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抗サイトメガロウイルス化学療法剤「リブテンシティ®錠200㎎」(一般名:マリバビル)の日本における発売について

2024年8月28日

-リブテンシティはpUL97キナーゼを標的として阻害する最初で唯一の移植後サイトメガロウイルス(CMV)感染症に対する化学療法剤1
-CMV感染症は移植後最もよく見られる深刻な感染症の一つで、2次感染や臓器の喪失などの重篤な状態になる可能性がある疾患2、3


当社は、本日、抗サイトメガロウイルス化学療法剤「リブテンシティ®錠200㎎」(一般名:マリバビル、以下「リブテンシティ」)について、「臓器移植(造血幹細胞移植も含む)における既存の抗サイトメガロウイルス療法に難治性のサイトメガロウイルス感染症」を効能又は効果として4、発売しましたのでお知らせします。リブテンシティは経口投与可能なpUL97キナーゼとその天然基質を標的として阻害する最初で唯一の移植後サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus、以下「CMV」)感染症に対する化学療法剤です1


リブテンシティは、主に造血幹細胞移植(hematopoietic stem cell transplant、以下「HSCT」)または固形臓器移植(solid organ transplantation、以下「SOT」)後で既存の抗CMV治療に難治性*のCMV感染・感染症を有する患者さんを対象とした海外第3相非盲検試験(SOLSTICE 試験、(NCT02931539)および日本人のHSCTまたはSOT後でCMV 感染・感染症を有する患者さんを対象とした国内第3相非盲検試験(NCT05137717)に基づいて2023年11月7日に厚生労働省に製造販売承認申請を行い、これらの試験において有効性・安全性が確認され、2024年6月24日に製造販売承認を取得しました。


当社のジャパン ファーマ ビジネス ユニット 希少疾患事業部長の百合田剛史は「リブテンシティを既存のCMV療法に難治性のCMV感染症を有する患者さんに新しい治療選択肢としてお届けできることをうれしく思います。移植後の患者さんはCMVに感染すると大きな負担となり、適切に治療されなければ二次感染や臓器の喪失などの深刻な合併症につながります。移植という身体的、精神的、社会的な負担が決して小さいとはいえない治療法を選択された患者さん、そしてその患者さんを支えるご家族皆さんに対し、少しでも不安の少ない生活をお届けできるよう、全社一丸となって尽力してまいります」と述べています。


<リブテンシティについて>

リブテンシティは、経口投与可能なpUL97キナーゼとその天然基質を標的として阻害する最初で唯一の移植後CMV感染に対する化学療法剤です1。2024年6月現在、リブテンシティは、主要市場である米国、カナダ、オーストラリア、欧州連合、中国、日本を含む30を超える国で承認されています。


日本におけるリブテンシティの製品概要

販売名 リブテンシティ錠200㎎
一般名 マリバビル
効能又は効果 臓器移植(造血幹細胞移植も含む)における既存の抗サイトメガロウイルス療法に難治性のサイトメガロウイルス感染症
効能又は効果に関連する注意 1 既存の抗サイトメガロウイルス療法の治療効果が不十分と考えられる患者に投与すること。
2 中枢神経系のサイトメガロウイルス感染症及びサイトメガロウイルス網膜炎に対する有効性及び安全性は検討していない。非臨床試験の結果から、本剤は血液脳関門を透過し得るが、中枢神経系への通過量は低いと考えられる。
用法及び用量 通常、成人にはマリバビルとして1回400mgを1日2回経口投与する
薬価 37,536.20円



<SOLSTICE 試験について>

SOLSTICE試験(NCT02931539、TAK-620-303、EudraCT 2015-004725-13)は、従来の抗ウイルス療法(ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、cidofovir(国内未承認)のいずれか1つまたはその併用)に難治性*の造血幹細胞移植または固形臓器移植の移植後のCMV感染患者さん352名を対象として、マリバビルまたは従来の抗ウイルス療法の有効性および安全性を評価するためのグローバル、多施設共同、無作為化、非盲検、実薬対照、優越性試験です。2週間のスクリーニング期間後に、成人患者さんにマリバビル400 mgを1日2回投与(n=235)または医師の投与による従来の抗ウイルス療法(n=117)のいずれかに2:1で無作為に割り付けし、最長8週間の治療期間の後さらに12週間フォローアップを行いました5
本臨床試験の主要評価項目は、8週終了時にCMV血症の消失aを確認することでした。主な副次的評価項目は、投与8週間終了時のCMV血症の消失およびCMV感染の症状がコントロールされ、治療効果が16週目まで維持されることでした5


<サイトメガロウイルス(CMV)について>

CMVはヒトに多く感染するベータヘルペスウイルスであり、さまざまな成人集団の40~100%で感染歴を認める血清学的エビデンスがあります6。CMVは通常、初感染後体内に潜伏し、無症候性ですが、免疫抑制状態下に再活性化することがあります。免疫機能が低下した人では、重篤な疾患を発現することがあり、これにHSCTやSOTを始めとする、さまざまな種類の移植に関連した免疫抑制剤の投与を受けている患者さんも含まれます7。世界における1年の推定20万人の成人移植のうち、CMVは移植後の患者さんが経験する最もよくみられるウイルス感染のひとつであり、推定発現率はSOTの患者さんで16~56%、HSCTの患者さんで30~80%です7,8。移植後の患者さんでCMVが再活性化すると、二次感染や移植臓器の喪失などの重篤な結果に至る可能性があり、極端な場合では死に至ることもあります2,5


<武田薬品について>

武田薬品工業株式会社(TSE: 4502/NYSE: TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。 詳細についてはhttps://www.takeda.com/jp/をご覧ください。


<重要な注意事項>

本注意事項において、「ニュースリリース」とは、本ニュースリリースに関して武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)によって説明又は配布された本書類並びに一切の口頭のプレゼンテーション、質疑応答及び書面又は口頭の資料を意味します。本ニュースリリース(それに関する口頭の説明及び質疑応答を含みます)は、いかなる法域においても、いかなる有価証券の購入、取得、申込み、交換、売却その他の処分の提案、案内若しくは勧誘又はいかなる投票若しくは承認の勧誘のいずれの一部を構成、表明又は形成するものではなく、またこれを行うことを意図しておりません。本ニュースリリースにより株式又は有価証券の募集を公に行うものではありません。米国 1933 年証券法の登録又は登録免除の要件に基づいて行うものを除き、米国において有価証券の募集は行われません。本ニュースリリースは、(投資、取得、処分その他の取引の検討のためではなく)情報提供のみを目的として受領者により使用されるという条件の下で(受領者に対して提供される追加情報と共に)提供されております。当該制限を遵守しなかった場合には、適用のある証券法違反となる可能性があります。 武田薬品が直接的に、又は間接的に投資している会社は別々の会社になります。本ニュースリリースにおいて、「武田薬品」という用語は、武田薬品及びその子会社全般を参照するものとして便宜上使われていることがあり得ます。同様に、「当社(we、us及びour)」という用語は、子会社全般又はそこで勤務する者を参照していることもあり得ます。これらの用語は、特定の会社を明らかにすることが有益な目的を与えない場合に用いられることもあり得ます。 本ニュースリリースに記載されている製品名は、武田薬品又は各所有者の商標又は登録商標です。


<将来に関する見通し情報>

本ニュースリリース及び本ニュースリリースに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標及び計画を含む武田薬品の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「確実にする(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」、「かもしれない(could)」、「予想される(anticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」、「予測する(forecasts)」、「見通し(outlook)」などの用語若しくは同様の表現又はそれらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではありません。これら将来見通し情報は、多くの重要な要因に関する前提に基づいており、実際の結果は、将来見通し情報において明示又は暗示された将来の結果とは大きく異なる可能性があります。その重要な要因には、日本及び米国の一般的な経済条件を含む武田薬品のグローバルな事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、関連法規の変更、臨床的成功及び規制当局による判断とその時期の不確実性を含む新製品開発に内在する困難、新製品及び既存製品の商業的成功の不確実性、製造における困難又は遅延、金利及び為替の変動、市場で販売された製品又は候補製品の安全性又は有効性に関するクレーム又は懸念、新規コロナウイルス・パンデミックのような健康危機、温室効果ガス排出量の削減又はその他環境目標の達成を可能にする武田薬品の環境・サステナビリティに対する取り組みの成功、人工知能(AI)を含むデジタル技術の統合をはじめとする、業務効率化、生産性向上又はコスト削減に向けた武田薬品の取り組みや、その他の事業再編に向けた取り組みが、期待されるベネフィットに寄与する程度、武田薬品のウェブサイト(https://www.takeda.com/jp/investors/sec-filings-and-security-reports/)又はwww.sec.govにおいて閲覧可能な米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書並びに武田薬品の他の報告書において特定されたその他の要因が含まれます。武田薬品は、法律や証券取引所の規則により要請される場合を除き、本ニュースリリースに含まれる、又は武田薬品が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本ニュースリリースにおける武田薬品の経営結果及び情報は武田薬品の将来の経営結果を示すものではなく、また、その予測、予想、保証又は見積もりではありません。


<医療情報>

本プレスリリースには、製品に関する情報が含まれておりますが、それらの製品は、すべての国で発売されているものではなく、また国によって異なる商標、効能、用量等で販売されている場合もあります。ここに記載されている情報は、開発品を含むいかなる医療用医薬品を勧誘、宣伝又は広告するものではありません。


以上


* 既存治療に対して遺伝子型耐性を有するサブグループを含む
a 5日以上の間隔をあけて2回連続して採取した検体において、血漿中CMV DNA濃度が定量下限未満(定量下限未満;137 IU/mL未満)であることが確認された場合と定義される
ベースライン時に症候性であった患者では組織侵襲性疾患又はCMV症候群の消失又は改善、ベースライン時に無症候性であった患者では新たな症状なしと定義される

  1. Avram S, et al. Novel drug targets in 2021. Nature Reviews Drug Discovery. 2022;21(5):328-328.
  2. Ramanan P, Razonable RR. Cytomegalovirus infections in solid organ transplantation: a review. Infection & Chemotherapy. 2013;45(3):260
  3. Camargo JF, Komanduri KV. Emerging concepts in cytomegalovirus infection following hematopoietic stem cell transplantation. Hematol Oncol Stem Cell Ther. 2017;10(4):233-238. doi:10.1016/j.hemonc.2017.05.001
  4. LIVTENCITY Package Insert in Japan.
  5. Avery R, Alain S, Alexander BD, et al. SOLSTICE Trial Investigators. Maribavir for refractory cytomegalovirus infections with or without resistance post-transplant: results from a phase 3 randomized clinical trial. Clin Infect Dis. 2022;75(4):690–701. doi:10.1093/cid/ciab988
  6. Azevedo LS, Pierrotti LC, Abdala E, et al. Cytomegalovirus infection in transplant recipients. Clinics (Sao Paolo). 2015;70(7):515-523. doi:10.6061/clinics/2015(07)09
  7. Styczynski J. Who is the patient at risk of CMV recurrence: a review of the current scientific evidence with a focus on hematopoietic cell transplantation. Infect Dis Ther. 2018;(7):1-16. doi:10.1007/s40121-017-0180-z
  8. de la Hoz RE, Stephanie G, Sherlock C. Diagnosis and treatment approaches to CMV infections in adult patients. J Clin Virol. 2002;25(Suppl 1):S1-S12. doi:10.1016/s1386-6532(02)00091-4