米国FDAによるEGFRエクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がんに対する治療薬mobocertinib(TAK-788)の新薬承認申請の優先審査指定について

米国FDAによるEGFRエクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がんに対する治療薬mobocertinib(TAK-788)の新薬承認申請の優先審査指定について


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2021年4月28日

- 審査終了目標日(PDUFA date)は2021年10月26日

当社は、このたび、プラチナ製剤ベースの化学療法による治療歴を有し、米国食品医薬品局(FDA)で承認された検査で検出された上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がんの成人患者に対する治療薬mobocertinib(一般名、開発コード:TAK-788)の新薬承認申請(NDA)を、FDAが優先審査に指定しましたのでお知らせします。mobocertinibは、EGFRエクソン20挿入変異を選択的に標的とするよう特異的に設計された初めての経口治療薬です。

当社のOncology Therapeutic Area UnitのHeadであるChristopher Arendtは、「EGFRエクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がんの患者さんは、生存率が好ましくなく、既存の治療選択肢があまり効果をもたらさないことから、大きな困難に直面しています。プラチナ製剤ベースの化学療法の治療歴を有するEGFRエクソン20挿入変異を伴う非小細胞肺がんの患者さんに、有効な経口治療薬としてmobocertinibをお届けできることに一歩前進したことを嬉しく思います。米国や世界中の規制当局と継続して協議を進めてまいります」と述べています。

今回の新薬承認申請は、主に転移性非小細胞肺がん患者を対象に、経口投与されたmobocertinibの安全性および有効性を評価する臨床第1/2相試験の結果に基づくものです。この申請はFDAの迅速承認制度により行われました。本審査は、FDAのオンコロジー・センター・オブ・エクセレンス(腫瘍研究拠点:OCD)が主導するProject Orbisのもとで実施されており、このプロジェクトは参加国における抗がん剤の同時申請・同時審査の枠組みを提供するものです。

当社は、新薬承認申請審査中、mobocertinibの処方が適切と判断された米国の患者さんを対象として、拡大アクセスプログラム(Expanded Access Program: EAP)(NCT04535557)を実施しています。EAPの詳細については、こちらをご覧ください。


<mobocertinib(TAK-788)について>
mobocertinibは、上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異を選択的に標的とするよう特異的に設計された開発中のファーストインクラスの経口チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)です。2019年、FDAは、エクソン20挿入変異などのHER2変異あるいはEGFR変異を伴う肺がんの治療薬として、mobocertinibのOrphan Drug指定を行いました。2020年4月に、mobocertinibはプラチナ製剤ベースの化学療法を実施中あるいは実施後に病勢が進行したEGFRエクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がん患者に対する治療薬として、FDAによるBreakthrough Therapy指定を受けました。また2020年10月には、1種類以上の全身化学療法による治療歴を有するEGFRエクソン20挿入変異を伴う局所進行または転移性非小細胞肺がん患者に対する治療薬として、中国医薬品審査評価センター(CDE)によるBreakthrough Therapy指定を受けました。

<臨床第1/2相試験について>
臨床第1/2相試験は、非小細胞肺がん患者を対象に、経口投与されたmobocertinibの安全性、薬物動態、および抗腫瘍活性の評価を目的としています。本試験は、上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がん患者を対象とし、mobocertinibの単剤療法および化学療法との併用療法を評価する臨床第1相用量漸増試験と、いくつかの拡大コホートおよび延長コホートで構成されています。

プラチナ製剤による前治療を受けた患者における有効性解析は、mobocertinib 160 mgを1日1回投与された臨床第1/2相試験においてプラチナ製剤による前治療を受けたEGFRエクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がん患者114人を対象として実施されました。

<EGFRエクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がんについて>
世界保健機関(WHO)によれば、非小細胞肺がんは最も一般的な肺がんであり、毎年世界中で診断される肺がんの推定新規患者数180万人の約85%を占めています。上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がん患者は、非小細胞肺がん患者の約1~2%であり、欧米人よりもアジア人で多くみられます3-7。現在、エクソン20挿入変異に対するFDAが承認した治療薬は存在しておらず、既存のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬および化学療法の効果は限定的であるため、EGFRエクソン20挿入変異を伴う疾患は他のEGFR変異を伴う疾患よりも予後が不良です。
当社は、毎年世界中でEGFRエクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がんと診断される患者さん約30,000人(米国だけで3,000人)に標的治療薬の選択肢をお届けすることを目指し、この疾患を対象とした治療薬の研究開発に継続的に取り組んでいます。

<武田薬品について>
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品は、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために」という約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続ける未来を目指します。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80カ国で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。

詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

 

以上