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アラジール症候群・進行性家族性肝内胆汁うっ滞症治療薬「マラリキシバット」の日本における製造販売承認申請について

2024年6月27日

当社は、本日、希少肝疾患に対する治療薬である回腸胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害薬マラリキシバット塩化物(開発コード:TAK-625、以下、マラリキシバット)について、アラジール症候群(以下、「ALGS」)・進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(以下、「PFIC」)の治療薬として、厚生労働省に製造販売承認申請を行いましたのでお知らせします。

今回の製造販売承認申請は、ALGSおよびPFICを対象として国内で行われた第3相臨床試験(TAK-625-3001、TAK-625-3002)、ならびに海外で行われた複数の臨床試験の結果に基づくものです。

マラリキシバットは、Mirum Pharmaceuticals, Inc社(以下、「Mirum社」)が開発した薬剤です。当社は、2021年9月に日本における独占的開発・販売に関するライセンス契約を締結しました。

なお、マラリキシバットは、ALGS患者における胆汁うっ滞性のそう痒症を適応として、米国において、2021年9月に承認され、現在、生後3カ月以上の患者に投与可能です。また、同適応に対し、欧州を含む複数の国や地域で承認を取得しています。また、5歳以上のPFIC患者における胆汁うっ滞性のそう痒症を適応として、米国において2024年3月に承認を取得しました。欧州においては、承認申請中であり、生後3カ月以上のPFIC患者に対する適応取得に対して、欧州医薬評価委員会(CHMP)より肯定的な見解1が得られています。欧州委員会の決定は、2024年第3四半期までに下される予定です。

<アラジール症候群について>

アラジール症候群(ALGS)は、小葉間胆管減少症を伴う稀な遺伝性疾患であり、胆汁うっ滞により、最終的には進行性の肝機能障害を引き起こします。ALGSの推定発症率は3万人に1人2とされ、日本の全国調査では国内患者数は200~300人程度と推測されています3。肝臓、心臓、腎臓、中枢神経系など、複数の臓器に形成異常を認める場合があります4。ALGS患者の60%から75%が成人に達する前に肝移植を行う必要があると報告されています5。ALGSの症状には、黄疸(皮膚の黄ばみ)、黄色腫(皮下組織へのコレステロールの異常沈着)、そう痒(かゆみ)などがあります。ALGS患者さんが経験するそう痒は、慢性肝疾患の中でも最も重度のものであり、大半は生後3年目までに発症します6

<進行性家族性肝内胆汁うっ滞症について>

進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)は、肝細胞の胆汁を分泌する能力が低下し、肝細胞内に胆汁の蓄積が起こることにより、進行性の肝疾患に至るまれな遺伝性疾患です。PFICの症状は乳児期から現れはじめることが多く、重度のそう痒(かゆみ)、黄疸(皮膚の黄ばみ)、成長障害、および肝機能低下などが認められます。米国と欧州では、出生児の5万人から10万人に1人がこの病気にかかっていると推定されています7。PFICは、国内では小児慢性特定疾病の対象疾患となっていますが、小児慢性特定疾患治療研究事業への新規登録症例数は年間2~8例程度のみとなっています8。PFICは、責任遺伝子をもとに複数のサブタイプが報告されており、すべてのサブタイプが胆汁分泌障害と進行性肝疾患という共通の特徴を持っています。

<マラリキシバットについて>

マラリキシバットは、経口投与可能な回腸胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害薬であり、アラジール症候群(ALGS)および進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)患者における胆汁うっ滞性のそう痒症の治療薬として米国食品医薬品局(FDA)に承認されている薬剤です。また、ALGS患者における胆汁うっ滞性のそう痒症の治療薬として欧州委員会およびカナダ保健省により承認されている唯一のIBAT阻害薬でもあります。加えて、欧州では、PFICの治療薬としての承認申請を行っています。マラリキシバットは、米国においてALGSおよびPFIC2(PFICのサブタイプ)に対するBreakthrough Therapyの指定と、米国および欧州においてALGSおよびPFICに対するオーファン指定を受けています。また、日本においては2022年12月16日付で、厚生労働省より、予定される効能または効果をALGS及びPFICとして希少疾病用医薬品に指定されています。

<Mirum社について>

Mirum社は、小児から成人までに影響をおよぼす希少疾患に対する治療の変革を目指すバイオ製薬企業であり、MaralixibatCholbam🄬、およびChenodal🄬の3つの治療薬を提供しています。

MaralixibatはIBAT阻害薬であり、小児から成人までに影響をおよぼす2つの希少な肝疾患の治療に承認されています。米国(生後3カ月以上)、欧州(生後2カ月以上)、および他の地域でアラジール症候群患者の胆汁うっ滞性のそう痒症の治療薬として承認されています。また、米国では5歳以上のPFIC患者の胆汁うっ滞性のそう痒症の治療薬としても承認されています。

Mirum社の詳細については、ホームページ、もしくはFacebook, LinkedIn, Instagram, X(旧Twitter)をご確認ください。

英語版プレスリリースはこちら
Please find the English press release from here

<武田薬品について>

武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、オンコロジー(がん)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。
詳細についてはhttps://www.takeda.comをご覧ください。

<武田薬品の消化器・炎症性疾患領域における取り組みについて>

消化器系疾患は時として、患者さんの日常生活を困難にさせる場合があります。武田薬品およびパートナー各社はこのアンメット・メディカル・ニーズに対し、35年以上にわたり革新的な医薬品や支援プログラムを通じて患者さんのQOL(生活の質)改善に取り組んでまいりました。また武田薬品は、炎症性腸疾患、酸関連疾患、短腸症候群、消化管運動障害など、消化器系疾患領域をリードしてきました。武田薬品の消化器系疾患領域の研究開発チームは、セリアック病や好酸球性食道炎、α-1アンチトリプシン関連肝疾患など、アンメット・メディカル・ニーズのある新しい領域でのギャップの解消に向けても取り組んでいます。武田薬品は、これからも研究者や患者団体とともに、消化器系疾患領域における科学的研究と臨床医学の発展に取り組んでいきます。

<重要な注意事項>

本注意事項において、「ニュースリリース」とは、本ニュースリリースに関して武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)によって説明又は配布された本書類並びに一切の口頭のプレゼンテーション、質疑応答及び書面又は口頭の資料を意味します。本ニュースリリース(それに関する口頭の説明及び質疑応答を含みます)は、いかなる法域においても、いかなる有価証券の購入、取得、申込み、交換、売却その他の処分の提案、案内若しくは勧誘又はいかなる投票若しくは承認の勧誘のいずれの一部を構成、表明又は形成するものではなく、またこれを行うことを意図しておりません。本ニュースリリースにより株式又は有価証券の募集を公に行うものではありません。米国 1933 年証券法の登録又は登録免除の要件に基づいて行うものを除き、米国において有価証券の募集は行われません。本ニュースリリースは、(投資、取得、処分その他の取引の検討のためではなく)情報提供のみを目的として受領者により使用されるという条件の下で(受領者に対して提供される追加情報と共に)提供されております。当該制限を遵守しなかった場合には、適用のある証券法違反となる可能性があります。

武田薬品が直接的に、又は間接的に投資している会社は別々の会社になります。本ニュースリリースにおいて、「武田薬品」という用語は、武田薬品及びその子会社全般を参照するものとして便宜上使われていることがあり得ます。同様に、「当社(we、us及びour)」という用語は、子会社全般又はそこで勤務する者を参照していることもあり得ます。これらの用語は、特定の会社を明らかにすることが有益な目的を与えない場合に用いられることもあり得ます。
本ニュースリリースに記載されている製品名は、武田薬品又は各所有者の商標又は登録商標です。

<将来に関する見通し情報>

本ニュースリリース及び本ニュースリリースに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標及び計画を含む武田薬品の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「確実にする(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」、「かもしれない(could)」、「予想される(anticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」、「予測する(forecasts)」、「見通し(outlook)」などの用語若しくは同様の表現又はそれらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではありません。これら将来見通し情報は、多くの重要な要因に関する前提に基づいており、実際の結果は、将来見通し情報において明示又は暗示された将来の結果とは大きく異なる可能性があります。その重要な要因には、日本及び米国の一般的な経済条件を含む武田薬品のグローバルな事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、関連法規の変更、臨床的成功及び規制当局による判断とその時期の不確実性を含む新製品開発に内在する困難、新製品及び既存製品の商業的成功の不確実性、製造における困難又は遅延、金利及び為替の変動、市場で販売された製品又は候補製品の安全性又は有効性に関するクレーム又は懸念、新規コロナウイルス・パンデミックのような健康危機、温室効果ガス排出量の削減又はその他環境目標の達成を可能にする武田薬品の環境・サステナビリティに対する取り組みの成功、人工知能(AI)を含むデジタル技術の統合をはじめとする、業務効率化、生産性向上又はコスト削減に向けた武田薬品の取り組みや、その他の事業再編に向けた取り組みが、期待されるベネフィットに寄与する程度、武田薬品のウェブサイト(https://www.takeda.com/jp/investors/sec-filings/)又はwww.sec.govにおいて閲覧可能な米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書並びに武田薬品の他の報告書において特定されたその他の要因が含まれます。武田薬品は、法律や証券取引所の規則により要請される場合を除き、本ニュースリリースに含まれる、又は武田薬品が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本ニュースリリースにおける武田薬品の経営結果及び情報は武田薬品の将来の経営結果を示すものではなく、また、その予測、予想、保証又は見積もりではありません。

<医療情報>

本ニュースリリースには、製品に関する情報が含まれておりますが、それらの製品は、すべての国で発売されているものではなく、また国によって異なる商標、効能、用量等で販売されている場合もあります。ここに記載されている情報は、開発品を含むいかなる医療用医薬品を勧誘、宣伝又は広告するものではありません。

以上


  1. https://www.ema.europa.eu/en/medicines/human/variation/livmarli (2024年6月閲覧)
  2. Definition & Facts for Alagille Syndrome. National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Accessed June 4, 2021.
  3. 今川和生、和田宏来、田川学、須磨﨑亮.指定難病最前線(Volume 74)アラジール症候群.新薬と臨牀.2018;67(12):1572-6.
  4. Vandriel, et al. GALA EASL 2020
  5. Kamath, et al. Hepatology Communications 2020.
  6. Elisofon, et al. Journal of Pediatric Gastroenterology and Nutrition 2010
  7. Progressive familial interhepatic cholestasis. Medline Plus. Accessed April 29, 2021.
  8. 須磨﨑亮.小児慢性特定疾患治療研究事業の登録データを用いた小児慢性消化器疾患の症例数に関する比較検討-アラジール症候群に着目して.平成22年度 分担研究報告書.2011;177-82.