中等症から重症の活動期の潰瘍性大腸炎を対象とした維持療法に関する ベドリズマブ(製品名:エンタイビオ®)皮下投与製剤の日本における製造販売承認申請について

中等症から重症の活動期の潰瘍性大腸炎を対象とした維持療法に関する ベドリズマブ(製品名:エンタイビオ®)皮下投与製剤の日本における製造販売承認申請について


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2019年8月8日

当社は、このたび、生物学的製剤であるベドリズマブ(一般名)の皮下投与製剤について、中等症から重症の活動期の潰瘍性大腸炎に対する維持療法の治療薬として、厚生労働省に製造販売承認申請を行いましたのでお知らせします。当社は、ベドリズマブの皮下投与において、シリンジ製剤およびペン製剤、両方での提供を申請しています。

当社の日本開発センター所長 廣田直美は、「今回の申請は、当社にとって重要なマイルストンであり、日本の潰瘍性大腸炎に苦しむ患者さんにとって新たな治療選択肢を提供できるものと期待しています。患者さんの希望される投与方法やライフスタイルにあわせた治療方法を選ぶことを可能にすることで、患者さんの多様なニーズの充足とクオリティ・オブ・ライフの向上に、より一層貢献してまいります」と述べています。

今回の申請は、ベドリズマブ皮下投与製剤の維持療法としての有効性および安全性を評価した国際共同臨床第3相試験であるVISIBLE 1試験に基づいています。VISIBLE 1試験は、治療開始時点(0週)および2週時点に非盲検下にて導入療法としてベドリズマブの点滴静注製剤を2回投与後、6週時点で臨床的改善※1が得られた中等症から重症の潰瘍性大腸炎の216名の患者を対象に実施されました。VISIBLE 1試験に関する結果は、オーストリア ウィーンで開催された2018 United European Gastroenterology Week Congressにおいて発表されました。

VISIBLE 1試験の主要評価項目である、52週時点における臨床的寛解※2率において、ベドリズマブ皮下投与製剤108 mgを維持療法として2週間ごとに投与した群では、プラセボ投与群と比較して統計学的に有意に高い結果(ベドリズマブ皮下投与群:46.2%、プラセボ投与群:14.3%、p<0.001)を示しました。ベドリズマブ点滴静注製剤300 mgを投与した参照群においても52週時点で同様の臨床的寛解率(42.6%)を示しました。さらに、52週時点における有害事象の発現率は、重篤な有害事象や感染症を含め、皮下投与製剤および点滴静注製剤において同様の結果を示しました。注射部位反応はベドリズマブ皮下投与群の患者の10.4%において発現しましたが(プラセボ投与群では0%)、いずれも軽度であり、投与中止に至った患者はいませんでした。


<VISIBLE試験について>
VISIBLE試験は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎およびクローン病の患者を対象に、ベドリズマブ皮下投与製剤の維持療法としての有効性および安全性を検討することを目的としています。
VISIBLE試験は、1,000名以上の患者が参加する3つの臨床第3相試験から構成されます。潰瘍性大腸炎とクローン病それぞれについて治療52週時点に臨床的寛解を達成した患者の割合を検討する2つの無作為化二重盲検プラセボ対照試験、およびこの2試験いずれかを終了した患者から構成される、ベドリズマブ皮下投与製剤の長期安全性および有効性を検討する非盲検継続試験です。

<潰瘍性大腸炎について>
現在、日本における潰瘍性大腸炎の患者数は約22万人以上と推定されています。潰瘍性大腸炎は最も代表的な炎症性腸疾患の一つで、再燃と寛解を繰り返す慢性の炎症が大腸粘膜に生じる進行性の疾患です。よく見られる症状は、腹痛、腹部不快感、下痢時の出血あるいは排膿です。潰瘍性大腸炎の病因については明らかになっていませんが、最近の研究では、遺伝素因や環境要因に加え、腸内細菌抗原に対する異常な免疫応答といった様々な因子が関与する、多因子疾患と考えられています。

<エンタイビオ®(一般名:ベドリズマブ)について>
ベドリズマブは消化管に選択的に作用する生物学的製剤であり、現在、点滴静注製剤として承認されています。本剤はα4β7インテグリンと特異的に拮抗し、α4β7インテグリンの腸粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)への結合を阻害しますが、血管細胞接着分子1(VCAM-1)への結合は阻害しないようデザインされた、ヒト化モノクローナル抗体です。MAdCAM-1は消化管の血管およびリンパ節に選択的に発現しています。一方、α4β7インテグリンは循環血液中の白血球サブセットに発現しています。これらの細胞は、潰瘍性大腸炎とクローン病における炎症プロセスを調節するうえで重要な役割を果たしていることが明らかになっています。α4β7インテグリンを阻害することで、ベドリズマブはある種の白血球細胞が消化管組織へ浸潤することを制限できる可能性があります。

<注意事項>
本文書に記載されている医薬品情報は、当社の経営情報の開示を目的とするものであり、開発中のものを含むいかなる医薬品の宣伝、広告を目的とするものではありません。

以上



※1臨床的改善は血便サブスコアがベースライン(0週)から1ポイント以上の減少、または血便サブスコア1以下であり、完全Mayoスコアがベースライン(0週)から3ポイント以上減少かつ30%以上減少と定義

※2臨床的寛解は完全Mayoスコアが2ポイント以下、かつすべてのサブスコアが1以下と定義