武田薬品のCOUR社からのファーストインクラスのセリアック病治療薬のライセンス獲得について

武田薬品のCOUR社からのファーストインクラスのセリアック病治療薬のライセンス獲得について


Calendar
2019年10月23日

- 欧州消化器病週間2019(スペイン バルセロナで開催)で発表されたCNP-101/TAK-101の臨床第2a相試験の最新のデータでは本薬がセリアック病患者のグルテン誘発性免疫活性を防ぐ可能性を示唆
- セリアック病患者のグルテン寛容性を誘導するようデザインされたImmune modifying nanoparticleである、CNP-101/TAK-101の全世界における独占的ライセンスを武田薬品が獲得

武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)とCOUR Pharmaceuticals Development Company, Inc.(本社:米国イリノイ州シカゴ、以下「COUR社」)は、このたび、武田薬品がCOUR社からグリアジンタンパク質含有のImmune Modifying NanoparticleであるCNP-101/TAK-101の全世界での独占的な開発および製品化の権利を獲得しましたのでお知らせします。COUR社の抗原特異的な免疫寛容技術を用いたTAK-101は、グルテン摂取により小腸の炎症・傷害を引き起こす重篤な自己免疫疾患であるセリアック病の異常免疫反応に対するファーストインクラスとなる可能性のある治療薬です。

セリアック病患者34名を対象とし、TAK-101の有効性および安全性を示す可能性のあるマーカーを検討した、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験である本臨床試験の結果は、スペイン バルセロナで開催の欧州消化器病週間(UEG Week)2019のLate-breaking Abstractとして発表されました。良好にコントロールされ、生検によりセリアック病と診断された患者が本試験に登録され、その後、患者はグルテンチャレンジを実施しました。本試験の結果を受け、武田薬品は、TAK-101の独占的な全世界のライセンスを獲得するオプション権を行使しました。

武田薬品の消化器疾患Therapeutic Area UnitのHeadであるAsit Parikhは、「多くのセリアック病患者さんがグルテンフリーの食事により症状をコントロールできる一方、症状が継続している患者さんに対する治療オプションは現在ありません。当社とCOUR社とのこれまでの共同研究開発により、セリアック病などの自己免疫疾患において、外来抗原に対する特定の免疫寛容を誘導することが可能であることが初めて示されました。当社は、炎症性疾患における専門性により、セリアック病患者さんに対する最初の治療オプションとしての承認取得を目指し、TAK-101のさらなる開発を行ってまいります」と述べています。

本試験では、試験開始1日目と8日目に治療薬が静注されました。グルテンチャレンジは2回目の治療薬静注の7日後に開始され、グルテン12g/日が3日間、その後、グルテン6g/日が11日間摂取されました。主要評価項目は、グリアジン特異的なEnzyme-Linked Immunospot(ELISpot)法を用いた、グルテン摂取6日後のインターフェロンγ(IFN-γ)のSFUs(Spot Forming Units)におけるベースラインからの変化です。これは、セリアック病におけるグルテン特異的な全身のT細胞活性の直接測定であり、その反応をブロックすることは、セリアック病患者がグルテン曝露から守られる可能性を示しています。無作為化され治療を受けた34名の患者のうち、6名がグルテン関連症状により中止しましたが、28名がプロトコールに則って14日間のグルテンチャレンジを完了しました。

主要評価項目であるIFN-γELISpotSFUsのベースラインからの変化量は、それぞれTAK-101群で2.10、プラセボ群で17.57でした(p=0.0056)。また、小腸粘膜傷害に関しても、TAK-101群0.18に対してプラセボ群0.63であり(p=0.079)、TAK-101群がプラセボ群と比較して小腸粘膜傷害の悪化を防御する傾向が見られました。プラセボ群よりも高い頻度で見られた、TAK-101群における最も頻度の高い有害事象は、悪心、頭痛、腹部痛、背部痛でした。バイタルサイン、通常の臨床検査値、血清サイトカイン/ケモカイン、グリアジン特異的T細胞増殖、サイトカイン分泌において臨床的に意義のある変化は見られませんでした。

武田薬品は、グルテンフリーの食事を摂取しているセリアック病患者を対象として、TAK-101の可能性をさらに探索するための用量決定試験を開始する予定であり、今後のさらなる臨床試験をお知らせします。今後、COUR社は、最大420百万米ドルを受領することができることに加え、ライセンス供与の結果により本薬が製品化された場合、ロイヤリティを受領することができます。

COUR社のCEOであるJohn J. Puisisは、「免疫システムを再プログラム化するようデザインされた当社の有するナノ粒子技術に関する今回の最初の臨床POC試験データを大変嬉しく思います。武田薬品が本薬の開発の責任を担うため、当社は、多発性硬化症からピーナツアレルギーにわたる様々な他の免疫疾患に対する治療薬のパイプラインの研究開発促進に注力してまいります」と述べています。

COUR社の有するImmune Modifying Nanoparticlesは、炎症性細胞に結合し、寛容性免疫再プログラム化を起こします。その内部はセリアック病などの自己免疫疾患における寛容性を誘導する疾患特異抗原(今回の場合はグリアジンタンパク質)を含むことができます。

<セリアック病について>
セリアック病は、遺伝的な関与のある慢性の免疫介在性疾患であり、グルテンペプチドへの免疫異常反応により小腸粘膜傷害が生じます。近年の米国での集団研究によると、セリアック病の罹患率は1%程度、全世界では約0.5%と示唆されています。成人および小児における粘膜傷害を引き起こすグルテンの1日量の境界値は10~50mg(パン1切の約100分の1)です。セリアック病は腹部痛、下痢、嘔気、嘔吐などの症状を引き起こします。セリアック病の長期的な合併症として、栄養障害、骨粗鬆症の進行、神経系障害、生殖関連障害などが考えられます。現在、グルテンフリーの食事を継続すること以外、セリアック病に用いることのできる治療法はありません。グルテンフリーの食事は、小麦、大麦、ライ麦に含まれるグルテンタンパク質の摂取を生涯にわたって厳格に回避することが含まれますが、必ずしも有効ではありません。

<Cour社について>
COUR社は、免疫介在性疾患に対する抗原特異的寛容性を達成するため、免疫システムを再プログラム化するようデザインされたファーストインクラスの治療薬を開発しています。COUR社のImmune-Modifying Nanoparticles技術は、毒性のある免疫抑制を活用して症状を最小化するのみという従来のアプローチとは違う、免疫疾患の根本原因を標的としています。武田薬品と共同研究開発を行っている、セリアック病に対するCOUR社の主力治療薬は、自己免疫疾患における抗原特異的免疫寛容性の誘導を初めて示しました。臨床および非臨床データは、幅広い免疫・炎症性疾患に対応できるCOUR社のナノ粒子技術の可能性を示しています。この基盤技術は、ノースウェスタン大学から獲得されたものであり、Judy E. Guggenheim Researchの微生物学・免疫学教授であるStephen D. Miller博士の研究室で30年以上前から研究されています。詳細についてはwww.courpharma.comをご覧ください。

<武田薬品について>
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品のミッションは、優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献することです。研究開発においては、オンコロジー(がん)、消化器系疾患、希少疾患およびニューロサイエンス(神経精神疾患)の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤およびワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80の国および地域で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。


<将来に関する見通し情報>
本プレスリリース及び本プレスリリースに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標及び計画を含む当社の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「確実にする(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」「することができた(could)」、「予想される(anticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」などの用語若しくは同様の表現又はそれらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではございません。この書類における将来見通し情報は、この書類の作成日時点のみにおける、当社の見積もり及び前提に基づくものです。かかる将来見通し情報は、当社又は当社の役員による、将来の業績に関する保証を表するものではなく、既知及び未知のリスクと不確実性その他の要素を伴います。リスクと不確実性には、日本及び米国の一般的な経済条件を含む当社のグローバルな事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、関連法規の変更、製品開発計画の成功又は失敗、規制当局による判断とその時期、金利及び為替の変動、市場で販売された製品又は候補製品の安全性又は有効性に関するクレーム又は懸念等、買収対象企業とのPMI(買収後の統合活動)の時期及び影響、武田薬品の事業にとっての非コア資産を売却する能力及びかかる資産売却のタイミングが含まれますが、これらに限られません。これらにより、当社の実際の業績、経営結果、財務内容は、将来見通し情報において、明示又は暗示された将来の業績、経営結果、財務内容とは、大きく異なる可能性があります。当社の業績、経営結果又は財務状況に影響を与え得る事項の詳細に関しては、米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書の第3項重要事項 - D.リスクファクター”及び他の報告書をご参照ください(https://www.takeda.com/jp/investors/reports/sec-filings/ 又は www.sec.govにおいて閲覧可能です。)。武田薬品の将来の業績、経営結果又は財務状況は、将来見通し情報において明示又は暗示されたものと大きく異なることがあり得ます。本プレスリリースの受領者は、将来見通し情報に過度に依存するべきではありません。武田薬品は、法律や証券取引所の規則により要請される場合を除き、本プレスリリースに含まれる、又は当社が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本プレスリリースにおける武田薬品の経営結果は武田薬品の将来の経営結果を示すものではなく、また、その予測、予想又は見積もりではありません。

以上