デング熱ワクチン(TAK-003)が、小児および若年者に対してデング熱発症率の減少を示した 臨床第2相試験の18ヵ月時点の中間解析結果をLancet Infectious Diseasesにて発表

デング熱ワクチン(TAK-003)が、小児および若年者に対してデング熱発症率の減少を示した 臨床第2相試験の18ヵ月時点の中間解析結果をLancet Infectious Diseasesにて発表


Calendar
2017年11月7日

- 本試験ではデング熱流行国に居住する2歳から17歳までの被験者を対象にTAK-003を
異なるスケジュールで接種したときの安全性と免疫原性を評価
- TAK-003を接種した小児および若年者の症候性デング熱の相対危険度は、
プラセボ接種群と比較して0.29(95%信頼区間:0.13-0.72)
- 発熱調査のデータにより、TAK-003接種群ではプラセボ接種群と比較して
低い症候性デング熱発症率が示唆
- 現在TAK-003は3ヵ月間隔の2回接種にて臨床第3相検証試験(TIDES試験)を実施中

当社は、このたび、現在実施中の4価弱毒生デング熱ワクチン(TAK-003)の臨床第2相試験であるDEN-204試験における18ヵ月時点の中間解析結果がLancet Infectious Diseasesに掲載されたことをお知らせします。予め計画された本中間解析の結果から、TAK-003が小児および若年者に対するデング熱発症率を減少させる可能性が示唆されました。本データは、現在開催中の米国熱帯医学会年次総会でも発表されました。これらの所見を確認するため、現在臨床第3相試験を実施中です。

現在実施中のDEN-204試験は、デング熱流行国(ドミニカ共和国、パナマおよびフィリピン)に居住する2歳から17歳までの1,794名の被験者を対象に、TAK-003の安全性および免疫原性を評価する臨床第2相試験です。本試験の主目的は、異なるスケジュールでTAK-003を接種したときに誘発される4種のデングウイルス血清型すべてに対する抗体価を評価することです。被験者は、TAK-003の単回接種、3ヵ月間隔で2回接種、1年間隔で2回接種、プラセボ接種の4群に分けられました。発熱調査、安全性および免疫原性の評価は48ヵ月の試験期間を通じて実施されます。

本中間解析では以下の結果が示されました。

  • 安全性評価対象集団(TAK-003またはプラセボを少なくとも1回接種した被験者集団)において、TAK-003を接種した小児および若年者の症候性デング熱の相対危険度は、プラセボ接種群と比較して0.29(95%信頼区間:0.13-0.72)でした。症候性デング熱の相対危険度は予め規定された副次評価項目です。
  • TAK-003は、プラセボと比較して、試験計画書で確認が定められた局所反応および全身性の有害事象に関して安全かつ良好な忍容性プロファイルを示しました。この結果は既に実施した臨床第1相および臨床第2相試験における結果と整合するものでした。
  • TAK-003が接種されたすべての群において、4種すべてのデングウイルス血清型に対する免疫応答の持続が認められ、接種スケジュールおよびデングウイルスの感染歴に関係なく18ヵ月間抗体価が持続しました。
  • TAK-003単回接種群および3ヵ月間隔で2回接種群を比較したところ、接種前の血清抗体価に関係なく、幾何平均抗体価(GMTs)および抗体陽性率共に群間の差は限定的なものでした。重要な点は、本ワクチン接種前の抗体反応が陰性の被験者において、6ヵ月時点の4価抗体陽性率は3ヵ月間隔2回接種群で86%でしたが、単回接種群では69%でした。また、接種前に抗体陰性であった被験者に、1年間隔で2回接種した場合の13ヵ月時点での4価抗体陽性率は100%でした。

これらの結果は、現在実施中の有効性を評価する国際共同臨床第3相検証試験においてTAK-003を3ヵ月間隔で2回接種を選択したことが妥当であることを裏付けるものです。また、この接種方法により、TAK-003は、デングウイルスの感染歴に関係なく、4種すべてのデングウイルス血清型に対して、速やかで高い免疫反応を導きます。

当社のGlobal Dengue Program LeadであるDerek Wallaceは、「本データにより、TAK-003の良好な安全性プロファイルと18ヵ月間の抗体反応の持続性が示され、本ワクチンの開発を進める上で重要な一歩となりました。現在実施中の臨床第3相試験であるTIDES試験において同様の結果が得られるかどうかを確認する必要があるものの、本試験でTAK-003を接種した小児および若年者において症候性デング熱の発症率が減少したことは今後の開発の弾みとなります」と述べています。

TAK-003については、現在デング熱流行国8ヵ国においてワクチンの有効性を確認する大規模な臨床第3相試験であるTIDES試験(Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study)を実施しています。TIDES試験の計画は、DEN-204試験およびこれまでに実施した他の試験から得られた成績を基に、本ワクチンの異なる年齢層における忍容性、安全性および4種すべての血清型に対する免疫原性ならびに症候性デング熱に対する予防効果を確認するために策定されました。TIDES試験データは、2018年後半に得られる予定です。

 

<臨床第2相試験(DEN-204試験)について>

臨床第2試験であるDEN-204試験は、デング熱流行国(ドミニカ共和国、パナマおよびフィリピン)に居住する1,794名の健康な被験者を対象に、TAK-003の単回または2回接種の安全性および免疫原性を評価する無作為化、二重盲検、プラセボ対照多施設共同試験です。2歳から17歳の被験者は4つのグループのいずれかに無作為化され、中間解析が行われたワクチン接種後6ヵ月の時点では、2つのグループで単回接種、1つのグループで3ヵ月間隔で2回接種、1つのグループでプラセボが接種されました。本中間解析における主要評価項目は、試験実施計画書に適合した対象集団(PPS)における4種のデングウイルス血清型(DENV-1-4)に対する中和抗体の幾何平均抗体価(GMTs: geometric mean titers、免疫応答の指標)です。試験実施計画書からの重大な逸脱がなく、ワクチン接種前およびワクチン接種後1、3、6ヵ月時点での評価可能な血液データおよび免疫原性データを有する被験者グループをPPSとして定義しました。副次評価項目には、重篤な有害事象、血清陽性率(抗体を発現した被験者の割合)および部分集団における有害事象の発現割合が含まれています。

 

<デング熱ワクチン(TAK-003)について

 当社の4価デング熱ワクチン(TAK-003)は、4種のワクチンウイルス型すべての遺伝子型の基礎となる弱毒化された生の2型デングウイルス(DENV-2)バックボーンをベースに構築されています。当社では、デングウイルスの感染歴の有無を問わず、小児・成人、旅行者や流行地域の住民など、あらゆる地域でデング熱の危険にさらされている方々を感染から守るために、デング熱ワクチンの開発に取り組んでいます。

臨床第1相試験の結果は、 Journal of Infectious Diseases、Lancet Infectious Diseasesおよび Vaccineに掲載されました。プラセボ対照、多施設共同、年齢降順(age-descending)の臨床第2相試験であるDEN-203試験の中間解析結果は、2015年10月の米国熱帯医学会(American Society of Tropical Medicine and Hygiene:ASTMH)で発表され、プラセボ対照、多施設共同の臨床第2相試験であるDEN-204試験の中間解析結果は2016年5月の第5回汎米デング熱研究ネットワーク会議(Pan-American Dengue Research Network Meeting)および2016年11月のASTMHで発表されました。

 

<当社のワクチンに対する取り組みについて>

ワクチンは、毎年200万人以上の生命を救い、公衆衛生に劇的な変化をもたらしました。当社は、70年にわたり、人々の健康を守るため日本でワクチンを供給してきました。現在、当社のグローバルワクチンビジネスは、デング熱、ジカウイルス感染症、ノロウイルスやポリオなど、世界で最も大きな課題となっている感染症に対し、最先端の取り組みを行っています。当社はワクチン開発、製造およびマーケットアクセスに関する豊富な実績と深い知識を有しており、世界で最も緊急性の高い公衆衛生ニーズに対応すべく、パイプラインの充実に努めてまいります。

以上