当社は、本日、希少肝疾患に対する治療薬である回腸胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害薬マラリキシバット塩化物(開発コード:TAK-625、以下、マラリキシバット)について、アラジール症候群(以下、「ALGS」)・進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(以下、「PFIC」)の治療薬として、厚生労働省に製造販売承認申請を行いましたのでお知らせします。
今回の製造販売承認申請は、ALGSおよびPFICを対象として国内で行われた第3相臨床試験(TAK-625-3001、TAK-625-3002)、ならびに海外で行われた複数の臨床試験の結果に基づくものです。
マラリキシバットは、Mirum Pharmaceuticals, Inc社(以下、「Mirum社」)が開発した薬剤です。当社は、2021年9月に日本における独占的開発・販売に関するライセンス契約を締結しました。
なお、マラリキシバットは、ALGS患者における胆汁うっ滞性のそう痒症を適応として、米国において、2021年9月に承認され、現在、生後3カ月以上の患者に投与可能です。また、同適応に対し、欧州を含む複数の国や地域で承認を取得しています。また、5歳以上のPFIC患者における胆汁うっ滞性のそう痒症を適応として、米国において2024年3月に承認を取得しました。欧州においては、承認申請中であり、生後3カ月以上のPFIC患者に対する適応取得に対して、欧州医薬評価委員会(CHMP)より肯定的な見解1が得られています。欧州委員会の決定は、2024年第3四半期までに下される予定です。
アラジール症候群(ALGS)は、小葉間胆管減少症を伴う稀な遺伝性疾患であり、胆汁うっ滞により、最終的には進行性の肝機能障害を引き起こします。ALGSの推定発症率は3万人に1人2とされ、日本の全国調査では国内患者数は200~300人程度と推測されています3。肝臓、心臓、腎臓、中枢神経系など、複数の臓器に形成異常を認める場合があります4。ALGS患者の60%から75%が成人に達する前に肝移植を行う必要があると報告されています5。ALGSの症状には、黄疸(皮膚の黄ばみ)、黄色腫(皮下組織へのコレステロールの異常沈着)、そう痒(かゆみ)などがあります。ALGS患者さんが経験するそう痒は、慢性肝疾患の中でも最も重度のものであり、大半は生後3年目までに発症します6 。
進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)は、肝細胞の胆汁を分泌する能力が低下し、肝細胞内に胆汁の蓄積が起こることにより、進行性の肝疾患に至るまれな遺伝性疾患です。PFICの症状は乳児期から現れはじめることが多く、重度のそう痒(かゆみ)、黄疸(皮膚の黄ばみ)、成長障害、および肝機能低下などが認められます。米国と欧州では、出生児の5万人から10万人に1人がこの病気にかかっていると推定されています7。PFICは、国内では小児慢性特定疾病の対象疾患となっていますが、小児慢性特定疾患治療研究事業への新規登録症例数は年間2~8例程度のみとなっています8。PFICは、責任遺伝子をもとに複数のサブタイプが報告されており、すべてのサブタイプが胆汁分泌障害と進行性肝疾患という共通の特徴を持っています。
マラリキシバットは、経口投与可能な回腸胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害薬であり、アラジール症候群(ALGS)および進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)患者における胆汁うっ滞性のそう痒症の治療薬として米国食品医薬品局(FDA)に承認されている薬剤です。また、ALGS患者における胆汁うっ滞性のそう痒症の治療薬として欧州委員会およびカナダ保健省により承認されている唯一のIBAT阻害薬でもあります。加えて、欧州では、PFICの治療薬としての承認申請を行っています。マラリキシバットは、米国においてALGSおよびPFIC2(PFICのサブタイプ)に対するBreakthrough Therapyの指定と、米国および欧州においてALGSおよびPFICに対するオーファン指定を受けています。また、日本においては2022年12月16日付で、厚生労働省より、予定される効能または効果をALGS及びPFICとして希少疾病用医薬品に指定されています。
Mirum社は、小児から成人までに影響をおよぼす希少疾患に対する治療の変革を目指すバイオ製薬企業であり、Maralixibat、Cholbam🄬、およびChenodal🄬の3つの治療薬を提供しています。
MaralixibatはIBAT阻害薬であり、小児から成人までに影響をおよぼす2つの希少な肝疾患の治療に承認されています。米国(生後3カ月以上)、欧州(生後2カ月以上)、および他の地域でアラジール症候群患者の胆汁うっ滞性のそう痒症の治療薬として承認されています。また、米国では5歳以上のPFIC患者の胆汁うっ滞性のそう痒症の治療薬としても承認されています。
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武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、オンコロジー(がん)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。
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消化器系疾患は時として、患者さんの日常生活を困難にさせる場合があります。武田薬品およびパートナー各社はこのアンメット・メディカル・ニーズに対し、35年以上にわたり革新的な医薬品や支援プログラムを通じて患者さんのQOL(生活の質)改善に取り組んでまいりました。また武田薬品は、炎症性腸疾患、酸関連疾患、短腸症候群、消化管運動障害など、消化器系疾患領域をリードしてきました。武田薬品の消化器系疾患領域の研究開発チームは、セリアック病や好酸球性食道炎、α-1アンチトリプシン関連肝疾患など、アンメット・メディカル・ニーズのある新しい領域でのギャップの解消に向けても取り組んでいます。武田薬品は、これからも研究者や患者団体とともに、消化器系疾患領域における科学的研究と臨床医学の発展に取り組んでいきます。
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