- 臓器移植(造血幹細胞移植も含む)におけるサイトメガロウイルス感染症の治療を予定とする効能又は効果とし厚生労働省に対し製造販売承認申請
- サイトメガロウイルス感染症の新しい治療選択肢として期待
当社は、このたび、pUL97キナーゼ阻害剤 「maribavir(TAK-620)」について、「臓器移植(造血幹細胞移植も含む)におけるサイトメガロウイルス感染症の治療」を効能又は効果として、厚生労働省に対し製造販売承認申請を行いましたのでお知らせします。
このたびの製造販売承認申請は、主に日本人の造血幹細胞移植(hematopoietic stem cell transplant、以下「HSCT」)又は固形臓器移植(solid organ transplantation、以下「SOT」)患者さんでサイトメガロウイルス(Cytomegalovirus、以下「CMV」)感染・感染症を有する患者さんを対象とした国内第3相非盲検試験(NCT05137717)およびHSCT又はSOT患者さんで既存の抗CMV治療に難治性又は抵抗性のCMV感染・感染症を有する患者さんを対象とした海外第3相非盲検試験(NCT02931539)に基づいて行っています。これらの試験において、臓器移植後のCMV感染症の治療薬として有効性と安全性が評価されました。
CMV感染症は、移植後の患者さんに最もよくみられる感染症の一つで、移植後に感染又は再活性化すると、移植臓器の喪失などの深刻な状態になる可能性がある疾患です。maribavirは経口投与可能な、pUL97キナーゼとその天然基質を標的として阻害する最初で唯一の抗CMV化合物です1-4。
当社R&D Japanリージョンヘッドの梶井 靖は「移植後のCMV感染症は、移植臓器の喪失や最悪の場合は死に至ることもある疾患で、多くのアンメットニーズがあります。maribavirは経口投与可能で患者さんの負担を軽減することが期待されます。maribavirを新たな治療選択肢としてお届けできる日を心待ちにしています」と述べています。
<サイトメガロウイルス(CMV)について>
CMVはヒトに多く感染するベータヘルペスウイルスであり、さまざまな成人集団の40~100%で感染歴を認める血清学的エビデンスがあります5。CMVは通常、体内に潜伏し、無症候性ですが、免疫抑制期間中に再活性化することがあります。免疫機能が低下した人では、重篤な疾患を発現することがあり、これにHSCTやSOTを始めとする、さまざまな種類の移植に関連した免疫抑制剤の投与を受けている患者さんも含まれます6。世界における1年の推定20万人の成人移植のうち、CMVは移植後の患者さんが経験する最もよくみられるウイルス感染のひとつであり、推定発現率はSOTの患者さんで16~56%、HSCTの患者さんで30~80%です6,7。移植後の患者さんでCMVが再活性化すると、移植臓器の喪失などの重篤な結果に至る可能性があり、極端な場合では死に至ることもあります8,9。
<maribavirについて>
経口投与可能な抗CMV化合物であるmaribavir(海外における承認製品名「LIVTENCITY®」)は、pUL97キナーゼとその天然基質を標的として阻害する最初で唯一の抗ウイルス剤です10。
maribavirは移植後の成人患者さんと小児患者さん(12歳以上で体重が35 kg以上)におけるガンシクロビル、バルガンシクロビル、cidofovir(国内未承認)またはホスカルネットによる治療に対して遺伝子型抵抗性(無しも含む)を示す難治性のCMV感染・感染症治療薬として米国FDAに承認されています11。欧州においては、HSCTまたはSOT後の成人患者さんにおける既存の治療薬であるガンシクロビル、バルガンシクロビル、cidofovir(国内未承認)またはホルカルネットのいずれか1種類以上に対して抵抗性(無しも含む)を示す難治性CMV感染・感染症治療薬として承認されています12。カナダ保健省には、移植後の成人患者さんにおける既存の抗ウイルス治療薬のいずれか1種類以上に対して遺伝子型抵抗性(無しも含む)を示す難治性CMV感染・感染症治療薬として承認されています13。また、オーストラリアでは、移植後の成人患者さんにおける既存療法のいずれか1種類以上に対して抵抗性、難治性または不耐性のCMV感染及び感染症治療薬として承認されています14。
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1. Abdel-Magid AF. New Inhibitors of Cytomegalovirus DNA Polymerase. ACS Med Chem Lett. 2013;4(12):1129-1130. doi:10.1021/ml4004099.
2. Hamirally S, Kamil JP, Ndassa-Colday YM, et al. Viral Mimicry of Cdc2/Cyclin-Dependent Kinase 1 Mediates Disruption of Nuclear Lamina during Human Cytomegalovirus Nuclear Egress. Nelson JA, ed. PLoS Pathog. 2009;5(1):e1000275. doi:10.1371/journal.ppat.1000275.
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11. Takeda’s LIVTENCITY (maribavir) approved by U.S. FDA as the first and only treatment for people ages 12 and older with post-transplant cytomegalovirus (CMV), refractory (with or without genotypic resistance) to conventional antiviral therapies. Published November 23, 2021.
https://www.takeda.com/newsroom/newsreleases/2021/takeda-livtencity-maribavir-approved-by-us-fda/.
12. LIVTENCITY (maribavir) European Summary of Product Characteristics.
13. Health Canada approves Takeda’s LIVTENCITY (maribavir) the first and only treatment for adults with post-transplant cytomegalovirus (CMV) infection. Published September 20, 2022.
https://www.takeda.com/en-ca/newsroom/news-releases/2022/health-canada-approves-takedas-livtencity-maribavir-the-first-and-only-treatment-for-adults-with-post-transplant-cytomegalovirus-cmv-infection/.
14. Therapeutic Goods Administration (TGA). LIVTENCITY maribavir 200 mg film coated tablet bottle (380132) [Australian product information]. Therapeutic Goods Administration (TGA). Published October 8, 2022.
https://www.tga.gov.au/resources/artg/380132