CIDPは、末梢神経系に影響を及ぼす希少で後天的な免疫介在性の神経筋疾患です1,2。四肢の遠位および近位における脱力、ピリピリ感または感覚消失、反射消失、歩行困難など、進行性の左右対称性の症状を典型的な特徴とします2。日本人10万人あたりのCIDPの有病率は3.3人(男性と女性の比率は1.5:1)、発症率は0.36人と推測されます6。
MMNも、CIDPと同じく末梢神経に障害が生じる神経炎です。MMNは、CIDPと異なり、左右非対称の運動障害が主で、感覚が障害されることはないか、障害があっても軽度です3,4,5。日本人10万人あたりのMMNの有病率は0.3人と推測されています。性別の割合は男性が72%、女性が28%です7。
「無又は低ガンマグロブリン血症」は、原発性免疫不全症(以下「PID」)または続発性免疫不全症(以下「SID」)による抗体が無い又は低い状態で、重篤な感染症の再発リスクが増加することを特徴とする疾患です1。無ガンマグロブリン血症は、Bリンパ球と呼ばれる免疫細胞の正常で成熟した増殖を阻害する遺伝子の異常によって抗体が産生されず引き起こされる遺伝性疾患です2。低ガンマグロブリン血症は、遺伝子異常によって遺伝することが多いですが、化学療法、特定の併存疾患、免疫抑制剤の使用などの二次的影響によって抗体が欠乏し発症する場合もあります1。どのような種類の抗体欠乏症であっても、感染症を繰り返すことが多く、 免疫グロブリン補充療法により体内の抗体レベルを上昇させることができます。
皮下注用人免疫グロブリン・遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ組み合わせ製剤は、大量の免疫グロブリンの皮下投与を可能にするために開発されたSCIG10%およびrHuPH20から構成される組み合わせ製剤です。rHuPH20をSCIG10%投与の直前に投与することで皮下組織の透過性を一時的に高め、SCIG10%の拡散と吸収を促進することで、大量投与が可能で、投与頻度は2週から4週間隔です。本剤は、欧州でPIDおよび一部のSIDの効能で2013年5月に、米国ではPIDの効能で2014年9月に承認され、CIDP患者さんを対象とした維持療法として、欧州と米国で2024年1月に承認されています。2024年8月現在、40カ国以上で承認され、HYQVIA®の製品名で発売されています。
武田薬品工業株式会社(TSE: 4502/NYSE: TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。 詳細についてはhttps://www.takeda.com/jp/をご覧ください。
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