遺伝性血管性浮腫発作抑制薬としてのラナデルマブの日本における製造販売承認申請について

遺伝性血管性浮腫発作抑制薬としてのラナデルマブの日本における製造販売承認申請について


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2021年3月12日

- ラナデルマブは12歳以上の遺伝性血管性浮腫(HAE)患者さんに対して発作を抑制するための予防的治療を行う開発中のモノクローナル抗体薬1
- 世界中の患者さんから開発が待たれている重要な治療手段を、可能な限り早くお届けできる取り組み

当社は、本日、遺伝性血管性浮腫(HAE)発作を抑制する完全ヒト型抗ヒト血漿カリクレインモノクローナル抗体であるラナデルマブ(一般名)について、厚生労働省に対し製造販売承認申請を行いましたのでお知らせします。

HAEは腹部、顔面、足、性器、手、喉など、身体のさまざまな場所に繰り返し浮腫発作を引き起こす希少な遺伝性疾患です2,3,4。 HAEは世界中で5万人にひとりが罹患していると推定されています5 。日本には2,000人から3,000人の患者さんが存在すると推定されていますが、この疾患に対する日本での認知度の低さから診断されている患者さんは約450名に留まっています6

当社日本開発センター所長 廣田直美は、「HAEは予測できない発作が発現し、身体を衰弱させる、また生命に危険を及ぼす可能性のある疾患ですが、日本での認知度は低く、そのため診断や効果的な治療を受けることが非常に困難な状況にあります。ラナデルマブは血漿カリクレインに特異的に結合し、その濃度を引き下げる完全にヒト由来のモノクローナル抗体であり、HAE発作の予防的治療薬として有効性と安全性を示している薬剤です。当社はラナデルマブをはじめ、世界中の患者さんから開発が待たれている重要な治療手段を、可能な限り早くお届けできるよう取り組んでおり、予測のできないHAE発作により日々困難な生活を強いられている日本の患者さんに、HAE発作の予防的治療薬であるラナデルマブを新しい治療選択肢として、少しでも早くお届けできる日を心待ちにしています」と述べています。

ラナデルマブは、2018年に12歳以上のHAE患者さんの発作予防薬として米国で初の承認を取得し、現在では20を超える国で製品名 TAKHZYRO®として販売されていると共に、世界各国で承認申請を進めています7

日本での製造販売承認申請は、主にグローバル臨床第3相試験であるHELP(Hereditary Angioedema Long-term Prophylaxis)試験™、臨床第3相HELP Open-label Extension(OLE)試験及び日本人患者さんでのラナデルマブの有効性と安全性を検証する臨床第3相試験の中間結果等7に基づいて行っています1,8。これらの試験において、ラナデルマブ はHAE発作の予防的治療薬として有効性と安全性を示しました。承認された場合、ラナデルマブはプレフィルドシリンジ(充填済み注射器)として日本の患者さんに供給される予定です。
125名のHAE患者さんが参加した無作為二重盲検プラセボ対照のHELP試験において、HAE発作の1か月あたり平均発生回数は、プラセボ群と比較してラナデルマブ 300mgを2週間に1回投与群で87%低下し、ラナデルマブ 300mgを4週間に1回投与群で73%低下しました(調整後p<0.001)1。事前に規定された探索的解析において、26週間(第0〜182日)の試験期間全体を通じて無発作状態を継続した患者の割合は、ラナデルマブ 300mgを2週間に1回投与群では44%(n=12/27)であったのに対し、プラセボ群では2%(n=1/41)でした7。また、事後感度分析によれば、安定期間(第70〜182日)中において無発作状態を継続した患者の割合は、ラナデルマブ 300mgの2週間に1回投与群で77%(n=20/26)であったのに対し、プラセボ群では3%(n=1/37)でした1。 ラナデルマブ投与群全体(n=84)で発現した有害事象(HAE発作を除く)のうち、治療期間全体を通じて最も一般的だったものは注射部位疼痛(42.9%)、ウイルス性上気道感染(23.8%)、頭痛(20.2%)、注射部位紅斑(9.5%)、注射部位挫傷(7.1%)、および浮動性めまい(6.0%)でした1。治験薬投与下で発現した有害事象の重症度は、ほとんど(98.5%)の場合で軽度または中等度でした1。HELP試験™はHAEに関してこれまで行われたものとして最大規模の無作為化対照比較予防的試験です。

日本での製造販売承認申請は日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)により審査され、PMDAの審査結果に基づき、厚生労働省が判断します。


<遺伝性血管性浮腫における当社の活動>
遺伝性血管性浮腫(HAE)は他の希少疾患と同様に症状や病態などが極めて複雑であり、 患者さん、その家族、および介護者がこの疾患を理解し、確定診断を受け、また必要な治療薬が投与されるまでには、長年にわたって苦悩を経験されることが頻繁に見られます。HAEを持つ人々の症状や状態はそれぞれ異なりますが、当社はその個々のニーズに耳を傾けることによって得たインサイトを、診断から継続的治療までの革新的ソリューションへと結び付けています。学術的な発展は当社の業務遂行にとって極めて重要な位置を占めており、当社は診断を迅速化し、HAE患者さんの暮らし、その支援ネットワーク、および治療にあたる医療関係者に違いをもたらすような、変化を引き起こす持続可能な治療手段を開発するというミッションのもと、達成の限界を押し広げていくことを恐れません。

<ラナデルマブについて>
ラナデルマブは血漿カリクレインに特異的に結合し、その濃度を引き下げる完全にヒト由来のモノクローナル抗体であり、承認されている海外では12歳以上の患者さんでのHAE発作予防を適応とします。ラナデルマブは皮下注射薬であり、半減期は約2週間です7 。ラナデルマブは、医療専門家によるトレーニングを受けたうえで、患者さん自身または介護者による投与も可能としています7

<留意事項>
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<医療情報>
本ニュースリリースには、製品についての情報が含まれておりますが、それらの製品は、すべての国で発売されているものではありませんし、また国によって異なる商標、効能、用量等で販売されている場合もあります。ここに記載されている情報は、開発品を含むいかなる医療用医薬品の効能を勧誘、宣伝又は広告するものではありません。


Banerji A, Riedl MA, Bernstein JA, et al; for the HELP Investigators. Effect of lanadelumab compared with placebo on prevention of hereditary angioedema attacks: a randomized clinical trial. JAMA. 2018;320(20):2108-2121. doi: 10.1016/j.anai.2015.03.010. Epub 2015 Apr 11

Cicardi M, Bork K, Caballero T, et al; on behalf of HAWK (Hereditary Angioedema International Working Group). Evidence based recommendations for the therapeutic management of angioedema owing to hereditary C1 inhibitor deficiency: consensus report of an International Working Group. Allergy. 2012; 67(2):147-157.

Zuraw BL. Hereditary angioedema. N Engl J Med. 2008;359(10):1027-1036.

Banerji A. The burden of illness in patients with hereditary angioedema. Ann Allergy Asthma Immunol.
2013;111(5):329-336.


5 Longhurst HJ, Bork K. Hereditary angioedema: causes, manifestations, and treatment. Br J Hosp Med.
2006;67(12):654-657.


Hide M, Horiuchi T, et al. Management of hereditary angioedema in Japan: Focus on icatibant for the treatment of acute attacks. Allergology International 70 (2021) 45-54.

7 TAKHZYRO® (lanadelumab) European Summary of Product Characteristics.

8 Efficacy and Safety of Lanadelumab (SHP643) in Japanese Participants With Hereditary Angioedema (HAE). https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04180163. Accessed January 2021.

以上