大うつ病性障害治療薬vortioxetineの日本における製造販売承認申請について

大うつ病性障害治療薬vortioxetineの日本における製造販売承認申請について


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2018年9月28日

- 日本で実施された臨床第3相試験を含む、約1,400症例が参加した4つの主要な臨床試験の結果に基づき製造販売承認申請を実施

- 日本の成人大うつ病性障害患者さんを対象とした臨床第3相試験においてvortioxetine群はプラセボ群に対し良好な結果を示唆

武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)と H. Lundbeck A/S(本社:デンマーク、コペンハーゲン、以下「ルンドベック社」)は、本日、大うつ病性障害治療薬vortioxetineについて、厚生労働省に製造販売承認申請を行いましたのでお知らせします。大うつ病性障害(以下「うつ病」)は複雑な疾患ですが、身近な疾患であり、日本では350万人以上(人口の約3%)が罹患しています[i]。

このたびの申請は、臨床第3相無作為化プラセボ対照試験(NCT02389816) の結果に基づくものです。本試験では、日本の成人再発うつ病患者さん約490例にvortioxetine (10 mgまたは20 mg)群、またはプラセボ群のいずれかを無作為に割り付けました。主要評価項目は、投与8週時におけるMontgomery-Åsberg Depression Rating Scale(MADRS)合計スコアのベースライン(二重盲検期開始時)からの変化量でした。本試験では、日本の成人うつ病患者さんの治療薬としてvortioxetine群がプラセボ群に対して良好な結果を示しました。本試験結果については、今後、学会発表を予定しています。また、このたびの申請は、他にグローバル(NCT01255787)および日本(NCT01355081NCT01395147)で実施した主要な3つの臨床試験の結果に基づくものでもあります。

武田薬品 日本開発センター所長である廣田直美は、「大うつ病性障害は、精神症状、身体的症状、認知機能低下を引き起こす多面的な疾患であるため、医療ニーズの高い疾患です。ルンドベック社との共同の取り組みにより、このたびの製造販売承認申請を行うことができたことを嬉しく思います。私たちは、vortioxetineが、深刻で複雑な疾患である大うつ病性障害で苦しむ日本の患者さんの新しい治療オプションとなることを確信しています」と述べています。

ルンドベック社 Commercial OperationsのExecutive Vice PresidentであるJacob Tolstrupは、「今回の日本における製造販売承認申請は、ルンドベック社と武田薬品が大うつ病性障害に苦しむ日本の患者さんにvortioxetineを届けるための重要なステップです。日本はルンドベック社にとって戦略的にも重要であり、提出書類の審査において日本の厚生労働省と連携していく所存です」と述べています。

武田薬品とルンドベック社は日本におけるvortioxetineの販売に向けた準備を進めており、現在、販売戦略の策定を進めています。

以上

 
<大うつ病性障害(MDD)について>
MDDは世界で約3億人が罹患している複雑な精神疾患です[ii]。MDDは臨床的うつ病としても知られており、世界中で障害の主な原因になっていると同時に全世界で疾病負担の要因ともなっています。MDDは、感情的症状、認知症状、および身体的症状を誘発することがあります。その症状には、抑うつ気分、興味または喜びの著しい減退、有意の体重減少または体重増加、食欲の変化、不眠や過眠、精神運動焦燥または制止、疲労感または気力の減退、無価値感や過度の罪悪感、思考力や集中力の減退、決断困難、および反復的な自殺念慮が含まれます。

<vortioxetineについて>
vortioxetineの抗うつ作用の機序は完全には解明されていません。本剤はセロトニン(5-HT)の再取り込み阻害作用と5-HT受容体活性を直接調節する5-HT1A受容体刺激作用、5-HT1B受容体部分的刺激作用、5-HT3、5-HT1D、および5-HT7受容体拮抗作用などを有しており、セロトニン系、ノルエピネフリン系、ドーパミン系、ヒスタミン系、アセチルコリン系、ガンマアミノ酪酸(GABA)系、およびグルタミン酸系を含む、いくつかの系において神経伝達の調節を行うとされています。これらの作用の1つ1つがvortioxetineの抗うつ作用にどのように寄与しているかについてはまだはっきりとは分かっていませんが、本剤はこういった薬力学的作用を併せ持つ初めてかつ唯一の化合物であると考えられています。

vortioxetineは、デンマークのコペンハーゲンにあるルンドベック社の研究者により創製されました。日本では、武田薬品によって臨床試験プログラムが実施されました。

WHOは、vortioxetineを、Anatomical Therapeutic Chemical(ATC)分類上で「その他の抗うつ薬」というクラスに分類しました。

vortioxetine(Trintellix®)は、MDD成人患者さんの治療薬として2013年9月30日に米国食品医薬品局(FDA)から承認されました。さらに(欧州、カナダ、チリ、中国、メキシコ、アルゼンチン、韓国、トルコ、オーストラリア、香港、シンガポール、および南アフリカ共和国を含む)77カ国でも承認されており、これまでに60カ国を超える国々で発売されています。北米以外では、ボルチオキセチン臭化水素酸塩はBrintellix®という製品名で販売されています。

<注意事項>
本文書に記載されている医薬品の情報は、両社の経営情報の開示を目的とするものであり、開発中のものを含むいかなる医薬品の宣伝、広告を目的とするものではありません。
 


[i]出典: Global Burden of Disease. GHDx.  http://ghdx.healthdata.org/gbd-results-tool. (2018年8月29日時点)
[ii]出典: World Health Organization (WHO). Depression. http://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/depression. (2018年6月4日時点)