希少疾患全体の患者数は世界全体で3億5千万人、疾患の種類は5,000~8,000存在すると言われています。同じ疾患の患者であっても徴候や症状が異なっていたりする場合もあり、医療従事者が診断・治療に関する、十分な経験や知識を積むことが難しく、正しい診断が下るまでに長い年月を要することもあります。
【「希少疾患発見パッケージ」について】
エクスメディオの「希少疾患発見パッケージ」は、自然言語解析により、希少疾患の疑いを確度高く発見する希少疾患向け「AIチェッカー」と、匿名で専門医に診断・治療のアドバイスを受けられる「コンサルト」の2つの機能から構成されており、希少疾患領域における早期診断をサポートします。
希少疾患向け「AIチェッカー」は、AIや自然言語解析などエクスメディオの持つ技術やノウハウを生かし、当該希少疾患のガイドラインの診断基準や専門医の知見などをベースに、自然言語解析により、希少疾患の疑いを確度高く発見する機能です。「コンサルト」は非専門医が匿名で専門医に診断・治療のアドバイスを受けることのできる医師同士の遠隔相談機能で、エクスメディオでは2015年以降、皮膚科、眼科、心不全、呼吸器の4領域で実施しており豊富な実績を有しています。
「希少疾患発見パッケージ」は、さまざまな希少疾患に展開できる可能性があると考えています。
【「HAEチェッカー」ならびに「HAEコンサルト」について】
今回、この「希少疾患発見パッケージ」をエクスメディオと武田薬品の共同開発のもと、遺伝性血管性浮腫(HAE)で開始いたします。
HAEは腹部、顔面、足、性器、手、喉など、身体のさまざまな場所に繰り返し浮腫発作を引き起こす希少な遺伝性疾患です1,2,3。喉に発生した場合は気道がふさがって呼吸困難を起こし、窒息死する危険もあります3,4。HAEは世界中で5万人にひとりが罹患していると推定されています4。日本には2,000人から3,000人の患者さんが存在すると推定されていますが、この疾患に対する日本での認知度の低さから診断されている患者さんは約450名に留まっており、未診断の患者さんが多くおられます5。 また、初めての発作が起きてから確定診断までに日本では平均13.8年かかるといわれています6。米国では平均10年7、欧州では平均8.5年8との報告があります。
「ヒポクラ × マイナビ」では医師 が日々の臨床に関して課題や疑問を投稿しています。そうした投稿に対し、「HAEチェッカー」を作動させ、当該希少疾患の可能性を見つけ出し、疑いのある投稿医師へ「HAEコンサルト」を受けることを促します。
「テクノロジーの力で世界の健康寿命を5年延ばす」をミッションに掲げるエクスメディオでは、「希少疾患発見パッケージ」をHAEにとどまることなく、製薬企業などとの連携を通じてさまざまな希少疾患に拡大することで、今後も医師の臨床をサポートしていく予定です。
また、武田薬品は、治療薬の創出にとどまらず、希少疾患を取り巻くエコシステムの形成・改善を通じて、患者さんとそのご家族に価値提供できる優れたパートナーとなることが重要であると考えており、他企業とのパートナーシップを用いて、さまざまな希少疾患の患者さんの健康に貢献していきたいと考えています。
今回HAEで開始された「希少疾患発見パッケージ」は、このような両社の思いが一致し実現したもので、武田薬品が持つHAE領域に関する知見とエクスメディオが持つ高い技術力やサービスとの協働による互いの強みを活かした取り組みであり、HAEの早期診断につながることが期待されます。
【希少疾患コンサルト「HAEコンサルト」サービス概要】
【エクスメディオについて】
株式会社エクスメディオは、「テクノロジーの力で世界の健康寿命を5年延ばす」ことをミッションに掲げ、医療者向け臨床課題解決サービス「ヒポクラ × マイナビ」の開発・運営を通じて、オンライン上に『医局のソファ(*1)』を構築し、場所や環境にかかわらず、すべての医師が日常的な医師同士のディスカッションに参加できる環境を提供することで、医療の質の向上を目指しています。
*1 『医局のソファ』とは:病院などで医師や看護師が詰め、医務や研究を行う“医局”にあるソファ。医師はここで日常的に先輩、同期、後輩医師と互いの臨床経験や知見について共有したり、相談したり、意見交換を行ったりといったコミュニケーションを取っている。
【武田薬品について】
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品は、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために」という約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続ける未来を目指します。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80カ国で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。
1 Cicardi M, Bork K, Caballero T, et al; on behalf of HAWK (Hereditary Angioedema International Working Group). Evidence based recommendations for the therapeutic management of angioedema owing to hereditary C1 inhibitor deficiency: consensus report of an International Working Group. Allergy. 2012; 67(2):147-157.
2 Zuraw BL. Hereditary angioedema. N Engl J Med. 2008;359(10):1027-1036.
3 Banerji A. The burden of illness in patients with hereditary angioedema. Ann Allergy Asthma Immunol. 2013;111(5):329-336.
4 Longhurst HJ, Bork K. Hereditary angioedema: causes, manifestations, and treatment. Br J Hosp Med.2006;67(12):654-657.
5 Hide M, Horiuchi T, et al. Management of hereditary angioedema in Japan: Focus on icatibant for the treatment of acute attacks. Allergology International 70 (2021) 45-54.
6Ohsawa I et al: Ann Allergy Asthma Immunol 2015; 114: 492-498
7Banerji et al., Allergy Asthma Proc. 2018 May-Jun; 39(3): 212–223
8Zanichelli et al., Allergy, Asthma & Clinical Immunology 2013, 9 :29
以上