武田薬品とFrazier Healthcare Partnersとの提携によるノロウイルスワクチンの臨床開発を目的としたHilleVax社の設立について

武田薬品とFrazier Healthcare Partnersとの提携によるノロウイルスワクチンの臨床開発を目的としたHilleVax社の設立について


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2021年7月30日

- 武田薬品は、デング熱ワクチン、ジカウイルスワクチンならびにパンデミックワクチンへ注力

武田薬品工業株式会社(以下「武田薬品」)とFrazier Healthcare Partners(以下「Frazier社」)は、このたび、武田薬品のノロウイルスワクチンの開発および販売を行うバイオ医薬品企業 HilleVax, Inc.(以下「HilleVax社」)設立に関して提携しましたので、お知らせします。

武田薬品は、契約一時対価ならびに将来の売上に応じたキャッシュ・ロイヤルティおよびマイルストンを対価として、HilleVax社へノロウイルスワクチン候補であるHIL-214(旧開発コード:TAK-214)の日本を除く世界における独占的開発および販売の権利を譲渡しました。武田薬品は日本における販売権を保有し、HilleVax社は日本における開発活動をグローバル開発に統合します。武田薬品は引き続きワクチン事業に注力し、本提携により、武田薬品は現在日本で供給しているワクチンに加え、デング熱、新型コロナウイルス感染症、新型インフルエンザおよびジカウイルスに対して重点的に取り組むことが可能となります。

ウイルス様粒子技術(VLP)を用いたワクチン候補であるHIL-214は、4,712例の成人被験者を対象とした無作為割付プラセボ対照臨床第2相後期有効性フィールド試験を完了しています。本試験では、HIL-214の良好な忍容性およびノロウイルス感染に起因する中等度から重度の急性胃腸炎に対する予防効果のプルーフ・オブ・コンセプト(proof of concept)が確認されました1。本ワクチンについては、これまでに9つの臨床試験が実施されており、4,500例以上の被験者の安全性データおよび2,000例以上の被験者から得られた免疫原性データが集積されています。

武田薬品グローバル ワクチン ビジネス ユニットのプレジデントであるラジーヴ・ヴェンカヤ(Rajeev Venkayya)は、「武田薬品とFrazier社には優れた提携実績があり、HilleVax社の設立によって世界で最も開発が進むHIL-214がさらに進捗し、ノロウイルスによる急性胃腸炎の甚大な世界的負担の軽減に貢献することを確信しています。また本提携により、武田薬品は世界各国で承認申請を開始しているデング熱ワクチン、パンデミックプログラムおよび米国政府との提携によるジカウイルスワクチンの開発に重点的に取り組むことが可能になります」と述べています。

ノロウイルスは、下痢、嘔吐、腹痛、吐き気を特徴とし、時に発熱や、重篤な場合は脱水症状を引き起こすこともある腸管感染症として知られています2。ノロウイルスは、あらゆる年代で急性胃腸炎を引き起こす主たる原因として知られています3。ノロウイルス関連疾患は世界中で年間約7億人が発症し、年間20万人以上がノロウイルス感染を原因として亡くなっていると推測され、大きな経済的および社会的負担となっています3。現在、ノロウイルス感染症で承認されているワクチンはなく、HIL-214は現在、臨床試験で最も開発が進んでいるノロウイルスワクチンです。

HilleVax社共同設立者であり、Frazier社のベンチャーパートナーでもある山田忠孝氏は、「Phathom Pharmaceuticals社設立における良好な提携関係に続き、HilleVax社設立においても武田薬品と再び提携できることを非常に嬉しく思っています。ノロウイルスは高い罹患率と死亡率のみならず、世界中で甚大な経済的および社会的な損失をもたらします。HIL-214は、この甚大な損失に対処しうる重要な機会を与えてくれるものと信じています」と述べています。

 

以上

 

<武田薬品のワクチンに対する取り組みについて> 
ワクチンは、毎年200~300万人の生命を救い、世界の公衆衛生に劇的な変化をもたらしました。武田薬品は、70年にわたり、人々の健康を守るため日本でワクチンを供給してきました。現在、当社のグローバルワクチンビジネスは、デング熱、新型コロナウイルス感染症、ジカウイルス感染症、ノロウイルス感染症など、世界で最も大きな課題となっている感染症に対し、最先端の取り組みを行っています。武田薬品はワクチン開発、製造およびマーケットアクセスに関する豊富な実績と深い知識を有しており、世界で最も緊急性の高い公衆衛生ニーズに対応すべく、パイプラインの充実に努めてまいります。詳細については、www.TakedaVaccines.comをご覧ください。 

<武田薬品について>
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品は、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために」という約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続ける未来を目指します。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80の国と地域で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

<Frazier Healthcare Partners社について>
1991年創業のFrazier Healthcare Partners社は、医療系企業に成長およびベンチャー資本を提供するトッププロバイダーです。これまでに200社以上の企業に対し総額で約48億米ドルの資本を投資してきました。投資タイプは、企業の設立やベンチャービジネスから、収益性の高い中小企業の買収までさまざまです。同社のグロースバイアウトチームは、医療および医薬品サービス、医療用製品、およびそれらに関連する分野を投資対象とし、ライフサイエンスチームは、イノベーションを通じてアンメットメディカルニーズに取り組む治療およびその関連分野を投資対象としています。拠点は、ワシントン州シアトルとカリフォルニア州メンロパークにあり、米国、カナダ、欧州にて幅広く投資を実施しています。Frazier Healthcare Partnersに関する詳細は、同社のウェブサイト(http://www.frazierhealthcare.com)にてご確認ください。

<HilleVax社について>
HilleVax社は新規ワクチン候補の開発と販売に重点を置くバイオ医薬品企業です。同社の最初の開発プログラムであるHIL-214は、ウイルス様粒子技術(VLP)を用いたワクチンで、ノロウイルスに起因する中等度から重度の急性胃腸炎の予防を目的として開発中です。HilleVax社に関する詳細は、同社のウェブサイト(http://www.HilleVax.com)にてご確認ください。

<将来に関する見通し情報>
本ニュースリリース及び本ニュースリリースに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標及び計画を含む当社の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「確実にする(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」、「することができた(could)」、「予想される(anticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」などの用語若しくは同様の表現又はそれらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではありません。これら将来見通し情報は、多くの重要な要因に関する前提に基づいており、実際の業績は、将来見通し情報において明示又は暗示された将来の業績とは大きく異なる可能性があります。その重要な要因には、日本及び米国の一般的な経済条件を含む当社のグローバルな事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、世界的な医療制度改革を含む関連法規の変更、臨床的成功及び規制当局による判断とその時期の不確実性を含む新製品開発に内在する困難、新製品および既存製品の商業的成功の不確実性、製造における困難又は遅延、金利及び為替の変動、市場で販売された製品又は候補製品の安全性又は有効性に関するクレーム又は懸念、新規コロナウイルス・パンデミックのような健康危機が、当社が事業を行う国の政府を含む当社とその顧客及び供給業者又は当社事業の他の側面に及ぼす影響、買収対象企業とのPMI(買収後の統合活動)の時期及び影響、武田薬品の事業にとっての非中核資産を売却する能力及びかかる資産売却のタイミング、当社のウェブサイト(https://w​ww.takeda.​com/invest​ors/report​s/sec-fili​ngs/)又はwww.sec.gov において閲覧可能な米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書及び当社の他の報告書において特定されたその他の要因が含まれます。武田薬品は、法律や証券取引所の規則により要請される場合を除き、本ニュースリリースに含まれる、又は当社が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本ニュースリリースにおける武田薬品の経営結果は武田薬品の将来の経営結果又はその公表を示すものではなく、その予測、予想、保証又は見積もりではありません。

References
1 Sherwood J, et al. Vaccine 2020; 38(41):6442-6449
2 https://ww.cdc.gov/norovirus/index.html [accessed 2021 April 27].
3 Hall AJ, et al. Expert Rev Vaccines 2016;15(8):949-951