臨床第3相AURORA試験において、主要評価項目は未達ながら、造血幹細胞移植患者さんを対象としたサイトメガロウイルス(CMV)感染におけるmaribavirの臨床的に意味のある持続的な効果について

臨床第3相AURORA試験において、主要評価項目は未達ながら、造血幹細胞移植患者さんを対象としたサイトメガロウイルス(CMV)感染におけるmaribavirの臨床的に意味のある持続的な効果について


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2022年12月20日

−治療期終了時8週目において、CMV消失を達成した患者さんの割合は、maribavir群では69.6%、バルガンシクロビル群では77.4%であり、事前に規定した7%のマージンに基づき、非劣性は示されなかった1

−治療期終了後の16週目において、8週目からのウイルス血症の消失および症状コントロールの維持効果を達成した患者さんの割合は、maribavir群では52.7%、バルガンシクロビル群では48.5%1

−maribavirによる維持効果の持続について、治療期終了後である12週目(maribavir 59.3%、バルガンシクロビル57.3%)および20週目(maribavir 43.2%、バルガンシクロビル42.3%)の治療終了後評価で確認1

−バルガンシクロビルの試験治療下での好中球減少症発現率が高いこと(maribavirの21.2%に対して63.5%)と好中球減少症による投与の早期中止率が高いこと(maribavirの4%に対して17.5%)から、maribavirの良好な安全性プロファイルを試験において再確認1

−引き続き移植領域に尽力し、AURORA試験のアウトカムを検討するために規制当局と連携中

当社は、このたび、造血幹細胞移植(HSCT)後の患者さんへのCMV感染治療薬としてバルガンシクロビルと比較したmaribavirの有効性および安全性を評価するための臨床第3相、多施設共同、無作為化、二重盲検、ダブルダミー、実薬対照試験であるAURORA試験において、事前に規定した非劣性マージンである7%に基づき、バルガンシクロビルとの非劣性を検討した主要評価項目を満たさなかったものの(maribavir 69.6%[190/273]vs.バルガンシクロビル77.4%[212/274]、調整群間差:-7.7%、95% CI:-14.98、-0.36)、maribavirがCMV血症の消失*における臨床的に意味のある有効性を示したことをお知らせします。主要評価項目は、治療期終了時(8週目)における、バルガンシクロビルと比較したmaribavirのみの投与後にCMV血症の消失(血漿CMV DNAがLLOQ未満、すなわち137 IU/mL未満)が確認された患者さんの割合と定義しました。

重要な副次評価項目として、投与終了から8週後の16週目に、8週目に達成したCMV血症の消失および症状コントロールを維持した患者さんの割合は、maribavir投与群(52.7%[144/273])の方がバルガンシクロビル群(48.5%[133/274]、調整群間差:4.4%、95%CI:-3.91、12.76)と比較して数値的に上回りました。maribavirによるバルガンシクロビル群と同程度の維持効果は、12週目(maribavir 59.3%[162/273]vs. バルガンシクロビル57.3%[157/274])および20週目(maribavir 43.2%[118/273]vs. バルガンシクロビル42.3%[116/274])のすべての投与終了後評価で一貫していました。1

AURORA試験の安全性データの解析では、バルガンシクロビルと比較してmaribavirの良好な安全性プロファイルが再確認されましたが、これは試験治療下での好中球減少症の発現がmaribavirの21.2%[58/273]に対してバルガンシクロビルが63.5%[174/274]であったことと関連し、maribavirの4%[11/273]と比較してバルガンシクロビルでは17.5%[48/274]の早期投与中止に至りました。maribavirで最もよく報告された有害事象は、悪心(27.5%)と味覚不全(25.6%)でした。1

AURORA試験の治験責任医師であり骨髄移植を専門とする血液学の第一人者で、医学博士、RCPフェローのRafael F. Duarteは「造血幹細胞移植後のCMV感染患者さんには、好中球減少症や腎毒性と関連する今日一般的に使用されている従来の抗CMV治療薬よりも忍容性のある治療選択肢が必要です。AURORA試験において、maribavirがHSCT患者さんに臨床的に意味のある持続的なCMV血症の消失をもたらす可能性があることが示されたことを非常に嬉しく思っています。AURORA臨床試験チームを代表して、本試験の実施に携わられた患者さん、介護者、臓器ドナーの皆様全員の他者を助ける高潔な献身に心からの感謝を申し上げます。」と述べています。

AURORA試験は、移植後のCMV治療としてのmaribavirに関する最も大規模な臨床第3相、無作為化、比較試験であり、HSCTおよび固形臓器移植(SOT)後の従来の抗ウイルス療法(ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、シドフォビルのいずれか1つまたはその併用)に抵抗性(抵抗性無しも含む)を示す難治性のCMV感染患者さん352名を対象として、maribavirまたは従来の抗ウイルス療法の有効性および安全性を評価するためのグローバル、多施設共同、無作為化、非盲検、実薬対照、優越性試験であるSOLSTICE試験に続くものです。2

当社はAURORA試験の結果を関連する規制当局と共有中であり、引き続き移植後の無症候性初回CMV感染に対するmaribavirの可能性について連携してまいります。

AURORA試験の全データの結果は、査読付き学術誌にも投稿する予定です。

CMVについて

CMVはヒトに多く感染するベータヘルペスウイルスであり、さまざまな成人集団の40~100%で感染歴を認める血清学的エビデンスがあります3。CMVは通常、体内に潜伏し、無症候性ですが、免疫抑制期間中に再活性化することがあります。免疫機能が低下した人では、重篤な疾患を発現することがあり、これには造血細胞移植(HCT)や固形臓器移植(SOT)を始めとする、さまざまな種類の移植に関連した免疫抑制剤の投与を受けている患者さんも含まれます4。世界における1年の推定20万人の成人移植のうち、CMVは移植後の患者さんが経験する最もよくみられるウイルス感染のひとつであり、推定発現率はSOTの患者さんで16~56%、HCTの患者さんで30~80%です4,5

移植後の患者さんでCMVが再活性化すると、移植臓器の喪失などの重篤な結果に至る可能性があり、極端な場合では深刻な状態に陥ることもあります6,7 。移植後のCMV感染に対する従来の治療法には、用量調節を必要とする重篤な副作用が認められることや、ウイルスの複製を十分に抑制できない可能性があります8。さらに、従来の治療法では、投与のために入院を要することや入院が長期化することがあります8,9

LIVTENCITY(maribavir)について

経口投与可能な抗CMV化合物であるLIVTENCITYTM(maribavir)は、pUL97プロテインキナーゼとその天然基質を標的として阻害する最初で唯一の抗ウイルス剤です2。LIVTENCITYは移植後の成人患者さんと小児患者さん(12歳以上で体重が35 kg以上)におけるガンシクロビル、バルガンシクロビル、シドフォビルまたはホスカルネットによる治療に対して遺伝子型抵抗性(無しも含む)を示す難治性のサイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症治療薬として米国FDAに承認されています10。欧州委員会(EC)および英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA)には、HSCTまたはSOT後の成人患者さんにおける既存の治療薬であるガンシクロビル、バルガンシクロビル、シドフォビルまたはホルカルネットのいずれか1種類以上に対して抵抗性(無しも含む)を示す難治性CMV感染/感染症治療薬として承認されています11。カナダ保健省には、移植後の成人患者さんにおける既存の抗ウイルス治療薬のいずれか1種類以上に対して遺伝子型抵抗性(無しも含む)を示す難治性CMV感染/感染症治療薬としても承認されています12。また、オーストラリアでは、移植後の成人患者さんにおける既存療法のいずれか1種類以上に対して抵抗性、難治性または不耐性のCMV感染及び感染症治療薬として承認されています13

*CMV血症の消失は、治療期終了時8週目のCOBAS® AmpliPrep/COBAS® TaqMan® CMV検査により、少なくとも5日間を隔てて連続した2検体でCMV DNAレベルが定量下限(LLOQ)未満(すなわち137 IU/mL未満)であると確認された場合と定義します。

武田薬品について

武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品は、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために」という約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続ける未来を目指します。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(治療手段)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80の国と地域で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。 詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

留意事項

本留意事項において、「ニュースリリース」とは、本ニュースリリース(添付資料及び補足資料を含みます。)において武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)によって説明又は配布された本書類、口頭のプレゼンテーション、質疑応答及び書面又は口頭の資料を意味します。本ニュースリリース(それに関する口頭の説明及び質疑応答を含みます。)は、いかなる法域においても、いかなる有価証券の購入、取得、申込み、交換、売却その他の処分の提案、案内若しくは勧誘又はいかなる投票若しくは承認の勧誘のいずれの一部を構成、表明又は形成するものではなく、またこれを行うことを意図しておりません。本ニュースリリースにより株式又は有価証券の募集を公に行うものではありません。米国 1933 年証券法に基づく登録又は登録免除の要件に従い行うものを除き、米国において有価証券の募集は行われません。本ニュースリリースは、(投資、取得、処分その他の取引の検討のためではなく)情報提供のみを目的として受領者により使用されるという条件の下で(受領者に対して提供される追加情報と共に)提供されております。当該制限を遵守しなかった場合には、適用のある証券法違反となる可能性がございます。

武田薬品が直接的に、又は間接的に投資している会社は別々の会社になります。本ニュースリリースにおいて、「武田薬品」という用語は、武田薬品およびその子会社全般を参照するものとして便宜上使われていることがあり得ます。同様に、「当社(we、usおよびour)」という用語は、子会社全般又はそこで勤務する者を参照していることもあり得ます。これらの用語は、特定の会社を明らかにすることが有益な目的を与えない場合に用いられることもあり得ます。

将来に関する見通し情報

本ニュースリリース及び本ニュースリリースに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標、計画及び、温室効果ガス排出量の削減目標を含む当社の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「確実にする(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」、「することができた(could)」、「予想される(anticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」などの用語若しくは同様の表現又はそれらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではありません。これら将来見通し情報は、多くの重要な要因に関する前提に基づいており、実際の業績は、将来見通し情報において明示又は暗示された将来の業績とは大きく異なる可能性があります。その重要な要因には、当社による省エネルギーへの取り組みや、将来の再生可能エネルギー又は低炭素エネルギー技術の発展による当社の温室効果ガス排出量の削減、日本及び米国の一般的な経済条件を含む当社のグローバルな事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、世界的な医療制度改革を含む関連法規の変更、臨床的成功及び規制当局による判断とその時期の不確実性を含む新製品開発に内在する困難、新製品および既存製品の商業的成功の不確実性、製造における困難又は遅延、金利及び為替の変動、市場で販売された製品又は候補製品の安全性又は有効性に関するクレーム又は懸念、新規コロナウイルス・パンデミックのような健康危機が、当社が事業を行う国の政府を含む当社とその顧客及び供給業者又は当社事業の他の側面に及ぼす影響、買収対象企業とのPMI(買収後の統合活動)の時期及び影響、武田薬品の事業にとってのノン・コア資産を売却する能力及びかかる資産売却のタイミング、当社のウェブサイト(https://www.takeda.com/investors/reports/sec-filings/)又はwww.sec.gov Go to https://www.sec.gov/において閲覧可能な米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書及び当社の他の報告書において特定されたその他の要因が含まれます。武田薬品は、法律や証券取引所の規則により要請される場合を除き、本ニュースリリースに含まれる、又は当社が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本ニュースリリースにおける武田薬品の経営結果は武田薬品の将来の経営結果又はその公表を示すものではなく、その予測、予想、保証又は見積もりではありません。

医療情報

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以上

References

  1. VV-SUP-123715. Takeda DOF. TAK-620-302 Topline Report. November 2022.

  2. Avery R, Alain S, Alexander B, et al. Maribavir for refractory cytomegalovirus infections with or without resistance post-transplant: results from a phase 3 randomized clinical trial. Clin Infect Dis. 2022; 75(4):690-701.

  3. de la Hoz R. Diagnosis and treatment approaches to CMV infections in adult patients. J Clin Virol. 2002;25(Suppl 1):S1-S12. doi:10.1016/s1386-6532(02)00091-4.

  4. Azevedo L, Pierrotti L, Abdala E, et al. Cytomegalovirus infection in transplant recipients. Clinics (Sao Paolo). 2015;70(7):515-523. doi:10.6061/clinics/2015(07)09.

  5. Styczynski J. Who is the patient at risk of CMV recurrence: a review of the current scientific evidence with a focus on hematopoietic cell transplantation. Infect Dis Ther. 2018;7:1-16. doi:10.1007/s40121-017-0180-z.

  6. Ramanan P, Razonable RR. Cytomegalovirus infections in solid organ transplantation: a review. Infect Chemother. 2013;45(3):260. doi:10.3947/ic.2013.45.3.260.

  7. Camargo JF, Komanduri KV. Emerging concepts in cytomegalovirus infection following hematopoietic stem cell transplantation. Hematol Oncol Stem Cell Ther. 2017;10(4):233-238. doi:10.1016/j.hemonc.2017.05.001.

  8. Chemaly RF, Chou S, Einsele H, et al. Definitions of resistant and refractory cytomegalovirus infection and disease in transplant recipients for use in clinical trials. Clin Infect Dis. 2019;68(8):1420-1426. doi:10.1093/cid/ciy696.

  9. Martín-Gandul C, Pérez-Romero P, González-Roncero FM, et al. Clinical impact of neutropenia related with the preemptive therapy of CMV infection in solid organ transplant recipients. J Infect. 2014;69(5):500-506. doi:10.1016/j.jinf.2014.07.001.

  10. Takeda. Takeda’s LIVTENCITY (maribavir) approved by U.S. FDA as the first and only treatment for people ages 12 and older with post-transplant cytomegalovirus (CMV), refractory (with or without genotypic resistance) to conventional antiviral therapies. Published November 23, 2021. https://www.takeda.com/newsroom/newsreleases/2021/takeda-livtencity-maribavir-approved-by-us-fda/.

  11. Takeda. European Commission (EC) approves LIVTENCITYTM▼ (maribavir) for the treatment of adults with post-transplant cytomegalovirus (CMV) infection and/or disease that are refractory (with or without resistance) to one or more prior therapies. Published November 11, 2022. Accessed December 8, 2022. https://www.takeda.com/newsroom/newsreleases/2022/european-commission-ec-approves-livtencitytm-maribavir/.

  12. Takeda. Health Canada approves Takeda’s LIVTENCITYTM (maribavir) the first and only treatment for adults with post-transplant cytomegalovirus (CMV) infection. Published September 20, 2022. https://www.takeda.com/en-ca/newsroom/news-releases/2022/health-canada-approves-takedas-livtencity-maribavir-the-first-and-only-treatment-for-adults-with-post-transplant-cytomegalovirus-cmv-infection/.

  13. Therapeutic Goods Administration (TGA). LIVTENCITY maribavir 200 mg film coated tablet bottle (380132) [Australian product information]. Therapeutic Goods Administration (TGA). Published October 8, 2022. Accessed October 17, 2022. https://www.tga.gov.au/resources/artg/380132Go to https://www.tga.gov.au/resources/artg/380132.