企業倫理 | 武田薬品
企業倫理
企業倫理とコンプライアンス
タケダは、法令遵守の枠にとどまらず、倫理的な行動をする責務があると考えています。私たちの価値観であるタケダイズムを道しるべとしながら、「1. 患者さんに寄り添い(Patient)、2. 人々と信頼関係を築き(Trust)、3. 社会的評価を向上させ(Reputation)、4. 事業を発展させる(Business)」ことを日々の行動指針としています。この行動指針は、私たちがどうあるべきか、いかに行動すべきかを示しています。今日、そして未来にわたって誇りに思えるような決断をするために、私たちはこの行動指針をすべての判断基準にしています。さらに、タケダ・グローバル行動規準を複数の言語に翻訳し、ビジネスの拠り所となる原則としています。
倫理観の醸成やコンプライアンスを促進するため、チーフエシックス&コンプライアンスオフィサーおよびリスク・エシックス&コンプライアンス・コミッティー(RECC)を設置し、倫理およびコンプライアンス事案を全社的なアプローチで対応する体制を構築しています。すべてのグループ会社においてタケダ・グローバル行動規準および関連するグローバルポリシーに則ってエシックス&コンプライアンス・プログラムの実行と強化を推進しています。これらのポリシーはビジネス&サステナビリティ・コミッティー(BSC)により承認されたものです。
タケダでは、従業員やサードパーティーが、潜在的な不正行為(人権侵害を含む)について質問したり、懸念を表明したりできる安全な場を設けることで、高い水準の企業倫理を維持することを目指しています。タケダの従業員およびサードパーティーは、24時間、オンラインおよび電話で利用することができるタケダ・エシックスラインを含むいくつかのチャネルを利用して、このような行動をとることができます。タケダは、誠実に懸念を表明した従業員に対して、報復を行わないという方針をとっています。
詳しくは、タケダ・グローバル行動規準をご覧ください。
タケダ・エシックラインは、こちらのウェブサイトをご覧ください。
贈収賄禁止
タケダは誠実に事業に取り組んでいます。グローバル贈収賄禁止ポリシーでは、タケダが自ら行うことを禁止している活動について、第三者を介して行うことも禁じています。また、当社にとってリスクをもたらす可能性を特定し対処するため、係る第三者の評価を行う必要があります。そこで当社では、贈収賄や腐敗の事例を評価する定期監査を実施し準拠するポリシーや手続きの管理文書と照らしあわせ、高リスクの取引をサンプリングし評価する監視プログラムを運用しています。遵守していないことが判明した場合、その根本的な原因を分析し、継続的に改善を図るための是正措置を講じています。
詳しくは、タケダのグローバル贈収賄禁止ポリシーをご覧ください。
事業全体で倫理を浸透
研究の最先端領域がヒトゲノム、遺伝子解析、幹細胞などの新分野に及ぶにつれて、さらなる倫理上の懸念が生じる可能性があります。このような変化に対応するために、倫理ガイドラインを継続的に見直しています。また、米国研究製薬工業協会(PhRMA)などの製薬業界団体や国際製薬団体連合会(IFPMA)のプログラムに積極的に参画することにより、研究開発における倫理とコンプライアンスに関して新たに出現しているトレンドの一歩先を行くよう取り組んでいます。
さらに、科学と医学における急速な技術革新に伴って新たな倫理的課題が生まれつつあることを踏まえ、タケダ・エシックス・アドバイザリー・カウンシル(TEAC)を設立しました。これは、社外から招いた著名な倫理に関する専門家や社内から選任したリーダーなど、多様な人材で構成されています。主として新たに生じた倫理的課題に関する分析と助言を行うことで、タケダがそのような課題に関して将来的な対応方針を固められるよう手助けします。
新薬の研究開発の過程では、研究段階でのヒト細胞の使用や社会的弱者の保護など、様々な医療倫理の課題が生じます。当社は、研究開発活動において最高の倫理基準を遵守し、患者さんを守るという強い決意を反映した方針とプロセスを定めています。
医療研究では、新薬の安全性・有効性を予測するために、血液や細胞などヒト由来試料を使用する必要がありますが、その採取と使用については、私たちの価値観:タケダイズムと倫理基準に基づき特に高い基準を設けています。日本ではヒト由来試料に関する研究倫理審査委員会を設置し、被験者や医療研究のための倫理原則の表明として世界医師会が定めたヘルシンキ宣言に則り、研究への試料使用の適否を判断しています。武田湘南(TSHO)研究倫理審査委員会は、高い倫理基準に従って研究開発活動が行われているかを監督しています。
バイオテクノロジー分野
バイオテクノロジーに関するタケダの姿勢は、多能性幹細胞、遺伝子組み換え生物(GMO)、遺伝子治療などの新技術の研究利用を含みます。
詳しくは、バイオテクノロジーに関するポジションペーパーをご覧ください。
研究における動物の使用
新たな治療法のヒトへの適合性を判断するために、研究段階において動物を使用することは必要不可欠になっています。当社では、動物を用いたすべての研究について、各施設の動物愛護並びに取り扱いに関する委員会により厳正に審査され承認を受けなければならないことになっています。また、3R(下記参照)を積極的に推進しています。
Refinement:動物の苦痛を軽減するための試験手順の改善
Reduction:妥当性のある結果を得るために必要最小限の数で試験を行うなど、使用動物数の削減
Replacement:動物を使用しない方法への置換を推進
動物を用いたすべての研究は、社内外の専門家で構成される委員会による承認を受ける必要があり、動物実験委員会(IACUC)による監視の下で行われます。また、動物を用いた研究を行うすべてのR&Dの施設は、民間の非営利組織である国際実験動物ケア評価認証協会(AAALAC)による認定を受けるなど、科学分野における動物の人道的な取り扱いと認定済みのベストプラクティスの採用を推進しています。
臨床試験
臨床試験の計画・実施、医師による十分な説明を受けたうえで患者さんが自由意思に基づき臨床試験に参加する(インフォームド・コンセント)ための手順、試験参加者データの管理についても、当社の価値観であるタケダイズムと倫理基準に従って実施しています。臨床試験は、試験参加者や患者さんの身体的・精神的な健康に配慮すると共に、試験を通じて十分な知見が得られるように計画されます。臨床試験の実施にあたり、法令を遵守すると共に2013年のヘルシンキ宣言、日米EU医薬品規制調和国際会議ガイドラインにおける医薬品の臨床試験の実施の基準(ICH-GCP)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)と米国研究製薬工業協会(PhRMA)が共同作成した原則、および国際的な原則・基準に準拠しています。 途上国や新興国の臨床試験において対象者に社会的弱者が含まれる場合も、すべての被験者の人権が損なわれることがないよう十分な配慮を行っています。臨床試験にあたってインフォームド・コンセントの手順に則り予測される効果や起こり得る副作用などについて十分説明した上で、患者さんが自らの意思で試験参加の是非を判断いただけるようにしています。臨床試験のプロセスは、試験参加者の肉体的・精神的な健全性を保ち、患者さんのプライバシーや個人情報を保護するように策定しています。
臨床試験は、タケダのグローバル基準に沿って、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(GCP)に準拠する独立倫理委員会(IEC)、治験審査委員会(IRB)等からの承認・肯定的見解を得て実施されます。試験の内容、手順を大幅に修正する際も同様の承認・肯定的見解が必要になります。
タケダは臨床試験を実施する治験担当医師とICH GCP およびその他の適用される原則と基準に従って業務を遂行することに合意しています。タケダは臨床試験に携わる従業員の立場に応じ、タケダの方針や標準作業手順書、行動規準、倫理・コンプライアンスに関する方針の研修、ヒトを対象とした研究の実施に関する生命倫理基準などの教育を実施しています。
タケダのグローバルスタンダードに基づき、GCP に準拠した独立倫理委員会の承認または肯定的意見を得るまでは、治験を開始し、または大幅な変更は行いません。治験のすべての過程において患者さんを保護し、治験の質を確保することを目的としたグローバルクリニカルクオリティーとグローバルセーフティー機能を有しています。社内手順では、すべての国や地域における品質と患者さんの安全の管理に関する基準を設定しています。プロセスと手順の遵守状況を評価する内部監査を実施するとともに、規制当局による査察も受けています。また、懸念事項を報告するためのエスカレーションプロセスが整備されており、グローバルクオリティチームを通じてタケダ・エグゼクティブチームが監視しています。
また、多くの国では、治験参加者は個人情報の取り扱いについて、その国のデータ保護当局に懸念を申し立てる権利を有しています。欧州のデータ保護当局のリストはこちらのウェブサイト(英語)をご覧ください。
患者さんの命にかかわる治療を早期にかつ中断されることなく受けられるようにする目標は、タケダの医薬品アクセス戦略の重要な要素です。治験後アクセス(Post-Trial Access: PTA)は、臨床試験終了後も治験薬による治療を必要とする適格な治験参加者に対して、治療を継続できるようにすることに貢献しています。
臨床試験終了時に、治験担当医師に対し、治験実施施設の被験者レベルのデータを提供しています。タケダがスポンサーとなって実施した第2-3相の治験や承認医薬品の介入がある第4相の臨床試験、および当社の医療機器を評価する臨床試験について、試験結果を記載した原稿を、試験終了後(市販品の場合)、または規制当局による承認、または治験薬の開発中止または終了の判断後、18か月以内に提出するよう努めています。
詳しい情報は、タケダの臨床試験専用ウェブサイトをご覧ください。
サプライチェーン
タケダは全世界約41,000 社のサプライヤーと協働し、医薬品の製造、流通に必要な資材そしてサービスを提供しています。サプライヤーとの関係とバリューチェーンを通じ、医薬品・サービスの流れを管理することは、持続可能性を実現し、患者さんの健康を守るために高品質で安全性の高い医薬品を安定供給するために極めて重要です。
倫理的調達とサプライヤーリスク管理
倫理的調達とサプライヤーリスク管理プログラムは、サプライヤーおよび第三者の評価のために確立されたプログラムです。このプログラムの教育を全従業員に対して行っています。また、シャイアー社買収後、約半数のサプライチェーンを同じ基準と要求レベルに準拠させる必要がありました。また、従業員の約半数が、タケダの強みを活かして誕生したこのプロセスと、新たに統合された包括的なプログラムについて学んでいる最中です。
本プログラムにより、タケダのサプライヤーが適切に事業活動を行い、その事業を不必要なリスクにさらすことなく価値が提供できるよう、サプライヤー管理を行うことができます。
サプライヤーESG
倫理的調達とサプライヤーリスク管理の取り組みは、タケダイズム、および患者さんに寄り添い、人々との信頼関係を築き、社会的評価を向上させ、事業を発展させるというタケダの価値観に基づいています。また、以下の3つの優先領域を有するプロキュアメント・センター・オブ・エクセレンス(PCoE)がこれを主導しています。
倫理的調達とサプライヤーリスク管理
サプライヤーの多様性
サプライヤーのパフォーマンスと革新性(SP&I)
これらに加えて、PCoEはデータ分析とプログラム管理という 2つのチームを設け、両チームは継続的な改善を主導し、調達に関する能力と知識の向上を図ります。
スコープ3 CO2排出量削減の取り組み
私たちは、バリューチェーン全体のGHG排出量を2040年度までにネットゼロとする取り組みを行っています。これを果たすには、サプライヤーとの包括的かつ長期的な協働が不可欠です。スコープ3の二酸化炭素排出量は、原料調達から生産加工、さらに医薬品の流通・販売までのバリューチェーン全体で総排出量の約90%を占めています。サプライチェーンの二酸化炭素排出量を削減するためには、サプライヤーとの協働体制が重要となります。新たな目標に向けて活動するにあたり、進捗状況を測定し、サプライヤーと共に温室効果ガス(GHG)削減活動を推進するため、毎年、スコープ3報告プロジェクトを実施する予定です。
サプライヤー行動規範および業界連携
タケダ・サプライヤー行動規範(SCoC)は、環境、人権、労働慣行、安全衛生、データプライバシー、贈収賄禁止、商慣行、動物保護、管理システムなどを対象としています。SCoC は26の言語に翻訳され、調達プロジェクトに組み込まれています。SCoCは、世界で40社を超える会員企業が定めた製薬業界のサプライヤー基準である製薬業界サプライチェーンイニシアチブ(PSCI)に則っています。 PSCIは、サプライヤー監査や、サプライヤーの能力向上を目的とする会議やオンライン研修会を通じ、サプライチェーンが責任を果たせるよう、支援しています。これに加えて、製薬業界環境グループ(PEG)に参加し、温室効果ガス(GHG)削減に向けた取り組みとその基準を確立するエンゲージメントグループと気候グループにも加わりました。
サプライヤーデューデリジェンスおよびパートナーシップ
持続可能性と事業継続リスクを含むサプライヤーのリスク評価のため、調達プロセスに6つのステップを追加しました。これらは患者さんに高品質な医薬品をお届けするための重要な取り組みです。標準的なデューデリジェンスのプロセスは、動物保護、EHS(環境、健康、安全)、労働、人権、財務健全性、贈収賄・汚職、データプライバシー、情報セキュリティの各分野において潜在的なリスクが存在するか否かを評価します。これらはタケダが検討する全リスク項目を示すものではなく、事業の利害関係者がサプライヤー選定を行う際に、サプライヤー候補からの提供を期待する情報の種類を示しています。
標準的なデューデリジェンスの期間中に何らかのリスクが特定された場合、社内外の専門家による強化デューデリジェンスを実施します。また、タケダビジネスサービスと連携して、サプライヤー登録と認定をより効率的かつ効果的に進め、デューデリジェンスの完了や潜在的なリスクの検出をより確実に行えるよう進めています。これは、統合型デューデリジェンスとして知られています。 また、サプライヤーのサステナビリティ評価を行いスコアカードに記録するデジタルシステムであるEcoVadisの活用をさらに進め、戦略上重要なサプライヤー、リスクのあるサプライヤーなどのサプライヤーの持続可能性についてのモニタリングを行っています。EcoVadisを用いることで、サプライヤーの重要業績評価指標(KPIs)のモニタリングが行え、サプライヤーへの働きかけやパフォーマンス向上のための基盤とすることができます。タケダは、サプライヤー自身が、自らがサプライチェーンに及ぼす影響を管理する能力を高めることで、サプライヤーのパフォーマンスがさらに向上するものと期待しています。
タケダ・サプライヤー行動規範(SCoC)に照らして持続可能性に関してリスクのあるサプライヤーを特定した場合、あるいはEcoVadisから低いスコアの通知を受けた場合、当該サプライヤーに対し第三者監査会社を用いて年1回行う労働・倫理・EHS(環境・健康・安全)および管理システムの現地評価プログラムの対象とし、PSCIのプロトコルに基づく監査を行います。評価結果に基づき、サプライヤーの持続可能性パフォーマンスの向上を目標とする改善計画を作成し、タケダとサプライヤー双方が定期的な見直しを行っています。
サプライヤーの多様性
世界中から資材を調達するグローバル企業として、サプライヤーのネットワークにおいても多様性と包括性を強化しています。例えば、タケダの購買ポリシーでは、見積をとる際に見積書の提出を求めるサプライヤーの少なくとも1社は、小規模企業あるいは多様性のある企業とするよう、また、主要サプライヤーに、再委託先を開示するよう定めています。
タケダの多様性・公平性・包括性プログラムでは、中小企業、マイノリティ(地域社会における少数派であると政府が認める集団)が経営する事業、女性が経営する事業、障害のある人が経営する事業、LGBTQが経営する事業、退役軍人が経営する事業などとの取引を進んで行うことにより、そうした事業を育成・支援しています。
そして、同プログラムは、私たちの価値観:タケダイズムと、1.患者さんに寄り添い(Patient)、 2.人々と信頼関係を築き(Trust)、3.社会的評価を向上させ(Reputation)、4.持続可能な事業を発展させる (Business)という行動指針に沿って以下のことを実践しています。
包括性の推進:タケダの製品を使用する患者さんの多様性をサプライヤー選定にも反映させます。
目的意識に基づくパートナーの選択:タケダの事業およびサプライチェーン全体に価値を提供できる小規模かつ多様性のある企業および支援団体と提携し、包括的で革新的なサプライヤー基盤を育成します。
地域経済への貢献:富と雇用の創出により、私たちが暮らし、働く地域社会を支援します。
私たちの価値観の遵守:タケダはカスタマーと価値観を共有できる存在であるという、カスタマーからの期待に応えます。
タケダの多様性&包括性プログラムでは、以下のことを推進しています。
タケダの購買ポリシーでは、調達に際して多様なサプライヤーに機会を提供するよう定め、小規模かつ多様性のあるサプライヤーを見つけるためのリソースを提供しています。
現在・将来とも多様なサプライヤーを支持するために、当社の調達および事業関係者と連携しています。
当社のサプライチェーンにおいて、また大規模サプライヤーや戦略的サプライヤーとともに、包括性を推進する機会や革新的な方法を探し求めます。
当社の調達および事業関係者を対象とした「サプライヤーズデー」を主催し、現在および将来の取引に向けて多様なサプライヤーと出会える機会を提供します。
メンタリングと発展支援
タケダでは、すでに取引をしているサプライヤー、将来的に取引が見込まれるサプライヤーを含めて毎年4~5社以上をメンタリング・プログラムに招き、事業の成長を支援するとともに、その事業を取り巻く多様な地域社会によりよい変化をもたらす企業として認知してもらうための方策を話し合っています。サプライヤーは、当社の調達リーダーや関連事業の担当者と最長1年ペアを組み、教育プログラムや投資プログラムを通じて、それぞれに合わせた事業支援を受けることができます。現在のところは一部地域に限定したプログラムですが、今後は世界的にプログラムを展開する予定です。また、このプログラムにより、当社の従業員は現在の取引先やまだ取引実績がない多様な企業の中から、それぞれの調達ニーズに応じて適切なサプライヤーを見つけだすこともできます。米国で開始したこのプログラムは、Diversity Alliance for Science、WBENC、NGLCC、NMSDC、Disability:IN、NVBDCといった米国内のNGOや、WEConnect Internationalなど世界的なNGOとの提携により、事業の育成支援を拡大し続けています。
サプライヤーの評価および改善の機会の提供(SP&I)
タケダのSP&Iチームでは、リスクとサステナビリティを主な評価項目とするフレームワークに沿って、事業分野ごとにサプライヤーの細分化を行っています。客観的データに基づくサプライヤー・スコアカードを用いてサプライヤーの能力を測定し、活用しています。このスコアカードで評価する項目には、社会・環境リスクと業績を把握する指標としてのKPI(主要業績評価)も含まれます。また、チームはサプライヤーと連携して、外部の力を借りたイノベーションや、業績上の問題是正を推進し、継続的な改善のための機会を提供します。タケダではサプライチェーンにおけるサステナビリティへの取り組みを強化する中で、サプライヤーとの関係も発展させていきたいと考えています。
タケダが用いる指標および業績評価については、サステナビリティ情報開示をご覧ください。
偽造医薬品対策
偽造・模造医薬品、そのほか違法取引される医薬品は、全世界の消費者と患者さんに対する重大な脅威になっています。様々な病気の治療に使用される医薬品を標的にした違法な取引の増加に伴い、医薬品業界は、患者さんの健康および医薬品保護という課題に直面しています。タケダは、患者さんの安全を守るために、偽造・模造医薬品や、違法な医薬品などに加え、疑わしい医薬品のリスクを特定し評価を行う、リスクに基づくアプローチを取っています。また、専任のGlobal Product Protectionチームが、社内各部門や外部機関との協働による戦略的アプローチでこの使命を遂行しています。
偽造医薬品・違法取引と闘うために、国内外の法執行機関、規制当局、各製薬会社、業界組織との積極的な提携、患者さん、医療関係者、取引企業に対して違法行為の危険性についての啓発活動を行っています。国際製薬団体連合会(IFPMA)の「Fight the Fakes」キャンペーンや安全なオンライン薬局連盟(ASOP)との提携を通じ、患者さんを啓発する活動に貢献しています。偽造・盗難・転用・改ざんを防止・検知するために、医薬品とパッケージ用の革新的な偽造防止ソリューションも開発しました。
偽造医療製品に対するタケダの見解については、こちらのポジションペーパーをご覧ください。
当社は販売活動においても患者さんを中心に考える方針に従い、当社医薬品の処方・使用・管理・購入・推奨に対して不当な影響力を行使せず、報酬も提供しません。また当社医薬品を処方してもらうために、金銭・贈り物・サービス・接待・その他有価物の提供も行いません。
この立場を明確に示すために、医療関係者および医療機関との交流に関するグローバルポリシー、患者および患者団体との交流に関するグローバルポリシー、公務員および政府機関との交流に関するグローバルポリシー、贈収賄禁止グローバルポリシーを含むあらゆるグローバルポリシーを遵守しています。また、各国の関連法、国際製薬団体連合会(IFPMA)コードオブプラクティス、各地の業界団体が定めた行動基準などを遵守した活動を推進しています。
当社は、適切な手段や媒体を通じて、正確かつ公正に、バランスの取れた医薬情報を提供します。社内外のガイドラインに基づき、医薬品のプロモーション資材のレビューを実施しています。これらの評価は独立組織が行う場合があり、定期的なモニタリングも行なっています。これらの評価とモニタリングは標準業務手順書(SOP)に基づいて行われます。
エシックス&コンプライアンス・プログラムにおいて、研修や教育は重要な要素です。新たに入社した従業員は、グローバル行動規準、贈収賄禁止ポリシーなど、従業員がとるべき行動に関するSOPについての研修を受けます。
品質管理
タケダの意思決定や医薬品の品質は、タケダのビジョン、バリューに支えらえています。
グローバル・クオリティ部門は研究開発から製造、流通、販売、そして血漿採取センター(BioLife)やワクチン事業に至るまで、ビジネス全般を対象に、タケダのバリューに基づいて品質に関する意思決定を行い、実行を支援します。品質重視の姿勢はタケダの企業文化の重要な要素であり、イノベーションを生み出し、継続的な業務改善と知識・成功事例を組織的に共有する活動にも活かされています。
品質ガバナンス
グローバル・クオリティ部門は、サイエンス、システム、人材の3つの柱で構成され、関連各部門と緊密に連携し、代表取締役社長 CEOの直属であるグローバル・クオリティ・オフィサー(GQO)が主導しています。グローバル・クオリティ・カウンシル(グローバル品質評議会)は、グローバルでの品質管理状況、その傾向や機会を監視する役割を担います。製造拠点におけるグローバル・クオリティ部門の標準的な仕組みを応用しているため、機能、役割、責任は組織全体で一貫したものになっています。
販売された医薬品の品質に影響がある場合やGMP(医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準)に関わる問題は、グローバル品質インシデント管理チームから経営陣に報告されます。品質問題は迅速に審査され、必要な規制当局への報告または市場での対応が行われます。 タケダでは、「ローカルニーズに最大限対応し、必要に応じてグローバルに対応する」という方針に従い、各地域を監督するクオリティ・カウンシル(品質評議会)を設け、品質とコンプライアンスを監視するとともに、経営陣とのコミュニケーションも図っています。
クオリティ・カウンシル(品質評議会)は、地域・拠点単位とグローバル・クオリティカウンシル(グローバル品質評議会)との情報共有を行っています。それにより、問題が早期に解決されるとともに、問題の傾向がより見つけやすく、対処しやすくなります。
品質戦略
品質に関する意思決定は常に患者さんに寄り添い、人々との信頼関係を築き、社会的評価を向上させ、事業を発展させる、という私たちの価値観に従って行われています。品質に関する意思決定は透明性を持って行われ、世界のあらゆる保健当局と協働し、品質要件を維持しています。
グローバル・クオリティはタケダのビジョンの実現に向けたクオリティロードマップを大きく前進させました。クオリティロードマップは規制および業界環境、さらにタケダの企業戦略の変化を反映できるよう毎年見直され、必要に応じて更新しています。
私たち一人ひとりには、患者さんとその安全を第一に考え、私たちの仕事が最高水準のエクセレンスを満たし、規制当局の要求に準拠していることを実証する責任があります。そのため、行動の記録、矛盾や違反の報告、必要な是正措置を行い、最高の倫理基準を持って行動します。タケダの品質に対するビジョンには、次のものが含まれます。
• サイエンス:医薬品およびプロセスに関する知識(新技術、分析開発) • システム:統合品質システム、サプライヤー品質管理 • 従業員:知識、スキル、リーダーシップの開発、パフォーマンスマネジメント、人材育成
すべての行動において、以下を含む「品質に対するビジョン」を重視しています。
活動事項
タケダイズムに従い、クオリティの高い文化を推進する
教訓やベストプラクティスに基づいた学習環境の維持
連携を重視したパートナーシップの構築
革新と継続的改善のための環境づくり
重要事項
医薬品の品質性能
サービスと価値の管理、アジリティ
コンプライアンス管理
検査の成功
外部への影響力
医薬品の品質と安全性
グローバル・クオリティでは、品質に関する意思決定が一貫性と整合性をもって行えるよう全社を挙げて取り組みを強化し、研究開発から安全性評価に至る医薬品ライフサイクル全体においてベストプラクティスを追求しています。この取り組みが、革新的かつ効果的で安全な医薬品開発を可能にしています。
グローバル・クオリティは、準拠法や当社規定および基準を遵守するため研究開発部門と連携し、研究と非臨床試験においてデータの信頼性に対する高い基準を求めています。臨床試験では、段階や実施国・地域に関わらず患者さんの安全と健康を守ると共に、臨床試験データの信頼性を確保することが求められるため、科学的かつ健全な手順で研究が行われ、データの収集・分析・報告が透明性と責任ある方法で実行されることを確認します。
タケダが患者さんにお届けする医薬品は、生産・流通の段階に至るまでに、極めて高い基準の品質が求められます。すべての治験薬および医薬品は最新のGMP(医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準)に従って生産・管理されます。製造した医薬品の品質と安全性は、医薬品の流通に関する GDP(医薬品の適正流通基準)に準拠することで担保されています。発売後の医薬品に関しても、医師や市場から重要情報を収集し、継続的に品質保全を図るとともに潜在的な課題を早期に発見し、継続的な改善に取り組んでいます。 新薬の開発段階および医薬品の販売においては安全性に関する情報を継続的に収集し、問題に発展する可能性のある事象の発見に活用しています。万一、潜在的な問題を発見した場合、その旨を保健当局、医療関係者、販売会社に対して速やかに通知すると共に、医薬品の適切な使用法に関する情報も提供しています。
規制当局に対する取り組み
タケダは規制当局との関係の維持・強化にも取り組んでいます。例えば、国際製薬技術協会(ISPE)、Parenteral Drug Association(PDA)、Global Pharmaceutical Manufacturing Leadership Forum(GPMLF)、米国研究製薬工業協会(PhRMA)などの多くの業界団体に積極的に参画しています。また、最新の医薬品適正製造基準(cGMPs)の改善に向けたワーキングチームや提案にも積極的に貢献しています。
さらに、米国食品医薬品局(FDA)、ブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)、欧州医薬品庁(EMA)など、全世界の規制当局が定期的に出席する会議にも参加しています。タケダはウイルス領域におけるグローバルリーダーとして評価を得ており、当社のGlobal Quality Pathogen Safety チームは、世界の規制当局や医療グループと定期的に連携して病原体の安全性確保の取り組みや積極的な新興ウイルス性因子の研究を行っています。
EHSに関する監査体制
EHS(環境・健康・安全)管理システムが有効であることを確認するための重要な手段として、監査を行っています。コーポレートEHS監査部門が主導する監査プログラムには、管理システムとコンプライアンス監査が含まれています。このプログラムでは必要に応じて対象となる拠点の国や地域の規制の専門家である現地の独立した外部監査人が監査を実施します。監査を含むコーポレートEHS 管理システムの健全性を保つプログラムを通じ、経営陣の要求事項や種々の基準、業務手順、規制要件の遵守を保証します。
監査結果に基づき、現場のリーダーは是正および再発防止計画(CAPA)を策定し、コーポレートEHS監査とEHS地域責任者により計画の承認を受けます。CAPAは、主要評価指標(KPI)の遂行予測に基づき、完了するまで追跡されます。また、監査の傾向をもとに、翌年に取り組む必要がある事項や支援しなければならない地域を検討します。監査は通常3年周期で、EHSリスクのレベルおよび国際標準化機構(ISO)の認証要件に基づいて実施され、監査結果は取締役会のリスク・エシックス&コンプライアンス・コミッティー(RECC)に報告されます。EHSリスクは、業務の種類・複雑性・規模、過去のEHSパフォーマンス、そのほかの要因により生じます。
監査結果に基づき、現場のリーダーは是正および再発防止計画(CAPA)を策定し、コーポレートEHS監査とEHS地域責任者により計画の承認を受けます。CAPAは、主要評価指標(KPI)の遂行予測に基づき、完了するまで追跡されます。また、監査の傾向をもとに、翌年に取り組む必要がある事項や支援しなければならない地域を検討します。
人権に関するコミットメント
タケダの存在意義は「世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献する」ことです。人権の尊重と保護への取り組みは、タケダの企業理念における重要な要素の一つとしてタケダ・グローバル行動規準に明記されています。人権に対するタケダのコミットメントをご覧ください。
タケダは、長年にわたる国連グローバル・コンパクトの署名企業として、サプライチェーンにおける事業の場面、そして地域社会と関わる場面において、国際的に認められた人権の尊重と推進に力を入れて取り組んでいます。また当社と同様の基準を、当社と関わるサプライヤーをはじめとする第三者にも求めています。世界人権宣言(UDHR)、市民および政治的な権利に関する国際規約(ICCPR)、経済的、社会的・文化的権利に関する国際規約(ICESCR)、国際労働機関の中核的労働基準からなる国際人権規約に従って行動するとともに、「ビジネスと人権に関する国連指導原則」を導入しています。
包括的な人権侵害評価を行い、その中で最も私たちに関連の強い以下の11の人権侵害の要因を特定しました。
Patient
私たちの医薬品への持続的なアクセス
品質と安全性の高い医薬品
臨床試験
People
健康と安全
多様性、公平性、包括性(DE&I)
職場での労働者の権利
プライバシーとデータの保護
パートナーシップと労働権
Planet
温室効果ガス(GHG)排出量
水
廃棄物の発生
人権を脅かす要因の中で、タケダに最も関連が高く、重要であると考えるものに焦点を当てることで、以下の人権条項により注力・推進していくことができると考えています。
健康に関する権利
平等への権利と差別のない生活を送る権利
生命、自由および安全に対する権利
適切な生活水準を確保する権利
タケダは、人権を脅かす要因を特定し、評価し、対処するために、デューデリジェンス・プロセスの実施に取り組み、従業員や第三者が、人権侵害をはじめとする不正行為の可能性について懸念を表明できる安全な場所の構築を目指しています。そのため、タケダ・エシックスラインなどの窓口を設け、従業員や第三者が懸念を報告できるようにしています。
人権侵害に結びつく行為や慣行に対しては、迅速かつ適切な措置が取られます。また、不正行為の根本原因を分析・把握して再発防止に努め、必要に応じて適時に救済を受けることができるよう支援しています。
グローバル・サステナビリティ情報開示ポータルでは、現代奴隷法に関する声明やノルウェー透明性法報告書など、人権に関する開示情報をご覧いただけます。
労働者の人権
労働者の権利を含む人権の尊重は、企業の果たすべき重要責務の一つです。
タケダ・サードパーティリスク管理の一環で、人権および労働基準を含め、ビジネスライフサイクル全体にわたって第三者との関与、選択、および評価においてデューデリジェンスを合理的に実施することを努めます。タケダ・サプライヤー行動規範(SCoC)は、児童労働、強制労働および奴隷労働、人身売買を含む現代の奴隷制慣行に関する当社のコミットメントとサプライヤーへの期待を概説しています。さらに、製薬業界サプライチェーンイニシアチブ(PSCI)内でワーキンググループを主導し、現代の奴隷制度に関する認識をより高め、業界のベストプラクティスを共有するためのオンラインセミナーを開催しました。社会的責務の監査に関する研修に参加するメンバーと共に、経営陣の育成にも注力しています。
現代奴隷について、タケダが公開している関連文書の一部をご覧ください。
現代奴隷に関するTakeda Pharmaceuticals International AG、Takeda UK Limitedの声明(英語)
現代奴隷に関するTakeda Pharmaceuticals International AG、Takeda UK Limited、Takeda Australiaの声明(英語)
紛争鉱物について、タケダが公開している関連文書の一部をご覧ください。
リスクマネジメントの考え方
企業理念のもとに、タケダは、リスクマネジメントを内部統制と一体となって機能するコーポレート・ガバナンスの重要な構成要素として捉え、リスクマネジメント体制の整備を図っています。 当社は、グループで統制のある対応を図るとともに、グループ各社におけるリスク・危機への適切な対応および事業継続が行われる体制の構築を推進しています。リスク管理に際しては、「グローバルリスク管理ポリシー」および「グローバル危機管理ポリシー」により、事業継続計画を含むタケダのリスク管理体制および発生した危機の管理体制をそれぞれ定めています。
主要なリスクのマネジメント
「グローバルリスク管理ポリシー」は、戦略に合致したリスクの選択、およびリスク対応の向上を目的とし、重要なリスクの特定、測定、低減、報告を行うにあたり、統一された手順を提供しています。
タケダの主要なリスクは、研究開発、知的財産権、特許権満了等による売上低下、副作用、薬剤費抑制策による価格引き下げ、為替変動、企業買収、カントリーリスク、安定供給、訴訟、ITセキュリテおよび情報管理などがあげられます。各部門の責任者は、あらゆる損失危険要因について、その担当領域ごとに、中期計画・年間計画の策定・実施の中で、計数面および定性面から管理を行うとともに、リスクの程度・内容に応じた対応策・コンティンジェンシープランに基づき回避措置、最小化措置を行っています。
危機管理の考え方
危機管理に関する基本的な考え方、原則・基準をまとめた「グローバル危機管理ポリシー」に従い、発生が予測される危機に対し可能な限りの予防措置を講じています。また本ポリシーに沿って、危機の種類に応じて的確・迅速に対応できるような体制・仕組みを構築し、危機が発生してもタケダが受ける人的・経済的被害や社会に及ぼす影響を最小限に抑えるようにしています。
危機管理体制
タケダグループ各社は、それぞれの自己責任において、危機管理体制の構築、予防措置と発生時の対策を実施します。グループへの影響度が大きく、タケダ全体での対応が必要な事態には、武田薬品の社長CEOを委員長とする「グローバル危機管理委員会」で統一的に情報・状況を把握し、グループ各社に対する対策の指示とフォローを行います。