米国FDA諮問委員会による移植後の難治性/抵抗性(無しも含む)サイトメガロウイルス(CMV)感染症に対する治療薬maribavir(TAK-620)使用の推奨について
米国FDA諮問委員会による移植後の難治性/抵抗性(無しも含む)サイトメガロウイルス(CMV)感染症に対する治療薬maribavir(TAK-620)使用の推奨について
- maribavirがFDAにより承認された場合、移植後のCMV感染の成人患者さんを対象とした初めてかつ唯一の治療薬になる可能性
- CMVは移植後の患者さんにおける最もよくみられる感染症の一つで、推定発現率は固形臓器移植(SOT)後の患者さんで16-56%、造血幹細胞移植(HCT)後の患者さんで30-70%3,7
- maribavirの臨床第2相試験および臨床第3相TAK-620-303(SOLSTICE)試験に基づき承認を申請
-maribavirは承認申請したウェーブ1パイプラインの4つの新規化合物質の1つ
当社は、このたび、米国食品医薬品局(FDA)抗菌薬諮問委員会(AMDAC)において、移植後の成人患者さんにおける既存の抗サイトメガロウイルス(CMV)療法であるガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、またはシドフォビルに対して遺伝子型抵抗性を示す難治性のCMV感染症治療薬としてTAK-620(一般名:maribavir)の使用を勧告することを全員一致で支持し、また移植後の成人患者さんにおける遺伝子型抵抗性の無い難治性のCMV感染症に対する治療薬としても全員一致で使用を勧告しましたのでお知らせします。両勧告は、臨床第2相試験および臨床第3相TAK-620-303(SOLSTICE)試験の結果に基づいています。
当社のヴァイスプレジデントでありmaribavirのグローバルプログラムリーダーを務めるオビ・ウメ(Obi Umeh)医学博士は、「今回の治験中の抗ウイルス薬に対する支持票は、抵抗性の有無に関わらず難治性CMV感染症の移植後の成人患者さんに対して初めて承認された治療薬の提供に向けて大きな一歩になります。申請の審査完了に向けて、引き続きFDAと協力してまいります」と述べています。
AMDACは、この疾患への新しい治療法の必要性を強く感じている患者さん、その支援者そして医療従事者の方々から公開討論会において意見を聴取しました。
現在、maribavirの新薬承認申請(NDA)は、FDAにより優先審査指定を受けています。FDAは、本見解をNDAの審査の一環として考慮し、AMDACの勧告に拘束されることはありません。このNDA提出は、ピボタル臨床第3相TAK-620-303(SOLSTICE)試験に基づいています。
ペンシルバニア大学病院の移植感染症部門のディレクターであるエミリー・ブルムバーグ博士は、「固形臓器や幹細胞の移植を受けた患者さんのCMV治療は複雑ですが、特に現在の標準治療法で効果が得られなかった患者さんや副作用のリスクが高い可能性のある患者さんでは顕著です。移植後のCMV患者さんに新たな治療選択肢を提供できることを期待しています」と述べています。
<CMVについて>
CMVはヒトに多く感染するベータヘルペスウイルスであり、さまざまな成人集団の40~100%で感染歴を認める血清学的エビデンスがあります1。CMVは通常、体内に潜伏し、無症候性ですが、免疫抑制期間中に再活性化することがあります。免疫機能が低下した人では、重篤な疾患を発現することがあり、こうした人には造血幹細胞移植(HCT)や固形臓器移植(SOT)を始めとする、さまざまな種類の移植に関連した免疫抑制剤の投与を受けている患者さんも含まれます2,3。世界における1年あたり推定20万件の成人移植のうち、CMVは移植後の患者さんが経験する最もよくみられるウイルス感染のひとつであり、推定発現率はSOTの患者さんで16~56%、HCTの患者さんで30~70%です3–10。
移植後の患者さんでCMVが再活性化すると、移植臓器の喪失などの深刻な結果に至る可能性があり、極端な場合では死に至ることもあります11,12。移植後のCMV感染に対する既存の治療法は、用量調節を必要とすることや、ウイルスの複製を十分に抑制できない可能性があります11–13。さらに、既存の治療法では、投与のために入院を要することや入院が長期化することがあります11,12。
<maribavirについて>
maribavirは経口投与可能な抗CMV化合物であり、現在、固形臓器移植(SOT)または造血幹細胞移植(HCT)の両移植後のCMV感染成人患者さんの治療薬として臨床第3相試験が実施されている唯一の抗ウイルス薬です。maribavirは、米国食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)やその他の規制当局によって承認されておらず、開発中の治療薬です。maribavirはUL97プロテインキナーゼとその天然基質を標的として阻害する唯一のCMV抗ウイルス薬です14–17。
maribavir は、欧州委員会から、細胞性免疫障害を有する患者さんのCMV感染症の治療薬として、また米国食品医薬品局(FDA)から、臨床的に重篤なCMV血症およびCMV感染症リスクの高い患者さんの治療薬として希少疾病用医薬品指定を受けています。希少かつ生命にかかわる疾患の治療または予防を目的とした特定の治験薬は、希少疾病用医薬品として指定を受けます。FDAは、CMV感染およびCMV感染症を有し、既存の治療に抵抗性を有するまたは難治性の成人移植患者さんへの治療薬として、 maribavirのBreakthrough Therapy指定を行っています。Breakthrough Therapy指定により、重篤な疾患に対して既存の治療法よりも大幅な改善を示す可能性のある臨床データを有する治験薬の開発ならびに評価が推進されます。最近では、米国食品医薬品局(FDA)が、成人患者さんにおける移植後の既存の抗CMV療法に難治性/抵抗性のCMV感染に対する治療薬として、maribavirの優先審査指定を行いました。この指定および新薬承認申請(NDA)の受理は、FDAや欧州医薬品庁(EMA)が成人移植患者さんにおけるCMV感染治療薬としてmaribavirを承認することを保証するものではなく、承認時期は未定です。
<武田薬品について>
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品は、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために」という約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続ける未来を目指します。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80の国と地域で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。
<留意事項>
本留意事項において、「リリース」とは、本ニュースリリース(添付資料および補足資料を含みます。)において武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)によって説明または配布された本書類、口頭のプレゼンテーション、質疑応答および書面または口頭の資料を意味します。本リリース(それに関する口頭の説明および質疑応答を含みます。)は、いかなる法域においても、いかなる有価証券の購入、取得、申込み、交換、売却、その他の処分の提案、案内もしくは勧誘またはいかなる投票もしくは承認の勧誘のいずれの一部を構成、表明または形成するものではなく、またこれを行うことを意図しておりません。本リリースにより株式または有価証券の募集を公に行うものではありません。米国1933年証券法(その後の改正を含みます。)に基づく登録または登録免除の要件に従い行うものを除き、米国において有価証券の募集は行われません。本リリースは、(投資、取得、処分、その他の取引の検討のためではなく)情報提供のみを目的として受領者により使用されるという条件の下で(受領者に対して提供される追加情報と共に)提供されております。当該制限を遵守しなかった場合には、適用のある証券法違反となる可能性がございます。武田薬品が直接的に、または間接的に投資している会社は別々の会社になります。本リリースにおいて、「武田薬品」という用語は、武田薬品およびその子会社全般を参照するものとして便宜上使用されていることがあります。同様に、「当社(we、usおよびour)」という用語は、子会社全般またはそこで勤務する者を参照していることもあります。これらの用語は、特定の会社を明らかにすることが有益な目的を与えない場合に用いられることもあります。
本ニュースリリースに記載されている製品名は、武田薬品または各所有者の商標または登録商標です。
<将来に関する見通し情報>
本ニュースリリースおよび本ニュースリリースに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標および計画を含む当社の将来の事業、将来のポジションおよび業績に関する将来見通し情報、理念または見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「確実にする(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」「することができた(could)」、「予想される(anticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」などの用語もしくは同様の表現またはそれらの否定表現を含むことが多いですが、これらに限られるものではございません。これら将来見通し情報は、多くの重要な要因に関する前提に基づいており、実際の業績は、将来見通し情報において明示または暗示された将来の業績とは大きく異なる可能性があります。その重要な要因には、日本および米国の一般的な経済条件を含む当社のグローバルな事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、世界的な医療制度改革を含む関連法規の変更、臨床的成功および規制当局による判断とその時期の不確実性を含む新製品開発に内在する困難、新製品および既存製品の商業的成功の不確実性、製造における困難又は遅延、金利及び為替の変動、市場で販売された製品又は候補製品の安全性又は有効性に関するクレームまたは懸念、新規コロナウイルス・パンデミックのような健康危機が、当社が事業を行う国の政府を含む当社とその顧客および供給業者に及ぼす影響、買収対象企業とのPMI(買収後の統合活動)の時期および影響、武田薬品の事業にとってのノン・コア資産を売却する能力およびかかる資産売却のタイミング、当社のウェブサイト(https://www.takeda.com/jp/investors/sec-filings/)またはwww.sec.govにおいて閲覧可能な米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書および当社の他の報告書において特定されたその他の要因が含まれます。武田薬品は、法律や証券取引所の規則により要請される場合を除き、本ニュースリリースに含まれる、または当社が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本ニュースリリースにおける武田薬品の経営結果は武田薬品の将来の経営結果またはその公表を示すものではなく、その予測、予想、保証または見積もりではありません。
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以上