema: results from the open-label, multicenter Phase 3 SPRING study. Presented July 1-3, 2022 Prague, Czech Republic at European Academy of Allergy and Clinical Immunology Hybrid Congress 2022.
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- Banerji A, Bernstein JA, Johnston DT, et al; for HELP OLE Investigators. Long-term prevention of hereditary angioedema attacks with lanadelumab: the HELP OLE Study. 2022 Mar;77(3):979-990. doi:10.1111/all.15011.
- Longhurst HJ, Bork K. Hereditary angioedema: an update on causes, manifestations, and treatment. Br J Hosp Med. 2019 Jul;80(7):391-398. doi:10.12968/hmed.2019.80.7.391.
以上