欧州連合およびデング熱流行国におけるデング熱ワクチン(TAK-003)の承認申請開始について
欧州連合およびデング熱流行国におけるデング熱ワクチン(TAK-003)の承認申請開始について
- 当社のデング熱ワクチン(TAK-003)は、欧州連合(EU)における承認およびEU-M4all(旧称:Article 58)制度によるEU域外の国々における承認を目的とした医薬品に適用される欧州医薬品庁(EMA)による並行審査の対象となった最初の医薬品
- 2021年中にアルゼンチン、ブラジル、コロンビア、インドネシア、マレーシア、メキシコ、シンガポール、スリランカ、タイでの承認申請を予定
- 4歳から60歳の人を対象に、4種すべてのデングウイルス血清型によるデング熱の予防を目的としたTAK-003の臨床試験を実施中
当社は、このたび、4歳から60歳の人を対象に、4種すべてのデングウイルス血清型で引き起こされるデング熱の予防を目的として開発中のデング熱ワクチン(TAK-003)について、欧州医薬品庁(EMA)へ承認申請を行い、受理されましたのでお知らせします。当社は2021年中にアルゼンチン、ブラジル、コロンビア、インドネシア、マレーシア、メキシコ、シンガポール、スリランカ、タイで規制当局へ申請を行う予定です。
当社のGlobal Vaccine Business UnitのVice PresidentでありDengue Global Program LeadであるDerek Wallaceは、「当社のデング熱ワクチン候補であるTAK-003の申請は、デング熱の脅威にさらされている地域に住む人々やその地域へ移動する人々にとって重要な進展となります。デング熱の流行により、世界で毎年50万人が入院しており、その医療制度への広範な影響により、地域社会や政府は甚大な負担を被るおそれがあります。現在、デング熱を予防するための手段は限られており、広範に提供されるデング熱ワクチンが早急に求められています。当社は、TAK-003の承認に向け、規制当局やワクチン接種の勧告を行う機関と協力していきます」と述べています。
当社は、欧州連合(EU)における承認とEU-M4all (旧称:Article 58)制度を通じての EU域外の国々における承認を目的とした医薬品に適用されるEMAが実施する初の並行審査に参加しています。EU-M4all制度に参加している国々は、欧州医薬品評価委員会(CHMP)からの科学的見解に加え、独自の審査をしたうえで自国における承認について判断します。当社は、EU-M4all制度に参加していないデング熱流行国においてもTAK-003の承認を目指します。
TAK-003の申請資料には、現在進行中のグローバル臨床第3相試験であるTIDES試験(Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study)の36ヵ月間の長期にわたる安全性および有効性データが含まれます。この36ヵ月間データの詳細については、学会や査読誌にて年内に発表する予定です。
当社はまた、米国での承認申請を行い、その後アジアやラテンアメリカのその他諸国での承認申請を実施していく予定です。
<EU-M4all1について>
EU-M4all(EU-Medicines for all)は、公衆衛生上大きな関心のある疾患の治療または予防を目的とし、必要とされる医薬品またはワクチンを患者さんが入手しやすくするための制度です。EU-M4all制度(旧称:Article 58)を通じて、EMAは、世界保健機関(WHO)と協力し、EU域外を対象として公衆衛生上の優先度が高い疾患に対する医薬品およびワクチンに関する科学的見解を示すことができます。
<TAK-003について>
当社の4価デング熱ワクチン(TAK-003)は、4種のワクチンウイルス型すべての遺伝子型の“バックボーン”として弱毒化された生の2型デングウイルスをベースに構築されています2。TAK-003は、小児・若年層被験者を対象とした臨床第2相試験において、本ワクチン接種前血清反応が陽性および陰性のいずれの被験者においても、4種すべてのデングウイルス血清型に対して免疫応答を誘導し、これはワクチン接種後48ヵ月間持続しました。また、安全性評価においても一般的に安全で良好な忍容性を示しました3。TAK-003のグローバル臨床第3相TIDES試験では、主要評価項目である本ワクチン2回目接種後12ヵ月の追跡調査期間におけるウイルス学的に確認されたデング熱(VCD)に対する全体的なワクチン有効性(VE)が達成され、また評価に十分なデング熱症例数を有するすべての副次評価項目(18ヵ月の追跡調査期間におけるデング熱による入院に対するVE、被験者の本ワクチン接種前血清状態別VEなど)についても達成されました4,5。ワクチンの有効性は、デングウイルスの血清型により異なります。本ワクチンの忍容性は良好であり、現在までのところ重要な安全性リスクは認められていません。
<臨床第3相TIDES試験(DEN-301試験)について>
二重盲検、無作為化、プラセボ対照のグローバル臨床第3相試験であるTIDES試験は、小児・若年層被験者を対象に、4種すべてのデングウイルス血清型によって引き起こされる、ウイルス検査レベルで感染が確認されたあらゆる重症度の症候性デング熱の予防において、TAK-003を2回接種した際の安全性および有効性を評価しています4。本試験は、当社における、これまでで最大規模の介入臨床試験であり、デング熱流行地域に居住する4歳から16歳の健常な小児・若年層被験者2万人以上が組み入れられています。本試験の被験者は、試験開始1日目および90日目にTAK-003 0.5 mLもしくはプラセボを皮下投与にて接種するいずれかの群に無作為に割り付けられました4。本試験は5つのパートで構成されており、パート1である主要評価項目の解析では、TAK-003の初回接種後15ヵ月(2回目接種後12ヵ月)までのワクチン有効性(VE)および安全性を評価しました4。パート2では、さらに追跡調査を6ヵ月間追加し、副次評価項目であるデング熱による入院に対するVE、デングウイルスの血清型別VE、被験者のワクチン接種前血清状態別VEおよび症状の重症度別VEについての評価を行いました4。パート3では、さらに2年半から3年にわたって被験者を追跡調査することにより、ワクチンの有効性と長期的な安全性を評価します6。パート4では、追加接種後13ヵ月間の安全性を評価し、パート5では、パート4完了後1年間の長期的な安全性を評価します6。
本試験はデング熱流行地域であるラテンアメリカ(ブラジル、コロンビア、パナマ、ドミニカ共和国およびニカラグア)およびアジア(フィリピン、タイおよびスリランカ)にて実施されており、これらの地域ではデング熱予防のアンメットニーズが高く、重症型デング出血熱は小児の重篤な疾患および死亡を引き起こす主たる要因となっています4 。ワクチン接種前の血液サンプルを本試験に参加するすべての被験者から採取しており、接種前の血清反応(デングウイルス感染歴の有無)別の安全性および有効性を評価することが可能です。当社および専門家で構成される独立データモニタリング委員会は積極的な安全性のモニタリングを継続して行っています。
<デング熱について>
デング熱は、最も急速に感染が拡大している蚊媒介感染症で、世界保健機関(WHO)は、2019年7,8のグローバルヘルスに対する10の脅威の1つにデング熱を挙げています。デング熱は主にネッタイシマカ、および比較的低い割合でヒトスジシマカによって媒介され、4 種のウイルス血清型すべてがデング熱または重症型デング出血熱を引き起こす可能性があります9。個別の血清型羅患率は地理、地域、国や季節によって異なり、また時間の経過とともに変化していきます9。ある血清型のウイルスに感染した場合、その血清型に対する免疫は一生涯続きますが、後に異なる血清型のウイルスに感染した場合、重症化のリスクが高まります。
デング熱はパンデミックの可能性がある感染症で、熱帯または亜熱帯地域で流行し、近年では米国およびヨーロッパの一部でも流行しました10,11。世界の人口の約半分がデング熱の脅威にさらされており、世界全体で約3.9億人が感染し、20,000人が毎年亡くなっています。デング熱はあらゆる年齢層の人々が感染する可能性があり、ラテンアメリカおよびアジアの子供達にとっては重篤な疾患を引き起こす主な要因となっています10。
<武田薬品のワクチンに対する取り組みについて>
ワクチンは、毎年200~300万人の生命を救い、世界の公衆衛生に劇的な変化をもたらしました13。武田薬品は、70年にわたり、人々の健康を守るため日本でワクチンを供給してきました。現在、当社のグローバルワクチンビジネスは、デング熱、新型コロナウイルス感染症、ジカウイルス感染症、ノロウイルス感染症など、世界で最も大きな課題となっている感染症に対し、最先端の取り組みを行っています。武田薬品はワクチン開発、製造およびマーケットアクセスに関する豊富な実績と深い知識を有しており、世界で最も緊急性の高い公衆衛生ニーズに対応すべく、パイプラインの充実に努めてまいります。詳細については、www.TakedaVaccines.comをご覧ください。
<武田薬品について>
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品は、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために」という約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続ける未来を目指します。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80カ国で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
<留意事項>
本留意事項において、「ニュースリリース」とは、本ニュースリリース(添付資料及び補足資料を含みます。)において武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)によって説明又は配布された本書類、口頭のプレゼンテーション、質疑応答及び書面又は口頭の資料を意味します。本ニュースリリース(それに関する口頭の説明及び質疑応答を含みます。)は、いかなる法域においても、いかなる有価証券の購入、取得、申込み、交換、売却その他の処分の提案、案内若しくは勧誘又はいかなる投票若しくは承認の勧誘のいずれの一部を構成、表明又は形成するものではなく、またこれを行うことを意図しておりません。本ニュースリリースにより株式又は有価証券の募集を公に行うものではありません。米国 1933 年証券法に基づく登録又は登録免除の要件に従い行うものを除き、米国において有価証券の募集は行われません。本ニュースリリースは、(投資、取得、処分その他の取引の検討のためではなく)情報提供のみを目的として受領者により使用されるという条件の下で(受領者に対して提供される追加情報と共に)提供されております。当該制限を遵守しなかった場合には、適用のある証券法違反となる可能性がございます。
武田薬品が直接的に、又は間接的に投資している会社は別々の会社になります。本ニュースリリースにおいて、「武田薬品」という用語は、武田薬品およびその子会社全般を参照するものとして便宜上使われていることがあり得ます。同様に、「当社(we、usおよびour)」という用語は、子会社全般又はそこで勤務する者を参照していることもあり得ます。これらの用語は、特定の会社を明らかにすることが有益な目的を与えない場合に用いられることもあり得ます。
<将来に関する見通し情報>
本ニュースリリース及び本ニュースリリースに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標及び計画を含む当社の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「確実にする(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」「することができた(could)」、「予想される(anticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」などの用語若しくは同様の表現又はそれらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではありません。これら将来見通し情報は、多くの重要な要因に関する前提に基づいており、実際の業績は、将来見通し情報において明示又は暗示された将来の業績とは大きく異なる可能性があります。その重要な要因には、日本及び米国の一般的な経済条件を含む当社のグローバルな事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、世界的な医療制度改革を含む関連法規の変更、臨床的成功及び規制当局による判断とその時期の不確実性を含む新製品開発に内在する困難、新製品および既存製品の商業的成功の不確実性、製造における困難又は遅延、金利及び為替の変動、市場で販売された製品又は候補製品の安全性又は有効性に関するクレーム又は懸念、新規コロナウイルス・パンデミックのような健康危機が、当社が事業を行う国の政府を含む当社とその顧客及び供給業者又は当社事業の他の側面に及ぼす影響、買収対象企業とのPMI(買収後の統合活動)の時期及び影響、武田薬品の事業にとってのノン・コア資産を売却する能力及びかかる資産売却のタイミング、当社のウェブサイト(https://www.takeda.com/investors/reports/sec-filings/)又はwww.sec.gov において閲覧可能な米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書及び当社の他の報告書において特定されたその他の要因が含まれます。武田薬品は、法律や証券取引所の規則により要請される場合を除き、本ニュースリリースに含まれる、又は当社が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本ニュースリリースにおける武田薬品の経営結果は武田薬品の将来の経営結果又はその公表を示すものではなく、その予測、予想、保証又は見積もりではありません。
<医療情報>
本ニュースリリースには、製品についての情報が含まれておりますが、それらの製品は、すべての国で発売されているものではありませんし、また国によって異なる商標、効能、用量等で販売されている場合もあります。ここに記載されている情報は、開発品を含むいかなる医療用医薬品の効能を勧誘、宣伝又は広告するものではありません。
1. The European Medicines Agency. Medicines for use outside the EU — EU-M4all. July 2020. Retrieved March 2021.
2. Huang CY-H, et al. Genetic and phenotypic characterization of manufacturing seeds for tetravalent dengue vaccine (DENVax). PLoS Negl Trop Dis. 2013;7:e2243.
3. Tricou, V, Sáez-Llorens X, et al. Safety and immunogenicity of a tetravalent dengue vaccine in children aged 2-17 years: a randomised, placebo-controlled, phase 2 trial. Lancet. 2020. doi:10.1016/S0140-6736(20)30556-0.
4. Biswal S, et al. Efficacy of a tetravalent dengue vaccine in healthy children and adolescents. N Engl J Med. 2019;
2019;381:2009-2019.
5. Biswal S, et al. Efficacy of a tetravalent dengue vaccine in healthy children aged 4-16 years: a randomized, placebo controlled, phase 3 trial. Lancet. 2020. 2020;395:1423-1433.
6. ClinicalTrials.Gov. Efficacy, Safety and Immunogenicity of Takeda's Tetravalent Dengue Vaccine (TDV) in Healthy Children (TIDES). Retrieved March 2021.
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8. World Health Organization. Ten threats to global health in 2019. 2019. Retrieved February 2021.
9. Guzman MG, et al. Dengue: a continuing global threat. Nature Reviews Microbiology. 2010;8:S7-S16.
10. Knowlton K, et al. Mosquito-Borne Dengue Fever Threat Spreading in the Americas. The Natural Resources Defense Council (NRDC). 2009. Retrieved February 2021.
11. Chan E, et al. Using web search query data to monitor dengue epidemics: a new model for neglected tropical disease surveillance. PLoS Negl Trop Dis. 2011;5:e1206.
12. Centers for Disease Control and Prevention. About Dengue: What You Need to Know.May 2019. Retrieved February 2021.
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以上