タケダでは、多様でインクルーシブな職場を育むために、共通のアイデンティティと経験を持った従業員同士が集う、従業員主導型のネットワークがあります。 “TSUNAGU(繋)” も従業員ネットワークの一つで、タケダで働く「がんサバイバー」たちが集い、同じ立場にある仲間とともに体験を語り合い、互いの知識や経験を共有することで、心豊かに生きていくことを目指し活動しています。
2024年2月29日、 “TSUNAGU”主催、日本オンコロジー事業部サポートのもと、「自身または大切な人ががんに罹患したときにどう対処するか」をテーマにしたタケダ従業員向けセミナーを実施しました。当日は、社内の様々な部門から、オンサイトとオンライン合わせて200名を超える従業員が本イベントに参加しました。
本イベントには、演者として、一般社団法人 CSR プロジェクト 代表理事 桜井なおみさんに登壇いただき、「企業内ピアサポーターの育成~支えられた体験を支えるチカラへ~」と題した講演をしていただきました。桜井さんは、2007年に「がん患者さんの就労」という重大な問題の解決に取り組むためのプロジェクト(Cancer Survivors Recruiting : CSRプロジェクト)を立ち上げ、日本の就労世代のがん患者さんにおける就労・雇用の実態を明らかにする調査・研究など、長年に渡り関わっておられます。桜井さんは「生涯のうちに、“日本人の2人に1人ががん”に罹患する時代、働きながらがんの治療を続ける人や、高齢者におけるがん罹患者数が増加することは確実。社会全体で、これらのがん患者さんを支えるための仕組みを整えていかなければいけない」と述べ、現代のがん患者さんが抱える様々な困難を紹介しました。
また、講演の中では、がん患者さんが抱える問題の中でも、価値観の変化やモチベーションの低下、死への不安・混乱といった“こころの問題”については、がん患者さんを取り巻く周囲の人々が関わり、サポートできる部分であると伝えました。そして、実際に職場内でがん患者さんがいることを想定し、「同僚ががんを打ち明けたとき、どう反応すべきか」「復職したAさんが、以前のように仕事ができないため退職を考えていると相談にきたら、どう対応するか」といった質問を桜井さんが参加者に投げかけ、インタラクティブなやり取りを通して、がん患者さんのために自分は何ができるか、どのような声がけができるかを一緒に考えました。桜井さんは、これらの質問に正解はないとしたうえで、「がんという疾患ばかりフォーカスし、生活者としての患者さんを理解できていないケースが多い」と述べ、「日本人は“I(主語が私)”メッセージを伝えるのが苦手。マニュアルやガイドラインではなく、がん患者さんを支える側も“私は”どう感じているのか、言葉にすることが大切」と、語りかけ、職場の心理的安全性を上げるためにも、がん患者さんと共感し合える関係性をつくることが重要と語りました。マニュアルやガイドラインではなく、がん患者さんを支える側も“私は”どう感じているのか、言葉にすることが大切」と語りかけ、職場の心理的安全性を上げるためにも、がん患者さんと共感し合える関係性をつくることが重要と語りました。
質疑応答の時間では、たくさんの質問がオンラインで寄せられ、桜井さんには時間が許す限り従業からの質問に回答しました。参加者からは、「困った立場の人がいると良かれと思ってあれこれアドバイスしたくなりますが、まず大事なのは“あなたの病気を聞いて私は驚いた”といった共感メッセージを伝えることなのだと感じた」「普段、がんに関する医薬品を取り扱う者として、がんに罹患した方とのコミュニケーション方法を自分事として考える機会となり、有用だった」など、感想が寄せられました。
がん患者さんを取り巻く課題はたくさんあります。日本オンコロジー事業部では、社内外のステークホルダーと協働し、「がん」そして「がん患者さん」について学ぶ機会を創ることで、一人でも多くの方が、がんを正しく理解し、がん患者さんが生きやすいインクルーシブな社会づくりに貢献します。