がんを正しく理解し「知る」、「共感する」、「考える」力を醸成
日本オンコロジー事業部は2023年8月5日、小学4-6年生とその保護者を対象とした実践型がん教育プログラム「オンコロジーキッズプログラム」を開催しました。本プログラムは、医師およびがん体験者とともにがんを正しく理解し「知る」、「共感する」、「考える」力を醸成することを目的とし、がん教育の講師として帝京大学医学部内科学講座 腫瘍内科 病院教授の渡邊 清高先生とがん体験者である一般社団法人CSRプロジェクト 代表理事の桜井 なおみさんをお招きしました。当日は、16組40名の家族がワークショップに参加しました。
がん医療の最前線で活躍する渡邊先生は、がんとは何か、がんの疫学・予防・検診の重要性について授業を実施しました。渡邊先生はがんの語源である「カニ(蟹)」のお面を用いながら、授業の初めに、がんに関する知識を正しく身につけるためのレクチャーを参加者とのクイズなどを交えながら行いました。続いて、がんの治療に関して、がん患者さんとそのご家族にむけた緩和ケアや、さまざまな職種が集まり、チームとして患者さんを日々支えている医療従事者という職業について説明しました。
がん体験者の桜井さんは、がん治療の経験・がん患者さんがどのようなことで困っていたか、お話しました。また、病気がわかったときの気持ちや、入院時の過ごし方、日常生活を続けるためにあきらめなかったこと、について語りました。桜井さんは、軍手を使用しながら、治療期間中に続いた末梢神経障害を児童と一緒に疑似体験しました。ペットボトルや、消しゴム、鉛筆を使って日常生活でどんな動きが困難で、その時どんな気持ちになるのか、参加者と一緒に、困っている身近な人にどんなサポート、声をかけることができるか考えました。「ドアを代わりに開ける、細かい作業を手伝いたいな、一緒に散歩に行きたい」などみんなができることについて参加者は共有し合いました。桜井さんは、治療内容は一人一人異なるため、人と比べないことの大切さ、患者さんそれぞれのペイシェントジャーニーについてもお話しました。
ワークショップの後半は、参加者による世界にひとつだけのオリジナル新聞づくりを実施しました。「がん検診へ行こう!」、「がんを知って向き合おう!」、「日本人の2人に1人ががんになる!?」「がんになったらどう思った?」など新聞の見出しとともに、渡邊先生、桜井さんのお話を聞いてそれぞれが感じ、考えたことをオリジナルの新聞としてまとめました。
イベントを通じて児童からは「がん」に対する理解力の向上とともに「がん患者さんの気持ちを理解することができてよかった、学んだことを身近な人に話したい、将来医師になりたい」また保護者からも「今日学んだことを生かして、家族皆で身の回りの人を支えていきたい、親子で一緒に学び、考える時間を持つことができてよかった、患者さん目線で自分事として感じることができた」など多くの温かい感想をいただきました。日本オンコロジー事業部ペイシェントアドボカシー&コミュニケーション部は、中長期的な「がんに関するヘルスリテラシー向上」を目指し、予防や治療に関する普及啓発の観点から、がん教育、シンポジウム等の活動を実施しております。