Takeda logo

武田薬品とDNDiによる内臓リーシュマニア症の画期的な治療薬開発のための提携について

武田薬品とDNDiによる内臓リーシュマニア症の画期的な治療薬開発のための提携について


Calendar
2018年4月5日

グローバルヘルス技術振興基金による前臨床試験および臨床第1相試験への助成

武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)とDrugs for Neglected Diseases initiative (本部:スイス・ジュネーブ、以下「DNDi」)は、このたび、内臓リーシュマニア症(visceral leishmaniasis、以下「VL」)の革新的な治療薬開発に向け、アミノピラゾール系化合物群の中から見出された医薬品候補化合物の前臨床試験および臨床第1相試験に協働して取り組む旨の契約を締結しましたのでお知らせします。

両試験は、開発途上国で必要とされる医薬品やワクチン等の研究開発を促進する国際的な官民パートナーシップである公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(Global Health Innovative Technology Fund、以下「GHIT Fund」)の助成案件に選定されています。本試験に対するGHIT Fundから本パートナーシップへの助成金額は約6億円となります。

武田薬品とDNDiは、2015年7月、VLに対するアミノピラゾール系化合物群の誘導体最適化プログラム(Lead Optimization)を開始し、協働して取り組んできました。当プログラムは、経口投与で活性を有し、安全で効果的であることに加え、短期間で、地域環境に応じた新たな治療薬を開発し、最終的に既存の経口治療薬との組み合わせにより可能な限り抵抗性を生じさせない治療薬として投与することを目標としています。

武田薬品およびDNDiは、GHIT Fundとの取り組みを通じ、医薬品アクセス改善に向けたパートナーシップ構築およびイノベーションの創出によって、「顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)」の治療に貢献します。

世界中で90ヵ国以上、10億人を超える人々が、サシチョウバエが媒介して感染するリーシュマニア症のリスクにさらされています。リーシュマニア症の中でもVLは最も深刻で、発熱、体重減少、脾臓や肝臓の肥大、貧血が自覚のないまま進行し、死に至ることもあります。毎年約5~9万例の新たなVL症例が認められ、約3万人の死亡例が報告されています。皮膚リーシュマニア症は、毎年60万人から100万人の新たな感染が報告されており、感染患者は外見に傷が付く、痕が残るなどの影響を受けます。既存の治療薬は、費用面での問題があり、投与が難しく、有効性が地域によって異なるだけでなく、長期の投与および安全性に課題が残っています。

武田薬品とDNDiは、本提携以外にも、「リーシュマニア症およびシャーガス病に対する新薬の発見を加速・拡大するための創薬ブースター」(Drug Discovery Booster)において、2015年にパートナーシップを結んでいます。本プログラムも2018年4月より、GHIT Fundから新たに助成を受けることが決まっています。

武田薬品は長年の間、世界各国・地域のニーズに応じて、数多くの国々において医薬品の提供、資金援助および医薬品アクセスの改善(Access to Medicines)を行っており、これらの問題についてグローバルで取り組んでいます。

武田薬品は、今後も医薬品アクセスに関する様々な取り組みを通じて、アンメットメディカルニーズが高い地域や疾患領域にフォーカスした活動を実施し、グローバルヘルスに貢献します。

<DNDiについて>
Drugs for Neglected Diseases initiative(DNDi)は非営利研究開発組織で、特にリーシュマニア症、ヒトアフリカトリパノソーマ(アフリカ睡眠病)、シャーガス病、マラリア、特定のフィラリア感染症、マイセトーマ(菌腫)、小児HIV、およびC型肝炎等の顧みられない病気のための新しい治療薬の開発に取り組んでいます。2003年の設立以来、2種類の固定用量抗マラリア薬(ASAQ及びASMQ)、後期アフリカ睡眠病のためのニフルチモックスとエフロルニチンの併用療法(NECT)、アフリカにおける内臓リーシュマニア症 のためのスチボグルコン酸ナトリウムとパロモマイシン(SSG&PM)の併用療法、アジアにおける内臓リーシュマニア症のための一連の併用療法、シャーガス病のためのベンズニダゾールの小児用製剤、ならびにHIVおよび結核に感染した小児のためのsuperbooster治療という7種類の新しい治療薬や治療法を提供してきました。また当団体は、地域疾患に特化したプラットフォームを確立し、これにより疾患流行国のパートナーを集め、既存の臨床研究能力を強化し必要に応じて新たな能力を構築しています。

以上