当社は、このたび、前治療歴を有する転移性大腸がん(以下、「mCRC」) に対する治療薬として、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)1/2/3に対して選択性を有する経口のチロシンキナーゼ阻害薬フルキンチニブについて、厚生労働省に製造販売承認申請を行いましたのでお知らせします。
今回の製造販売承認申請は、米国、欧州、日本およびオーストラリアで実施された国際共同第3相試験であるFRESCO-2試験および中国で実施された海外第3相であるFRESCO試験に基づくものです。FRESCO-2試験およびFRESCO試験は、前治療歴を有するmCRC患者さんを対象に、フルキンチニブ+最良の支持療法(BSC)群とプラセボ+BSC群を比較検討した試験になります。いずれの試験においても全生存期間(OS)、および無増悪生存期間(PFS)において、統計的に有意かつ臨床的に意義のある延長が認められました。また、フルキンチニブの忍容性は良好であることが示されました。
当社のグローバル メディカル アフェアーズ オンコロジーのヘッドであるAwny Farajallah, M.D.は、「日本における大腸がんの罹患率は男女合わせて1位、その死亡数は2位と年々増え続けており1、新たな治療オプションが待ち望まれています。欧米での申請に続き、日本においても、フルキンチニブの製造販売承認申請を通して、疾患に苦しむ患者さんに、この革新的な治療薬をお届けするための新たな一歩を踏み出せたことを嬉しく思います」と述べています。
2023年5月、米国食品医薬品局(FDA)はフルキンチニブを新薬承認申請の優先審査に指定しました。なお、FDAが設定した処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づく審査終了目標日は2023年11月30日です。また、2023年6月には、欧州医薬品庁(EMA)への製造販売承認申請(MAA)が受理されています。
当社は、中国以外での全世界を対象としたフルキンチニブの更なる開発、商業化、製造に関する独占的ライセンスを有しています。なお、フルキンチニブは、中国ではHUTCHMED(China)Limitedが開発・販売しています。
フルキンチニブは、VEGFR1/2/3に対する選択性を有する経口阻害薬です。VEGFR阻害は腫瘍血管新生阻害において極めて重要な役割を果たします。フルキンチニブは、標的以外の阻害を最小限に抑えることにより、キナーゼ選択性を向上させ、忍容性を改善するように設計されました。これまでのところ、フルキンチニブの忍容性は良好であることが示されています。
FRESCO-2試験は、標準的な前治療歴を有するmCRC患者さんを対象に、フルキンチニブ+BSC群とプラセボ+BSC群を比較検討した、国際共同第3相試験です。本試験は、米国、欧州、日本およびオーストラリアで実施されました。これまでに発表したとおり、標準的な化学療法および生物学的製剤の投与後に進行し、かつTAS-102および/またはレゴラフェニブの投与後に進行または不耐であったmCRC患者さん691例を対象とした試験で、主要評価項目であるOSにおいて統計学的に有意な延長が認められました。重要な副次評価項目であるPFSにおいても統計学的に有意な延長が認められています。これまでのところ、フルキンチニブは良好な忍容性を示しています。本試験の結果は2022年9月のESMOで発表され、その後Lancet誌に掲載されました2,3。さらに詳細な試験の内容については、clinicaltrials.govをご確認ください(識別番号:NCT04322539)。
CRCは、結腸または直腸から発生するがんです。国際がん研究機関によると、CRCは世界で3番目に多いがんであり、2020年には935,000人以上が死亡したと推定されています4。米国では、2023年に153,000人がCRCと診断され、53,000人がCRCにより死亡すると推定されています5。欧州では、2020年にCRCは2番目に多いがんであり、約520,000人が新たに診断され、245,000人が死亡したと推定されています。日本では、CRCは最も多いがんであり、2019年の新規症例数は156,000人、死亡例数は68,000人と推定されています1。早期のCRCは外科的切除が可能ですが、mCRCは依然として予後不良で治療選択肢が限られており、アンメットニーズが高い領域です。
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武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)
は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。
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1 国立がん研究センターがん情報サービス「がんの統計2023」 https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/statistics/pdf/cancer_statistics_2023.pdf
2 Dasari NA, et al. LBA25 – FRESCO-2: A global phase 3 multiregional clinical trial (MRCT) evaluating the efficacy and safety of fruquintinib in patients with refractory metastatic colorectal cancer. Ann Oncol. 2022 Sep;33(suppl_7): S808-S869. doi: 10.1016/annonc/annonc1089.
3 Dasari NA, et al. Fruquintinib versus placebo in patients with refractory metastatic colorectal cancer (FRESCO-2): an international, multicentre, randomised, double-blind, phase 3 study [published online ahead of print, 2023 Jun 15]. Lancet. 2023. DOI: 10.1016/S0140-6736(23)00772-9.
4 Sung H, et al. Global Cancer Statistics 2020: GLOBOCAN Estimates of Incidence and Mortality Worldwide for 36 Cancers in 185 Countries. CA Cancer J Clin. 2021;71(3):209-249. doi:10.3322/caac.21660.
5 Siegel RL, et al. Colorectal cancer statistics, 2023 [published online ahead of print, 2023 Mar 1]. CA Cancer J Clin. 2023; 73(3):233-254. doi:10.3322/caac.21772.