- 光工場がEntyvioのバイアル製品の最重要拠点として日本を含む全世界に向けた製造能力を増強
- 最新デジタル技術やデータ分析プラットフォーム導入による医薬品の品質向上で患者さんに貢献
- 人材育成にVRやARを始めとする最新のデジタル技術を活用し、製造能力と品質保証を向上
当社は、光工場(山口県光市)に、約70億円を投資し、「Entyvio(エンティビオ、日本製品名:エンタイビオ)」の新製造ラインを増設し、商用稼働を開始いたしました。Entyvioは炎症性腸疾患(IBD)の治療に用いられる薬剤で、これまで全世界で、約10年、130万人以上の患者さんの治療に貢献しています。
新ラインの充填工程には、さらなる無菌性保証のために、従来の無菌製剤製造工程に比べて汚染のリスクを大幅に減少できるアイソレータ(無菌状態の密閉環境)の技術を取り入れています。さらに、「滅菌済シングルユースシステム※1」を使用することで、製品の汚染防止を図り、品質保証を向上させています。
今回の新ライン稼働で、光工場はEntyvioの製造能力をこれまでの3倍以上に増強することが見込まれており、これまで医薬品製造受託機関(CMO)に委託していたEntyvioのバイアル製剤の製造の大部分を内製化することが可能となり、品質保証のさらなる向上が期待できます。
光工場は、日本を含むEntyvioの全世界向けのバイアル製品製造の最重要拠点として、患者さんへの貢献と事業成長を牽引する重要な役割を担います。
全長約80mの新製造ラインは、製造DX(デジタルトランスフォーメーション)の最新技術を集約しています。製造状況のリアルタイムモニタリングと集約したビックデータの分析、さらには製造工程へのフィードバック、検査や生産ロスを減らす最新設備やMES(製造実行システム)の導入などで、製造能力の増強とペーパーレスなオペレーション、さらなる品質保証を可能にしています。
新ラインのオペレーターにとって新しい技術であったシングルユースシステムを用いた作業トレーニングにAR技術を活用することで、短期間で質の高い育成を可能にし、商用稼働前の初回製造(プロセスパフォーマンス適格性確認)を逸脱※2ゼロで成功させ、さらにはVR技術を使った無菌環境でのトレーニングにより、どのオペレーターも等しく、Entyvioを製造することを可能にしました。
現在、日本におけるIBDの患者数は約29万人1と推定されています。無菌性保証を向上し、製造能力を増強した新ラインの稼働により、光工場は、世界中のIBD患者さんへ高品質な医薬品をお届けする重要な役割を担ってまいります。
当社のグローバルマニュファクチャリング&サプライ ジャパン ヘッドのグレッグ・ティモンズは、「新ラインの商用稼働により、世界中のIBD患者さんにこれまで以上に貢献できることを嬉しく思います。今後は、IoT技術を用いた製造設備の状態監視・予知保全や、ウェアラブル生体認証デバイスを使用したシステムログインとアクセスの制御など、最新のDXを新ラインで本格稼働させ、安定供給と品質保証をさらに確実にしてまいります」と述べています。
※1滅菌済みの機器を一回だけ使い、製品のさらなる汚染防止を図る手法
※2製造や試験の手順、品質システム、申請内容、規制当局要件、規格、トレンドまたはその他の適合要件からの乖離。
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。
ベドリズマブは生物学的製剤であり、点滴静注製剤および皮下注射製剤として承認されています(承認は市場によって異なります)2,3。ベドリズマブ皮下注射製剤は米国、欧州連合(EU)と50か国以上で製造販売承認を取得しています(米国ではベドリズマブ皮下注射製剤はクローン病の治療薬としては承認されていません)。ベドリズマブ点滴静注製剤は米国とEUを含む70を超える国で製造販売承認を取得しており、点滴静注製剤と皮下注射製剤をあわせてこれまでの累計使用患者さんの数は世界で100万人・年を超えています4。ベドリズマブはα4β7インテグリンと特異的に拮抗し、α4β7インテグリンの腸粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)への結合を阻害しますが、血管細胞接着分子1(VCAM-1)への結合は阻害しないようデザインされた、ヒト化モノクローナル抗体です5。MAdCAM-1は消化管の血管およびリンパ節に選択的に発現しています6。一方、α4β7インテグリンは循環血液中の白血球サブセットに発現しています5。これらの細胞は、潰瘍性大腸炎とクローン病における炎症過程において重要な役割を果たしていることが明らかになっています5,6,7。α4β7インテグリンを阻害することによって、ベドリズマブはある種の白血球細胞の消化管組織への浸潤を抑制する可能性があります5。
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<出典>
<報道関係問合せ先>
武田薬品工業株式会社
グローバル マニュファクチャリング&サプライコミュニケ―ション
飯山 久美
080-5789-7742