遺伝性血管性浮腫(HAE)を有する2歳以上12歳未満の小児患者さんを対象としたタクザイロ®(一般名:ラナデルマブ(遺伝子組換え))の発作抑制に関する最初かつ唯一の非盲検臨床第3相試験の良好な結果について

遺伝性血管性浮腫(HAE)を有する2歳以上12歳未満の小児患者さんを対象としたタクザイロ®(一般名:ラナデルマブ(遺伝子組換え))の発作抑制に関する最初かつ唯一の非盲検臨床第3相試験の良好な結果について


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2022年7月1日

- 2歳以上12歳未満の小児患者さんにおいて、投与開始時と比較して52週間のタクザイロによる治療で遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作が94.8%低下
- 最新のフラッシュトークプレゼンテーションで、現在長期予防治療薬(LTP)が承認されていない6歳未満の小児患者さんにおいて臨床的に意味のある良好な臨床第3相の結果を発表
- 本結果は成人および12歳以上の小児患者さんを対象として既に実施された試験において確認されたタクザイロの良好な有効性および安全性プロファイルと一致
- 世界各国での規制当局への承認申請を2022年度に開始する予定

 

当社は、本日、ハイブリッドで開催される2022年欧州アレルギー臨床免疫学会議(European Academy of Allergy and Clinical Immunology:EAACI)において、タクザイロ®(一般名:ラナデルマブ(遺伝子組換え))の2歳以上12歳未満の患者さんにおける遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作抑制について良好な結果を示した第3相SPRING試験(NCT04070326)の最新データを公表しましたのでお知らせします。本結果は、これまでの成人および12歳以上の小児患者さんを対象とした研究結果と一致しています。1 現時点では、6歳未満のHAE患者さんに対して承認されている長期予防治療薬(LTP)はありません。2,3,4,5

多施設非盲検臨床第3相試験であるSPRING試験の主要評価は、2歳以上12歳未満のHAE患者さんを対象とした、タクザイロの安全性および薬物動態(PK)です。また、副次評価項目として、HAE発作抑制の臨床効果を評価しています。

シャリテー・ベルリン医科大学(ドイツ)の皮膚科・アレルギー科教授であり、本試験の研究責任医師であるマルクス・マウラー(Marcus Maurer)博士は、「遺伝性血管性浮腫は深刻な浮腫などの予測不可能な症状が、小児患者さんに身体的にも精神的にも負担を与えうる希少疾患です。SPRING試験では、投与開始時には月に平均約2回の遺伝性血管性浮腫の発作に悩まされていた小児患者さんの大多数が、タクザイロによる治療で52週間にわたり無発作でした」と述べています。

本試験では、本剤150 mg を2歳以上6歳未満の患者さんでは4週毎に、6歳以上12歳未満の患者さんでは2週毎に投与しました。1タクザイロは投与開始時と比較して小児患者さんにおけるHAEの発作発症率を平均94.8%低下させ、投与期間における発作は1か月あたり1.84回から0.08回になりました。1患者さんの大多数(76.2%)は52週間の投与期間中に無発作となり、平均99.5%の日数が無発作日となりました。1本試験中に報告された死亡または重篤な有害事象(TEAEs)はなく、TEAEsにより試験を中止した患者さんはいませんでした。1最も多く報告されたTEAEは、注射部位疼痛であり、ほとんどのTEAEsは軽度または中等度でした。6これらの結果は、成人および12歳以上の小児患者さんを対象とした既に実施された試験で確認されたタクザイロの良好な有効性および安全性プロファイルと一致するものです。1,7,8

HAE発作は、腹部、顔面、足、性器、手、喉などに深刻かつ体を衰弱させる腫脹を引き起こすことがあり、幼少期の極めて早期に発症することがあります。上気道血管性浮腫は、3歳の子どもでも致命的な症状を示すことが報告されています。9,10 HAEの診断は症状が現れてから平均8.4年かかります。8HAEの成人患者さんの50%は不安を感じ、34%は社会活動における困難を経験し、58%は症状が仕事の昇進に悪影響をおよぼしていると報告されています。1,7,8

当社のグローバル クリニカル リードであるミン・ユ(Ming Yu)は、「SPRING試験のデータは、様々な遺伝性血管性浮腫の患者さんにおいてタクザイロの安全性および有効性を確固とするものです。現在、長期予防治療薬が承認されていない2歳の小児患者さんにおいて、再発性HAE発作を抑制する長期予防治療薬の可能性を示す今回の知見を大変心強く思います」と述べています。

多施設非盲検臨床第3相SPRING試験の結果は、以下のとおりです。1

  • 全体でラナデルマブ投与中の発作発症率は投与開始時と比較して約95%低下しました。
    • 抑制率は、ラナデルマブ150 mgを4週毎もしくは2週毎に投与した患者さんで同等でした。
  • ラナデルマブの全身への曝露が示されました。
  • 2週毎に本剤300mgを投与された成人患者さんと12歳以上の小児患者さんとの比較:
    • 6歳以上12歳未満の患者さんにおける2週毎の本剤150 mg投与による定常状態曝露は、同等でした。
    • 2歳以上6歳未満の患者さんにおける4週毎の本剤150 mg投与による最小定常状態濃度は50-60%低くなりましたが、臨床的に意味のある治療反応を得るには十分でした。
  • 16名(76.2%)の患者さんが全投与期間において無発作でした。
  • 平均値99.5%(値域:96.4-100)の日数が無発作でした。
  • 全体で17名(81.0%)の患者さんが何らかのTEAEsを報告しました。
    • 7名(33.3%)の患者さんが治療に関連する何らかのTEAEを報告し、いずれも注射部位と関連していました。
    • 関連するTEAEsのプロファイルは両治療群間において同様でした。
    • 死亡および重篤なTEAEs、入院またはTEAEsによる中止はありませんでした。
  • 特に注目すべき有害事象(過敏性反応、凝固性亢進、出血事象)はありませんでした。
  • 臨床検査値またはバイタルサインに関して、臨床的に意味のある安全性の所見は確認されませんでした。


これらのデータは、タクザイロの低年齢の患者さんへの適応拡大に向けて、世界各国の規制当局に提出される予定です。

当社は、EAACIで計11件の発表を行う予定です。

EACCIで発表する当社のHAE治療薬ポートフォリオ全体のデータに関する詳細については、会議のウェブサイトをご覧ください。

<遺伝性血管性浮腫について>

遺伝性血管性浮腫(HAE)は、腹部、顔面、足、性器、手、喉など、身体のさまざまな部分で繰り返し起こる浮腫発作を引き起こす希少な遺伝性疾患です。腫脹は身体を衰弱させ痛みを伴うことがあります。11気道を遮断する発作は窒息を引き起こすことがあり、生命を脅かす可能性があります。12HAEは、世界中で5万人にひとりが罹患していると推定されています。13この疾患は多くの場合、認識されず、診断や治療が不十分なことがあります。 13

<遺伝性血管性浮腫における当社の活動>

遺伝性血管性浮腫(HAE)は他の希少疾患と同様に症状や病態などが極めて複雑であり、患者さん、その家族、および介護者がこの疾患を理解し、確定診断を受け、また必要な治療薬が投与されるまでには、長年にわたって苦悩を経験されることが頻繁に見られます。HAEを持つ人々の症状や状態はそれぞれ異なりますが、当社はその個々のニーズに耳を傾けることによって得たインサイトを、診断から継続的治療までの革新的ソリューションへと結び付けています。学術的な発展は当社の業務遂行にとって極めて重要な位置を占めており、当社は診断を迅速化し、HAE患者さんの暮らし、その支援ネットワーク、および治療にあたる医療関係者に違いをもたらすような、変化を引き起こす持続可能な治療手段を開発するというミッションのもと、達成の限界を押し広げていくことを恐れません。

<武田薬品について>

武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品は、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために」という約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続ける未来を目指します。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(治療手段)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80の国と地域で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。

詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。
 

<留意事項>

本留意事項において、「ニュースリリース」とは、本ニュースリリースにおいて武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)によって説明又は配布された本書類、口頭のプレゼンテーション、質疑応答及び書面又は口頭の資料を意味します。本ニュースリリース(それに関する口頭の説明及び質疑応答を含みます)は、いかなる法域においても、いかなる有価証券の購入、取得、申込み、交換、売却その他の処分の提案、案内若しくは勧誘又はいかなる投票若しくは承認の勧誘のいずれの一部を構成、表明又は形成するものではなく、またこれを行うことを意図しておりません。本ニュースリリースにより株式又は有価証券の募集を公に行うものではありません。米国 1933 年証券法に基づく登録又は登録免除の要件に従い行うものを除き、米国において有価証券の募集は行われません。本ニュースリリースは、(投資、取得、処分その他の取引の検討のためではなく)情報提供のみを目的として受領者により使用されるという条件の下で(受領者に対して提供される追加情報と共に)提供されております。当該制限を遵守しなかった場合には、適用のある証券法違反となる可能性がございます。

武田薬品が直接的に、又は間接的に投資している会社は別々の会社になります。本ニュースリリースにおいて、「武田薬品」という用語は、武田薬品及びその子会社全般を参照するものとして便宜上使われていることがあり得ます。同様に、「当社(we、us及びour)」という用語は、子会社全般又はそこで勤務する者を参照していることもあり得ます。これらの用語は、特定の会社を明らかにすることが有益な目的を与えない場合に用いられることもあり得ます。

本ニュースリリースに記載されている製品名は、武田薬品または各所有者の商標または登録商標です。
 

<将来に関する見通し情報>

本ニュースリリース及び本ニュースリリースに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標、計画及び、温室効果ガス排出量の削減目標を含む当社の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「確実にする(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」、「することができた(could)」、「予想される(anticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」などの用語若しくは同様の表現又はそれらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではありません。これら将来見通し情報は、多くの重要な要因に関する前提に基づいており、実際の業績は、将来見通し情報において明示又は暗示された将来の業績とは大きく異なる可能性があります。その重要な要因には、当社による省エネルギーへの取り組みや、将来の再生可能エネルギー又は低炭素エネルギー技術の発展による当社の温室効果ガス排出量の削減、日本及び米国の一般的な経済条件を含む当社のグローバルな事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、世界的な医療制度改革を含む関連法規の変更、臨床的成功及び規制当局による判断とその時期の不確実性を含む新製品開発に内在する困難、新製品および既存製品の商業的成功の不確実性、製造における困難又は遅延、金利及び為替の変動、市場で販売された製品又は候補製品の安全性又は有効性に関するクレーム又は懸念、新規コロナウイルス・パンデミックのような健康危機が、当社が事業を行う国の政府を含む当社とその顧客及び供給業者又は当社事業の他の側面に及ぼす影響、買収対象企業とのPMI(買収後の統合活動)の時期及び影響、武田薬品の事業にとってのノン・コア資産を売却する能力及びかかる資産売却のタイミング、当社のウェブサイト(https://www.takeda.com/jp/investors/sec-filings/)又はwww.sec.gov において閲覧可能な米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書及び当社の他の報告書において特定されたその他の要因が含まれます。武田薬品は、法律や証券取引所の規則により要請される場合を除き、本ニュースリリースに含まれる、又は当社が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本ニュースリリースにおける武田薬品の経営結果は武田薬品の将来の経営結果又はその公表を示すものではなく、その予測、予想、保証又は見積もりではありません。
 

<医療情報>

本ニュースリリースには、製品についての情報が含まれておりますが、それらの製品は、すべての国で発売されているものではありません。また、国によって異なる商標、効能、用量等で販売されている場合もあります。ここに記載されている情報は、開発品を含むいかなる医療用医薬品の効能を勧誘、宣伝又は広告するものではありません。

 

以上

  1. Maurer M, Lumry WR, Li H, et al. Efficacy and Safety of Lanadelumab in Pediatric Patients Aged 2 to <12 years With Hereditary Angioedema: Results From the Open-Label, Multicenter Phase 3
  2. HAEGARDA® (C1 Esterase Inhibitor Subcutaneous [Human]). Product Characteristics.
  3. CINRYZE® (C1 esterase inhibitor [human]). Product Characteristics.
  4. CINRYZE® (C1 esterase inhibitor [human]). Prescribing Information.
  5. Farkas H, Martinez-Saguer I, Bork K, Bowen T, Craig T, Frank M, Germenis AE, Grumach AS, Luczay A, Varga L, Zanichelli A, on behalf of HAWK.
  6. Maurer M, Lumry WR, Li H, et al. Efficacy and Safety of Lanadelumab in Pediatric Patients Aged 2 to <12 years With Hereditary Angioedema: Results From the Open-Label, Multicenter Phase 3 SPRING Study. Abstract submitted to European Academy of Allergy and Clinical Immunology Hybrid Congress 2022.
  7. TAKHZYRO® (lanadelumab-flyo) injection. U.S. Prescribing Information.
  8. TAKHZYRO® (lanadelumab). European Summary of Product Characteristics
  9. Banerji A, Busse P, Christiansen SC, et al. Current state of hereditary angioedema management: a patient survey. Allergy Asthma Proc. 2015;36(3):213-217.
  10. Bork K, Hardt J, Schicketanz KH, Ressel N. Clinical studies of sudden upper airway obstruction in patients with hereditary angioedema due to C1 esterase inhibitor deficiency. Arch Intern Med. 2003;163(10):1229–35. doi: 10.1001/archinte.163.10.1229.
  11. Maurer M, Magerl M, Betschel S, et al. The international WAO/EAACI guideline for the management of hereditary angioedema – The 2021 revision and update. 2022; 00: 1– 30. doi:10.1111/all.15214.
  12. Banerji A, Davis KH, Brown TM, et al. Patient-reported burden of hereditary angioedema: findings from a patient survey in the United States. Ann Allergy Asthma Immunol. 2020;124(6)600-607.
  13. Longhurst HJ, Bork K. Hereditary angioedema: an update on causes, manifestations, and treatment. Br J Hosp Med. 2019;80(7):391-398.