武田薬品によるARIAD社の買収について

武田薬品によるARIAD社の買収について


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2017年1月9日

-武田薬品はグローバルなオンコロジー(がん)ポートフォリオをさらに拡大
-2018年度の実質的なコア・アーニングスの向上に貢献
-がん患者さんに治療薬をお届けする武田薬品の取り組みを強化

  • 本買収は武田薬品の戦略に合致するものであり、固形がん分野への拡大と血液がん分野のさらなる強化により、グローバルなオンコロジーのポートフォリオおよびパイプラインを変革
  • 実質的なコア・アーニングスの向上に2018年度までに貢献、売上収益は即時および長期に伸長
  • Iclusig®(一般名:ponatinib)およびbrigatinibの 2つの極めて革新的な薬剤と早期ステージのパイプライン、コストシナジーがバリュードライバー
    • Iclusigはグローバルに上市済み、持続的で力強い売上伸長に期待
    • brigatinibは2017年前半に米国にて承認見込み、ベスト・イン・クラスのALK阻害薬となる可能性があり、ピーク売上見通しは10億米ドル以上
    • ARIAD社の研究開発能力ならびに基盤技術を活用
  • 武田薬品は財務の柔軟性を保持、配当方針に影響なし

武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)とARIAD Pharmaceuticals, Inc. (本社:マサチューセッツ州ケンブリッジ、以下「ARIAD社」)は、本日2017年1月9日(米国時間1月8日)、武田薬品がARIAD社の発行済株式のすべてを1株当たり24.00米ドル(企業価値では総額約52億米ドル)で、現金により取得し、ARIAD社を買収することについて合意しましたのでお知らせします。本買収は両社の取締役会にて承認されており(武田薬品の取締役会承認は1月6日、ARIAD社は米国時間1月8日)、競争法上のクリアランス等の手続きを経た後、2017年2月末までに完了する予定です。ARIAD社の普通株式の6.6%を保有するSarissa CapitalならびにARIAD社の各取締役は、武田薬品の子会社が実施する公開買付けに対し、保有する株式を応募することに同意しています。

武田薬品の代表取締役社長CEOであるクリストフ・ウェバーは、「ARIAD社の買収は、当社が世界中の患者さんのよりよい人生に貢献し、重点を置く戦略を推進する絶好の機会であるとともに、株主の皆様にもメリットをもたらすものです。本買収は当社にとっても素晴らしい機会であり、2つの革新的でターゲットを絞った薬剤の獲得により、当社の血液がん分野のポートフォリオはさらに拡大し、グローバルな固形がんのフランチャイズが変革することになります。このように極めて高品質で補完的なポートフォリオを獲得できる機会は多くあるものではなく、本買収は患者さんをはじめ、株主の皆様や当社ステークホルダーの方々にメリットをもたらすものと大いに期待しています」と述べています。

ARIAD社の社長CEOであるParis Panayiotopoulosは、「当社は、武田薬品の一員となることを大変嬉しく思います。これにより、当社のミッションである希少がんの患者さんに対する治療薬を創製・開発し、お届けすることを加速できるのみならず、当社の株主の皆様にも、ただちに大きな金銭的価値をもたらします。このたびの合意に至ったのは、高い能力を有する当社従業員のたゆまぬ努力の結果です。当社は武田薬品に大きな敬意を払っており、当社と共通のイノベーション創出への熱意と研究を重視する文化によって、今回の合意による移管も円滑に進められるものと確信しています」と述べています。

ARIAD社の会長であるAlexander J. Dennerは、「このたびの合意はARIAD社ならびに武田薬品の株主の皆様にとって素晴らしい結果をもたらします。両社はともにがん患者さんを救うことに情熱を注いでおり、武田薬品の人材や資産がARIAD社のパイプラインや従業員と結びつくことで、がん治療薬の開発が加速するものと確信しています。当社マネジメント・チームや従業員の皆さんのたゆまぬ努力に心から感謝しています」と述べています。

1. 本買収実施の理

【本買収は武田薬品の戦略に合致するものであり、固形がん分野への拡大と血液がん分野のさらなる強化により、グローバルなオンコロジーのポートフォリオおよびパイプラインを変革】

ARIAD社の買収により、武田薬品は、オンコロジーポートフォリオを拡充する、ターゲットを絞った2つの革新的な治療薬を獲得することになります。臨床試験段階の薬剤であるbrigatinibは、遺伝的要因を有する非小細胞肺がん患者さんに対してグローバルに使用される、画期的な治療薬になり得るものと考えています。また、慢性骨髄性白血病および特定の急性リンパ性白血病を対象とする治療薬であるIclusigの獲得により、武田薬品の血液がん分野の強固なフランチャイズが拡大します。これら2つのターゲットを絞った革新的な治療薬により、武田薬品は、オンコロジー領域において持続的にさらなる成長を遂げることが可能になります。武田薬品のオンコロジー領域での新製品(ADCETRIS®(一般名:ブレンツキシマブ ベドチン)、NINLAROTM(一般名:イキサゾミブ)、VELCADE®(一般名:ボルテゾミブ))上市の成功実績は、当社がbrigatinibの発売を成功させ、brigatinibを世界中の患者さんにお届けし、市場シェアを獲得するために必要な経験や専門性を有していることを示しています。

【実質的なコア・アーニングスの向上に2018年度までに貢献、売上収益は即時および長期に伸長】

ARIAD社の買収は、武田薬品の株主の皆様にとって極めて魅力的なものです。本買収は、直ちに武田薬品の売上収益に貢献し、長期的な売上収益の伸長と経費削減のシナジーをもたらします。Iclusigの2016年(1-12月)の売上ガイダンスは170-180百万米ドルであり、2つの治療薬により長期的な増収効果を期待しています。また、本買収は2018年度までに実質的なコア・アーニングスの向上に貢献する見込みであり、2017年度への影響はほぼ中立と考えています。brigatinibの発売に伴う販売・マーケティング費用の増加は、力強い売上収益の伸長と経費削減のシナジーにより相殺されるものと見込んでいます。

【Iclusigおよびbrigatinibの 2つの極めて革新的な薬剤と早期ステージのパイプライン、コストシナジーがバリュードライバー】

Iclusigは上市済みであり、力強い売上伸長の持続が見込まれていることから、直ちに武田薬品の売上収益に貢献します。臨床試験段階の薬剤であるbrigatinibは年間10億米ドルを超える売上を達成できるポテンシャルを有しており、売上収益に長期的に貢献します。brigatinib は2017年の前半に米国にて承認される見込みであり、引き続きグローバルで承認申請を行います。Iclusigやbrigatinibのみならず、ARIAD社が有する標的キナーゼに関する専門技術は臨床応用に通じるトランスレーショナル・サイエンスと結びついており、さらなる長期的な貢献をもたらすパイプラインを生み出す可能性も期待できます。

武田薬品は、ARIAD社の研究開発能力や基盤技術を活用し、研究開発費は武田薬品の現行の予算内に収めます。一般管理費については、2018年度までにシナジー効果を享受できるものと考えています。

【武田薬品は財務の柔軟性を保持、配当方針に影響なし】

本買収に要する資金には、最大40億米ドルの新規負債による資金と手元資金を充当する予定です。2017年のネット負債/EBITDA倍率は約2.6倍となり、投資適格の格付け水準を維持できるものと見込んでいます。本買収による武田薬品の配当方針に影響はありません。

2. 本買収の概

本買収は、武田薬品の100%子会社である武田ファーマシューティカルズUSA Inc.が本件買収用に設立したKiku Merger Co., Inc.によるARIAD社のすべての発行済株式の現金による公開買付け、および、その後の同社のARIAD社との合併を通じて実行されます。これにより、ARIAD社は、武田薬品の間接所有の100%子会社となります。公開買付けに応募されなかったARIAD社の株式は、公開買付けにおける買付け価格と同額の1株当たり24.00米ドルの支払いを受ける権利に転換されます。

なお、本公開買付けは、ARIAD社の発行済株式総数の過半数の応募および米国Hart-Scott-Rodino反トラスト法や適用される海外の反トラスト法に基づく待機期間の満了を含む、その他の通例のクロージング条件を前提としています。本買収は、2017年2月末までに完了する見込です。

(1)

公開買付け実施者

Kiku Merger Co., Inc.

(2)

公開買付けの対象会社

ARIAD Pharmaceuticals, Inc.

(3)

買付けを行う株券等の種類

普通株式

(4)

買付け価格

1株当たり24.00米ドル

(5)

買付けに要する資金 (買付け合計額)

約54億米ドル(見込み) 
※ 合計金額は、被買収会社の発行済株式総数(完全希薄化後ベース)に買付け価格を乗じて計算しています。アドバイザリー費用等は含めておりません。

(6)

株式の取得方法

現金
※ 最大40億米ドルの新規負債と手元資金。

(7)

買付け期間

2017年1月から2017年2月 
※ 最初の買付け期間は、本件にかかるARIAD社との最終合意の日(米国時間2017年1月8日)から10営業日以内に開始され、開始後20営業日で終了します。なお、買付け条件が充足されない場合は、買付け期間の延長が実施されますが、延長期間は2017年5月(反トラスト法のクリアランスが得られなかった場合は8月)を越えることはありません。

(8)

下限応募株式数

応募株式数が被買収会社の発行済株式総数の過半数に達し、他の通例のクロージング条件が満たされた場合に本買付けを行います。

(9)

武田薬品の財務アドバイザー

Evercore Partners

(10)

武田薬品の法務アドバイザー

Cleary Gottlieb Steen & Hamilton LLP

(11)

ARIAD社の財務アドバイザー

J.P. Morgan Securities LLC, Goldman Sachs & Co., Lazard

(12)

ARIAD社の法務アドバイザー

Paul, Weiss, Rifkind, Wharton & Garrison LLP

 

3. ARIAD社の概

(1)

商号

ARIAD Pharmaceuticals, Inc.

(2)

本店所在地

125 Binney Street, Cambridge, Massachusetts 02142, USA

(3)

代表者氏名

Paris Panayiotopoulos, President and Chief Executive Officer

(4)

事業内容

がん関連医薬品の研究開発、販売

(5)

資本金

13億3,900万米ドル(2015年12月31日時点の資本剰余金)

(6)

設立年月

1991年4月

(7)

大株主および 持株比率(注1)

Wellington Management Group LLP

8.8%

FMR LLC

7.8%

Vanguard Group Inc.

6.8%

その他

(8)

当該会社との関係

資本関係

該当なし

人的関係

該当なし

取引関係

該当なし

(9)

当該会社の最近3年間の経営成績及び財政状態(単位:千米ドル/1株当たり情報は米ドル)

決 算 期

2013年12月期

2014年12月期

2015年12月期

 

純資産

185,517

80,801

△103,141

 

総資産

370,894

603,116

546,692

 

1株当たり純資産

1.01

0.43

△0.55

 

売上収益

45,561

105,412

118,804

 

営業利益

△273,566

△160,195

△217,276

 

当期利益

△274,158

△162,602

△231,156

 

1株当たり当期損失

△1.49

△0.87

△1.23

(注1)  フォーム13Fの報告書に基づいています。持株比率は、所有株式数(2016年9月末)を公開買付けの対象会社の発行済株式総数で除して計算しています。

4. 買収前後の所有株式の状

(1)

取得済み株式数

0株
議決権所有割合:0%

(2)

取得予定株式数

194,389,661株
(発行済株式総数) 議決権所有割合:100%(予定)

 

5. 本買収の日

(1)

取締役会の決議日

2017年1月6日

(2)

契約締結日

2017年1月9日(米国時間1月8日)

(3)

本公開買付け期間の開始・終了年月日

2017年1月から2017年2月
※最初の買付け期間は、本件にかかるARIAD社との最終合意の日(米国時間2017年1月8日)から10営業日以内に開始され、開始後20営業日で終了します。なお、買付け条件が充足されない場合は、買付け期間の延長が実施されますが、延長期間は2017年5月(反トラスト法のクリアランスが得られなかった場合は8月)を越えることはありません。

(4)

本買収の完了予定日

2017年2月末まで(予定)(注1)

(注1)  米国の反トラスト法に基づく所定の法的手続きおよび他の通例のクロージング条件が満たされた後に完了する予定です。

6. 今後の見通

【2016年度】
本買収が、実質的な売上収益および実質的なコア・アーニングスに与える影響は軽微となる見込みです。本買収により、統合・移管にかかる費用が発生する見込みですが、2016年度業績に重要性ある影響はありません。本買収による影響は2017年2月の第3四半期決算発表における2016年度連結業績予想に織り込んでまいります。

【2017年度以降】

本買収は、2018年度までに実質的なコア・アーニングスの向上に貢献する見込みであり、2017年度への影響はほぼ中立と考えています。brigatinibの発売に伴う販売・マーケティング費用の増加は、力強い売上収益の伸長と経費削減のシナジーにより相殺されるものと見込んでいます。EPSを含む2017年度の連結業績予想・ガイダンスは、2017年5月に予定されている2016年度末決算発表において公表する予定です。

7. 本件にかかるカンファレンスコール(電話会議)の実施につい

当社では、本件にかかるカンファレンスコール(電話会議)を以下の要領で実施いたします。

日時: 【日本時間】2017年1月10日(火) 9:30開始 (米国東部時間 1月9日(月) 19:30開始)

下記リンクにてライブ配信いたします(聞き取り専用)。

https://www.takeda.com/jp/investors/

カンファレンスコール終了後24時間以内に、音声をアップロードします。

 

<公開買付けに関する追加情報>

本資料に記載の公開買付はまだ開始されていません。本資料は情報提供の目的のみで開示されるもので、いかなる証券に関する買付の申込みや売却の勧誘を構成するものではありません。本公開買付の開始時において、当社とその100%子会社であるKiku Merger Co., Inc.は、買付申出、譲渡証フォーマットや公開買付に関するその他書類を含め、米国証券取引委員会(SEC)にスケジュールTOに基づき公開買付ステートメントを申請する予定で、ARIAD社は本公開買付に関するスケジュール14D9に基づく意見表明書をSECに申請する予定です。当社、Kiku Merger Co., Inc.及びARIAD社は、ARIAD社の株主の皆様にこれら書類を郵送する予定です。これら書類には本公開買付に関する重要な情報が含まれていますので、投資家の皆様及び株主の皆様は、入手された際には、これらの申請書を注意深くお読みくださいますよう、お願いいたします。これら書類はSECのウエブサイト(www.sec.gov)にて無料で入手できる場合があります。本買付申込み及び関連資料は、(入手可能となった際に)本公開買付の情報エージェントにコンタクトいただくことによっても無料で入手できる場合があります。

以上