このたび、当社は、ベトナムにおける遺伝性血管性浮腫の診断方法の確立・治療の強化、ガイドライン策定の支援事業(以下「本事業」)を開始したことをお知らせします。本事業は、国立研究開発法人国立国際医療研究センターが主体となって実施する厚生労働省より委託された令和3年度医療技術等国際展開推進事業で、当社が公募に応募し、採択され、研修実施機関として受託し実施するものです。医療技術等国際展開推進事業に採択され、研修実施機関として受託するのは製薬企業として当社が初めてです。
HAEは腹部、顔面、足、性器、手、喉など、身体のさまざまな場所に繰り返し浮腫発作を引き起こす希少な遺伝性疾患です1,2,3。HAEは世界中で5万人に1人が罹患していると推定されています4。
日本には2,000人から3,000人の患者さんが存在すると推定されていますが、この疾患に対する日本での認知度の低さから診断されている患者さんは約450名に留まっており、未診断の患者さんが多くいると考えられます。5
ベトナムにおいては、診断されている患者さんは約50名(ベトナム唯一のHAE診療医を有する施設、バックマイ病院の患者数)に留まっており、推計される患者数(約2,000名)に対して約2.5%であり、多くの患者さんが未診断の状況と推測されます。
本事業では、武田薬品は日本のHAE専門医師と連携し、ベトナム・ホーチミン市の喘息・アレルギー・臨床免疫学会の協力を得て、ベトナムの主要病院の医療従事者に対してのHAEの検査・診断技法の講義、HAEガイドラインの作成などを行います。
当社のジャパン ファーマ ビジネス ユニットの医療政策・マーケットアクセス統括部部長 岩下圭二は、「本事業が医療技術等国際展開推進事業に採択されたことを光栄に思います。当社のグループ会社であるTakeda Pharmaceuticals (Asia Pacific) Pte. Ltd.は2018年にベトナム保健省と覚書を結んでおり希少疾患の診断・治療の改善のための活動をすでに展開しています。本事業の開始によりベトナムでのHAEの診断が加速されることを期待します」と述べています。
Ho Chi Minh City’s Society of Asthma and Allergy and Clinical Immunology のPresidentであるAss. Prof. Le Thi Tuyet Lan 氏は「現在未診断の患者さんが多い疾患であるHAEに関する能力を構築するためのベトナムへの支援に感謝します。日本の専門家から学ぶことで、ベトナムのHAE患者さんにより良い未来を提供できることを期待しています」と述べています。
武田薬品は、本事業によりベトナムにけるHAEの診断が促進され、患者さんが適切な治療を受けられるよう尽力してまいります。
<ベトナムにおける遺伝性血管性浮腫の診断方法の確立・治療の強化、ガイドライン策定の支援事業概要>
(1)事業の目的
(2)事業の期間 最長3年(2年目、3年目は再度申請)
初年度:
2年目以降:
<医療技術等国際展開推進事業について>
医療技術等国際展開推進事業は、我が国の医療制度に関する知見・経験の共有、医療技術の移転や高品質な日本の医薬品、医療機器の国際展開を推進し、日本の医療分野の成長を促進しつつ、相手国の公衆衛生水準及び医療水準の向上に貢献することで、国際社会における日本の信頼を高めることによって、日本及び途上国等の双方にとって、好循環をもたらすことを目的とします。この目的達成のために、日本の専門家の関係国への派遣や保健・医療関係者等の日本への受入を通じた研修、およびオンラインによる研修を実施しています。
<武田薬品について>
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品は、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために」という約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続ける未来を目指します。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80カ国で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。
1 Cicardi M, Bork K, Caballero T, et al; on behalf of HAWK (Hereditary Angioedema International Working Group). Evidence based recommendations for the therapeutic management of angioedema owing to hereditary C1 inhibitor deficiency: consensus report of an International Working Group. Allergy. 2012; 67(2):147-157.
2 Zuraw BL. Hereditary angioedema. N Engl J Med. 2008;359(10):1027-1036.
3 Banerji A. The burden of illness in patients with hereditary angioedema. Ann Allergy Asthma Immunol.
2013;111(5):329-336.
4 Longhurst HJ, Bork K. Hereditary angioedema: causes, manifestations, and treatment. Br J Hosp Med.
2006;67(12):654-657.
5 Hide M, Horiuchi T, et al. Management of hereditary angioedema in Japan: Focus on icatibant for the treatment of acute attacks. Allergology International 70 (2021) 45-54.
以上