米国FDAによる移植後の既存の抗サイトメガロウイルス(CMV)療法に難治性/抵抗性のCMV感染に対する治療薬maribavirの新薬承認申請の優先審査指定について

米国FDAによる移植後の既存の抗サイトメガロウイルス(CMV)療法に難治性/抵抗性のCMV感染に対する治療薬maribavirの新薬承認申請の優先審査指定について


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2021年5月21日

- maribavirが承認された場合、移植後の難治性/抵抗性(抵抗性無しも含む)(R/R)サイトメガロウイルス(CMV)感染を適応とする初めてかつ唯一の治療薬になる可能性
- 新薬承認申請(NDA)は、移植後のR/R CMV感染患者さんを対象に既存の抗ウイルス療法に対する優越性の主要評価項目を達成したmaribavirの臨床第3相試験に基づき実施
- 米国食品医薬品局(FDA)は、移植後の既存の治療に難治性または抵抗性のCMV感染に対する治療薬として、maribavirをBreakthrough Therapy指定
- maribavirは、当社の6ヵ月以内に規制当局による審査対象となる4つめの新規候補物質

当社は、このたび、固形臓器移植(SOT)または造血幹細胞移植(HCT)の両移植後の難治性/抵抗性(無しも含む)(R/R)サイトメガロウイルス(CMV)感染の治療薬であるmaribavirについて、新薬承認申請(NDA)が米国食品医薬品局(FDA)に受理されましたのでお知らせします。

今年度は当社にとってパイプラインの転換点となる1年であり、2021年度末までに最大6件の規制当局への申請完了と4件の承認取得の可能性があります。このmaribavir のNDAの受理は、好酸球性食道炎の治療薬であるTAK-721およびEGFRエクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がんの治療薬であるmobocertinibのFDAへの申請、4歳から60歳の人を対象にすべてのデングウイルス血清型で引き起こされるデング熱の予防を目的としたデング熱ワクチン(TAK-003)の欧州医薬品庁への申請に次いで、6ヵ月以内に規制当局による審査を受ける当社の4つめの新規候補物質です。

当社のVice PresidentでありMaribavir Global Program LeaderであるObi Umehは、「CMVは移植後の患者さんに最も多く発現するウイルス感染の一つです。現在、治療の選択肢は限られているため、医師はウイルス消失と患者さんの治療や移植の結果に影響を及ぼしうる副作用の管理との間で慎重にバランスを取ることを余儀なくされています。maribavirが承認された場合、移植後CMVの治療風景を一変させる可能性を秘めており、この規制当局の申請受理はmaribavirの未来の重要なマイルストンです」と述べています。

この申請はグローバル臨床第3相試験であるTAK-620-303(SOLSTICE)試験に基づいています。この結果は移植・細胞治療学会議(TCT)2021デジタルエクスペリエンスで発表され、サブグループ解析の結果は第47回欧州骨髄移植学会(EBMT)年次総会のプレジデンシャルシンポジウムで発表されました。

Fred HutchのInfectious Disease Sciences Program Vaccine and Infectious Disease DivisionのHeadであるMichael Boeckh医学博士は、「CMV感染は移植後の患者さんの肺炎や消化器疾患などのリスクを増加させます。また移植片の拒絶、重複日和見感染、場合によっては死亡リスクの増加にさらされます。SOLSTICE試験の結果は有望であり、maribavirが移植後のアンメットニーズのある治療抵抗性のCMVを含めたCMV血症に有用である可能性を示しています」と述べています。

maribavirは、FDAから、臨床的に重篤なCMV血症およびCMV感染症リスクの高い患者さんの治療薬として希少疾病用医薬品指定を受けています。FDAは、CMV感染およびCMV感染症を有し、既存の治療に抵抗性を有するまたは難治性の移植患者さんへの治療薬として、maribavirのBreakthrough Therapy指定を行っています。この指定は、FDAが移植患者さんにおけるCMV感染治療薬としてmaribavirを承認することを保証するものではなく、承認時期は未定です。

<CMVについて>
CMVはヒトに多く感染するベータヘルペスウイルスであり、さまざまな成人集団の40~100%で感染歴を認める血清学的エビデンスがあります。CMVは通常、体内に潜伏し、無症候性ですが、免疫抑制期間中に再活性化することがあります。免疫機能が低下した人では、重篤な疾患を発現することがあり、こうした人には造血幹細胞移植(HCT)や固形臓器移植(SOT)を始めとする、さまざまな種類の移植に関連した免疫抑制剤の投与を受けている患者さんも含まれます。1年あたり推定20万件の成人移植のうち、CMVは移植後の患者さんが経験する最もよくみられるウイルス感染のひとつであり、推定発現率はSOTの患者さんで16~56%、HCT移植の患者さんで30~70%です。
移植後の患者さんでCMVが再活性化すると、移植臓器の喪失などの深刻な結果に至る可能性があり、極端な場合では死に至ることもあります。移植後CMV感染に対する既存の治療法は重篤な副作用を呈する可能性があり、用量調節を必要とすることや、十分にウイルスの複製を抑制できない可能性があります。さらに、既存の治療法では、投与のために入院を要することや入院が長期化することがあります。

<maribavirについて>
maribavirは経口投与可能な抗CMV化合物であり、現在、固形臓器移植(SOT)または造血幹細胞移植(HCT)の両移植後のCMV感染患者さんの治療薬として臨床第3相試験が実施されている唯一の抗ウイルス剤です。maribavirは、米国食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)やその他の規制当局によって承認されていない開発中の治療薬です。maribavirはUL97プロテインキナーゼとその天然基質を標的として阻害する唯一のCMV抗ウイルス剤です。
maribavirは、欧州委員会から、細胞性免疫障害を有する患者さんのCMV感染症の治療薬として、また米国食品医薬品局(FDA)から、臨床的に重篤なCMV血症およびCMV感染症リスクの高い患者さんの治療薬として希少疾病用医薬品指定を受けています。希少かつ生命にかかわる疾患の治療または予防を目的とした特定の治験薬は、希少疾病用医薬品として指定を受けます。FDAは、CMV感染およびCMV感染症を有し、既存の治療に抵抗性を有するまたは難治性の移植患者さんへの治療薬として、maribavirのBreakthrough Therapy指定を行っています。Breakthrough Therapy指定により、重篤な疾患に対して既存の治療法よりも大幅な改善を示す可能性のある臨床データを有する治験薬の開発ならびに評価が推進されます。この指定は、FDAやEMAが移植患者さんにおけるCMV感染治療薬としてmaribavirを承認することを保証するものではなく、承認時期は未定です。

<SOLSTICE試験について>
TAK-620-303(SOLSTICE)試験(NCT02931539)は、既存の抗ウイルス療法(ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、シドフォビルのいずれか1剤またはその併用)に難治性または抵抗性(無しも含む)の造血幹細胞移植および固形腫瘍移植の両移植後のCMV感染患者さんを対象として、maribavirまたは治験責任医師が認めた治療法(IAT)(既存の抗ウイルス療法)を比較する多施設共同、非盲検、実薬対照試験です。2週間のスクリーニング期間後に、患者さんをmaribavir(n=235)(400mg)またはIAT(n=117)のいずれかに2:1で無作為に割り付けし、8週間の投与とさらに12週間のフォローアップを行いました。
この試験の主要評価項目は、IATとの比較において、投与8週終了時に、CMV血症が消失した患者さんの割合(中央検査室で5日間以上空けて実施した連続する2回の検査において血漿CMV DNAが137 IU/mL未満)、と定義されました。主な副次的評価項目は、投与8週終了時に達成し、さらに投与16週まで維持されたCMV血症の消失および症状コントロール、と定義されました。

<武田薬品について>
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品は、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために」という約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続ける未来を目指します。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80カ国で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

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以上