-リブテンシティはpUL97キナーゼを標的として阻害する最初で唯一の移植後サイトメガロウイルス(CMV)感染症に対する化学療法剤1
-CMV感染症は移植後最もよく見られる深刻な感染症の一つで、2次感染や臓器の喪失などの重篤な状態になる可能性がある疾患2、3
当社は、本日、抗サイトメガロウイルス化学療法剤「リブテンシティ®錠200㎎」(一般名:マリバビル、以下「リブテンシティ」)について、「臓器移植(造血幹細胞移植も含む)における既存の抗サイトメガロウイルス療法に難治性のサイトメガロウイルス感染症」を効能又は効果として4、発売しましたのでお知らせします。リブテンシティは経口投与可能なpUL97キナーゼとその天然基質を標的として阻害する最初で唯一の移植後サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus、以下「CMV」)感染症に対する化学療法剤です1。
リブテンシティは、主に造血幹細胞移植(hematopoietic stem cell transplant、以下「HSCT」)または固形臓器移植(solid organ transplantation、以下「SOT」)後で既存の抗CMV治療に難治性*のCMV感染・感染症を有する患者さんを対象とした海外第3相非盲検試験(SOLSTICE 試験、(NCT02931539)および日本人のHSCTまたはSOT後でCMV 感染・感染症を有する患者さんを対象とした国内第3相非盲検試験(NCT05137717)に基づいて2023年11月7日に厚生労働省に製造販売承認申請を行い、これらの試験において有効性・安全性が確認され、2024年6月24日に製造販売承認を取得しました。
当社のジャパン ファーマ ビジネス ユニット 希少疾患事業部長の百合田剛史は「リブテンシティを既存のCMV療法に難治性のCMV感染症を有する患者さんに新しい治療選択肢としてお届けできることをうれしく思います。移植後の患者さんはCMVに感染すると大きな負担となり、適切に治療されなければ二次感染や臓器の喪失などの深刻な合併症につながります。移植という身体的、精神的、社会的な負担が決して小さいとはいえない治療法を選択された患者さん、そしてその患者さんを支えるご家族皆さんに対し、少しでも不安の少ない生活をお届けできるよう、全社一丸となって尽力してまいります」と述べています。
リブテンシティは、経口投与可能なpUL97キナーゼとその天然基質を標的として阻害する最初で唯一の移植後CMV感染に対する化学療法剤です1。2024年6月現在、リブテンシティは、主要市場である米国、カナダ、オーストラリア、欧州連合、中国、日本を含む30を超える国で承認されています。
日本におけるリブテンシティの製品概要
販売名 | リブテンシティ錠200㎎ |
一般名 | マリバビル |
効能又は効果 | 臓器移植(造血幹細胞移植も含む)における既存の抗サイトメガロウイルス療法に難治性のサイトメガロウイルス感染症 |
効能又は効果に関連する注意 | 1 既存の抗サイトメガロウイルス療法の治療効果が不十分と考えられる患者に投与すること。 2 中枢神経系のサイトメガロウイルス感染症及びサイトメガロウイルス網膜炎に対する有効性及び安全性は検討していない。非臨床試験の結果から、本剤は血液脳関門を透過し得るが、中枢神経系への通過量は低いと考えられる。 |
用法及び用量 | 通常、成人にはマリバビルとして1回400mgを1日2回経口投与する |
薬価 | 37,536.20円 |
SOLSTICE試験(NCT02931539、TAK-620-303、EudraCT 2015-004725-13)は、従来の抗ウイルス療法(ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、cidofovir(国内未承認)のいずれか1つまたはその併用)に難治性*の造血幹細胞移植または固形臓器移植の移植後のCMV感染患者さん352名を対象として、マリバビルまたは従来の抗ウイルス療法の有効性および安全性を評価するためのグローバル、多施設共同、無作為化、非盲検、実薬対照、優越性試験です。2週間のスクリーニング期間後に、成人患者さんにマリバビル400 mgを1日2回投与(n=235)または医師の投与による従来の抗ウイルス療法(n=117)のいずれかに2:1で無作為に割り付けし、最長8週間の治療期間の後さらに12週間フォローアップを行いました5。
本臨床試験の主要評価項目は、8週終了時にCMV血症の消失aを確認することでした。主な副次的評価項目は、投与8週間終了時のCMV血症の消失およびCMV感染の症状がコントロール†され、治療効果が16週目まで維持されることでした5。
CMVはヒトに多く感染するベータヘルペスウイルスであり、さまざまな成人集団の40~100%で感染歴を認める血清学的エビデンスがあります6。CMVは通常、初感染後体内に潜伏し、無症候性ですが、免疫抑制状態下に再活性化することがあります。免疫機能が低下した人では、重篤な疾患を発現することがあり、これにHSCTやSOTを始めとする、さまざまな種類の移植に関連した免疫抑制剤の投与を受けている患者さんも含まれます7。世界における1年の推定20万人の成人移植のうち、CMVは移植後の患者さんが経験する最もよくみられるウイルス感染のひとつであり、推定発現率はSOTの患者さんで16~56%、HSCTの患者さんで30~80%です7,8。移植後の患者さんでCMVが再活性化すると、二次感染や移植臓器の喪失などの重篤な結果に至る可能性があり、極端な場合では死に至ることもあります2,5。
武田薬品工業株式会社(TSE: 4502/NYSE: TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。 詳細についてはhttps://www.takeda.com/jp/をご覧ください。
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* 既存治療に対して遺伝子型耐性を有するサブグループを含む
a 5日以上の間隔をあけて2回連続して採取した検体において、血漿中CMV DNA濃度が定量下限未満(定量下限未満;137 IU/mL未満)であることが確認された場合と定義される
† ベースライン時に症候性であった患者では組織侵襲性疾患又はCMV症候群の消失又は改善、ベースライン時に無症候性であった患者では新たな症状なしと定義される