世界初となるノロウイルスワクチンのフィールド試験開始について

世界初となるノロウイルスワクチンのフィールド試験開始について


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2016年6月21日

-世界中の急性胃腸炎の主たる原因に対するワクチンの開発

当社は、このたび、当社が現在開発中で、現時点で唯一臨床試験段階にあるノロウイルスワクチン(TAK-214)の臨床第2相後期有効性フィールド試験を開始しましたのでお知らせします。

 

この臨床第2相後期試験は、18歳から49歳までの健康成人男女を対象とした、二重盲検無作為割付プラセボ対照試験です。本試験は、ノロウイルスに起因する中等度から重度の急性胃腸炎に対する、ノロウイルスワクチン(筋肉内注射投与)の予防効果を検討します。ノロウイルスは、水様の下痢、嘔吐、腹痛、吐き気や時には発熱を特徴とし、臨床的に重篤な脱水症状を引き起こすこともある腸管感染症として知られています。

 

ノロウイルスは、あらゆる年代で急性胃腸炎を引き起こす主たる原因と認識されています。ノロウイルス関連疾患は世界中で年間約7億人に発症することからその疾病負荷は重大であり、主に低所得国においては、年間20万人以上が、ノロウイルス感染が原因で亡くなっていると推測されています。

 

当社のGlobal Vaccine Business Unit PresidentのRajeev Venkayyaは、「当社がノロウイルスワクチン開発の最前線にいることを大変嬉しく思います。当社は、ノロウイルスワクチン開発に加え、デング熱、ポリオおよび手足口病のワクチン開発に尽力しており、世界中の人々に影響を及ぼす重大な感染症に対して、積極的に取り組んでまいります」と述べています。

 

本ワクチンは、ノロウイルスの外殻タンパク膜を正確に模倣したタンパク質であるウイルス様粒子技術(VLPs)を用いています。本ワクチンは、GⅠ.1型、GⅡ.4型の抗原を含んでおり、ヒトに感染して症状を引き起こす主な2つの遺伝子型に対応しています。同様の技術を用いて、子宮頸がんやB型肝炎に対するワクチンが、米国食品医薬品局、欧州医薬品庁や厚生労働省を含む規制当局から承認を得ています。本ワクチンの臨床第1相試験および第2相試験の結果では、本ワクチンの良好な忍容性が示されています。また、健康成人を対象とし、ノロウイルス曝露後の反応を評価したチャレンジ試験において、本ワクチンがノロウイルス感染症の症状および重症度を軽減することが認められています。

 

当社のGlobal Vaccine Business Unit のVice PresidentおよびGlobal Norovirus Program HeadのRobert Goodwinは、「当社は、共同研究者と協力し、本ワクチン接種によるノロウイルス感染症予防の最適な方策についての知見を得るため、多大な努力を重ねてきました。当社はこの臨床試験によって、世界中の人々、ご家族および公衆衛生に対する重要な予防手段の提供に向けて、一歩前進したといえます」と述べています。

 

<当社のノロウイルスワクチン(TAK-214)について>

現在当社が開発中の筋肉内注射ワクチンは、ノロウイルスGⅠ.1型、GⅡ.4型に対するウイルス様粒子(Virus-Like Particle:VLP)抗原を含んでおり、ヒトに感染して症状を引き起こす主な2つのウイルス遺伝子型に対応しています。本ワクチンは、現時点で唯一、臨床試験段階にあるノロウイルスワクチンです。当社は、臨床第1/2相チャレンジ試験の結果を公表しており、当該試験において本ワクチンが良好な忍容性を示し、ノロウイルスにより誘発される症状および重症化の予防に好影響を与えることが示唆されています。

 

<ノロウイルスについて>

世界中で流行している非細菌性急性感染性胃腸炎の約90%は、ノロウイルスが原因とされていますが、ほとんどの場合は大流行という形で発生しているものではありません。ノロウイルスは、水様の下痢、嘔吐、腹痛、吐き気や時に発熱を特徴とする腸感染症で知られています。米国疾病対策センター(CDC)は、人は平均して生涯4回から5回ノロウイルスに感染すると推定しています。ノロウイルスは直接的またはウイルスに汚染された食料や飲料水を通じて、主に糞口経路、飛沫や汚染環境、人と人との接触を介して感染します。人が集まる場所はどこでも感染リスクが高いといえ、軍隊、旅行者、寮生活の学生、保育所の幼児、飲食店、病院や医療機関などが該当します。ノロウイルスに起因する胃腸炎は全ての年齢層において大きな影響を及ぼしますが、特に高齢者や小児においては、重篤な合併症を引き起こし死に至る場合もあります。現在、市販されているノロウイルスワクチンはありません。

 

<当社のワクチンに対する取り組みについて>

ワクチンは、毎年200万人以上の生命を救い、公衆衛生に劇的な変化をもたらしました。当社は70年にわたり、人々の健康を守るため日本でワクチンを供給してきました。現在、当社のグローバルワクチンビジネスは、デング熱、ノロウイルスやポリオなど、世界で最も大きな課題となっている感染症に対し、最先端の取り組みを行っています。当社はワクチン開発、製造およびマーケットアクセスに関する豊富な実績と深い知識を有しており、世界で最も緊急性の高い公衆衛生ニーズに対応すべく、パイプラインの充実に努めてまいります。

以上