- 既存治療薬で効果不十分な活動期クローン病患者さんへ、皮下投与という新たな治療オプションを提供
当社は、本日、中等症から重症の活動期クローン病の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)を効能又は効果として、「エンタイビオ®皮下注108mgペン/同皮下注108mgシリンジ (一般名:ベドリズマブ(遺伝子組換え)、開発コード:MLN0002SC、以下「エンタイビオSC」)について、厚生労働省より製造販売承認事項一部変更の承認を取得しましたのでお知らせします。本剤は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)を効能又は効果として、2023年3月に厚生労働省より製造販売承認を取得し、同年6月に発売していました。
今回の承認は、エンタイビオSCの中等症から重症の活動期クローン病の維持療法としての有効性および安全性を評価した国際共同第Ⅲ相臨床試験であるMLN0002SC-3031試験およびMLN0002SC-3030試験に基づくものです。
当社のR&D Japanリージョンヘッドの梶井 靖は、「今般、潰瘍性大腸炎の維持療法に加えて、クローン病の維持療法においても、エンタイビオの皮下投与製剤が承認されたことを大変うれしく思います。この承認により、クローン病の患者さんにおいても投与方法の選択肢が広がり、多様なニーズの充足とクオリティ・オブ・ライフの向上に貢献できるものと考えております」と述べています。
現在、日本におけるクローン病の患者数は約7万人1と推定されています。クローン病は最も代表的な炎症性腸疾患の一つで、再燃と寛解を繰り返す慢性の炎症が小腸や大腸を中心とした消化管のあらゆる部位に非連続的に認められる進行性の疾患です。よく見られる症状は、下痢、腹痛、発熱、体重減少、栄養障害です。クローン病の正確な原因については明らかになっていませんが、最近の研究では、遺伝素因や環境要因に加え、腸内細菌抗原に対する異常な免疫応答といった様々な因子が関与する、多因子疾患と考えられています。
ベドリズマブは消化管に選択的に作用する生物学的製剤であり、現在、中等症から重症の潰瘍性大腸炎および活動期クローン病の治療および維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)を適応として点滴静注製剤と皮下投与製剤が承認されています。本剤はα4β7インテグリンと特異的に拮抗し、α4β7インテグリンの腸粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)への結合を阻害しますが、血管細胞接着分子1(VCAM-1)への結合は阻害しないようデザインされた、ヒト化モノクローナル抗体です2。MAdCAM-1は消化管の血管およびリンパ節に選択的に発現しています3。一方、α4β7インテグリンは循環血液中の白血球サブセットに発現しています2。これらの細胞は、潰瘍性大腸炎とクローン病における炎症プロセスを調節するうえで重要な役割を果たしていることが明らかになっています2,4。α4β7インテグリンを阻害することで、ベドリズマブはある種の白血球細胞が消化管組織へ浸潤することを制限できる可能性があります。
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)
は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、オンコロジー(がん)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。
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消化器系疾患は時として、患者さんの日常生活を困難にさせる場合があります。武田薬品およびパートナー各社はこのアンメット・メディカル・ニーズに対し、30年以上にわたり革新的な医薬品や支援プログラムを通じて患者さんのQOL(生活の質)改善に取り組んでまいりました。また武田薬品は、炎症性腸疾患、酸関連疾患、短腸症候群、消化管運動障害など、消化器系疾患領域をリードしてきました。武田薬品の消化器系疾患領域の研究開発チームは、セリアック病や好酸球性食道炎、α-1アンチトリプシン関連肝疾患、クローン病など、アンメット・メディカル・ニーズのある新しい領域でのギャップの解消に向けても取り組んでいます。武田薬品は、これからも研究者や患者団体とともに、消化器系疾患領域における科学的研究と臨床医学の発展に取り組んでいきます。
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1 Nishiwaki Y et al; National Epidemiological Survey on Prevalence of Ulcerative Colitis and Crohn's Disease: Report of the Results of the Survey, Health Labor Science Research Grants-in-Aid for Scientific Research, 62-76: 2017
2 Soler D, Chapman T, Yang LL, et al. The binding specificity and selective antagonism of vedolizumab, an anti-α4β7 integrin therapeutic antibody in development for inflammatory bowel diseases. J Pharmacol Exp Ther. 2009;330:864-875.
3 Briskin M, Winsor-Hines D, Shyjan A, et al. Human mucosal addressin cell adhesion molecule-1 is preferentially expressed in intestinal tract and associated lymphoid tissue. Am J Pathol. 1997;151:97-110.
4 Eksteen B, Liaskou E, Adams DH. Lymphocyte homing and its roles in the pathogenesis of IBD. Inflamm Bowel Dis. 2008;14:1298-1312.