当社は、このたび、遺伝子組換えヒトアリルスルファターゼA(recombinant human arylsulfatase A :rhASA)「TAK-611」が、異染性白質ジストロフィー(Metachromatic Leukodystrophy:MLD)を予定される効能・効果として厚生労働大臣より希少疾病用医薬品の指定を取得いたしましたのでお知らせいたします。
MLDはライソゾーム酵素であるアリルスルファターゼA(ASA)の欠損を特徴とする希少疾患で、中枢及び末梢神経障害、痙縮及び認知機能障害等が現れ、病状の進行により約5~10年で死に至る疾患です。先天性代謝異常の一疾患として小児慢性特定疾病対策の対象疾病とされ、また、ライソゾーム病として難病に指定されています。日本では、MLDの効能・効果を有する治療法はなく、TAK-611はMLDに対する酵素補充療法を目的としたrhASAであり、現在、国際共同第2b相試験などが進行中です。
<異染性白質ジストロフィー(MLD)について>
MLDは、ライソゾーム酵素であるアリルスルファターゼA(ASA)の欠損を特徴とする希少疾患であり、常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)の先天性代謝異常症です。ASAの欠損又は活性低下により、ASAの基質でミエリンの主要構成要素である3-O-硫酸化ガラクトシルセラミド(セレブロシド硫酸又はスルファチド)が中枢及び末梢神経系に蓄積し、脱髄及び軸索消失を経て細胞死に至ります。早期に発症するものは重症化も早く、一般に、発症年齢により乳児型(患者割合40~60%、以下同様)、若年型(20~35%)及び成人型(15~25%)の3つの病型に分類されます。
主な臨床症状は重度の中枢及び末梢神経障害、運動障害並びに認知機能障害であり、病状の進行により約5~10年で死に至ります。
日本では、MLDは先天性代謝異常の一疾患として小児慢性特定疾病対策の対象疾病とされ、また、ライソゾーム病として難病に指定されています(平成27年1月1日施行 指定難病19)。
TAK-611は遺伝子組換えヒトアリルスルファターゼA(rhASA)であり、MLDに対する酵素補充療法に用いることを目的として開発中の酵素製剤です。TAK-611はMLDの治療薬としてグローバル開発を進めており、これまでに第1/2相試験(HGT-MLD-070試験)を完了し、現在は、継続投与試験(HGT-MLD-071試験)及び第2b相試験(SHP611-201試験)を日本及び海外で実施中で、MLDに対する治療の向上に寄与することが期待されます。
なお、TAK-611は、米国では2008年2月27日に、欧州では2010年11月26日に、MLDの治療薬として希少疾病用医薬品の指定を受けています。
次のいずれの要件にも該当するものについて、医薬品医療機器法第77条の2第1項に基づき薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて厚生労働大臣が指定するものです。
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以上