潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「Entyvio™」(一般名:vedolizumab)の 米国における販売承認取得について

潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「Entyvio™」(一般名:vedolizumab)の 米国における販売承認取得について


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2014年5月21日

当社および当社の100%子会社である武田ファーマシューティカルズUSA Inc.(以下「TPUSA社」)は、このたび、新規生物学的製剤「Entyvio」(一般名:vedolizumab、開発コード:MLN0002)について、米国食品医薬品局(FDA)より、成人の中等度から重度の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病について承認を取得いたしましたのでお知らせいたします。

本剤の販売承認にかかる生物学的申請は、臨床第3相試験であるGEMINITM試験の結果に基づき実施しています。GEMINI試験は4本の臨床試験からなり、世界約40ヵ国において、2,700名の患者さんを対象に潰瘍性大腸炎とクローン病の評価を同時に実施した最大規模の臨床試験です。

本試験は、少なくとも1回の標準治療(コルチコステロイド、免疫調節薬および/または抗TNFα抗体)を施行し不応であった中等度から重度の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病患者さんを対象に実施しており、免疫調整薬や抗TNFα抗体への十分な効果が見られなかった一次無効、効果が持続しなかった二次無効、あるいは不耐性の患者さんや、コルチコステロイドへの無効、不耐性、あるいは依存性の患者さんが含まれています。

TPUSA社の社長 Douglas Coleは、「中等度から重度の潰瘍性大腸炎あるいはクローン病の患者さん、またそれら疾患の治療に取組む医療関係者の方々は、新たな治療選択肢を必要とされています。Entyvioの承認により、当社は、消化器系疾患に苦しんでおられる患者さんに、より一層貢献できるものと確信しています」と述べています。

米国ノースウェスタン大学Feinberg School of Medicine Digestive Health CenterのStephen B. Hanauer医師は、「Entyvioは、潰瘍性大腸炎あるいはクローン病に特異的に発現する慢性的な炎症をブロックする作用を持つ新たな治療選択肢です。本剤の臨床試験プログラムにおいて、本剤が、成人の中等度から重度の活動期クローン病患者さんにとって有用な治療剤となりうる可能性を示す、本剤の有効性ならびに安全性プロファイルが確認されました」と述べています。

なお本剤は、2014年3月、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)において、成人の中等度から重度の活動期潰瘍性大腸炎ならびにクローン病について、承認を推奨するという見解が示されており、当社は現在、欧州委員会(EC)からの販売許可を待っているところです。

 

効能・効果

用法・用量

潰瘍性大腸炎

抗TNFα抗体または免疫調節薬による治療に対し、効果不十分、効果が持続しない、もしくは不耐性である、あるいはコルチコステロイドによる治療に対し、効果不十分、不耐性である、もしくは依存性を示す、成人の、中等度から重度の活動期潰瘍性大腸炎に対する臨床症状の改善および寛解の導入および維持、内視鏡所見の改善、ならびにコルチコステロイド非併用下での寛解達成

0週、2週、6週、以後は8週毎に、1回300 mgを約30分かけて静脈内投与。投与中は、患者の状態を投与が完了するまで観察すること

クローン病

抗TNFα抗体または免疫調節薬による治療に対し、効果不十分、効果が持続しない、もしくは不耐性である、あるいはコルチコステロイドによる治療に対し、効果不十分、不耐性である、もしくは依存性を示す、成人の、中等度から重度の活動期クローン病に対する臨床症状の改善および寛解の達成、ならびにコルチコステロイド非併用下での寛解達成

 

以上

 

Entyvio(一般名:vedolizumab)について>

Entyvioは、ヒト化α4β7インテグリンモノクローナル抗体です。α4β7インテグリンは、潰瘍性大腸炎やクローン病における炎症発生プロセスに関与するとされる循環白血球のサブセットに発現し、消化管における血管やリンパ節に特異的に存在する細胞接着分子に結合することで炎症反応を惹起します。本薬は、α4β7インテグリンに特異的に結合し、α4β7インテグリンの細胞接着分子への結合を阻害することにより、特定のリンパ球の消化管細胞への浸潤を阻害します。

 

<潰瘍性大腸炎およびクローン病について>

潰瘍性大腸炎およびクローン病は消化管内壁の炎症を特徴とします。潰瘍性大腸炎は大腸(結腸および直腸)だけに発現するのに対し、クローン病は消化管内部のあらゆる部位で炎症を惹起します。両疾患については、多くの研究者が外的な環境要因と遺伝子や体内の免疫システムとの相互作用が疾患を引き起こすと指摘していますが、正確な原因はいまだ不明です。潰瘍性大腸炎およびクローン病治療薬は、寛解の達成、維持、あるいは症状のない期間の延長を目指すものです。