このたび、内閣府、文部科学省、厚生労働省から発出された2022年7月19日付の事務連絡「学校等におけるてんかん発作時の口腔用液(ブコラム®)の投与について」(以下「本事務連絡」)により、学校等におけるてんかん発作時に、教職員等が当社のてんかん重積状態治療剤「ブコラム®口腔用液」(一般名:ミダゾラム、以下「ブコラム」)の投与を行うことについて、以下の通り示されましたのでお知らせします。
当社は、ブコラムについて患者さんのご家族から相談を受けた学校・保育所等の関係者にブコラムの使い方などを理解・確認していただくために、ウェブサイトを通じてブコラムについて情報提供を行っています。
本事務連絡は、学校、保育所、幼保連携型認定こども園、放課後児童健全育成事業、放課後子供教室、認可外保育施設等において児童生徒等がてんかんの発作を起こした場合に、当該児童生徒等に代わって教職員等が口腔用液(ブコラム®)の投与を行うことについて、文部科学省等から厚生労働省医政局医事課に対して行った照会に対する回答(厚生労働省医政局事務課長通知 医政医発0715第2号 令和4年7月15日)に基づいています。
■文部科学省等からの照会事項(原文のとおり)
「学校、保育所、幼保連携型認定こども園、放課後児童健全育成事業、放課後子供教室、認可外保育施設等(以下「学校等」という。)で在籍する幼児、児童、生徒又は利用する児童(以下「児童等」という。)がてんかんによるひきつけを起こし、 生命が危険な状態等である場合に、現場に居合わせた教職員を含む職員又はスタッフ(以下「教職員等」という。)が、口腔用液(「ブコラム®」)を自ら投与できない本人に代わって投与する場合が想定されるが、当該行為は緊急やむを得ない措置として行われるものであり、次の4つの条件を満たす場合には、医師法違反とはならないと解してよろしいか。
① 当該児童等及びその保護者が、事前に医師から、次の点に関して書面で指示を受けていること。
② 当該児童等及びその保護者が、学校等に対して、やむを得ない場合には当該児童等にブコラム®を使用することについて、具体的に依頼 (医師から受けたブコラム®の使用の際の留意事項に関する書面を渡して説明しておくこと等を含む。) していること。
③ 当該児童等を担当する教職員等が、次の点に留意してブコラム®を使用すること。
④ 当該児童等の保護者又は教職員等は、ブコラム®を使用した後、当該児童等を必ず医療機関で受診させること。」
■上記照会への厚生労働省医政局医事課からの回答(原文のとおり)
「貴見のとおり。なお、一連の行為の実施に当たっては、てんかんという疾病の特性上、学校、保育所、幼保連携型認定こども園、放課後児童健全育成事業、放課後子供教室、認可外保育施設等において在籍する幼児、児童、生徒又は利用する児童のプライバシーの保護に十分配慮がなされるよう強くお願いする。」
てんかん発作(てんかん性発作)とは、脳における、過剰または同期性の異常なニューロン活動による一過性の徴候または症状と定義されています。
てんかん発作が持続する場合や連続して発生する場合、文字通り発作の連続状態を意味するてんかん発作の重積状態(てんかん重積状態)の危険性が高まります。国際抗てんかん連盟(ILAE)はてんかん重積状態を「発作がある程度の長さ以上に続くか、短い発作でも反復し、その間の意識の回復がないもの」と定義しており、発作が5分以上持続する場合、速やかに治療を開始する必要があるとしています。初発てんかん重積状態の年間発症率は小児人口10万あたり42人※であり、日本の0~17歳人口から推計すると、年間約8,000人の初発てんかん重積患者が存在すると推定されます。
ブコラムに含まれる有効成分のミダゾラムは、合成イミダゾベンゾジアゼピン誘導体であり、催眠、鎮静、麻酔、抗不安などの作用に加え、抗けいれん作用を有しています。ミダゾラムは速効性があり、持続静脈内投与も可能であることから、多くのてんかん重積状態の患者さんに使用されていましたが、2014年に静脈投与によるてんかん重積状態に対する治療薬として承認されました(他社製品)。また、海外において、ミダゾラムの頬粘膜投与は既に非静脈経路の薬剤として広く使用されており、米国てんかん学会ならびに英国NICEのガイドラインにおいても、小児てんかん重積状態初期治療における推奨薬剤の一つとして記載されています。
ブコラムは、てんかん重積状態を発症した患者さんに対する頬粘膜投与用プレフィルドシリンジ製剤であり、日本では、ブコラムは厚生労働省より「てんかん重積状態」を対象として希少疾病用医薬品に指定されており、2020年12月に発売されました。
<ブコラムの概要>
販売名 |
ブコラム口腔用液2.5mg・5mg・7.5mg・10mg |
一般名 |
ミダゾラム |
効能・効果 |
てんかん重積状態 |
用法・用量 |
通常、修正在胎52週(在胎週数+出生後週数)以上1歳未満の患者には、ミダゾラムとして1回2.5mg、1歳以上5歳未満の患者には、ミダゾラムとして1回5mg、5歳以上10歳未満の患者には、ミダゾラムとして1回7.5mg、10歳以上18歳未満の患者には、ミダゾラムとして1回10mgを頬粘膜投与する。 |
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品は、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために」という約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続ける未来を目指します。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(治療手段)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80の国と地域で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。
本文書に記載されている医薬品情報は、当社の経営情報の開示を目的とするものであり、開発中のものを含むいかなる医薬品の宣伝、広告を目的とするものではありません。
※出典:Nishiyama I, et al. An epidemiological study of children with status epilepticus in Okayama, Japan: Incidence, etiologies, and outcomes. Epilepsy Res 2011; 96:89-95.
以上